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特集・コラム 2023-09-21

精神保健福祉士の平均年収は?|種別平均年収と収入UPを目指せる方法もあわせて紹介

精神保健福祉士は、精神的な病気や障害を抱える人の自立・社会復帰などをサポートするのが仕事です。精神障害における福祉や保健分野の専門家で、精神ソーシャルワーカーとも呼ばれています。

この記事では、精神保健福祉士にスポットをあて、平均年収や給与とあわせて、収入UPを目指せる方法などをお伝えします。平均年収は、年代や施設形態など種別ごとに詳しく紹介しますので、チェックしてみてください。

精神保健福祉士の平均年収・給与はどれくらい?

仕事内容は精神障がい者とその家族、支援者からの相談を受け、自立した生活や社会復帰できるよう助言したり、適切な訓練、サポートを受けられるよう調整したりする精神保健福祉士。福祉分野のなかでも、最近注目されている国家資格のひとつです。

ここでは、そんな精神保健福祉士の平均年収や給与がどれくらいなのか、社会福祉振興試験センターがおこなった、令和2年度「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の就労状況調査」をもとに具体的に解説していきます。資格を取得しようとお考えの方は、参考にしてくださいね。

引用元:
社会福祉振興・試験センター:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の就労状況調査(令和2年度)結果報告書

令和2年度の全体平均年収は約404万円|社会福祉振興試験センターの調査

この調査で回答した、2万6,744人の精神保健福祉士の全体平均年収は約404万円でした。

介護・看護・リハビリの求人サイト「リジョブ」の東京都内の求人を見ると、給与は20~30万円が相場のようです。40万円以上の給与で、管理職候補の求人情報もありました。

「福祉士」と名前のつく職業は、ほかに社会福祉士や介護福祉士があり、福祉に関わる国家資格として、精神保健福祉士とあわせて三大福祉士といわれています。

同調査によると、社会福祉士の平均年収は約539万円、介護福祉士の平均年収は約292万円で、同じ福祉系の国家資格であっても平均年収には大きな差があるようです。

東京都内の精神保健福祉士(正社員)の求人情報はこちらからチェックできます。
リジョブ:東京都 精神保健福祉士の求人

男女別平均年収

男女での平均年収をみると、男性の方が86万円高いことがわかります。また、性別無回答の人が18人おり、この方たちを対象にしたものでは平均年収が445万円という回答が得られました。

雇用形態別平均年収

雇用形態別の平均年収について、正規職員のうち約49%が、全体平均年収である404万円以上の収入を得ています。

調査に回答した、2万6,589人の精神保健福祉士の最も割合の高かった平均年収は次表のとおりです(155人は雇用形態を無回答)。

なお、雇用形態について回答していても、年収については無回答という人もいます。

年代別平均年収

年代別の平均年収についても、男性・女性・性別無回答に分けて紹介します。

男性は20代と30代で100万円以上平均年収の差があるのに対し、女性は20~40代まで80万円程度の差となっています。

施設形態別平均年収

精神保健福祉士はおもに、医療機関・障がい者福祉施設・高齢者福祉施設・行政機関などがあります。施設形態別の平均年収を次表で見てみましょう。

規模の大きさや事業所によっても違いがありますが、行政機関の平均年収が高いことが分かります。

行政機関には、精神保健福祉センター・保健所・役所などがあり、公務員として給与規定に準じた収入になるため、勤続年数に応じて年収も上がる仕組みです。

資格手当の有無と平均額

資格手当があるのは、全体の約34.8%です。資格手当を受け取っている人のうち、37.4%が1万円以上2万円未満と回答しました。

最も多かった金額は1万円。5,000~3万円未満が相場のようで、わずかではありますが、5万円以上7万円未満・7万円以上10万円未満との回答もあり、平均額は1万2,227円となっています。

精神保健福祉士が収入UPを目指すには? 3つの方法を紹介

ここまで、精神保健健福祉士の平均年収や月給について解説しました。同じ国家資格なのに、社会福祉士より100万円以上少ないと思った方もいるでしょう。

精神保健福祉士が収入UPを目指す方法はあるのでしょうか。つづいては、精神保健福祉士が収入UPを目指すための方法を3つご紹介します。

1. 現在の職場で管理職を目指す

現在精神保健福祉士として働いている職場で実績を重ねていき、管理職を目指してみることをおすすめします。管理職になることで、役職手当がもらえるようになるからです。さらには、今後転職などを考えたときにも、管理職として働いている経験があるだけで、待遇や給与の面でも優位になる可能性があります。

さきほどもご説明しましたが、管理職候補の求人募集では正社員として働くよりも、月給が40~50万円とかなり高くなっていますので、まずは管理職を目指してみましょう。

2. 社会福祉士の資格を取得する|資格手当

精神保健福祉のキャリアアップにもつながるのが、社会福祉士の資格の取得することです。現在の仕事を続けた場合、社会福祉士の資格手当を受け取れる可能性がありますし、社会福祉士として働くこともできます。

精神保健福祉士の対象者は精神障がい者ですが、社会福祉士の対象者は障害の有無に関係なく、さまざまな事情によって日常生活に支障を抱えている人です。

福祉に関する相談に応じ必要な助言・利用できる制度やサービスの紹介・サービス提供者や関連機関との連絡調整役などをおこないます。

社会福祉士の平均年収はさきほど紹介したように、精神保健福祉士よりも高い傾向にあり、その差は130万円以上。三大福祉士のなかでも1番高い平均年収であるため、年収UPを目指せます。

精神保健福祉士が社会福祉士になるには?|受験資格取得と国家試験合格

社会福祉士になるためには、国家試験の受験資格を取得し、国家試験に合格する必要があります。

精神保健福祉士として働いている場合は、精神障害に関する相談援助の実務を4年経験したのち、社会福祉士一般養成施設で1年以上学習し、卒業することで受験資格を得ることが可能です。

令和5年度に実施された試験科目は、社会調査の基礎・相談援助の理論と方法・高齢者に対する支援と介護保険制度など19科目です。受験申し込みをする際に必要書類を提出すると、下記の社会福祉士と精神保健福祉士との共通科目が免除されます。

なお、令和6年度からは試験科目の変更が予定されています。

引用元:
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省:ページ2 社会福祉士の資格取得方法

3. 公務員として行政機関に勤務する

民間の施設で働いている場合は、公務員を目指す方法もあります。年に1回昇給があるので、年収UPが期待できるでしょう。住居手当や通勤手当など各種手当も充実しており、安定した年収が得られることも特徴です。

公務員として行政機関で働く場合、役所・精神保健福祉センター・障害福祉サービス事業所・保健所などに配置されます。

役所では、窓口業務・障害福祉サービスの企画・精神障がい者自立支援・啓蒙活動などさまざまな業務があります。

精神保健福祉センターでは、精神障害にまつわる専門的な相談援助・医療機関や施設からの問い合わせ対応・行政機関の活動支援などをおこなうのが仕事です。

障害福祉サービス事業所では、施設によって違いがありますが、利用者やその家族の相談対応・生活支援・就労支援・プログラムの運営・関係機関への連絡調整などをおこないます。

保健所では、地域住民の相談援助がメインです。精神障がい者を必要な医療機関へとつないだり、社会復帰の援助をおこなったりするだけでなく、地域住民の精神保健福祉相談に応じます。

施設形態などによって平均年収が異なるため自分に合った方法で収入UPを目指そう

三大福祉士のひとつである精神保健福祉士全体の平均年収は、社会福祉振興・試験センターの調査では404万円でした。介護福祉士よりも高い傾向にありますが、社会福祉士と比べると130万円以上の差があり、施設形態によっても差があります。

精神保健福祉士としてさらに収入をアップさせたいという人には、管理職を目指す・社会福祉士の資格を取得する・公務員を目指すなどといった方法がおすすめです。今の仕事やキャリアについて考え、自分に合った方法で収入UPを目指しましょう。

引用元:
社会福祉振興・試験センター:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の就労状況調査(令和2年度)結果報告書
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省:ページ2 社会福祉士の資格取得方法

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