【今更聞けない!? 介護のお仕事の基本 vol.1】 訪問介護、こんなときはどうする?
質の高い介護技術に加え、コミュニケーション力などさまざまな能力が求められる介護職。そこで訪問介護でよくある、困ったときの対処法を紹介します。
利用者から、お菓子を差し出されました。断りにくい場合は、いただいても良いのでしょうか?
<回答>
介護職は基本的に利用者やその家族から、物を受け取ってはいけません。ただし、状況によっては全てがダメとは言いきれません。
<ポイント>
例えば、利用者宅についてすぐ、「今日は暑かったでしょ。よかったら冷たい麦茶飲んでね」とお茶を出されたとき、「いいえ、大丈夫です」と無碍にするのではなく、利用者の気持ちを考えることも大切にしたいですよね。利用者には、暑いなか来てもらって申し訳ない、いつもお世話してもらっているから何か役に立ちたい、という気持ちがあるかもしれません。原則的に茶菓の接待は受けないことになっていますが、相手の気持ちに寄り添って、いただいてもいい時もあると思います。
もし、衛生面的なことでいただきたくないときは、いただいたふりをして、「次からはそんなに気を使わなくても大丈夫ですよ、飲み物は持参しますね」と伝えるといいでしょう。また、利用者の中には、儀礼的にお茶を出したり、菓子折を購入して持たせようとしたりするかたもいらっしゃるかもしれません。その場合は、「気持ちだけ受け取りますね」とお伝えして、お断りしてもいいでしょう。
人が相手の仕事なので、マニュアルやルール通りにはいかないことがたくさんあります。何より大事なのは、チームで動いているのでチーム全体で利用者に対してどう対応するかを決めておくこと。各々のヘルパーによって利用者への対応が変わるようなことがないようにします。
知っておきたい! 訪問介護のポイント
1.物を受け取るかは、その時の状況にもよります。チームでどのようにするか方針を決めておきましょう。
2.受け取れない場合は、相手の気持ちを汲み取り、「ご利用者からは何もいただくことができないことになっているんです」と受け取れない理由を丁寧に伝えましょう。
文:長井まき
参考:
「事例で学ぶ 介護サービスNG集」日本医療企画
「介護現場で使える 急変時対応便利帖」翔泳社
教えてくれたのは…
内田千惠子さん
公益社団法人 東京都介護福祉士会 常務理事
株式会社あいゆうサポート 代表取締役