ピラティスを通して、新しい気づきを与えたい!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.53 ピラティスインストラクター Kayoさん #2】
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
前回に続き、「zen place pilates」でインストラクターとして活躍するKayoさんにインタビュー。ピラティスが心に与えるポジティブな作用に気づき、よりピラティスを深める中でインストラクターになったというKayoさん。
現在インストラクター7年目というKayoさんに、今回はピラティスインストラクターの仕事の魅力や大変さについてお聞きします。
ピラティスを通した気づきで、心と身体がより良く変われる
——ピラティスインストラクターのお仕事の魅力を教えてください。
これはどの業種もそうだと思いますが、お客さんに感謝された時はとにかく純粋に嬉しいです。自分の学んできたものが目の前の人に変化をもたらして、それをその方自身が実感して感謝してくださると「やっていてよかったな」と思います。
ピラティスって、その変化というものが体だけではなく、考え方や感覚という内面にも表れるんですよね。初めてレッスンに来た時と比べて明るくなっていたり、考え方が柔らかくなっていたりという人が変わったような変化がある。そこに自分との関係性やピラティスというものを通して、何か伝えられるものがあったのかなと感じると、すごく嬉しいです。
私はピラティスを伝えるなかで、その人にとって新しい感覚や可能性に気づく体験をして欲しいと思っています。それは自分自身にとっても同じで、今でもピラティスを通して心と身体の変化に気づくことがあります。そういう発見ができる環境に、当たり前にいられることも、私にとっては魅力だなと感じます。
——逆に大変さを感じることは?
インストラクターになったばかりのころは、とにかく時間がないこと。とくに私の場合はスポーツをしてきたわけではないし、大学や専門学校で体のことを学んできたわけでもないので、入社して1から学びました。その勉強はレッスン以外の時間にしないといけなかったので…。
OLをしながら専門職の資格を取るのと同じですよね。限られた時間の中でパズルを組み合わせるように、どうスケジュールを組んだらいいか、どの研修に優先的に行ったらいいか…。それを考えるのはけっこう大変でした。序盤はめまぐるしく忙しかったなと思います。
——現在の大変さは?
現在の悩みは、急に休むことになったときの代行探しですかね。単純に人を探す大変さもありますが、一番は自分を指名して予約を入れてくださるお客様にキャンセルを伝える申し訳なさや心苦しさ。コロナ禍でいつ自分がスタジオに行けなくなるかわからないご時世ですし、仕方がないことではありますが…。
そういった場面でも、ふだんから密にコミュニケーションをとっているお客様だと、理解してくださるんですよね。プライベートレッスンをキャンセルするのはかなり心苦しいのですが、その分伝えやすい関係性ができています。働きやすさの面でも、お客様とのコミュニケーションは大切だなと感じます。
大切なのはピラティスの本質を知り、好きでい続けること
——これからピラティスインストラクターを目指す人にアドバイスをお願いします。
ピラティスというものを、自分が一番楽しめていたらいいんじゃないかと思います。自分がピラティスを嫌いになってしまったら、指導することもイヤになってしまうので。
人間なので仕事のモチベーションのアップダウンはあります。私の場合は、気持ちがダウンしたときに「頑張らなきゃ」とあまり思わないようにしているんです。そういう時はピラティスから離れて、まったくやらなくなることもあるし、周りのスタッフにあえて宣言しちゃうこともあります(笑)。
同僚がたくさんいるので、誰かしらに相談できるのはzen placeのいいところです。スタッフ同士でネガティブな面も話せる関係性ができているので、「今モチベーション下がってます」と素直に吐き出せるし、後輩から相談されることもある。
そうして無理をしすぎずに働ける環境があると、また気づいたら「やっぱりピラティスって楽しいな」と思えてくるんですよね。
——インストラクターになる前に学んでおくといいことはありますか?
最初は、ピラティスを考案したジョセフ・ピラティスの本を読んでおくといいかも。『Return to Life Through Contrology』には、ピラティスの考え方や哲学が書かれています。ピラティスの本質が知れるので、学びの助けになるんじゃないでしょうか。
気張り過ぎず、仲間と一緒に楽しく学んでいけば大丈夫
——Kayoさんがピラティスインストラクターとして働き続ける上での心得3か条を教えてください。
1.スタッフとのコミュニケーション
スタジオの雰囲気はお客さんに伝わるので、ふだんからスタッフ同士でコミュニケーションをとって、良い雰囲気を作っておくこと。もちろん意見が食い違うこともありますが、コミュニケーションをとっていれば解決もできます。
2.常に自分が実践者であること
zen placeでは、指導する側のことを「先生」と呼んでいただくことはありません。ピラティスの指導はするけれど先生ではなく、相互に学ぶ対等な関係を築きたいと考えています。相手の動きを見て、私たちも学ぶことがある。そういう意味でも、常に学ぼうとする姿勢が大切だと思っています。
3.自然体の自分も大切にする
ピラティスは哲学的な部分が大きいので、仕事のオンオフを分けるように、ピラティスと日常を切り離すことは難しいです。だけど「ピラティスインストラクターなんだから」と気張り過ぎず、やりたいことはやるし、休みたいときは休む。インストラクターではない時間のナチュラルな自分も大切にしています。
「ピラティスを通して新しい感覚や可能性を発見して欲しい」と話してくれたKayoさん。「ピラティスには自分の心と身体を見つめる、いわゆる瞑想のような効果がある」と言い、それを伝えるインストラクターにとっても日々発見の連続なのだそう。次回後編では、そんなピラティスのレッスンについてお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代
Information
zen place pilates 代官山スタジオ
住所:東京都渋谷区代官山町15-9 代官山センタービル4F
TEL: 03-6452-5986(代官山スタジオ直通)
※プライベートレッスン専用スタジオ。グループレッスン希望の場合は、03-4405-1245まで。