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特集・コラム 2021-10-07

看護師の夜勤について解説|夜勤のメリット・デメリットとは

看護師は、「夜勤」という働き方も選択できる職種です。日勤をメインに働いてきた人のなかには、「夜勤に興味があるけれど、実態がわからずなかなか踏み出せない」という人も多いのではないでしょうか。

本記事では、看護師の夜勤についてシフト体制や勤務時間、仕事内容を解説し、看護師が夜勤をすることのメリット・デメリットを考えていきます。あわせて夜勤看護師の求人事情も紹介しますので、今の職場と比較する、転職を考えるといった際の参考にしてみてください。

看護師の夜勤シフトとは? どんな業務をおこなうの?

入院病棟がある病院や入居者のいる介護施設などでは、24時間体制での対応が必要で、夜勤勤務が欠かせません。はじめに、看護師の夜勤シフトとはどのようなもので、どんな業務をおこなうのかを確認していきましょう。

看護師が夜勤で働く3つのパターンを解説!

24時間体制が必要な病院や施設では、看護師の勤務時間を日勤と夜勤に分け、シフトを組んで対応しています。看護師のシフトの種類はおもに「2交代制勤務」「3交代制勤務」「夜勤専従勤務」の3パターンです。

2交代制勤務|日勤・夜勤

「2交代制勤務」とは、看護師の1日当たりの勤務時間を日勤と夜勤の二つに分けたものです。以前は1日を均等に分け、日勤・夜勤ともに12時間勤務であることがほとんどでした。現在は日勤を8時間、夜勤を16時間とする「変則2交替制」を取り入れているところが増加しています。

よく見られる勤務例は以下のとおりです。夜勤では、仮眠のために2~3時間の休憩が1回設けられます。

・日勤 8:00~17:00
・夜勤 16:30~9:00

3交代制勤務|日勤・準夜勤・深夜勤

「3交代制勤務」は、看護師の1日当たりの勤務時間を日勤・準夜勤・深夜勤に分けたもの。2交代制の夜勤が準夜勤と深夜勤の2つに分かれていると考えるとイメージしやすいでしょう。

3交替制でよく見られる勤務例は以下のとおりです。いずれの勤務でも仮眠のための休憩はありません。

・日勤 8:00~16:30
・準夜勤 16:00~24:30
・夜勤 24:00~8:30

3交代制の準夜勤・夜勤では、出勤や退勤時刻に公共交通機関がないことも考えられるため、通勤手段が確保できる人でなければ勤務は難しいでしょう。

夜勤専従勤務|夜勤のみ

「夜勤専従勤務」とは、その名のとおり、夜勤のみ勤務する働き方です。一般的に、常勤看護婦が勤めているイメージが強い夜勤ですが、実はさまざまな雇用形態の人が勤務しています。

常勤か非常勤か、などといった雇われ方や待遇は病院や施設によって異なりますが、手当のつく夜勤にのみ働くため、月10回程度の勤務で充分な収入が見込めるでしょう。

看護師が夜勤でおこなう業務とは?

看護師が夜勤でおこなう業務とはどのようなものなのでしょうか。日勤との違いや夜勤ならではの特徴を確認しておきましょう。

日勤と同じ業務|採血や点滴交換など

ナースコールの対応や採血、点滴交換、バイタルチェックなどのルーティンワークは、日勤とほとんど変わらない業務内容です。ただし、日勤では7:1看護(7人の患者さんにつき看護師1人)であっても、夜勤の人数配置では看護師1人当たり10~20人の患者をチェックして回る必要があります。

体位変換などの対応が求められることもありますが、患者が眠っている時間の長い夜勤では「動かさない」ことのほうが多いです。そのため、業務自体があまり発生しない場合もあります。

患者さんの急変への対応

日勤でも患者さんの急変への対応は求められますが、容態急変は夜間に起こることが多い傾向です。日中に比べて院内にいる医師や看護師が少ないため、一人ひとりに一定水準以上のスキルが求められるケースもあります。

徘徊や点滴の自己抜去などのトラブル対処

徘徊なども夜間に起こりやすいトラブルです。素早く発見して適切な処置をおこない、必要に応じて医師に連絡をするなど、状況を見きわめて的確に判断・行動する力が必要でしょう。

病棟の夜間巡視

「夜間巡視」は、夜勤ならではの業務のひとつです。一般的には2~3時間ごとにラウンド(見まわり)をおこない、患者さんがきちんと眠れているか、容態に変化はないかなどを確認して、状況に応じて処置をします。

夜勤のメリット・デメリットとは?

看護師の夜勤の勤務時間や仕事内容を理解したところで、夜勤のメリット・デメリットについて考えていきます。両方をよく知ったうえで、自分に向いているかどうかを判断するようにしましょう。

夜勤のメリットとは

まずは、メリットについて確認していきましょう。看護師が夜勤をした場合、「収入」「スキル」「休日」の3つの面でメリットがあると考えられます。

夜勤手当で収入UPが目指せる

夜勤をすることで得られるもっとも大きなメリットは、夜勤手当で収入UPが目指せることでしょう。高収入を求めて夜勤を希望する人も少なくありません。

日本看護協会の「2020年病院看護実態調査報告書」によると、看護師が平日におこなう夜勤に支払われる一回あたりの平均手当額は、2交代制では11,286円、3交代制の準夜勤で4,154 円、深夜勤5,122 円となっています。

緊急対応のスキルアップに繋がる

夜勤の看護師は、日勤よりも少ない人数で患者さんの緊急対応に備える必要があるため、一人である程度の業務はすべてこなせるスキルが求められます。負担や責任が大きいように感じてしまいますが、夜勤のたびにさまざまな事例に対応していくことで、看護師としての自信とスキルアップに繋がるでしょう。

実践でスキルを身につけていくため、スキルをより早く向上させることも期待できます。

平日の日中に休みがとりやすい

夜勤で働いた後には、翌日の日中は「夜勤明け」と呼ばれる休みになります。また、夜間にシフトが入る代わりに、平日の日中に休みがとりやすくなるのです。

もちろん、体を休めることが第一ですが、人が少ない平日の昼間に趣味や娯楽といった自分なりの過ごし方ができるのは、夜勤勤務ならではの醍醐味といえるのではないでしょうか。

ここに注意! 夜勤のデメリットとは

看護師の夜勤勤務には、デメリットもあります。デメリットも確認し、得られるメリットのほうが上回るかどうかしっかり考えることも重要です。

生活リズムが崩れやすい

夜勤勤務で多くの人が苦しむのが、昼夜逆転で生活リズムが崩れやすい点でしょう。とくに、日勤・夜勤の両方をこなしている人は、睡眠や生活のリズムが不規則になってしまいがちです。

夜勤の中でも、日勤・夜勤という2つの勤務パターンだけである2交替制や、夜勤のみの専従の場合には早くにリズムが掴みやすいでしょう。これから夜勤をする場合には、夜勤専従や2交替制から始めてみるとよいかもしれません。

家族や友人と生活時間帯が合いにくい

夜間に働いて日中に休むという生活リズムでは、ほかの職種の家族や友人と生活時間帯が合いにくいことも懸念されます。

一人暮らしであれば問題も少ないかもしれませんが、小さい子どもを抱える家庭では、食事が一緒にとれない、会話をする時間があまりないといったこともあるでしょう。一方で、平日の休みの申請はしやすい分、参観日など平日の学校に参加しやすい面もあります。

夜勤専従看護師の需要はある?

デメリットを考えると、まずは夜勤専従から始めてみようという人もいるでしょう。そこで心配になるのが、「夜勤専従看護師の需要はあるのか」ということではないでしょうか。

夜勤専従は需要アリ!

男女平等の意識が広まってきているとはいえ、看護師業界はまだまだ女性の比率が多い世界です。結婚や出産を機に、日勤のみの勤務しかできない人も少なくありません。

加えて、夜勤による看護師の負担を軽くするために2012年の診療報酬改定で制定された「72時間ルール」の存在があります。72時間ルールとは、夜勤の平均時間が月間で72時間を超過した場合に、病院に対して支払われる入院基本料(報酬)が減額されるというペナルティーつきのルールです。

これにより、常勤看護師の夜勤勤務がこれまでよりも抑えられ、慢性的な夜勤の看護師不足に頭を抱える病院が増えてきています。実は、夜勤のみ勤務する専従看護師は72時間ルールの対象外であるため、夜勤専従看護師を求める病院が増えているのです。

副業OKの病院ならアルバイトとしてもおすすめ

さまざまな求人サイトをチェックしてみると、夜勤専従看護師の求人案件では、常勤でも非常勤でも、時給2,000円前後の案件が数多く紹介されています。副業OKの病院であれば、アルバイトとして夜勤専従をするのもおすすめです。

はじめて夜勤をする場合、急に高いスキルを求められる現場に飛び込んでいくことも不安でしょう。はじめは生活リズムを掴み、体を慣らすことを優先したいものです。

はじめてのダブルワークにおすすめしたいのが、慢性期病棟です。症状が落ち着いている患者さんが多いため、夜間はぐっすり休んでいる人がほとんどで、ゆっくり仕事になれていくにはよい環境だといえるでしょう。求人数も多く、自分に合った条件にこだわった職探しがしやすいのも魅力です。

夜勤のメリットは収入面とスキルアップ!

看護師の夜勤には、2交代制、3交代制、夜勤専従があります。夜勤には、「収入UPが目指せる」「スキルアップができる」「平日の日中に休みやすい」などのメリットがある一方で、生活のリズムを崩しやすい、家族や友人と生活時間が合わせにくいなどのデメリットも考えられます。

夜勤専従看護師は、需要が高く、アルバイトにもおすすめの働き方です。ライフステージや家族環境などによっても状況は変わりますので、今回紹介したメリット・デメリットをよく比較し、今の自分に合った働き方を選択していきましょう。

引用元:
公益社団法人 日本看護協会
看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン

日本看護協会調査研究報告 <No.96> 2021
2020 年 病院看護実態調査 報告書

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