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介護・看護・リハビリ 2020-06-06

介護施設を知る!『介護療養型医療施設』

「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」と並ぶ「介護療養型医療施設」ですが、「それって病院なの? それとも介護施設なの?」など、わからないことがたくさんある施設です。ここでは、そんな「介護療養型医療施設」について、施設の特徴や利用に対してかかる費用、施設の設備、人員配置基準など、利用する側も求職者も知っておきたい情報をお知らせします。

『介護療養型医療施設』ってどんな施設か?

介護療養型医療施設は、医療法人が運営する介護施設です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設よりも症状が重く、病気の急性的な治療を終えた高齢者を対象に、充実した介護・医療ケアの長期的な提供。そして自宅での自立した生活への復帰を目的としています。医療機関の色合いが強いため、病院に併設されている施設も多いです。

ただこの介護療養型医療施設は、厚生労働省の方針転換により2017年までに全廃する予定となっています。現存している施設はクローズしたり「介護療養型老人保健施設」などに転換していますし、新たな施設が開業するということもありません。介護療養型医療施設への入所を検討されている方は、今後のことをよく考える必要があります。

<他の介護サービスとの違い>
介護保険サービスを提供する特別養護老人ホームや有料老人ホーム、介護老人保健施設との違いを知っておくことで、その知識は介護施設を選ぶ際に役立ちます。では、介護療養型医療施設が他の介護サービスに比べて何が違うかを見ていきましょう。
長期間入所することができる介護療養型医療施設は看護・医療スタッフが充実しており、医療ケアが中心です。そのため、国指定の施設区分は病院として位置付けられています。
それに対して、生活支援サービスやレクリエーションには期待できません。また、終身制ではないため、病状が改善した場合に退所を求められることもあるので注意が必要です。

介護療養型医療施設の特徴は

・介護療養型医療施設で受けられるサービス
介護療養型医療施設では自宅での自立した生活への復帰を目的としています。例えば医師・看護師による医学管理下のケア、理学療法士/作業療法士による回復期のリハビリテーション、管理栄養士による食事指導などを手厚く受けることができます。逆に家事などの補助やレクリエーションなどはそれほど充実していません。

・介護療養型医療施設のメリット
介護療養型医療施設は”医療施設”と銘打たれているだけあって、他の介護施設よりも医療サービスが圧倒的に充実しており、しかも比較的安価に利用できるようになっています。胃ろう、床ずれ、痰の吸引、酸素吸入などの医療措置が必要な人も、問題なく入所することができます。
また、「老人性認知症疾患療養病棟」と呼ばれる認知症対応型の介護療養型医療施設なら、他の施設で入所を制限されがちな認知症の高齢者も入所可能です。

・介護療養型医療施設のデメリット
介護療養型医療施設は、利用者の自宅での自立した生活を助ける施設なので、特別養護老人ホームのように終身で利用する施設ではありません。状態が回復した時は退所を求められます。

・介護療養型医療施設の入所基準
介護老人保健施設の入所対象者は要介護1~5の認定を受け、がん、心臓疾患、脳血管性疾患などの重度の病気によって医学的管理が必要な65歳以上の高齢者です。痴呆の症状が認められる場合などには65歳以下でも入所が可能です。
さらに、症状が重い人、収入が少ない人ほど優先的に入所することができます。

・介護療養型医療施設への入所手続き方法
介護療養型医療施設への入所手続きは、各施設の窓口、または市区町村の福祉担当窓口にて、ケアマネジャーを介して行います。いくつかの書類を提出したあと、施設のスタッフからの面接を受け、入所の是非が決定されることとなります。
近隣の介護老人保健施設について調べる際には、市区町村の福祉担当窓口や地域包括支援センターが頼りになります。複数施設への申し込みも可能です。

介護療養型医療施設の設備

介護療養型医療施設は1部屋に4人の居住スペースが設けられた多床室(相部屋)が圧倒的に多いですが、ユニット型個室(10人程度のユニットごとに共同生活室が設けられている部屋)や従来型の個室がある施設もあります。
要介護者向けの「介護療養病床」と認知症患者向けの「老人性認知帳疾患療養病床」に分かれ、病院に併設されることも多いです。機能訓練室や診療室はどの施設にもきちんと設けられています。

介護療養型医療施設の人員配置基準

病院として区分されている介護療養型医療施設の人員配置基準は下表の通りとなっています。

100床あたりの配置人数
医師 3人以上(1人は常勤)
看護・介護職員 それぞれ17人以上
理学療法士又は作業療法士 適当数
介護支援専門員 常勤1人以上

 

これまで説明してきた介護療養型医療施設ですが、実は廃止予定されている施設なのです。廃止の理由としては、介護療養型は医療が必要ではない人が多いとされているからです。
しかし、2014年の厚生労働省の発表では、痰の吸引や経管栄養など、特養で行われていないケアが介護療養型では行われているなどの理由から、廃止については、現状は延期されています。

医療的な要素が強い介護療養型医療施設。メリット、デメリットを把握し、利用する際はもちろん、新しい職場の候補としても検討してみてはいかがでしょうか。

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