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特集・コラム 2023-11-15

言語聴覚士とは? 仕事内容や需要・将来性について紹介|言語聴覚士になるには

言語聴覚士とは、「話す」「聞く」といった言葉におけるコミュニケーション能力に障がいがある方に対し、高い専門知識を使ってサービスを提供する職種のことです。

利用者の自分らしい生活を送りやすいようサポートする専門職であることから、大きなやりがいを感じられる仕事でもあります。

そこで今回は、言語聴覚士の詳しい仕事内容や特徴、将来性をご紹介します。言語聴覚士を目指す人をはじめ、「言語聴覚士ってどんな仕事なの?」と気になる方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

言語聴覚士は需要が高い? 現状を紹介

ここでは、言語聴覚士の需要について解説します。需要は高いのか、または高くなる可能性や将来性はあるのかを知り、就職・転職につなげましょう。

言語聴覚士は何人いるの?

日本言語聴覚士協会によると、2023年10月現在の有資格者数は39,896名おり、1997年に国家資格として制定されたあとは、毎年1,000人以上の方が合格しています。

数字で見ると多いように感じますが、同じリハビリ職の理学療法士だと、2023年現在の合格者累計数は213,735名、日本理学療法士協会の入会は任意であるものの、その会員数は令和4年で13万人以上が登録。さらに、作業療法士の会員数も、任意加入ではありますが、2023年3月1日時点で64,468名もおり、それぞれと比べても言語聴覚士はまだまだ少なく、リハビリ職のなかでは人手が足りていないことがわかります。

引用元
一般社団法人日本言語聴覚士協会:言語聴覚士とは
公益社団法人日本理学療法士協会:統計情報|協会の取り組み
一般社団法人日本作業療法士協会:協会について

言語聴覚士はなぜ人手不足なの? 有資格者が少ない理由とは

リハビリ職のなかでも極めて人手不足がうかがえる言語聴覚士ですが、それはなぜなのでしょうか。有資格者が少ない理由とあわせて見ていきましょう。

1. ほかのリハビリ職より歴史が浅い

一つめの理由は、ほかのリハビリ職より歴史が浅いことです。先述したように、言語聴覚士が国家資格として制定されたのは、今から26年前の1997年。

そのため、国家資格の種類としてはもちろん、リハビリ職としても、歴史が浅く認知度が低いことから有資格者が少なく、人手不足の原因になっていると考えられます。

しかし、医療・介護業界など、高齢化が高まるにつれて活躍できる場所が広まりつつあることや、夜勤・残業が少ないことなどから、ライフワークバランスを維持しやすいとして、注目を集める職種でもあります。

2. 養成校の数が少なめ

二つめは、養成校の数が少ないことです。言語聴覚士専用の養成校は、日本全国で75校ありますが、理学療法士の養成校だと277校(うち7校は募集停止)、作業療法士の養成校だと205校と、養成校の数だけでも大きな開きがあり、選択肢が少ないことも理由の一つと考えられます。

3. 国家試験合格のハードルがやや高め

三つめは、言語聴覚士になるための資格が国家試験であり、ハードルがやや高いことです。言語聴覚士になるためには、法律に定められた教育課程を経て、国家試験に合格しなければなりません。試験は毎年2月におこなわれており、2023年は2,515名の受験者のうち1,606名が合格、合格率は67.4%となっています。

高い合格率のように感じますが、理学療法士の合格率を見ると、2023年では87.4%、83.8%といずれも80%台であることから、言語聴覚士になるための道のりは、ほかリハビリ職に比べてややハードルが高いことがわかるでしょう。

言語聴覚士国家試験についてはこちら
言語聴覚士国家試験の概要を紹介|合格率や合格基準とは? | MORE REJOB

言語聴覚士の需要は高い

高齢化が進んでいる日本では、2065年には75歳以上が人口の25%を占め、平均寿命は2040年では男性の42%が90歳、女性の20%が100歳まで伸びることが推計されています。

高齢者が増えると、認知症などのコミュニケーション障害などを抱える高齢者が増加することが考えられます。認知症や障害を抱える高齢者を支えるためには、ほかのリハビリ職とあわせて、言語聴覚士も介護・福祉などの施設で必要とされることが予想されます。

現時点(2023年10月時点)の言語聴覚士の合格者数は39,896人とそこまで多くなく、高齢化社会の供給に追いついていません。

このような状況から、介護・福祉などの施設で活躍する言語聴覚士の需要は今後もますます高まっていくことが推測されるでしょう。

言語聴覚士の将来性が高い理由とは?

高齢者の増加にともない、需要が高まっている言語聴覚士。2025年からはじまる超高齢化社会に向けて、さらに求められる仕事になっていくでしょう。ここからは、言語聴覚士の将来性が高い理由についてご紹介します。具体的な理由を押さえ、就職・転職につなげましょう。

超高齢化社会がやってくる

2065年の日本では、75歳以上が人口の25%を占め、平均寿命は2040年で男性の40%以上が90歳、女性の20%が100歳まで伸びるとしています。このことから、これからの日本は超高齢化社会が到来し、高齢者をサポートする職業の需要がさらに高まると考えられます。

これから資格取得を目指したとしても、高齢者の増加には追いつくでしょう。高齢者が増えれば、その分だけ言語聴覚士の求人数も増えることから、需要が高いと言われているのです。

日本では、高齢化社会を乗り切るために、地域包括ケアが推進されています。言語聴覚士も、高齢者が地域でも自立した生活ができるように、基本的な動作である食べる・コミュニケーションをとるという機能を改善させるための役割を担っているため、今後もますます重要な役割となっていくでしょう。

活躍できる場面はますます増えていく

高齢者の増加によって言語聴覚士の需要が増えていくという一面もありますが、言語聴覚士の仕事の対象は高齢者だけではありません。生まれつきの障害を抱えている人や事故にあった方など、さまざまな人が対象となっています。

そのため、言語聴覚士が勤務する場所として、介護施設や福祉施設、訪問リハビリテーション病院など、今後もさらに活躍の場が広がっていくでしょう。

機械(AI)に奪われない仕事

IT技術が進化したことで、多くの仕事が機械に奪われている現代。IT技術はさらに進化が予想されているため、その傾向は加速すると言われています。

言語聴覚士においても、機械化は徐々に進んでいて、人型ロボットを用いた言語訓練をはじめ、嚥下筋への電気刺激アプローチなども取り入れられています。しかし、これらは言語聴覚士の人手不足を補うための効率化を目的としているため、全ての業務に対応しているわけではありません。

IT技術が進化したとしても、コミュニケーションを活かしながら行う必要のあるリハビリは、人の手を使うのが望ましい業務の一つ。そのことから、言語聴覚士の需要は減らないと考えられています。

これからの言語聴覚士に必要なこととは?

ここからは、言語聴覚士に必要なことについて紹介します。これから言語聴覚士を目指す人は、どのようなことを取り入れる必要があるのかを押さえて、今後のキャリアに活かしていきましょう。

1. 専門性を高める|認定言語聴覚士

言語聴覚士としてさらに活躍の場を広げるには、専門性を高めるのが効果的です。たとえば、認定言語聴覚士の資格を取得しておくことで、摂食嚥下障害領域や失語・高次能機能障害領域、言語発達障害領域などの専門知識を取り入れ、エキスパートとして活躍することができます。

各領域の認定言語聴覚士を目指すことは簡単なことではありませんが、努力の分だけ高齢者やその家族から高い信頼を得ながら、唯一の存在として活躍できるでしょう。

2. キャリアプランに合わせた知識を身につける

言語聴覚士として働くうえで明確にしたいのが、キャリアプランです。たとえば、目標とするキャリアプランが医療系なら医療系の知識を、介護系を目指すなら介護系の知識を身につけることが大切です。

医療系の知識を身につけておけば、看護師や医師がいない間に起きた利用者の急変にも、適切に対応できます。このように、キャリアプランを明確にし、その先で活用できる知識を身につけることで、それぞれの分野でより活躍できる人材へと成長できるでしょう。

3. サービス向上に努める

言語聴覚士の業務は、学んだことを現場で反映させるだけではなく、サービス向上について考えながら働くことも大切です。といっても難しいことではなく、これまでの人生経験や好きなこと、得意なことが役立つときがあります。

たとえば、体を動かすことや運動が得意であれば、運動する前に必要な体操や、リフレッシュに効果的なストレッチなどについて把握しているはずです。些細なことですが、これらは体を動かすことや運動が好きな利用者のリハビリに、有利にはたらきます。

自身のできることや得意とすることでサービス向上に役立つものはないか、を考えながら働くことで、利用者の気持ちに人一倍寄り添える言語聴覚士として活躍できるでしょう。

言語聴覚士は将来性の高い仕事!

話す・聞く・食べるといった機能に障害のある方をサポートする専門家である言語聴覚士は、これからの日本にとって欠かせない職種の一つです。

2025年の日本は超高齢化社会へと進み、今以上に多くの高齢者をサポートする人が求められます。サポートを求める高齢者が多い一方で言語聴覚士の数はとても少なく、人手不足に陥っているのが現実です。そのことから、言語聴覚士の仕事は将来性が高いと言えます。

医療機関や介護施設など活躍の場が広がっていることから、気になる方は目指してみてはいかがでしょうか。

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