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特集・コラム 2021-10-20

治験コーディネーターとは? 仕事内容を紹介|治験コーディネーターになるには資格が必要?

新たな薬の開発において欠かすことのできない職種のひとつが、治験コーディネーターです。しかし、実際にどんな仕事をしているのかまでくわしく知らない人は多いかもしれません。ここでは、この職種の仕事内容や資格について解説します。

治験コーディネーター(CRC)とは?


おもに薬を開発する現場で働く治験コーディネーター(CRC)。ここではこの仕事に就く際にも知っておきたい基本情報として、その概要と具体的な仕事内容についてご紹介します。

そもそも「治験」とは?|医薬品や医療機器の有効性や安全性を確認する臨床試験

まず、治験コーディネーターの仕事内容などを理解するためには、「治験」について知っておかなければなりません。そもそも治験とは新たに医薬品や医療機器などを開発する際に、その有効性や安全性を確認するためにおこなう臨床試験のことを指します。

この臨床試験は、医薬品・医療機器の欠陥や改善点などを明確にするうえで不可欠なものです。たとえば最近では、新型コロナウイルスを予防するためのワクチンを開発する過程でも入念な治験が実施されています。

治験コーディネーター|治験の準備や調整・運営の支援をおこなう

臨床にて使用される医薬品や医療機器の開発段階で必要な治験。その実施においては入念な準備や調整をおこなうと同時に、計画どおりの正確な運営をおこなうことも不可欠です。

これらの治験における各段階で支援をおこなうのが治験コーディネーターであり、その職務をまっとうするには治験にかかわる幅広い知識が必要となります。

治験コーディネーターの仕事内容を紹介!


治験コーディネーターとして働く場合、あるいはその仕事に関連する資格取得を目指す場合には、詳細な仕事内容を理解しておかなければなりません。つづいては、治験コーディネーターの具体的な仕事内容を見ていきましょう。

1. 治験準備

治験コーディネーターは準備の段階から治験にかかわり、治験当日へ向けた調整などを担当することとなります。

ここではこの治験準備段階において治験コーディネーターが対応することとなる仕事の内容を説明していきます。

治験実施計画書の理解|担当する治験について学ぶ

治験コーディネーターとして治験に参加する場合、治験実施計画書をしっかりと理解しておかなければなりません。

基本的に治験の準備段階でその内容を周知するための勉強会などがおこなわれるため、治験コーディネーターもそれに参加し、理解を深めていくこととなります。また、その過程では自身で治験実施計画書を読み込んでおくことも不可欠です。

検査キットの管理業務|受け取りや在庫管理

治験は検査キットを使用しながらおこなうことが多く、治験当日までにその搬入が実施されます。この際の受け取りも治験コーディネーターの仕事のひとつです。

そのため、準備の段階で治験が実施される施設などへ足を運ぶことが多くなることも覚えておくとよいでしょう。また、搬入した検査キットの在庫管理業務も治験コーディネーターの仕事となります。

スタートアップミーティング|スタッフとして参加

治験の準備段階では参加する医師や看護師、薬剤師などのスタッフが集まり、治験を円滑におこなうためにスタートアップミーティングという会議を実施するのが一般的です。治験コーディネーターもまたこのミーティングに参加する必要があり、ここではおもに司会や資料の作成などの仕事を担当するケースもあります。

このことから、治験内容や業務の流れなどについてはこのミーティングまでに頭に入れておく必要があるということです。

2. 治験実施中

治験コーディネーターは治験を実施している期間中にも重要な職務を担うこととなります。つづいては、治験コーディネーターが治験を実施している期間中におこなうこととなる具体的な仕事の内容について見ていきましょう。

被験者を探す(スクリーニング)|医師からの紹介・ボランディアなど

治験の計画書が完成したら、治験コーディネーターは被験者を探すこととなります。この業務を「スクリーニング」と呼び、計画書で指定された条件に合う被験者を被験希望者のなかから探さなければなりません。

また、ここでは医師の紹介やボランティアなどを通じて被験者を探すこともあり、必要な人数を決められた期間内で集めるためにはそのための調整も必要となります。

治験説明文書などの作成|インフォームド・コンセント

治験を実施するにあたっては、まずはインフォームド・コンセントをしっかりとおこなわなければなりません。この場合のインフォームド・コンセントとは、治験の内容や被験者が留意しておくべきことなどについて、医師が被験者にしっかりと説明することを意味します。

このインフォームド・コンセントで使用する説明文書の作成もまた治験コーディネーターの役割です。

被験者への対応|服薬指導・有害事象への対応など

実際に治験がはじまったら、治験コーディネーターは被験者に対して服薬指導をおこないます。服薬指導とは薬の服用方法や頻度などを説明することで、これは正確なデータを抽出するうえでも重要となります。

また、治験中の被験者の状況の確認も治験コーディネーターの役割であり、有害事象が発生した際にはすぐに対応できるようにしておかなければなりません。

症例報告書(CRF)の作成|医学的判断を必要としないデータを転記

治験が終了すると、治験依頼者に対して報告をするための症例報告書(CRF)を作成する流れとなります。

この症例報告書に記載される内容のうち、医学的判断を必要としないデータの転記も治験コーディネーターの仕事に含まれるのが特徴です。ここでは、治験の目的や内容について治験コーディネーター自身がしっかりと理解していることが不可欠となります。

3. 治験終了後

治験が終了すると被験者は帰宅する流れとなりますが、そのあとにも治験コーディネーターがおこなわなければならない仕事があります。

つづいては、治験終了後に治験コーディネーターが担うこととなる仕事の内容を見ていきましょう。

治験終了報告書の作成|終了報告書の原案

治験が終了したら、そのことを報告するための治験終了報告書を作成しなければなりません。この報告書には治験ステータスや実施例数などの詳細なデータを記載することとなっています。

この報告書の原案を作成するのも治験コーディネーターの仕事となっており、そのためには治験中にデータを正確に記録することが必須です。

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治験コーディネーターを目指すにはどうすればいいの?


治験コーディネーターとして働くには、それ相応のキャリアを積むことが不可欠です。つづいてはその方法をご紹介します。

治験コーディネーターに必須の資格は必要なし

上述した仕事内容から考えると、治験コーディネーターの仕事では治験に関わる専門的な知識を要する場面が非常に多いといえます。

しかしながら、治験コーディネーターになるうえで必須の資格はなく、特定の資格を取得しておかなければならないということはありません。

持っていると役立つ資格は?|看護師・薬剤師・臨床技師など

働くうえで取得しておかなければならない資格はないものの、やはり治験コーディネーターの仕事では医学や看護などに関わる専門的な知識が必要となります。

そのため、看護師や薬剤師、臨床技師などの資格を取得し、医療系の知識や医療機関の仕組みなどを理解しておくと、治験コーディネーターの仕事でも活用することができるでしょう。

医療機関やSMOへの就職・転職で目指せる!

治験コーディネーターを目指す場合、医療機関やSMO(治験施設支援機関)へ就職・転職し、実戦的な経験を積むのが有効です。

なかでもSMOでは医療機関でおこなわれている治験業務の支援を通してその流れなどを学ぶことができるため、治験コーディネーターを目指す方にはとくにおすすめです。

治験コーディネーターはスムーズな治験実施を支える重要なお仕事!


治験コーディネーターは、新薬の開発で欠かすことのできない治験を支えるとても重要な職業です。この仕事ではやりがいを感じられる機会も多いので、医療や看護業界への就職・転職を考えているという方は今から目指してみてはいかがでしょうか。

引用元サイト
厚生労働省 職業情報提供サイト 治験コーディネーター
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/407
日本SMO協会 CRCとして働くには
http://jasmo.org/recruit/working/index.html

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