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介護・看護・リハビリ 2021-12-15

〈蹴る〉動作で足の運動機能を高める!チーム競技レク2【介護レクリエーションvol.39】

現場で役立つレクリエーションのアイデアをご紹介する「介護レクリエーション」。

今回は、楽しみながら「足」を動かして体の運動機能向上につなげるレクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。

「今回ご紹介するレクリエーションは、『風船シュート』と『四角いボール』。どちらも『蹴る』動作を行いながら参加者がチーム戦で楽しめるゲームです」(大野さん)

『風船シュート』とは、どんなゲームですか?

「2チームの参加者が風船のボールをキックして、サッカーゴールに見立てた新聞紙の上に載せるゲームです。単にボールを蹴るだけでなく、うまくシュートを決めるために力加減が必要になります」(大野さん)

では『四角いボール』は?

「床に置いた得点シートに向けて牛乳パックで作った四角いボールを蹴り、得点数を競うゲームです。四角いボールは転がり方が読めないのでゲーム性が高く、チーム戦で盛り上がることができます」(大野さん)

2つのレクリエーションによって期待できる、身体・精神面の効果は?

「蹴る動作による足の運動を行うことで、下肢だけではなく、体幹やバランス力といった全身の機能向上につながります。また、風船やボールで目標を狙うために集中力を養うこともできます。運動の効果を高めるためには足をしっかりと動かすことが大切ですが、参加者がバランスを崩したり、転倒したりしないように、スタッフは十分注意して行いましょう」(大野さん)

それでは早速、『風船シュート』と『四角いボール』の遊び方をご紹介します。

風船シュート

【対象者】下肢が動く方(片方でも可)
【レクの目的】足の運動、集中力・競争心を育む、他者との交流
【人数】10人程度(1チーム5~6人程度×2チーム)
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】風船(大きめサイズ)、洗濯ばさみ1個、新聞紙1枚、ホワイトボード
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】2チームに分かれた参加者が、風船をキックしてサッカーゴールに見立てた新聞紙の上に載せ、得点を競うゲームです。うまくシュートを決めるために、キックの方向だけでなく、蹴るときの力加減が大切になります。

レクを始める前の準備

・大きめの風船を膨らませ、口の部分を洗濯ばさみで挟んでボールを作ります。洗濯ばさみの重みでボールが高く上がりすぎず、蹴りやすくなります。

遊び方

1.参加者を同じ人数で2チームに分けて先行・後攻チームを決め、床にゴールとなる新聞紙を敷きます。先行チームの参加者は、ゴールを囲むように輪になって椅子に座ります。

2.先行チームの中で誰が最初に蹴るかを決め、スタッフが蹴る人の足元に風船をセットします。

3.スタッフの「キックオフ!」のかけ声に合わせて参加者1人が風船を蹴ります。風船が新聞紙の上に載ったら1点獲得となります。時計回りに1人ずつ蹴り、チーム全員が蹴り終わったらチームの得点をホワイトボードに記入します。

4.後攻チームに交代して同様にプレーを行い、全員が蹴り終わったらゲーム終了です。得点が高いチームが勝ちになります。

進め方のコツ

・参加者の運動能力に応じて、ゴールとなる新聞紙を半折りにしたり広げて敷いたりして大きさを変えましょう。

・風船がうまく飛ばない時は、重り替わりの洗濯ばさみをより重い物に変えると蹴りやすくなります。

・車いすで参加される方がいる場合は、ボールを蹴る際にフットサポートに当たらないよう気を付けましょう。

四角いボール

【対象者】下肢が動く方(片方でも可)
【レクの目的】足・腕・体幹の運動、集中力・競争心を養う、他者との交流
【人数】10人程度(1チーム5~6人程度×2チーム)
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】牛乳パック2個(四角いボール2つ分)、A3サイズのコピー用紙18枚(得点シート2枚分)、ホワイトボード
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】2チームに分かれた参加者が、床に置いた得点シートに向けて牛乳パックで作った四角いボールを蹴り、得点数を競うゲームです。高得点を狙うために、蹴る足の力加減や集中力も必要になります。

レクを始める前の準備

・牛乳パックを底から7㎝切り取り、さらにふたになる部分を7㎝切って貼りつけ、サイコロのような箱を作ります。同様にもう1つ作ります。

・A3用紙9枚を図のように貼りつけ、上から「100」「15」「10」「5」「1」と点数を書いて得点シートを作ります。同様にもう1つ作ります。

遊び方

1.参加者を同じ人数で2チームに分け、床に得点シートを敷きます。両チーム1番目の参加者は、それぞれ得点シートから1m離れた位置に座り、四角いボールを手に持ちます。

2.スタッフの「よーいドン」のかけ声に合わせて、参加者が四角いボールを得点シートに向かって蹴ります。スタッフは「しっかり足を引いて蹴とばしましょう」など声掛けを行い、上手な足の運動を促しましょう。ボールが載った得点シートに記載されている点数が得点になります。

3.3回戦行い、点数の合計が大きい方が勝ちです。スタッフは勝敗をホワイトボードなどに記録しておきましょう。

4.2番目以降の人も同様に対戦し、参加者全員の対戦が終わった時点で勝ち星の多かったチームの勝ちになります。

進め方のコツ

・車いすで参加される方がいる場合は、ボールを蹴る際にフットサポートに当たらないよう気を付けましょう。

シニアの「寝たきり」を予防するには、いかにして足腰を鍛えるかが一つのポイント。そのためには、足を使ったレクリエーションが有効です。チーム戦で盛り上がりながら足の運動を行えるゲームをぜひ取り入れてみてください。

イラスト:SMILES FACTORY
文:寺西香織(レ・キャトル)

教えてくれたのは…

大野 孝徳さん

合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。

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