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ヘルスケア 2022-04-19

100万人以上の支持を集める活動の原点は「ご自愛」【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.55 理学療法士 尾形竜之介(オガトレ)さん #3】

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

前回に引き続き、人気ストレッチ系YouTuber「オガトレ」こと尾形竜之介さんにインタビュー。後編となる今回は、ストレッチ動画に対するこだわりや、近年取り組まれている「オガトレ塾」「GI by OGATORE」に込められた想いについてお聞きします。

お話をうかがったのは…

理学療法士・ストレッチ系YouTuber 尾形竜之介さん


株式会社OGATORE代表。理学療法士、トレーナー。宮城県気仙沼市在住。市立病院で理学療法士として実務を経験後、体の不調をもっと身近に解決できる手段を提供したいとの思いで、2019年からYouTubeを開始。ストレッチ系YouTubeチャンネルでは登録数日本最大級(100万人超)。
YouTubeチャンネル:「オガトレ」

動画を見る人のことを深く考え、心地よく取り組める動画を提供

2022年3月、ついにチャンネル登録者数100万人を突破!

――2019年にスタートしたYouTubeチャンネル「オガトレ」は現在チャンネル登録者数100万人を超えています(2022年3月時点)。まずはこれまでの変遷をお聞きします

スタート当初は、子どもたちをターゲットにした動画を上げていましたが、いろいろ動画を上げていくなかで近くにいる大人が一緒に見ないと子どもたちも続かないということに気づきました。そこでお母さんが興味を持ちそうなダイエット要素を入れたり、お父さんが興味を持ちそうな開脚や肩こり解消の動画を作ったり、おじいちゃんおばあちゃんでもできるようなストレッチを紹介したり…とターゲットを拡げたんです。そこから視聴者数がグッと増えました。

僕がYouTubeを始めた3年前は、いわゆる学び動画はほとんどありませんでした。だから前例のないなかで、本当に試行錯誤しながら動画を作っていましたね。

――コンテンツを考えるときに大切にしていることは?

まず「どういう人が見るのか」というのをすごく深く想像すること。そして、その人が見たときにどういった価値を生み出すのかを深く考えることかなと思います。

例えば夜のストレッチ動画を作ろうと思ったら、どんな動画なら夜ストレッチしそうな人が嬉しいかを考えます。お風呂上がりに設定するなら、髪が濡れていても違和感がないものにしたり、ストレッチの時間が長すぎて汗をかくことがないようにしたり。実際にストレッチをしてくれるであろう人が、ストレッチをして「いいな」と思う内容になるように、自分でも試しながら作っています。

大切にしているのは見やすくルーティンしやすい動画を作ること

すっきり見やすい画面構成やテロップも魅力

――画面越しにストレッチを伝えるときに大切にしていることを教えてください。

まずは、できるだけ見やすく、すっと伝わることを意識して話すようにしています。喋るスピードや言葉遣いは、中学生程の子どもたちがかみ砕けるくらいのイメージ。ん?と考え込むような言葉も使いません。画面越しになると実際に会って話すより、息遣いや空気感といった情報が少ないので、伝わるものが限られますから。

またストレッチを伝える上で意識しているのは、余計なものを画面上に置かないこと。例えばいろんなトレーニング器具や家具などがあると、なかなかストレッチに集中できません。僕の場合、画面の中に入れる色は白と黒と青の3色だけ。できるだけ余計な色を入れないようにこだわっています。

そしてストレッチ動画は毎日見るものになるので、ルーティンにしやすいよう余計なお喋りは入れません。時事的なワードや季節を感じる会話は避け、毎日続ける上でノイズになるものを削ぐようにしています。すっと入って、すっと出ていけることが大切だと思っています。

あとは清潔感ですね。例えばハーフパンツから見えるスネ毛などは、気になる人も気にならない人もいると思います。それなら長ズボンをはいてしまう。誰かが「イヤだな」と思うところは、できるだけ削ぐというのが大切かなと思います。

――収益面を考えたりはされますか?

最初のころは考えていたんですが、今はあんまり考えていません。再生回数を稼ごうと思うと、自分の善良な面を超えなきゃいけないところが多いじゃないですか。例えば誇大広告に近い言葉を使ったり、目を引くような言葉を使うというのは、医療従事者としては「効果を大きく謳う」というところになりがちなんですよね。

そのほうが再生回数は稼げると思うんですが、それは長い目で見ると人の信用を失うということに気づいてからはスパッとやめました。当初はやっぱり再生回数は落ちたんですが、だんだん視聴者の方たちも気づいたんですよね。最近は誇大広告的なサムネタイトルをしてこなかった方の価値が高まるということが起き始めているので、長い目で見ると実直にやり続けて正解だったなと感じています。

「ご自愛」を広めるオンライン塾とオリジナルブランドを展開

オンライン塾「オガトレ塾」ではストレッチを深く学ぶ解説動画が人気

――オンライン塾「オガトレ塾」も運営されていますが、開塾のきっかけは?

きっかけは、YouTubeだけでは伝えきれないことが多かったからです。僕としても、深く説明した動画は再生されにくいという点があり、学びのある動画を出しにくいところがありました。でもやっぱり「何とかもっと良くしたい」という気持ちもあって。

やっぱり動画を真似するだけじゃなく、例えば「脚が張ってきたからこのストレッチをしたらいいかも」と自分で考えながらできたほうがいい。それには、自分の知識として学んでいないと難しいですよね。そこを目指したい人たちに向けて、「10年後、未来の自分を大切にしよう」というテーマで、学べる場所を作ろうと思ったんです。

多くの方からお金を直接いただいて教えるという経験がなかったので、正直なところ自分に自信が持てず、30人定員でスタートしました。でも多くの反響をいただき、2020年の12月には定員制にせずに本格的に活動できるようになりました。

――どんな内容をされているんですか?

セッションの大枠としては、まず日々実践できるルーティン動画、その理解を深めるための解説動画、そして解説を踏まえたうえでみんな一緒に実践するライブ配信という3部構成。このセッションを月に3~4回提供しています。

人気が高いのは「ストレッチの基礎」シリーズといった日々のストレッチの効果を上げるものや、膝の痛みや神経痛の解説動画など。やはりYouTubeでは説明しにくいような、少し難しい解剖の話を好んで見ていただいています。お金のハードルもありますし、「学び」というところにコンセプトをおいているので、やはり意欲の高い方が集まっていると感じます。

「GI by OGATORE」ではストレッチやトレーニングを
サポートする国産アイテムにこだわって展開

――では、もうひとつ取り組まれている「GI by OGATORE」についてお聞きします。

「GI by OGATORE」はオガトレのブランドとして、いろいろなモノづくりをして皆さんにお届けしています。核となるコンセプトはオガトレ塾とも通じるんですが、「ご自愛しましょう」というところ。GIはご自愛から取っています。

ストレッチは、そもそも自分を大切にするために、誰にも代わりにしてもらえない自分だけの時間です。それをサポートするようなアイテムを作りたいという想いが、スタートしたきっかけでした。

プラス「GI by OGATORE」で作るものは、地元宮城県気仙沼市のものを始め国産のものを使うという点にもこだわっています。なるべく地元にお金を落としたいというのと、僕の影響力を使って気仙沼市の良さを全国に伝えたいという気持ちがありました。

――「ご自愛」というのが、尾形さんの活動の核になっているんですね。

そうですね。長く健やかに生きる秘訣は、自分に優しく、人に優しくすることだと思っているので、そのためにはご自愛がとても大切だと思います。ストレッチを頑張る皆さんを支え、それをどんどんいろんな人に広めることで、「ご自愛」が広がればと思っています。

――最後に今後の展望や目標を教えてください。

全国各地にはまだまだオガトレのこと、ストレッチの良さや大切さを知らない人がいると思います。だから今後も引き続きYouTubeを続けて、影響力を広げていくための活動をしていきたいです。YouTubeに限らず、さまざまなメディアにも引き続き出ていきたいと思っています。

またコロナ禍が少し落ち着いて、うまく共存できるようになったら、実際に触れて伝える場所を作りたいです。やっぱり理学療法士、トレーナーとして、直接触れて良くしたいという気持ちがあるので、気仙沼市か仙台市に日々クライアントと向き合える場所が作れたらと思っています。
…………………………………………………………………………………………………
尾形さんはこれからも、地元福島県気仙沼市からストレッチの大切さを広める活動を続けられます。動画を飛び出し直接触れて指導ができる場所ができるのが楽しみですね。今後も尾形さんの活動に注目です!

取材・文/山本二季

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