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介護・看護・リハビリ 2020-05-08

デイサービスの夜勤について

デイサービスとは、主に在宅で介護を受けている高齢者が通って利用するサービスです。運営事業者が利用者を送迎し、食事や入浴、レクリエ―ションなどの介護サービスを提供しています。そのため、基本的に夜勤は存在しません。

しかし、施設によっては独自に夜間の宿泊サービスを提供し、日中に続いてそのまま夜間も介護サービスを提供するところもあります。今回は、そんなデイサービスの夜勤について紹介していきます。

お泊まりもできるデイサービス「お泊まりデイサービス」

「お泊まりデイサービス」とは、日中に介護保険で通っているデイサービスの延長で、高齢者がそのまま慣れた環境に宿泊できるサービスのことです。介護保険対象外のため自費利用ではありますが、利用者の家族が急用で外出するとき、夜間にひとりで不安な方などに多く使われています。

介護保険法に基づいたデイサービスは、設備や職員の基準がしっかりと明確化されています。お泊まりデイサービスは介護保険外(自主事業)で提供されているサービスのため、全国で統一された法的な基準というのが存在しませんでした。しかし、2015年に厚生労働省により「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について」が発出され、運営事業者はその指針に従って運営しなくてはならなくなりました。

お泊まりデイサービスの宿泊料は事業所によってまちまちですが、一泊数百円程度~数千円程度が相場です。施設によっては、パーテーションなどで、区切って利用者のプライバシーを配慮しているところから、1名ごとに個室を用意しているところまで様々です。

お泊まりデイサービスでの夜勤とは?

お泊まりデイサービスでの正社員としての勤務は、多くの場合、特別養護老人ホームやグループホームなどと同じように、夜勤業務があります(日中帯だけの正社員雇用を行っている事業者もあります)。

勤務形態は法人により異なりますが、多くの場合は夕方以降から翌朝までの勤務です。そのため、夜勤専門職として、副業職で夜勤業務を行われる方も多くいらっしゃいます。厚生労働省からの指針にもあるように、宿泊時の定員は最大でも9名のため、多くの事業所は職員が1名~2名で夜勤を行います。

大規模施設のように、定期的な巡回やおむつ交換をすることはなく、高齢者おひとりおひとりの状態に合わせた介助を行うので、その方らしくケアできるという声を多く聞きます。
一方、夜間帯を1名で過ごすケースが多いため、その点を不安視されるということもあります。いざという時にための応急処置や緊急対応ができるように普段から心がけておくことが大切です。

お泊まりデイサービスの今後

在宅介護を行っている方の、急な体調不良や用事の際に活用している「お泊まりデイサービス」。ショートステイの予約が一杯、宿泊サービスのある介護施設が少ない、という背景もあり、お泊まりデイサービスの施設数は上昇傾向にあります。しかし、その一方で介護保険適用外のサービスとなるため、人員配置や安全確保における基準がないことが問題視されてきました。

この動きを受けて、2015年の4月からガイドラインが制定されました。その中には、人員配置に関する基準や、お泊まりの利用定員を設定するなどの内容が盛り込まれています。また、お泊まりデイサービスで長い期間連続で宿泊利用する人には、担当ケアマネージャーと事業所側双方でサービス提供計画を作成することなども定めるように求められています。

特別養護老人ホーム等への入所待ちの高齢者が増え続けている昨今、お泊まりデイサービスへのニーズは高止まりしています。2015年に厚生労働省より発出された指針などの影響もあり、お泊まりデイサービスで夜勤をする人にとって、働きやすい職場になりつつあります。特に人員配置の部分では、特別養護老人ホームなどでは利用者25名に対して1人の職員配置が義務付けられていますが、お泊まりデイサービスの場合は最大でも9名しか宿泊することができないため、職員1人あたりの負担は軽くなります。

今後、さらに労働条件等が注目される中で、お泊まりデイサービスにおいての夜勤業務がどのように見直されていくのか、動向に目を向けておくのも良いでしょう。

▼監修者プロフィール
氏名: 田村 恵
経歴: デイサービスの管理者とエリアマネージャーを経て、教育訓練部の立ち上げに従事。その後内部監査室の副室長に就任。現在は、事業所での経験を活かし情報システム部の部長としてHPやシステム関連の業務を行う。

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