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特集・コラム 2021-11-12

言語聴覚士国家試験の概要を紹介|合格率や合格基準とは?

言語聴覚士は、言葉でのコミュニケーションがむずかしい方への援助を専門としています。また、嚥下機能や摂食に関しても専門的にかかわる職種です。

具体的には、失語症や子どもの言葉の発達の遅れ、声や発音の障害、嚥下訓練など仕事内容は幅ひろいものとなっています。言語聴覚士の国家試験を受ける前に、概要と対策方法をしっかり確認しておきましょう。

言語聴覚士国家試験の概要を紹介!


ここでは、言語聴覚士国家試験の概要をご紹介します。言語聴覚士を目指している方は、試験対策の参考にしてみてくださいね。

言語聴覚士は国家資格! 国家試験を受験して合格する必要がある

言語聴覚士は、ほかの医療職と同様に国家資格のひとつです。言語聴覚士になるためには、言語聴覚士国家試験を合格する必要があります。

1. 試験期日

試験は、毎年2月におこなわれています。直近でおこなわれた2020年度の試験は、2021年2月20日(土曜日)に開催されました。

2. 試験地|5会場で実施

試験会場は、全国5カ所で実施されています。北海道や東京都、愛知県、大阪府、広島県および福岡県などの地域で受験することが可能です。

どこの試験会場が自宅から向かいやすいのか、近辺に宿泊施設があるのかなどは、事前に調査しておきましょう。

3. 試験科目|臨床歯科医学・言語発達障害学・音声言語学など

試験科目は、以下の12科目となっています。

・基礎医学
・臨床医学
・臨床歯科医学
・音声・言語・聴覚医学
・心理学
・音声・言語学
・社会福祉・教育
・言語聴覚障害総論
・失語・高次脳機能障害
・言語発達障害学
・発生発語・嚥下障害学
・聴覚障害学

いずれも専門的な内容が多いので、しっかりと勉強して臨む必要があります。

4. 受験資格|養成施設での勉強が必要

言語聴覚士国家資格は、一定の知識・技能を習得したと認められた方のみ、受験資格を取得可能です。

具体的には、文部科学大臣が指定した大学や短期大学、専門学校などの養成施設を卒業する必要があります。例外として、海外で言語聴覚士の教育を修了した方は養成機関の卒業は必要ありません。

高校卒業後|言語聴覚士養成所・指定された大学などで学ぶ

高校卒業後、すぐに言語聴覚士を目指したいと考えている方は、文部科学大臣が指定している大学や短期大学へ進みましょう。または、都道府県が指定している言語聴覚士養成所への進学も可能です。

一般の4年制大学卒業後|大学院・専門学校で学ぶ

一般の4年制大学を卒業した方は、大学に入りなおして勉強することも可能です。また、文部科学大臣指定の大学院や専門学校での履修でも、受験資格を取得できます。

5. 受験手続き

ここからは言語聴覚士国家試験に必要な受験手続について紹介します。事前にチェックして、直前に慌てることのないようにしましょう。

必要な書類

受験者全員が必要な書類としては、受験願書と写真(6cm×4cm)が必要です。そのほかには、各養成学校の卒業証明書などが必要となります。

提出場所・提出期間

受験に必要な書類は、公益財団法人医療研究推進財団へ提出します。例年11月下旬から12月上旬までが提出期限となっており、2020年度の受験では11月24日(火曜日)から12月11日(金曜日)までが期限とされていました。

受験手数料|3万4,000円

言語聴覚士国家試験には、受験手数料が必要です。受験手数料3万4,000円を、公益財団法人医療研究推進財団が指定する口座へ振り込みます。

6. 合格発表日

合格の有無は、3月の末に発表されます。厚生労働省のホームページ、または公益財団法人医療研修推進財団のホームページで確認することが可能です。

ちなみに、2020年度の試験は2021年3月26日に発表されました。

国家試験の合格率と合格基準について紹介!


ここでは、言語聴覚士国家試験の合格率と合格基準についてご紹介します。合格基準をしっかりと理解して、合格基準に達することができるよう、計画的に勉強しましょう。

国家試験の合格率はどれくらい?

言語聴覚士国家試験の合格率は、近年は60%後半から70%台、受験者数は2,500人程度で推移しています。したがって、合格人数は約1,750人程度です。

ここ5年の受験者数と合格率は、以下のとおりです。

・2020年度(第23回)が受験者数2,546人、合格率69.4%
・2019年度(第22回)が受験者数2,486人、合格率65.4%
・2018年度(第21回)が受験者数2,367人、合格率68.9%
・2017年度(第20回)が受験者数2,531人、合格率79.3%
・2016年度(第19回)が受験者数2,571人、合格率75.9%

ほかの医療資格に比べて受験者数が少ない要因としては、受験資格に養成所の卒業資格が必要な点、受験項目の幅ひろさが考えられるでしょう。また、受験科目が多いためか、ほかの医療職よりも合格率も低めになっています。

過去の受験者の結果からもわかるように、言語聴覚士国家試験に合格するためにはしっかりと対策を練って、時間をかけて勉強していく必要があるのです。

合格基準はどれくらい?

言語聴覚士国家試験は1問1点で、合格点は200点満点中120点以上となっています。1問1点なので、問題数が多いことも試験の特徴のひとつです。

また、ほかの医療職の国家試験のように、計算問題などで得点を稼ぐこともむずかしくなっています。そのため、集中力を切らさずに、1問1問点数を重ねていくことが重要です。

計画を立てて勉強しよう! 受験対策におすすめの書籍を紹介

ここでは言語聴覚士国家試験を受験するにあたって、どのように受験対策を進めていくべきかお伝えします。ここでお伝えすることを参考にしながら、自分に合った勉強方法を見つけてみましょう。

スケジュールを組んで勉強しよう!

言語聴覚士国家試験の試験項目は非常に多く、内容も多岐にわたります。なんとなく勉強を進めていると試験までに間に合わず、慌てて勉強ペースを速めなくてはいけないという事態に陥りかねません。言語聴覚士国家試験の受験年は、1年をとおした計画を作成してから勉強に臨むようにしましょう

ここでは、計画の一例をご紹介します。まずは春から夏にかけて、授業内容などから国家試験対策ノートの作成してみてください。夏から秋に過去問を用いながら、対策ノートを見直していきます。秋から冬にかけては、対策ノートの内容を理解しながら暗記し、追い込みで過去問を解いて問題の傾向を把握することが大切です。必ずしも、この順序や方法でなくてもよいですが、1年かけて計画的に進めていくことが合格への近道となるでしょう。

受験対策におすすめの書籍を紹介!


言語聴覚士国家試験の対策には、さまざまな書籍が販売されているのが特徴です。数ある書籍のなかでも、おすすめの書籍をふたつご紹介します。

『2022年版言語聴覚士国家試験過去問題3年間の解答と解説』

こちらは、過去3年間の過去問のくわしい解説がされている参考書です。最新の国家試験の問題の傾向と考え方を勉強することができるので、受験対策に役立つ一冊となるでしょう。

『言語聴覚士国家試験必修チェック2022-2023:分野別要点マスター』

こちらは、過去5年分の国家試験で出題された頻出キーワードがまとめられている参考書です。

およそ20年にわたり、国家試験後に何度も改訂を重ねながら、内容が整理されているので覚えやすい構成が特徴です。

受験対策を万全にして国家試験に臨もう


言語聴覚士国家試験は、ほかの医療資格よりも合格率がやや低めで、出題範囲もひろいのが特徴です。また、毎年の受験者数が少なく、資格保持者はほかの医療職よりも少ない傾向にあります。

言語聴覚士はこれからの医療には必要不可欠な存在であり、資格を取得できればさまざまな場所で活躍することも可能です。難易度自体は高い試験ではありますが、ぜひ受験対策を万全にしたうえで国家試験合格に臨んでみましょう。

引用元サイト
厚生労働省
言語聴覚士国家試験の施行
第23回言語聴覚士国家試験の合格発表について
第22回言語聴覚士国家試験の合格発表について
第20回言語聴覚士国家試験の合格発表について
第19回言語聴覚士国家試験の合格発表について

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