つかんで、数えて、脳を活性!手先トレーニングレク【介護レクリエーションvol.45】
現場で役立つレクリエーションのアイデアをご紹介する「介護レクリエーション」。
今回は、手先の運動を行いながら脳の活性化にも役立つレクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。
「今回ご紹介するレクリエーションは、『目指せ100グラム!』と『豆つかみゲーム』。どちらも小さなものを手や箸でつかんで移動させるゲームです」(大野さん)
『目指せ100グラム!』とは、どんなゲームですか?
「ビー玉を手でつかんで、重さが100グラムになるように器に入れるゲームです」(大野さん)
では『豆つかみゲーム』は?
「小豆を箸でつまんで、空の器に移すゲームです。より多くの小豆を移動できた人が勝ちとなります」(大野さん)
2つのレクリエーションによって期待できる、身体・精神面の効果は?
「手を使って小さなものを移動させる動作を行うため、手先の感覚を養う効果が期待できます。また、記録を数えたり、合計数を計算したりすることで、脳機能の向上にも役立ちます」(大野さん)
それでは早速、『目指せ100グラム!』と『豆つかみゲーム』の遊び方をご紹介します。
目指せ100グラム!
【対象者】上肢が使える方(片手指でも可)
【レクの目的】手先の感覚を養う、握力・計算力の向上
【人数】4人~(1チーム2~3人程度×2チーム)
【実施に好ましい場所】テーブルがあるフロア
【必要な道具】ビー玉(おはじきでも可)複数個、はかり1個、器(お皿など)2つ、机
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】重さ100グラム丁度を目指して、ビー玉を器に移すゲームです。皆さん、日常生活の中で『だいたいこんなもんかな?』と推測する事があるかと思います。この行為は、これまでの人生経験があっての推測力。この力をもう一度活用する事で認知症予防の効果が期待できます。
レクを始める前の準備
・はかりはあらかじめ器の重さを引いて表示を0にしておきます。重さの値が表示される部分に紙を貼るなどして、目隠しをしておきましょう。
遊び方
1. 参加者を同じ人数で2チームに分け、チーム内でゲームを行う順番を決めます。各チームの代表者がじゃんけんをし、勝ったチームが先行となります。スタッフはテーブルの上にビー玉が入った器、はかり、ビー玉を移す器を配置し、挑戦席を作ります。
2.先行チーム1番目の参加者が挑戦席に座り、器に入ったビー玉を100グラム分になるようにつかんではかりの上の器に移します。スタッフは参加者に見えないように実際の重さを記録しておきましょう。
3.先行チーム2番目以降の参加者、後攻チームも同様に行います。全員が挑戦し終えたらゲーム終了です。
4.チームごとに全員分の記録を足し、チームの人数×100に近いチームが勝ちです。また、100グラムに一番近い記録の参加者が成績優秀者となります。
進め方のコツ
・参加者がビー玉をつかむ際、量が多すぎる人や少なすぎる人には「ちょっと多すぎかな?」などヒントを出してあげましょう。
・一度に多くのビー玉をつかむのが難しい場合は、何度かに分けて移してもOK。器に移した後、ビー玉を元の場所に戻してもOKです。
・記録の合計を出す際は、参加者全員で計算しましょう。脳のトレーニングになります。
豆つかみゲーム
【対象者】手指リハビリをしたい方
【レクの目的】手先の感覚・集中力を養う、計算力の向上
【人数】2~5人
【実施に好ましい場所】テーブルがあるフロア
【必要な道具】小豆(1人につき1つかみ分)、皿(1人につき2枚)、割り箸人数分
【所要時間】3分~
【レクリエーションの内容】小豆を割りばしでつかみ、空の皿へ移すゲームです。この動きは、日常生活の中で『食事』に関係する大切な動きです。レクリエーションが食事に関するリハビリにも繋がります。たくさんの方に実践して頂きたいレクリエーションです。
遊び方
1.テーブルに小豆を入れた皿、空の皿、割り箸を人数分配置します。参加者全員が席に着き、割り箸を手に取ります。
2.スタッフの「スタート!」のかけ声でゲームを開始します。参加者は割り箸を使って小豆を空の皿に移していきます。
3.3分経ったらゲーム終了です。皿に移した小豆の数を数え、一番多い人が勝ちになります。
進め方のコツ
・割り箸を持ちづらい参加者は、普段使っている箸を使ってもOK。また、ゲームの残り時間が少なくなったら「ここで秘密兵器登場です!」と言ってスプーンに交換してあげるのも一つです。
・認知症の方は小豆を食べてしまう場合があるため、スタッフが目を配っておきましょう。また、床に落ちた小豆をそのままにしておくと転倒の原因となるため、すぐに拾うようにしましょう。
・小豆の中に大豆を混ぜておき、大豆を取ってしまったらマイナス1点になるルールを追加すると、難易度がアップします。参加者の状況を見ながら調整しましょう。
今回ご紹介したレクリエーションは、手や指の細かい動作により集中力・注意力を高め、認知症予防に効果的なゲームです。勝敗を意識しながら行うゲームは参加者の意欲向上にもつながりますので、ぜひ現場に取り入れてみてください。
イラスト:SMILES FACTORY
文:寺西香織(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。