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介護・看護・リハビリ 2019-10-30

社会福祉士として働くために

「介護業務」というよりも、どちらかと言うと「相談業務」の意味合いを強く感じる「社会福祉士」ですが、具体的なことはよくわからない人が多いようです。ここでは、そんな「社会福祉士」の役割や仕事内容、社会福祉士になるための方法や国家試験の受験資格、よく似た仕事である社会福祉主事との違いなど、ちょっと難しい社会福祉士の仕事をわかりやすく解説します。

社会福祉士とは

社会福祉士は日常生活に支障がある方の相談を受け、適切な福祉サービスの紹介や支援を行う仕事です。

高齢者や障害者の介護など、「ソーシャルワーカー」と呼ばれる社会福祉業務に携わる人のための国家資格で、介護福祉士、精神保健福祉士と併せて、福祉系三大国家資格に位置づけられています。

介護・介助の知識など、福祉全般の知識を必要とする他、一般的な医学や心理学などの知識も必要とするため、社会福祉士は福祉のスペシャリストと言えるでしょう。

<社会福祉士の役割>
社会福祉士は高齢者・障害者・子供などの相談にのったり、助言・指導を行い、対象者の生活の質を向上させるためにサポートすることが仕事です。つまり、福祉全般の相談業務を担っているのです。高齢化社会により社会福祉士の役割はより重要になっていくでしょう。

<社会福祉士及び介護福祉士法>
「社会福祉士及び介護福祉士法」は、同第1条にて「社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適性を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と記されています。要約すると、

社会福祉士と介護福祉士の義務を定義して、それらの業務が適正に行われるための法律

ということです。
※社会福祉士については第二章(第4条~第38条)で定められています。

「社会福祉士及び介護福祉士法」ができる以前、社会福祉の国家資格は社会福祉主事と保母の2つだけでしたが、時代とともに高齢者や障害者のケアする人の技能を向上させる必要が出て来ました。それにより、1987(昭和62)年に同法が成立したのです。
「社会福祉士及び介護福祉士法」には、社会福祉士と介護福祉士の義務として、誠実義務(誠実に業務を行う)、信用失墜行為の禁止(社会福祉士、介護福祉士の信用を傷つける行為の禁止)、秘密保持義務(業務上に得た、利用者や家族の秘密を守る義務)などが記載されています。

<社会福祉士の倫理綱領>
「社会福祉士及び介護福祉士法」以外にも、社会福祉士について触れている「社会福祉士の倫理綱領」というものが存在します。倫理綱領には、「社会福祉士としてすべての人が人間として価値のある存在であることを認識する」や「平和の擁護」など、倫理的な思想や、「社会福祉士の職務における倫理責任」など、倫理的な言動等が記載されています。

社会福祉士の仕事内容

要介護の高齢者や、病気や事故による身体上または精神上の障害により日常生活を送ることが困難な人の相談を受け、暮らしやすく安定した生活を営むためのサポートをすることが主な仕事です。就職先は、「老人ホーム」「デイサービス」「老人福祉センター」「児童相談所」「児童養護施設」「障害者支援施設」「病院」など、多岐に渡ります。

仕事の多くは相談業務で、利用者やその家族の生活上の相談を受けます。

相談業務の大まかな流れとしては、

1.利用者や家族からの相談を受け、問題やニーズを把握する。

2.援助計画をたてる。

3.関係する行政やサービス機関と連携し、利用者に必要なサービスや情報を提供する。(公的手続きや契約の代行も含む)

4.定期的に利用者の状況を確認し、評価と見直しを行う。

となります。

受ける相談内容としては、

・高齢者介護の相談(介護サービスの利用、契約に関わることなど)

・児童福祉の相談(児童福祉サービスの利用、子どもの不登校や虐待、発達面など)

・生活保護の相談(生活保護の申請、就労支援など)

・障害者支援の相談(障害福祉サービスの利用、自立支援、就労支援など)

など、福祉におけるすべての分野が対象となっています。当然、介護保険についての相談や、福祉施設を利用するための相談、障害者自立支援給付などの支給決定についての相談も社会福祉士の仕事です。

施設利用者とその家族が求めることに対して、施設としてどのようなサービスを提供できるかを親身になって考え、寄り添うことが求められます。時間をかけて相談者に心を開いてもらい信頼関係を築くことが、社会福祉士としての相談業務を円滑に進めることができる秘訣とも言えます。

これまで社会福祉全般を担ってきた社会福祉士ですが、今後も続く超高齢社会により、これまで以上に高齢者側に移行すると予想されています。

社会福祉士の活躍の場

社会福祉士として活躍できる分野は幅広く、働く場所によって仕事内容も変わります。

■お年寄りを対象にした仕事
生活相談員、相談員など
【職場】特別養護老人ホーム、老人福祉施設地域包括支援センターなど
【仕事内容】老人福祉施設や介護サービスの紹介、契約についての支援など

■障害者を対象とした仕事
生活支援員、就労支援員、相談支援専門員など
【職場】生活介護事業、就労継続支援A型・B型事業、自立訓練事業、障害者支援施設など
【仕事内容】就労支援、自立支援、福祉サービス利用に関わる相談業務など

■子どもを対象にした仕事
児童福祉司、児童指導員、児童発達支援管理責任者、スクールソーシャルワーカーなど
【職場】児童相談所、児童養護施設、児童発達支援事業、学校など
【仕事内容】不登校や虐待など心理面のケア、施設や公的支援の紹介など

■生活困難者を対象とした仕事
現業員(ケースワーカー)、査察指導員(スーパーバイザー)、自立支援相談員など
【職場】福祉事務所など
【仕事内容】生活保護受給のための相談、就労支援など

■病気の方を対象とした仕事
MSW 医療ソーシャルワーカーなど
【職場】病院などの医療施設
【仕事内容】入院や通院における福祉的支援、退院後の自立支援など

■司法分野での仕事
福祉専門官、ソーシャルワーカーなど
【職場】刑務所、更生保護施設、検察庁など
【仕事内容】再犯防止のための環境調整、社会復帰における福祉的支援など

社会福祉士と介護福祉士、精神保健福祉士の違い

福祉系三大国家資格として、社会福祉士と介護福祉士、精神保健福祉士の資格がよく比較されます。

大きな違いとしては、

・介護福祉士

→食事や入浴介助など、利用者に直接介護を行う

・精神保健福祉士

→同じ相談業務だが、精神上に障害がある人を対象としている

ということが言えるでしょう。

精神保健福祉士は社会福祉士と併せて取りやすい資格です。国家試験では共通科目の免除があり、実務経験が受験資格として認められる場合もあるため同時に受験をする人もいます。

一方、介護福祉士は実務経験があっても実務者研修を修了しておくことが必要です。両方の資格を取りたい場合は、養成施設に行くなど、それぞれの規定の受験資格を満たす必要があります。社会福祉士の国家試験の合格率は30%以下ですが、介護福祉士は60%以上になるため比較的目指しやすい資格と言えます。

社会福祉士と社会福祉主事の違い

社会福祉主事は、行政の福祉担当部署や福祉事務所などでケースワーカーや生活相談員として働く人に与えられる任用資格です。任用資格とは公務員が特定の業務に就くときに必要とされる資格で、この「社会主事任用資格」は国家資格ではありません。

社会福祉主事になるには、

1.大学、短期大学において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業
2.厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了
3.厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格
4.上記1~3と同等以上の能力を有すると認められた者として厚生労働省
令で定める者

のいずれかの条件が必要です。

福祉系の大学や短大を卒業した方は資格認定を付与されることが多いのですが、公務員として社会福祉主事の仕事に任用されてはじめて名乗ることができます。また、2.の養成機関を修了した方は、2年の相談実務援助と6か月以上の短期養成施設を修了することで、社会福祉士の受験資格を得ることができます。

社会福祉士になるには

「財団法人社会福祉振興・試験センター」が実施する国家試験に合格する必要があります。但し、一定の条件を満たさないと受験資格を得ることはできません。

国家資格には「業務独占資格」と「名称独占資格」があります。社会福祉士資格は「名称独占資格」のため、資格を持たない人が「社会福祉士」と名乗ることはできませんが、資格がないと働けないということはありません(2015年7月現在)ので、無資格者でも働くことはできます。そのため、実際に働きながら、資格取得のための受験勉強をする人も多いようです。

社会福祉士国家試験の受験資格

受験資格を得る方法はさまざまです。中でも福祉系の大学もしくは短大に入学することは、早く資格を取得できる方法の1つです。福祉系の4年制大学で指定科目を履修した上で卒業すると、同時に国家試験の受験資格を得ることができます。2年制の福祉系短大を卒業した場合は2年、3年制の場合は1年の実務(相談援助)を経験すると受験資格を得ることができます。

福祉系の大学で指定科目を履修せずに、基礎科目を履修した場合でも、短期養成施設を6か月以上通学することにより受験資格を得ることができます。福祉系短大の場合も1~2年の実務(相談援助)を経験した後、短期養成施設を6か月以上通学することにより受験資格を得ることができます。

福祉系以外の大学、短大の卒業、または高卒の場合でも受験資格を得ることはできます。一般の4年制の大学を卒業した場合は一般養成施設に1年以上通学します。一般の短大を卒業した場合も1~2年の実務(相談援助)を経験した後、一般養成施設に1年以上通学すると受験資格を得ることができます。高卒の場合は実務(相談援助)を4年以上経験し、一般養成施設に1年以上通学すると受験資格が得られます。

実務経験は児童相談所の児童福祉司や介護施設の生活相談員など、社会福祉施設での相談援助業務のみとなります。医師、看護師、准看護師、臨床検査技師、理学療法士、介護福祉士などの資格者も受験資格としては認められません。

その他にも受験資格を得る方法はありますので、下の表でご確認ください。

社会福祉士表

社会福祉士国家試験

試験問題は五者択一或いは五者択二のマークシート方式です。毎年1月下旬に実施され、3月中旬に合格発表が行われます。受験の申し込みは、「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」に対してウェブサイト、もしくは郵便はがきで『受験の手引』を請求した後、受験手続を取ることができます。

合格基準:総得点数150点に対し、88点以上を得点した者(総得点の60%程度)
受験料金:7,540円
※精神保健福祉士と同時受験者の受験料金は6,830円、科目免除者の受験料金は6,360円です。
(2015年7月現在)

●社会福祉士国家試験の受験者数と合格率
 区分  第23回  第24回  第25回  第26回  第27回
 受験者数(人)  43,568  42,882  42,841  45,578  45,187
 合格者数(人)  12,255  11,282  8,058  12,540  12,181
 合格率(%)  28.1  26.3  18.8  27.5  27.0
●合格者の内訳(第27回)
 区分  男  女  合計
 人数(人)  4,310  7,880  12,181
 割合(%)  35.3  64.7  100.0
●年齢別合格率(第27回)
 年齢区分(歳)  人数(人)  割合(%)
     ~ 30  6,055  49.7
 31 ~ 40  2,730  22.4
 41 ~ 50  2,000  16.4
 51 ~ 60  1,113  9.2
 61 ~  283  2.3
 合計  12,181  100.0

(出所:厚生労働省

<社会福祉士国家試験の試験概要>

項目 内容
試験日 毎年1月下旬~2月上旬
試験時間 4時間(前半2時間15分+後半1時間45分)
受付期間 毎年試験日前年の9月上旬~10月上旬
試験会場 北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
受験料 社会福祉士のみ受験する場合: 7,540円
社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験する場合: 20,020円(=社会6,830円+精神13,190円)
社会福祉士の共通科目免除により受験する場合: 6,360円
合格発表 毎年3月中旬

<試験科目>
ここでは第29回社会福祉士国家試験で実施された試験科目についてご説明します。

全19科目実施(18科目群)※内、11科目は精神保健福祉士と共通科目

科目 出題数 形式 時間
午前 人体の構造と機能及び疾病 7問 五肢択一 2時間15分
心理学理論と心理的支援 7問
社会理論と社会システム 7問
現代社会と福祉 10問
地域福祉の理論と方法 10問
福祉行財政と福祉計画 7問
社会保障 7問
障害者に対する支援と障害者自立支援制度 7問
低所得者に対する支援と生活保護制度 7問
保健医療サービス 7問
権利擁護と成年後見制度 7問
計83問
午後 社会調査の基礎 7問 1時間45分
相談援助の基盤と専門職 7問
相談援助の理論と方法 21問
福祉サービスの組織と経営 7問
高齢者に対する支援と介護保険制度 10問
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度 7問
就労支援サービス 4問
更生保護制度 4問
計67問
午前・午後 合計150問

※午前問題は、精神保健福祉士国家試験の午前問題と同問題・同配列。
※精神保健福祉士の登録者(登録申請中の者も含む)が社会福祉士国家試験を受験する場合、受験申込者からの申請により、精神保健福祉士試験との共通科目が免除されます。

<社会福祉士国家試験の過去問例>
これまでどのような試験問題が出題されたのか、過去問題を確認してみましょう。

[人体の構造と機能及び疾病]
【問題1】国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 対象は,障害のある人に限られる。
2 障害を,社会環境から切り離して捉えている。
3 健康状況とは,課題や行為の個人による遂行のことである。
4 障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものである。
5 世界保健機関(WHO)により採択され,国際的に用いられている。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

[心理学理論と心理的支援]
【問題2】防衛機制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 あるつらい体験をした。その後,その体験に関する記憶があいまいになった。これを退行という。
2 飛行機事故をいつも心配していた。しかし,事故の確率は極めて低いと考え,不安な気持ちを静めた。これを取り入れという。
3 自分の欲しかったものが手に入らず悔しかった。それで,あんなものは大した価値がないと思い気持ちを落ち着けた。これを抑圧という。
4 競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし,それは不適切だと感じ,ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。
5 ある友人に批判的な気持ちになった。しかし,そんな気持ちは不適切だと思い,逆に優しい言葉をかけた。これを合理化という。

<第27回 社会福祉士国家試験より>

 

[社会理論と社会システム]
【問題3】貧困の概念と測定方法に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 ラウントリー(Rowntree, B. S.)が労働者の総収入に注目し明らかにした,第一 次・第二次貧困の考え方は,後に最低生活費の考え方の基礎となった。
2 タウンゼント(Townsend, P.)は,物理的生存に最低限必要な生活費との比較で相対的貧困を定義した。
3 所得格差の指標として使われるジニ係数は,-1から+1までの値をとる。
4 我が国の政府は,2009年(平成21年)以降, OECDと同様の計算方法で算出した貧困率を公表している。
5 「平成20年所得再分配調査」(厚生労働省)によれば,我が国の再分配所得のジニ 係数は1999年(平成 11年)以降,0.5前後で推移している。

<第26回 社会福祉士国家試験より>

 

[現代社会と福祉]
【問題4】イギリスにおける貧困対策の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 新救貧法(1834 年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。
2 慈善組織協会(COS,1869 年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。
3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。
4 老齢年金法(1908 年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。
5 ウェッブ夫妻(Webb,S.& B.)は,「社会保障計画」を提唱した。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

[地域福祉の理論と方法]
【問題5】地域で活動する組織に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 町内会は,収益事業を実施することはできない。
2 老人クラブは,教養講座やレクリエーション活動以外の活動も実施することができる。
3 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することに制約はない。
4 消費生活協同組合は,地域福祉活動を実施することができない。
5 社会福祉法では,第二種社会福祉事業は,国,地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則としている。

<第27回 社会福祉士国家試験より>

 

[福祉行財政と福祉計画]
【問題6】都道府県が策定する福祉計画等の計画期間に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 次世代育成支援に関する都道府県行動計画は,3年を一期として定めるものとされている。
2 都道府県介護保険事業支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。
3 都道府県健康増進計画は,3年を一期として定めるものとされている。
4 都道府県高齢者居住安定確保計画は,3年を一期として定めるものとされている。
5 都道府県地域福祉支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。

<第26回 社会福祉士国家試験より>

 

[社会保障]
【問題7】労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 個人タクシーを営業している者は,労災保険に加入することができない。
2 労働者が,通常利用する経路で保育所に子どもを預け,会社に向かう途中で事故にあった場合,保険給付の対象にならない。
3 保険料は,事業主と労働者が折半して負担する。
4 厚生年金保険の障害厚生年金が支給される場合,労災保険の障害補償年金は支給されない。
5 労災保険率は,厚生労働大臣が業種ごとに定める。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

[障害者に対する支援と障害者自立支援制度]
【問題8】「平成 24 年度障害者虐待対応状況調査」(厚生労働省)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 養護者による虐待では,被虐待障害者は女性より男性の方が多い。
2 養護者による虐待の種別・類型別(複数回答)では「心理的虐待」が最も多い。
3 障害者福祉施設従事者等による虐待では,被虐待障害者の年齢階級別でみると,「65 歳以上」が最も多い。
4 障害者福祉施設従事者等による虐待は,養護者による虐待や使用者による虐待よりも多い。
5 施設・事業所の種別による虐待件数の構成割合をみると,「障害者支援施設」と「就労継続支援B型」が上位を占めている。

(注)「平成24年度障害者虐待対応状況調査」とは,「平成24年度『障害者虐待の防止, 障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」のことである。

<第27回 社会福祉士国家試験より>

 

[低所得者に対する支援と生活保護制度]
【問題9】生活保護における扶助の種類とその内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 光熱費・家具什器等の世帯単位の経費は,生活扶助の第1類費に含まれる。
2 被保護者が,入退院,通院をした場合に要した交通費は,生活扶助に含まれる。
3 介護施設に入所している被保護者の基本的な日常生活に要する費用は,介護扶助に含まれる。
4 小・中学校の入学準備金は,生活扶助に含まれる。
5 介護保険の保険料は,介護扶助に含まれる。

<第26回 社会福祉士国家試験より>

 

[保健医療サービス]
【問題10】日本の診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 DPC対象病院の入院医療にかかる費用は,包括医療費支払い制度が適用される。
2 訪問看護にかかる費用は,居宅サービス計画に基づく利用であっても,医療保険から支払われる。
3 在宅医療の往診では,患家の求めにかかわらず医師の判断に基づき行った場合であっても,往診料を請求できる。
4 療養病床の入院基本料は,出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
5 退院調整加算を請求できる病院の施設基準の中では,退院に係る調整部門の設置と,理学療法士又は作業療法士の配置が定められている。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

[権利擁護と成年後見制度]
【問題11】親権者の行為に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 子どもの監護教育に必要な範囲内で,その子どもを懲戒することができる。
2 未成年の子どもの携帯電話サービス契約を取り消すことはできない。
3 未成年者が結婚すると,居所を指定することはできない。
4 未成年者に代わって,労働契約を締結できる。
5 子どもと利益が相反する法律行為であっても,自ら子どもを代理して行うことができる。

<第27回 社会福祉士国家試験より>

 

[社会調査の基礎]
【問題12】社会調査における個人情報保護に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 個人情報の保護は,調査に直接かかわりのない第三者に対しての個入情報の漏えいに注意することなので,共同研究者への個人情報の秘匿は考えなくてもよい。
2 調査に使用した調査原票は,社会的にも貴重な文書であるので,集計・分析等が終了した後個人情報を削除し,データアーカイブスに登録することを義務づけられている。
3 インフォームドコンセント(説明と同意)を求めるかどうかは,調査者の判断にゆだねられる。
4 調査の依頼文書を作成する際には,依頼者側の個人情報保護の観点からも,電話番号や電子メールのアドレスは掲載してはいけない。
5 調査データを事例として公表する場合,その事例が特定されるおそれがある場合は,例えば,実際の年齢ではなく「前期高齢者」などと記述するのが望ましい。

<第26回 社会福祉士国家試験より>

 

[相談援助の基盤と専門職]
【問題13】日本社会福祉士会が定める「社会福祉士の行動規範」における専門職としての倫理責任に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 専門職集団としてではなく,個人として責任ある行動をとらなければならない。
2 他の社会福祉士が非倫理的な行動をとった場合,関係機関などに対し,適切な行動をとるよう働きかけなければならない。
3 研修や自主勉強会等の機会を活かして,常に自己研鑚に努めなければならない。
4 社会的信用を高めることよりも,専門職集団の利益を優先しなければならない。
5 調査研究の結果を公表する場合,調査者の利益を優先しなければならない。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

[相談援助の理論と方法]
【問題14】事例を読んで,J相談員が介入したレベルとして,適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕大学で障害のある学生の修学支援を担当するJ相談員(社会福祉士)は,重度の身 体障害のある学生Kさん(18 歳,女性)の学内支援を調整している。Kさんから多目的トイレ内に手すりを増設してほしいという希望が出された。そこでJ相談員は,所属する部署の上司と相談し,Kさんが属する学部からの要請を依頼するとともに,関係部署と交渉した。その結果,増設工事についての了承を得ることができた。

1 ミクロレベル
2 メゾレベル
3 サブレベル
4 マクロレベル
5 エクソレベル

<第27回 社会福祉士国家試験より>

 

[福祉サービスの組織と経営]
【問題15】リーダーシップに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,専制的リーダーシップの特徴である。
2 リーダーシップのあり方として,状況に合わせたスタイルや行動が重視される。
3 変革型リーダーシップは,安定した環境において効力を発揮するといわれている。
4 リーダーシップは,組織的に位置づけられた公式的な管理者だけが発揮できるものである。
5 フォロワ一がリーダーを支えるフォロワーシップは,リーダーシップに影響を与えることはない。

<第26回 社会福祉士国家試験より>

 

[高齢者に対する支援と介護保険制度]
【問題16】事例を読んで,P市の地域包括支援センターの社会福祉士の初期対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕Gさん(85歳)は,在宅で認知症の妻Hさん(83歳,要介護2)を介護している。 Hさんは認知症が進行してきた。最近,Gさんは持病の腰痛が悪化して,日々の介護がつらくなってきた。Hさんは要介護認定を受けているにもかかわらず,介護サービスを利用していない。県外で暮らす一人息子のJさんは,心配になり,自分のところへ引っ越しをして一緒に住むことを勧めるが,Gさんは乗り気ではない。Jさんは,両親の住むP市の地域包括支援センターに相談に行った。

1 Gさんの腰痛の治療を優先するように指示した。
2 Jさん宅に引っ越しするように,Gさんを説得することを約束した。
3 HさんのみJさん宅に引っ越しさせるようにアドバイスをした。
4 Hさんが介護保険サービスを利用していない理由を,Gさんに確認したいと伝えた。
5 Jさんが親元に引っ越しをして,両親の介護をするように勧めた。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

[児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度]
【問題17】ひとり親家庭への支援施策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 母子生活支援施設は,父子家庭も利用できる。
2 母子・父子自立支援員は,社会福祉士の資格が要件となっている。
3 母子及び寡婦福祉法(現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)は,1980 年代に父子家庭を対象に含めた。
4 児童扶養手当は,父子家庭も対象にしている。
5 母子及び寡婦福祉法(現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)が定める自立促進計画は事業主がつくる計画である。

<第27回 社会福祉士国家試験より>

 

[就労支援サービス]
【問題18】事例を読んで,障害者就業・生活支援センターの支援担当者による初期の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕軽度の知的障害と自閉症によるこだわりを併せもつLさん(28歳,男性)は,学校卒業後,食品製造業S社に10年近く勤務している。最近,担当職場が変わってから落ち着きを欠き,無断欠勤等が続いている。Lさんは登録している障害者就業・生活支援センターに相談に来た。

1 S社に対して,Lさんが安定して仕事ができるよう,配置転換を依頼する。
2 Lさんに対して,職場は異動が不可避なので,新しい作業に早く慣れるよう説得する。
3 Lさんの意向を確認した上で,新しい職場の上司や同僚に,Lさんの特性や対応の仕方について理解を求め,職場環境の調整を行う。
4 Lさんの家族に職場の状況を伝え,家族からもLさんの定着を促すように依頼する。
5 Lさんと公共職業安定所(ハローワーク)に出向き,次の就職先の紹介を依頼する。

<第26回 社会福祉士国家試験より>

 

[更生保護制度]
【問題19】少年保護審判を担当する家庭裁判所と他の機関との連携に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 家庭裁判所は,犯罪少年については,警察官から送致を受けた場合に限り審判に付することができる。
2 家庭裁判所は,触法少年については,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた場合に限り審判に付することができる。
3 家庭裁判所は,審判を開始する前に,少年鑑別所に命じて,審判に付すべき少年の取調その他の必要な調査を行わせることができる。
4 家庭裁判所は,犯行時14歳以上の少年が犯した犯罪については,原則的に検察官に送致しなければならない。
5 家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,保護観察官の観察に付することができる。

<第28回 社会福祉士国家試験より>

 

【解答1】5 【解答2】4 【解答3】1.4 【解答4】3 【解答5】2 【解答6】2 【解答7】5 【解答8】5 【解答9】4 【解答10】1 【解答11】1.3 【解答12】5 【解答13】2.3 【解答14】2 【解答15】2 【解答16】4 【解答17】4 【解答18】3 【解答19】2

<社会福祉士国家試験に向けた勉強法>
社会福祉士国家試験も、他の試験と同様に傾向と対策が存在します。では、社会福祉士の国家試験に適した勉強法とはどのようなものなのでしょうか。

1 勉強計画
[試験での目標点数を定める]
社会福祉士国家試験の合格には次の2つの条件を満たす必要があります。

(1)
ア 総得点150点に対し、得点88点以上の者(総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した。配点は1問1点である)。
イ 試験科目の一部免除を受けた受験者は総得点67点に対し、得点37点以上の者(総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した。配点は1問1点である)。
(2)
(1)のアまたはイを満たした者のうち、(1)のアに該当する者にあっては①から⑱の18科目群、イに該当する者にあっては⑫から⑱の7科目群すべてにおいて得点があった者。

それを踏まえた上で、過去5回の社会福祉士国家試験の合格基準点を見てみましょう。

合格基準点
免除なし 免除あり
第28回(平成27年度) 88 37
第27回(平成26年度) 88 37
第26回(平成25年度) 84 37
第25回(平成24年度) 72 33
第24回(平成23年度) 81 40

 

上表から、免除なしの場合は88点以上、免除ありの場合は40点以上を獲得すると、合格できると言えますが、余裕を持って、免除なしの場合は95~105点、免除ありの場合は45~50点の間で目標点数を設定しましょう。

[勉強計画を立てる]
社会福祉士国家試験は、毎年1月下旬~2月上旬の日曜日に実施されます。その試験日を目標に勉強の計画を立てましょう。勉強の進捗が良いペースなのか、遅れているのかを判断する材料となります。

[予想問題や模擬問題を解いて自分の実力を知る]
ある程度勉強が進んだら、予想問題集や模擬試験を利用して自分の実力を確かめましょう。
理想としては「勉強する → 模擬試験を受ける → (不得意な箇所を特に)勉強する → 模擬試験を受ける……」の繰り返しが良いでしょう。模擬試験を受ける度に得点が上がることによって、やる気も上がるからです。もし、得点が下がった場合でも、「自分の勉強方法が間違っていたのかもしれない」と考えるヒントになります。
模擬試験を受けるメリットは、自分の実力を確かめるためだけではなく、「マークシート方式の試験に慣れる」「回答する時間配分が上手くなる」などの効果があります。

2 試験対策におすすめの本・参考書・問題集
教材やアプリをうまく活用して、国家試験対策をしたいところですが、「それでも不安だ」「お金に余裕がある」という方は専門学校に通うのも良いでしょう。個人で勉強するよりも効率の良い情報収集が可能です。
学校を選ぶ方法として、まず、オープンキャンパス(説明会・見学会)に参加することをオススメします。興味があるいくつかの学校に足を運び、教室・学食・学業のための設備等を調査しましょう。その学校で毎日を過ごすことを考えて選びましょう。
その他にも、「通学しやすい場所にあるか」「入学試験の難度は高過ぎないか、低すぎないか」「国家試験の合格率」などを参考にして選ぶようにしましょう。

3 一問一答形式の活用方法と時期
一問一答式の問題集やアプリは、手軽でコンパクトという点で便利です。しかし、それだけをやっていても試験に合格することはできません。他の参考書や問題集で知識を習得してから、移動時間などのスキマ時間に活用することをおすすめします。

社会福祉士試験の難易度

社会福祉士の勉強範囲は広く試験は毎年少しずつ難しくなってきており、合格率は30%以下と下がり気味です。試験は年一回だけですので、計画的な勉強をおすすめします。例えば、一年前から受験勉強のために一日1時間は勉強する等、具体的な勉強計画を立て、目標に向かうのが効率的です。

基本的には、学校で勉強した内容やノートのまとめを確認したり、ワークブックなどの過去問題などを繰り返し解くことです。試験まで残りわずかになると、模擬試験に何度もチャレンジして本番に臨む人も多いようです。

どんな問題が多く出ているか、試験の傾向を理解することが大事です。
試験科目が多い為、少しずつ勉強して得意分野と不得意分野を見極め、不得意な分野に力を入れて勉強することも大切です。

このように基本的なことを頭に入れ、計画的に受験勉強をすれば、合格率が低い社会福祉士の国家試験でも合格できるかもしれません。
社会福祉士も試験は数ある国家試験の中では普通くらいのレベルといわれています。

社会福祉士の実習

社会福祉士の受験資格に必要な科目として180時間の相談援助実習があります。指定施設での相談援助業務の経験が1年以上ある方は免除されます。

実習先は、特別養護老人ホームや児童養護施設、障害者支援施設など、在籍中の養成校が監督庁に届出を行い、契約を結んでいる事業所の中から、場所や福祉分野の希望が考慮された上で決まります。実習内容は各施設の業務内容により異なります。

初めて実習に行く際は不安だと思いますが、分からないことは質問するなど積極的に動くことが今後の就職にも役立ちます。実習時の服装やファッションは襟付きのブラウスに黒のパンツ、チノパンなど動きやすく、清潔感のあるものを心がることが大切です。実習先によっては、実習中はジャージなどの動きやすい服装を指示される場合もあります。

社会福祉士の給料・年収

社会福祉士は、福祉のいろんな場所で働くことができる資格のため、職場や職種によって、収入に大きな差があります。地方自治体の福祉関連の部署で働く場合は「公務員」として働くので、各地方自治体の公務員給与規定に準じた給料を得ることができます。

民間の施設で働いた場合は、地域の公共機関と同程度の給与になる場合が多く、MSW等病院のスタッフとして勤務する場合も同様です。

このように、社会福祉士としての給与は職場により様々ではありますが、参考としてリジョブで募集している常勤の職員の求人(民間施設)の給与を調査してみましたのでご覧ください。

初任給
月給:17~23万円(年収:234~306万円)

10年以上経験を積んだ社会福祉士の収入
月給:26~35万円(年収:350~520万円)
(※手当込月額 情報元:リジョブ

社会福祉士の就職先・就職率

福祉をはじめ、医療、教育分野など社会福祉士が活躍できる現場は多く、さまざまな就職の場を考えることができます。

2025年には人口の約3割が高齢者になると予測されるなかで、とくに高齢者福祉に携わる人材が不可欠です。特別養護老人ホームなどの介護施設では、生活相談員が必須配置となっており、今後増加する施設に伴って、社会福祉士の需要も増えると言えます。

しかし、採用人数としては少ないケースが多いのも現状です。施設では、介護職員として働いたり、公務員では専門職ではなく一般行政職として働く方も多くいます。

<社会福祉士の就職先>
・社会福祉協議会
[仕事内容]
社会福祉協議会では社会福祉士が活躍できる場所はたくさんあります。
福祉活動専門員・ボランティアコーディネーター・地域福祉活動コーディネーターとして働く場合は、住民共通の課題である生活課題・福祉課題に地域社会が組織的に取り組み、解決に向けて支援します。地域調査や住民からの相談により地域の課題を把握し、問題解決のための広報活動、ボランティア活動など、仕事は多岐にわたります。
また、在宅福祉サービスの介護職員や相談援助職員として働くこともあります。

・社会福祉事務所
[仕事内容]
福祉事務所は社会福祉行政機関であり、市役所の障害福祉課や高齢者福祉課なども福祉事務所です。
社会福祉士はそこで社会福祉主事(ケースワーカー・ソーシャルワーカー)として働きます。仕事内容は主に相談援助業務で、福祉六法(生活保護法・児童福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)に定められた方を対象に相談を受けます。

・児童福祉関係施設
[仕事内容]
世の中には孤児、虐待、障害など様々な理由で、児童福祉施設に関わって生活している子どもたちがいます。社会福祉士はその中で、子どもたちを見るだけではなく、親や家族とも関わり、今後について相談・支援していきます。

・老人福祉施設
[仕事内容]
老人福祉施設において社会福祉士は、主に生活相談員として働きます。生活相談員の仕事としては、利用者や家族の相談を受けたり、援助計画を立てたり、計画を見直ししたりします。また、利用者が関わる関係各所との連絡、利用者や家族へ情報提供も仕事です。

・介護老人保健施設(老健)
[仕事内容]
介護老人保健施設(老健)の社会福祉士は、利用者の人権を守りながら、医療・福祉・介護など様々なサービスのコーディネートを行います。主に、ケアマネジャーとして活躍しています。

・病院
[仕事内容]
総合病院などの大きな病院で働く社会福祉士は、患者に医療保険の説明をしたり、患者の話を聞いて不安を和らげたり、療養後の経過など様々なマネジメントを行います。

社会福祉士が公務員として働くには

社会福祉士の資格を持つ方のなかには公務員として働く方もいます。やはり、給与などの待遇面や雇用の安定といった部分で魅力的に感じる人も多いでしょう。

国家公務員の新卒・社会人採用は少なく、おもに市町村の役所の福祉課や生活保護課、また自治体が運営する福祉事務所や児童相談所などで地方公務員として働くケースがほとんどです。地方公務員として働くには、地方公務員採用試験を受験して採用される必要があります。社会福祉士の資格を受験資格としている自治体も多くあります。

公務員試験の勉強は大変ではありますが、試験では社会福祉士の国家試験の内容と似たような問題が出る場合もあり、これまで培った知識が活かされる場面もあるでしょう。

働きながら社会福祉士になれる?

働きながら社会福祉士への転職を目指す方は、養成施設の夜間課程や通信課程を修了することで、受験資格を得ることができます。社会福祉士国家試験では実に受験者の約4割が社会人なのです。

夜間課程を設けている養成施設は、18時以降の授業スタートや、土曜日や夏季休暇中の開講など、社会人が通学しやすいカリキュラムになっています。1年程度の期間で修了できます。

通信課程では自宅学習とレポート提出、スクーリング(面接授業)を組み合わせて学習していきます。学習には独自のテキストや一般に販売されている参考書などを使用します。スクーリングは土日に行われるところが多く、1年半~1年9か月程度の期間で修了できます。

しかし、実習については、平日に行われることが多いので仕事の調整が必要です。

福祉系ではない一般の短大や高卒の方は、相談実務を積み(1年~4年)、養成施設を修了(1年以上)することで受験資格を得ることができます。介護施設での生活相談員、介護支援専門員(ケアマネジャー)や、児童養護施設や障害児施設などの児童指導員や保育士などが実務経験として認められます。

また、事業所によっては施設長など将来の幹部候補に資格取得支援をしているところもあります。そういった事業所を選べば通学や実習の際に仕事との調整もしやすくなります。

相談員はパート・アルバイトでもできる?

介護関係事業所の生活相談員や障害者関係事業所の生活支援員はパートやアルバイトでの募集が多くあります。そのため、家事や育児などと両立することもできます。福祉介護業界での経験者優遇としているところは多いですが、未経験OKのところもあります。

求人情報はハローワーク(ハローワークインターネット)や求人サイトで公開されています。市町村の社会福祉協議会や各施設のホームページでも採用情報として更新されていることがありますのでチェックしてみましょう。社会福祉協議会では地域の仕事を斡旋してくれるところもあるので、事業者情報などの紹介を受け、紹介状をもって面接に行くこともできます。

求人サイトでは、希望の勤務地(東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、長崎などの都道府県や新宿区、世田谷区、市川、横浜、さいたまなどの市区町村)や時給、勤務日数やこだわりポイント(駅からのアクセスや徒歩時間、新卒歓迎、車・バイク通勤OKなど)から細かく検索することができます。

求人サイトはハローワークと比べて掲載期間が短く、気づいたら掲載終了になっている場合があるので注意が必要です。求人サイトは最新公開日から数週間~1か月程度、ハローワークは2~3か月程度です。「気になっていた求人が見つからない!」ということにならないよう、お気に入りや検討リストに登録して、効率的に求職活動を進めましょう。

相談業務は資格がなくてもできる

相談業務に就くには社会福祉士の資格が有利ですし、経験者が歓迎されるのはもちろんですが、「すぐに資格を取るのは無理……」という方も、資格無しで働く道を選ぶことができます。

放課後デイサービスの児童指導員など、一部の相談職の仕事は無資格でも募集しているところがあるのです。パートやアルバイトが多く、狭き門ではありますが、まずはそういった求人に応募して、実務経験を積みながら今後の方向性を考えることができます。

将来的に社会福祉士の取得を考えている方は、就業先が実務経験として認められる施設かどうかを事前に確認しておきましょう。

社会福祉士のキャリアアップ

■独立型社会福祉士として活動する
社会福祉士のなかには「独立型社会福祉士」、いわばフリーランスのような形で仕事をしている人もいます。個人で社会福祉事務所を立ち上げたり、法人の独立型社会福祉事務所に所属しています。

独立型社会福祉士として活動すれば高齢者、障害者、低所得者など福祉の分野に関わらず支援を行うことができます。社会福祉士として経験を積んだ後、「仕事の幅を広げたい」「もっと利用者に寄り添いたい」などの理由で独立型社会福祉士を目指す人も少なくありません。

個人で利用者と契約して仕事を行うので、十分な経験と高い専門性が必要とされます。現在活躍している方は、福祉・医療、保険に関わる相談業務はもちろん、成年後見に関する相談、高齢者や障害者の虐待に関する相談、福祉分野での講師など、さまざまな業務を担っています。

■認定社会福祉士を目指す
社会福祉士の上位資格として「認定社会福祉士」があります。これは認定社会福祉士認証・認定機構によるもので、国家資格ではありません。

認定社会福祉士は、組織の相談部門のリーダーとなれる人で、より専門性の高い社会福祉士としての能力が必要とされます。相談援助の実務経験5年以上の社会福祉士が所定の研修を修了すると取得できます。

社会福祉士の魅力・やりがい

社会福祉士として働く方は、相談者から頼りにされたり、感謝の言葉をもらった時にやりがいを感じると言います。相手となる方はさまざま事情を抱えている場合も多く、解決が困難なケースもありますが、そういうった方が笑顔で日常生活を送れるようになった時に社会福祉士の意義を感じるようです。

また、社会福祉士は福祉業界の中では、比較的待遇が良く、恵まれた給与水準にあります。休日に関しても恵まれており、他の福祉の仕事に比べて安定して取れる環境が多いようです。職場によりますが、相談業務は平日の日勤が中心で基本的に夜勤もないため、女性にも人気の職種です。公務員として勤務する場合は当然、土・日・祝日は原則休日です。

仕事柄いろんな事象の相談を受けますし、その方の家族や福祉サービス、行政などさまざまな機関と連携して活動するため、コミュニケーション能力は高くなります。また、「この仕事を通して、人に対して気配りができるようになった」という声も少なくありません。

社会福祉士は、職場を問わず将来を期待される人材であり、努力と経験によってはキャリアアップできる他、人間的魅力もアップできる仕事です。

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