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介護・看護・リハビリ 2021-11-27

〈手描き〉で脳を活性化!認知症予防に役立つお絵描きレク【介護レクリエーションvol.38】

現場で役立つレクリエーションのアイデアをご紹介する「介護レクリエーション」。今回は、脳の活性化に役立つ「お絵描き」レクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。

「今回ご紹介するレクリエーションは、『両手でお絵描き』と『絵しりとり』。どちらも頭を使いながら〈絵を描く〉ゲームです」(大野さん)

『両手でお絵描き』とは、どんなゲームですか?

「左右の手で同時に同じ図形を描くゲームです。利き手だけを使うよりも集中力が必要になり、脳を活性化することができます」(大野さん)

では『絵しりとり』は?

「言葉を使わずに、順番に絵を描くことでしりとりをします。前の順の人が何の絵を描いたかを想像しながらしりとりを行うため、思考力・記憶力が必要になります」(大野さん)

2つのレクリエーションによって期待できる、身体・精神面の効果は?

「どちらも手先の運動をすることで、脳を刺激して認知症予防や思考力の向上に役立ちます。また、普段使わない手を使ったり、他の人が書いた絵の内容を想像したり、しりとりでつながる言葉を考えたりと、頭を使いながら絵を描くため、単に絵を描くよりも脳の活性化につながります」(大野さん)

それでは早速、『両手でお絵描き』と『絵しりとり』の遊び方をご紹介します。

両手でお絵描き


【対象者】介護予防事業対象者、MCI認定者におすすめ
【レクの目的】手指の運動、思考力の向上
【人数】2~10人
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】ホワイトボード、紙(A4サイズ程度)、マグネット
【所要時間】15分
【レクリエーションの内容】見本の図形を見ながら、ホワイトボードに左右の手を同時に使って見本と同じ図形を描きます。

遊び方

1.参加者全員から見える位置に、見本の図形を描いた紙を貼りつけたホワイトボードを設置します。

2.参加者は、一人ずつ順番にホワイトボードに左右の手で同時に見本と同じ図形を描きます。

3.全員が描き終えたらゲーム終了です。

レクを始める前の準備

・紙に見本用の図形(四角形、三角形、丸など簡単なもの)を描きましょう。参加者が見やすいよう、黒いマジックなどで濃くはっきりと描くのがポイントです。

進め方のコツ

・参加者がうまく描けない場合にはスタッフから「芸術的ですね!」などポジティブな言葉をかけたり、「もう少し!」「いい調子!」と応援したりして場を盛り上げましょう。

・慣れてきたら左右違う図形を描くなど、難易度を上げてもOK。参加者のレベルや状況に合わせてアレンジを加えましょう。

・車いすの方や、ホワイトボードに描くことが難しい参加者にはスケッチブックを用意しましょう。

絵しりとり


【対象者】絵を描くこと、色を塗るなどの『絵画』を拒否されない方
【レクの目的】手指の運動、記憶力・思考力の向上
【人数】5~10人
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】スケッチブック、筆記用具、参加者が使用する椅子
【所要時間】5~10分
【レクリエーションの内容】言葉を使わず、順番に絵を描くことでしりとりを行うゲームです。前の順の人が何の絵を描いたかを想像したり、自分は何を書こうか考えたりと、思考力を養いながら楽しむことができます。

遊び方


1.しりとりを行う順番を決め、1番目の参加者がスケッチブックに絵を描きます。

2.2番目の参加者は絵が描かれたスケッチブックを受け取り、1番目の参加者が何を描いたかを予想してその最後の文字から始まる言葉の絵を描きます。この時、周囲の参加者は答えが分かった場合でも教えてはいけません。

3.全員に順番が回ったらゲーム終了です。出来あがった絵をホワイトボードなどにしりとりの順で貼り、答え合わせをして会話を楽しみましょう。

進め方のコツ

・絵が上手でない参加者がいる場合には、次の順番の方に意図が伝わらず、しりとりが思わぬ方向に進んでいくかもしれません。それもまた楽しみと捉え、参加者の自由な発想を活かしながらゲームを行いましょう。

・絵が描けない方や苦手な方にはしりとりの「言葉」を考えてもらい、スタッフが代わりに絵を描いてもOKです。

今回は、「お絵描き」にひと工夫加えるだけで、普段行わないような動作をしたり、想像力を使ったりと、脳の活性化に役立つレクリエーションをご紹介しました。参加者の中には、『絵を描く』という内容からレクリエーションへの興味が消えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。その際は個々の興味を示す言葉がけで参加を促していきましょう。
どちらのゲームも準備が簡単なので、認知症予防に向けたレクリエーションを検討している際にぜひ挑戦してみてください。

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イラスト:SMILES FACTORY
文:寺西香織(レ・キャトル)

教えてくれたのは…

大野 孝徳さん

合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。

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