常に笑顔で相手の立場になって慎重に動くことを大切に 介護リレーインタビューVol.24【サービス提供責任者・本橋和紀さん】#2
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。今回は、東京都練馬区を中心に介護保険法に基づいた訪問介護サービス事業を行う株式会社maisのサービス提供責任者・本橋和紀さんへインタビュー。
前編では、本橋さんの介護業界へ進まれたきっかけや仕事を始めて感じたギャップなどについて伺いました。後編となる今回は、会社の企業理念に沿った考えや今後の目標、介護職を目指す方へのアドバイスを伺いました。
顧客満足度を上げるためには、従業員満足度を優先
ーー仕事をしていて良かったこと、嬉しいことはなんでしょうか?
僕は中間管理職という立場上、他のヘルパーから相談されたり話を聞いてアドバイスをしたりしているんですが、そのアドバイスを実行してうまくいったという報告を聞いた時はとても嬉しかったですね。さらに、利用者さまから直接「この間のヘルパーさんすごく良いね」というお声をいただけると一層安心しますし、自分ごとではないですが、仲間が生き生きと仕事ができていることが感じられるとすごく嬉しいですね。
ーー第三者から褒められるというのは、重みがありますよね。職場内は全体的にアットホームな印象を受けました。
そうですね、うちはわだかまりや派閥がなく、賑やかですよ。私自身若い時、辛い経験もありました。今の職場は、仲が良いだけではなく、言いたいことも言えるのでとても良い環境だと実感しています。従業員が満足していないと利用者さまにも伝わってしまうので、顧客満足度よりも従業員満足度を優先していることが大きいですね。まずは、従業員が満足できる環境にすることでより良い仕事をしようという意欲が湧くと思うんです。
ーー従業員満足度を大事にしていると言うことですが、企業理念にも確かにありますね。仕事をしていて一番大事にしていることは何ですか?
表情の笑顔と、声の笑顔ですね! これに尽きると思います。利用者さまはもちろん、ケアマネジャーの前ではいつも、明るくニコニコすることを心がけています。私が笑顔でいることにより、相手も自然と笑顔になって円滑にコミュニケーションも進みますし、利用者さまは洞察力に優れている方が多いので疲れた顔をしていると見抜かれます(笑)。なので、誰に対しても気持ち良く笑顔で対応することを心がけていますね。いつでも笑顔でいることは、それだけで場の雰囲気が良くなると思います。こうした、電話でも会話でも笑顔を忘れずに意識することは介護職を始めた頃から大事にしています。
ーーいい連鎖反応ですよね。顔が笑っていても、声に元気がないと気づかれてしまいますね。
そうなんです。特に今は、マスクをしているので表情が伝わりにくい。よほど笑顔じゃない限り、利用者さまは笑顔だと捉えてくれないんです。そうしたことを加味して、マスクの奥であろうが必ず笑顔でいる自信が誰よりもあります。と言うのも、声のトーンが高いと普通の表情でも笑っているように感じ取ってくれたりするので、少し意識するだけでだいぶ違うと思います。極論を言うと、電話越しでも相手が「笑顔だな」と想像できることを目標にしていますね。
ーー笑顔、大事ですよね。他に、会社の理念に関連している心がけなどはありますか?
私の中で仕事で悩んだりした時や立ち止まってしまった時に、会社の理念を一度思い出して、「理念に沿った動きをしたら、どうなるか?」と考えるようにしています。こうすることでかなり助けられましたね。ヒントを得るようなイメージで、理念の再確認がするべきことを導く指標となっています。
ーー当たり前のようなことに見えますが、日頃から意識するのは難しいですよね。
こうすればいいかなとか、具体案などをすぐ思い浮かべられるのは理念があるおかげだと思います。
地域で一番頼られる存在を目指したい
ーー今後の本橋さんの目標をお聞かせください。
地域から求められる会社にしたいです。事業所が一つだけだとできる範囲が限られてしまうので、自分でも事業所を管理させてもらい、会社を拡大していきたいと思っています。今のところ、まだまだ他施設のポロシャツが目立ちますが、自分たちのポロシャツの色を増やしてmaisだと認識してもらえるくらい認知度を上げたいです。「maisなら任せたい」と求められるような会社にしていきたいです。
ーー今後介護士を目指される方へアドバイスを
いちばん気をつけるべきことは、相手の立場に立った行動をすることです。介護には絶対必要なスキルだと思います。自分の正論をぶつけるだけではなく、相手の立場に立った考え方ができるようにしてほしいです。
あとは、常に謙虚な姿勢を保っていてほしいですね。私自身、経験してきた中で様々な介護士を見てきましたが、上級資格を取得していくにつれて自分が正しいと勘違いしてしまう人が多かったんです。自信を持つことは良いことなんですが、自分が間違ってないか都度、見つめ直してほしいですね。介護職というのは、技術は後からついてきますが、心は常に自分が意識しないと変われないと思うんです。
心の持ちようは、自分の考えを改めないとできないことなので意識してほしいですね。
ーーやはりそういったことは、本橋さんも経験されているからこそ言えることなのでしょうか?
そうですね、私自身も驕り高ぶっていた時期がありました。自分がレベルの高いところに行きたいのであれば謙虚でいることは必要なことだと思いますね。
ーー心の在り方などは、多職種にも言えることですね。
そうですね、介護に限らず仕事の前に一人の人間です。私自身、ここ数年で低姿勢でいる意識でいましたが、相手には「偉そうだ」と捉えられることもありました。勉強だけではどうしても回収できないことですし、頭でっかちになってしまうと自身の正論だけをぶつける暴君に成り下がってしまいます。デイサービスだと一人で多数の方を対応するので平等にできますが、訪問介護は一対一なのでその人の常識を踏まえた上で対応しなければならないことが難しさであり、仕事をする上での楽しさを感じるところでもあります。
理念に伴った行動で介護業界に尽力している本橋さんを見て、関わる人全体を笑顔で包み込み、大切にしている様子が感じられました。一人の人間として成長を止めないという心がけも大変勉強になりました。
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
撮影/喜多 二三雄
Information
株式会社mais
住所:東京都練馬区三原台3-30-15 レジデンス篠 102号室
TEL:03-5935-4092