ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2022-08-04

ケアマネジャーの役割とは? 仕事内容となり方を解説|ケアマネジャーの3つのやりがい

介護相談のプロであるケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険制度の中核を担うために生まれた職種です。

しかし、業務内容が幅広いため、具体的にどんな役割を担っているのかまでは、くわしく知らない方も多いでしょう。そこで今回はケアマネジャーの役割や業務内容、3つのやりがいをご紹介します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割とは?

近年、人口の急激な高齢化や家族形態の変化などを背景に高齢者介護を家族単位ではなく、社会全体で支えていく仕組みが必要とされてきました。

このような時代のニーズを受け、制定された介護保険制度ですが、一般の方にとっては複雑で利用しにくいという側面があります。

介護を必要とする方が、介護保険を利用できるように支援するのがケアマネジャーの大切な役割です。ここでは、より具体的なケアマネジャーの役割をご紹介します。

介護保険と介護マネジメントの専門家

ケアマネジャーは、介護保険と介護マネジメントの専門家として、要介護者などからの介護上の問題について相談を受けたうえで、介護サービスを受けられるように支援をおこないます。

具体的には、ケアプランの作成や自治体、施設などとの連絡調整を担当するのがおもな仕事です。

ケアマネジャーの仕事内容を紹介!

ケアマネジャーのおもな仕事は、利用者との面談をもとにケアプランを作成し、可能な限り自立した生活を営めるように支援していくことです。

対面での仕事も多くありますが、市役所や事業者との調整業務、受付業務、給付管理などの仕事もあります。ここでは、ケアマネジャーの仕事内容を確認しておきましょう。

1. ケアプランの作成

ケアマネジャーのメインの仕事であるケアプランの作成。ケアプランは介護サービス計画書であり、介護保険制度を利用する方の要望や生活している状況を把握することからはじまります。

まずは利用者に対して、生活上で困っていること、どのような支援を必要としているのかなどを聴取したうえで問題点を抽出し、課題を分析。その結果をもとに、利用者が適切なサービスを受けられるようにプランを作成し、目標を設定します。

サービス提供開始後は、適宜モニタリングをおこない、現状の観察や目標の達成状況を把握していかなければなりません。利用者の心身の状況や環境などによっては、適宜ケアプランを修正する必要があります。

2. 介護給付費の管理

介護サービスを利用すると、サービスを提供した事業者は介護給付費を国民健康保険団体連合会に請求しなければなりません。この介護給付費の支給に関連する一連の業務が、ケアマネジャーが担当する管理業務のひとつです。

とくに重要なのが、国民健康保険団体連合会に提出する給付管理表の作成でしょう。この給付管理表とサービス提供事業者の明細書を審査したうえで介護給付費が支払われるため、この業務は欠かせません。

また、介護保険サービスは要介護度に応じて月ごとの利用上限額が設けられているので、この範囲内に収まるようにサービスを調整する必要があります。

3. 利用者と事業者の調整役

利用者とサービス提供をおこなう事業者の調整役も、ケアマネジャーの大切な仕事のひとつです。利用者の必要なサービスに応じて、事業者を選択しなければなりません。

利用者や家族と面談をして相談に乗ったり、ケアプランで決めた内容がうまくいくよう事業者との間に立って調整をおこなったりします。必要時、公的なサービス以外の社会資源もプランに反映させ、活用していくこともあるのが特徴です。

4. 要介護認定の支援

介護保険制度は、利用者からの申請にもとづいて提供される介護サービスです。介護保険を使うには、まずは自治体に書類を提出したうえで、要介護認定を受けることが必要となります。

しかし、利用者の心身の状況によっては、利用者自身で書類を作成し、自治体に提出できない場合も。そのため、利用者に代わって自治体に要介護認定の申請をおこなうこともケアマネジャーの仕事です。

ケアマネジャーはどんなところで働くの?

ケアマネジャーは利用者が自立した生活を営むためには欠かせない存在ですが、実際にどんなところで働いているのでしょうか。ケアマネジャーが働く場所は、利用者がどこで生活しているのかを基準に区別されます。

ここでは、ケアマネジャーが活躍できる3つ場所や勤務先によって変わるそれぞれの仕事内容を確認しておきましょう。

居宅ケアマネ|居宅介護支援事業所

自宅で暮らす利用者に支援をおこなうケアマネジャーは居宅ケアマネと呼ばれ、居宅介護支援事業所で働いているのが一般的です。

この事業所ではケアプラン作成をはじめとした、ケアマネジメントを専門におこないます。利用者が自宅で生活し続けられるように訪問介護や訪問入浴、デイサービス、ショートステイなど多岐に渡るサービスを選択しなければならないため、多くの外部サービス事業者との連携が大切です。

施設ケアマネ|特別養護老人ホームなど

介護施設で暮らす利用者に支援をするケアマネジャーを施設ケアマネといい、特別養護老人ホームなどで勤務することになります。ほかにも、介護老人保健施設や介護療養型医療施設、介護医療医院、グループホームなどが勤務先です。

施設に入所している利用者のケアマネジメントを担当しますが、居宅でのケアプランとは異なり、施設内で提供されているサービスを中心にケアプランを作成することになります。勤務している施設によっては、介護業務を携わることもあるようです。

主任ケアマネ|地域包括支援センター

ケアマネジャーは上記の施設で働く以外にも、地域包括支援センターで働くという選択肢もあります。利用者や家族はもちろんのこと、地域で暮らす住民すべてが対象です。

この施設で働く場合、地域で継続的に包括的なケアマネジメントをおこなうという役割があります。地域住民からのさまざまな相談を受け、適切な支援につなげたり、地域で働くケアマネジャーへの指導や教育をしたりするのが特徴です。

ケアマネジャーとしての役割を活かせる求人を探すならこちら

ケアマネジャーになるには資格が必要?

介護施設や地域包括支援センターなどで勤務できるケアマネジャーですが、この仕事に就くためにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、ケアマネジャーの資格を取得するための具体的な方法をご紹介します。

ケアマネジャー|介護支援専門員の資格が必要

ケアマネジャーになるためには、介護支援専門員の資格取得が必須条件です。受験資格に関しては、介護福祉士や社会福祉士、看護師などの指定された国家資格業務を5年以上、かつ900日以上経験することで得られます。ケアマネジャーを目指す方は、まずはこれらの資格を取得しなければなりません。

さらに試験に合格したあとも、研修を受講して修了することが必要です。その後、ケアマネジャーとして登録され、資格証の交付を受けることで晴れてケアマネジャーとして勤務できるようになります。

第24回ケアマネ試験の合格ラインはどれくらい? 合格率や合格点を紹介

ケアマネジャーになるにはどうすればいいの?|受験手続きについて紹介!

主任ケアマネジャー|主任介護支援専門員の資格が必要

ケアマネジャーの上位資格である主任ケアマネジャーになるための主任介護支援専門研修は、都道府県や自治体ごとに受験要件が異なります。基本的には、以下のような要件のいずれかを満たすことが条件となっていることが多いです。

・専任のケアマネジャーとして通算5年以上かつ60カ月位以上勤務した経験があるもの
・専任のケアマネジャーとして通算3年以上かつ36カ月以上勤務した経験があり、そのうえでケアマネジメントリーダー養成研修を修了しているもの

この資格の取得を目指す際は、所属先の施設を管轄する都道府県や自治体が提示している要件を確認しておきましょう。

ケアマネジャーの3つのやりがいを紹介!]

ケアマネジャーは利用者がいかに自立した生活を営めるかを考慮しなければならないため、決して楽な仕事ではありません。

しかし、利用者の生活状況を改善する手助けができるため、やりがいのある仕事といえるでしょう。ここでは、ケアマネジャーの3つのやりがいを具体的にご紹介します。

1. 自分が作成したケアプランが生活改善につながる

介護を必要とする方やその家族の多くは、さまざまな不安や悩みを抱えています。ケアマネジャーはそういった状況の方から相談を受け、聞き取りをおこないながら、最良のケア方法を考えてケアプランを作成するのが仕事です。

適切な介護サービスを受けることで、利用者やその家族の生活が楽になる、もしくは改善する可能性があります。利用者の生活状況が、自分が作成したケアプランによって改善することは、ケアマネジャーという仕事の醍醐味といえるでしょう。

2. 利用者・家族から感謝してもらえる

ケアマネジャーは、利用者や家族が生活上で困っていることの聞き取りをおこないます。ケアプランをとおして心身の状況に改善が見られた場合は、利用者や家族から感謝してもらえることもあるでしょう。

自分が作成したケアプランに対していい反応が得られれば、今後の業務に自信を持てるようになります。

3. 仕事の達成感を感じられる

ケアマネジャーでなければできない手続きは多く、利用者にとっては要ともいえる仕事です。利用者の心身の状況が改善したり、家族から感謝の言葉をもらえたりすると、仕事に対する達成感を感じられます。

達成感を感じることでやる気やモチベーションの維持につながることが、やりがいがあると感じられる要因となるようです。

ケアマネジャーは介護保険とマネジメントのプロフェッショナル

介護保険とマネジメントのプロフェッショナルであるケアマネジャー。近年では高齢化が一段と進んでいるため、ケアマネジャーの活躍の場はより拡大しています。

利用者や家族の生活上の悩みや不安を聴取したうえで、適切なサービスを受けられるようにケアプランを作成し、利用者と事業所をつなぐ調整役として大事な役割を任される仕事です。

そんなケアマネジャーとして働くためには、介護支援専門員の資格が必要となります。しかし、そのぶんやりがいを感じられる専門的な仕事なので、興味がある方はぜひケアマネジャーを目指してみてくださいね。

引用元サイト
東京都福祉保健財団 介護支援専門員(ケアマネジャー)について

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事