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ヘルスケア 2021-07-30

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか?vol.5】相手も自分も不安にならないためのコミュニケーション力 #2

未曾有のコロナ禍。感染対策に頭を悩ませている介護・福祉施設は少なくありません。そこで、実際に働く方々に対策事例をインタビュー。コロナ対策のヒントを探っていきます。

今回は、訪問看護ステーション「LE 在宅・施設 訪問看護リハビリステーション学芸大学支店」チーフの古宮聡子さんにインタビュー。前編では感染防止策に加え、外出制限による心身の機能低下にどう対処しているかうかがいました。後編は、非対面での打ち合わせでコミュニケーション不足に陥らないための工夫などについてお聞きします。

お話をうかがったのは…

古宮聡子さん
(LE 在宅・施設 訪問看護リハビリステーション学芸大学支店チーフ)

看護師。大学の看護学部を卒業後、病院勤務を経てLE.O.VE(リオーブ)株式会社に入社。新宿EAST支店で訪問看護師としてのキャリアを積む。2021年6月に学芸大学支店へ異動し、チーフとしてスタッフをまとめる。

オンライン会議で伝えきれないことは必ず電話でフォロー

──古宮さんはチーフとして、社外の方々とのやり取りなど事務作業も多いと思います。コロナ禍で影響はありますか?

ありますね。特に影響が大きいのは、ご活用者様(ご利用者様)が病院から退院する前に行う退院前カンファレンスです。これは、ご活用者様ご本人、医師、看護師、ご家族、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーらが一堂に会し、詳しい病状を確認してご活用者様が安心して生活するためにどうしていくかを話し合う、とても重要な会議なんです。以前は病院で行っていましたが、コロナ後は人が集まるのを制限している病院が多く、ほとんどのカンファレンスがzoomで行われるようになりました。

オンラインでも必要最低限の内容は問題なく話し合えるのですが、対面に比べると込み入った内容が質問しにくかったり、説明しても言葉が足りなかったり、消化不良になりがちで。カンファレンスの後に電話で関係者の方と再度お話して、疑問をそのまま残さないように工夫しています。

チーフとしてスタッフが無理をしない環境づくりにも配慮

──スタッフの方の働き方はコロナ前とどう変化しましたか?

ご活用者様ありきの仕事なので、働き方自体は変わっていないです。ただ、事業所内については密状態にならないよう、休憩時間をずらす、事務作業を効率よく終わらせて早く帰る、といったことを心がけています。

また、感染防止の観点から、スタッフには体調が少しでもすぐれない時は休むように伝えています。なかには遠慮して言い出せない人もいるので、なるべくチーフの私が事務所にいる時間をつくって、会話の機会を増やすようにしています。

チーフとして全てのご活用者様の状況を把握しておくため、
時間がある時はスタッフに同行することも

──急にお休みするスタッフが出た場合、ご活用者様はいつもと違うスタッフが行くと不安になりませんか?

弊社では、コロナ以前から担当者とは別の代行スタッフが訪問する「シャッフルデー」を設けています。ご活用者様を含めイレギュラーなケースにも慣れてもらうことで、特定のスタッフに依存し過ぎないようにするためなんです。

この取り組みのおかげで、担当スタッフが体調不良などで急に休むことがあっても、ご活用者様は安心してサービスを受けられるようです。

個々のスキルを高めるにはチーム力の向上が必須

──スタッフみんなで協力し合う仕組みができているのですね!

はい。普段からスタッフ間のコミュニケーションをしっかり取るよう、かなり意識しています。例えば、事業所に立ち寄らずご活用者様宅から直行直帰の勤務体制をとる会社さんも多いなか、弊社は朝夕1日2回申し送りのミーティングを行っていて、かならず全スタッフが顔を合わせるようにしています。

訪問看護は、経験を多く積むほどスキルもあがっていく仕事。スタッフ同士でその日の出来事を共有することで、自分ひとりで経験する以上の知見を蓄えていくことができると考えています。

弊社の訪問看護師は比較的若いスタッフが多いので、チームで互いに高め合うことが、個人としても会社としてもよりよいサービスを提供するうえでとても重要なんです。その意味でも、コミュニケーションは質も量もきちんと確保していきたいですね。

スタッフ間で感謝の気持ちを伝えあうメッセージボード。
言葉にして伝えることで信頼感が高まるそう

──ほかにチーフとして気をつけていることはありますか?

私はチーフになってまだ日が浅く、自分が先輩チーフ、管理者にしてもらってうれしかったことを思い出しながら試行錯誤しているところです。基本的なことでいえば、ちゃんと目を見て話し、常に声を掛けやすい人でいようと心がけています。

もう1つ取り組んでいるのが、スタッフが訪問看護に集中できる環境づくりです。自分の経験上、担当しているご活用者様のことをチーフが把握してくれていると、安心して訪問できるんです。だから、全てのご活用者様のところに1回は同行して、お一人お一人の状況や人となりを知るようにしています。

コロナ禍になって、ご活用者様本人もご家族も、人と会う機会が減って寂しい思いをされているケースも多いようです。地域の専門職として私たちが顔を見せることで、そうした思いにも寄り添えたらいいなと思います。

ご活用者様に定期的に配っている冊子。
感染対策や熱中症対策など、
日ごろの健康管理に役立る内容を掲載しています

──今後の目標や展望を教えてください。

訪問看護師は訪問件数が多いほど一人前といわれています。店舗のみんなが少しでも多く訪問件数を得られるよう、そのサポートをしっかりしていきたいですし、私自身も訪問看護師としてより信頼されるよう自己研鑽を続けていきたいですね。

コロナと向き合いながら働く古宮さんならではの取り組み

1. 感染対策だけでなく外出減による心身の機能低下にも配慮

2. サービスの質を維持するコミュニケーションの確保

3. スタッフが訪問看護に集中できる環境づくり

地域の専門職として、ご活用者様やそのご家族のケアも含め、広い視野でサービス提供を行う古宮さん。ぜひ参考にしてください。

▽前編はこちら▽
【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか?vol.5】感染以上に気をつけたい心身の機能低下を防ぐこと #1>>

取材・文/池田 泉
撮影/高橋 進

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