介護福祉士の勉強方法は? 過去問だけで受かる? おすすめのテキスト&問題集を紹介
介護福祉士になるには国家試験に合格して、国家資格を取得しなければなりません。しかし、この試験は過去問だけを勉強していれば取得できる資格なのでしょうか。
それぞれにマッチした勉強法で確実な合格をつかみ取れるよう、ここでは介護福祉士の国家試験の勉強法やおすすめのテキストなどをご紹介します。
介護福祉士の国家試験とは?
介護福祉士国家試験は、筆記と実技のふたつの試験を受けなければなりません。しかし、受験をするにも細かく定められた受験資格のいずれかを満たしている必要があるので、受験資格がなければ受験そのものが受けられない仕組みとなっています。
受験資格を満たせば、筆記試験と実技試験を受けることが可能です。ただし、先に筆記で合格しなければ実技は受けられないため、注意しましょう。
【2022年】介護福祉士国家試験の概要を紹介|おすすめの勉強法とは
どんな問題がよく出る? 筆記試験13科目の出題傾向&難易度を解説!
介護福祉士国家試験の筆記試験出題内容には13科目あり、それぞれの科目によって出題傾向や難易度が異なるのが特徴です。ここでは、各分野の傾向や難易度をくわしく解説します。
人間の尊厳と自立
こちらは、介護士として対象者に介護サービスを提供するために必要な人の権利、理論を提唱した人物名、対象者の尊厳などについて問われます。
なかには、短い事例とそのときに介護士の倫理的対応を問う問題もありますが、問われる内容は基本的な問題が多く、一般常識で対応できることもありますので、難易度は低めです。しかし、出題数は少ないため、確実に正解できるようにポイントをおさえた勉強が重要となります。
人間関係とコミュニケーション
コミュニケーションの目的や基本などの概論部分に加えて、対象者に向けた声かけについて問われる分野です。高確率で問われる問題として、認知症の対象者や介護をしている家族に対する声かけがあります。
難易度としては低めですが、この場合には疾患に対する基礎知識や家族ケアについて理解しておかなければなりません。
社会の基本
社会福祉制度に限らず、地域包括支援制度や成年後見制度など多岐にわたる制度の内容について問われるため、幅広く勉強しておく必要があります。とくに試験前に変革した制度については出題されやすいため、最新の情報やニュースについてもアンテナを張っておくことが求められるでしょう。
この科目の出題数は多く、難易度としては高めです。古い参考書や問題集では最新の情報が載っていない可能性もありますので、受験する年度の試験に対応した参考書を使用しましょう。
介護の基本
こちらでは、介護士として必要な疾患への理解や高齢者の特徴などから、介護職としての法令なども出題されます。
専門用語なども出てくるため、事例問題を読むと一見難しい印象を受けるかもしれませんが、問われている内容は基本的な知識が多く、難易度は低めです。基礎知識をおさえた勉強を心がけましょう。
コミュニケーション技術
人間関係とコミュニケーションの項目では、概論部分に重点が置かれて出題されますが、こちらでは実際のコミュニケーションの手法について問われます。たとえば、障がいを持つ対象者に向けたコミュニケーションや座る位置、アサーティブコミュニケーション方法についてなど、より実践的な内容です。
難易度は高くはないですが、専門的なコミュニケーション方法については勉強しておく必要があります。
生活支援技術|1番出題数が多い
こちらは生活支援技術に関する問題で、13項目の中で最多の出題数です。問題は介護士として実施する介護技術についての内容になるため、現場での経験や学校で実習をしていると比較的馴染みやすい問題が多いのが特徴で、難易度は高くありません。
ただし、片麻痺を持つ対象者の更衣介助や食事介助、高齢者の転倒転落予防など安全な介助方法は出題頻度が高くなります。
介護過程
介護過程とは対象者に介護ケアを提供するまでの考え方や根拠、計画、実施後の評価、計画再立案などを含んだ内容のことで、それによるメリットや各段階での技法などが問われます。
事例問題も出題されやすく、一連の流れを把握しておく必要がありますが、実践に則した内容が多いため、難易度は低めです。
発達と老化の理解
介護士の対象者は子どもから高齢者まで幅広いため、それぞれの発達段階や老化の特徴を押さえておく必要があるでしょう。とくに高齢者の老化現象については安全な介護技術とも結びつくため、出題頻度は高くなります。
専門的知識が多く問われるため、難易度はやや高くなりますので、過去問題を繰り返し解いて対策を立てておきましょう。
認知症の理解
ほかの科目でも認知症に関連した問題は出題されますが、対象者には認知症を持つ人も多く、ここではよりこまかい内容が問われます。
認知症の症状や特徴に加えて、家族支援や社会的サポートについて全10問程度出題されるため、難易度はやや高めです。そのため、認知症に関する知識を幅広く勉強して対策しておく必要があります。
障がいの理解
この項目では幅広い障がいの種類やその原因、症状などが問われるのみではなく、その障がいに関するリハビリテーションや対象者のQOLなども含まれるため、幅広く学習する必要があります。
また、近年障がいを持つ対象者の社会参加に関する問題も出題されるため、地域社会に関する制度やしくみについても勉強するといいでしょう。難易度はやや高めです。
こころとからだのしくみ
こちらでは症状の専門用語や特徴、原因などを問われるため、解剖学や生理学の理解が求められます。
また、それらの症状を予防する介護ケアや観察項目なども含まれるため、症状の原因と発生機序などを理解していないと回答がむずかしい項目です。
医療的ケア|2017年より導入
介護士がおこなえる医療技術も増え、介護ケアを提供するために、医学的知識の必要性が重要視されるようになったため、2017年より新たに導入されました。
以前は看護師や医師のみに認められていた喀痰吸引や経管栄養に関する技術が介護士にも実施が認められたため、呼吸や消化に関する医学的知識を習得しておく必要があります。範囲は広くはないため、過去問題を復習して対策をとると難易度は高くはありません。
総合問題|1事例につき3題出題
最後は総合問題です。ここでは、人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、そして医療ケアの4項目から出題されます。
出題形式は事例を読んで回答する形式が多く、基礎知識のみではなく、応用力を求められるため、難易度は高くなるでしょう。
事例内や問題のなかには専門用語が多く含まれることもあるため、なるべく多くの専門用語に触れておくことが重要です。
試験対策を始めよう! おすすめの勉強方法を紹介
筆記試験は出題範囲が広いため、早めに試験対策をしておくことが望ましいです。ここでは、介護福祉士の国家試験をどのように対策していけばよいのか、おすすめの勉強方法をご紹介します。
1. 自分に合う方法を早めに選ぼう|独学・スクールなど
国家試験に向けてよいスタートを切るためには、まず自分に合う勉強方法を早めに選ばなければなりません。具体的には、独学で試験を受けるか、スクールに通うなどがあります。
独学にもスクールにもそれぞれメリットや注意しておきたい点があるので、そこを理解したうえで、自分にぴったりな勉強方法を選びましょう。
独学のメリットと注意点
独学の最大のメリットは、費用負担が少ないことです。テキストのみを購入して勉強すればよいので、かかる費用はテキスト代のみでしょう。さらに、勉強スケジュールは自分で立てるので時間の縛りがありません。自分の好きなタイミングで勉強できるので、仕事と両立しながら勉強したい人におすすめです。
ただし、わからないところが出てきた際に質問できる人がいません。ほかにも、ひとりで勉強しているのでモチベーションが上がらず、勉強が続かなくなる可能性もあります。
スクールに通うメリットと注意点
スクールに通う最大のメリットは、勉強しやすい環境が整っていることです。プロの講師が教えてくれるので随時質問がしやすいうえに、同じモチベーションで勉強している仲間がいるのでやる気も上がるでしょう。
スクールの場合、試験に確実に合格できるようにサポートしてくれるところが多いのです。そのため、モチベーションが下がりやすい方におすすめといえます。
スクールに通う注意点としては、お金がかかること、通うための時間を確保しなければならないことでしょう。また、スクールで勉強しているからと、自分で勉強時間を確保しなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
通信教育を利用するメリットと注意点
自分で学ぶための方法として、通信教育を利用する方法もあります。通信教育を活用すれば、通学のように時間や場所に縛られることなく、仕事の合間の隙間時間、仕事後の夜の時間などの空いている時間で気軽に学ぶことが可能です。
講座によっては、模擬試験やプロからのアドバイスを受けられるものもあるため、仕事をしながら学びたい人におすすめの方法です。ただし、通学ほどではありませんがある程度の受講料はかかりますので、その点は注意しておきましょう。
2. スケジュールを立てて計画的に|勉強時間を確保しよう
どの勉強法を選んでも共通しているのは、スケジュールをしっかりと立てて計画的に勉強をすることです。いくらよい教材を使おうと、高いお金をかけて環境を整えようと、最終的には自分がしっかりと勉強できなければ意味がありません。
とくに仕事と両立して試験を受ける人の場合、勉強に使える時間が限られているため、時間を計画的に使えるようにスケジュールを立てておくことが大切です。
3. 問題集やテキストを使いこなそう
まずは選択した問題集やテキストを使いこなすのが、効率よく学習を勧めるためのカギといえます。どうすればテキストや問題集を使いこなせるのかわからない方は、ここでご紹介するポイントをしっかりとおさえておいてください。
テキストを繰り返し読んで頭に入れる
ただ、問題を解いていっても、内容が頭に入っていなければ意味がありません。問題に取りかかる前に、まずはテキストを繰り返し読んで頭に入れておきましょう。
テキストを読み込んだうえで、問題に取り組み、もしも間違ってしまった場合にはその問題に付随する箇所のテキストをもう一度読みこんで、確認すると内容が頭に入りやすくなります。
問題集を繰り返し解く
ある程度テキストの内容を理解したのであれば、問題集を繰り返し解きましょう。とくに何度も間違えてしまうところは、自分が苦手だと感じているところです。苦手なところは、テキストを読み込んで復習し、もう一度解くという流れを繰り返してみてください。
この流れで、解けるようになれば苦手は克服したも同然ですので、次の問題に進んでいくと、気づいたときには範囲をすべて網羅できている可能性があります。
4. 模擬試験を利用する
自分がどのくらい点数を取れるようになっているのかを確認するために、もっとも適したツールが模擬試験です。スクールなどが開催する模擬試験は、そのスクールに通っていなくても受けられます。
本番に近い環境で試験を受けることで、自分の実力を確かめることが可能です。また、模擬試験の問題も終わってから繰り返し復習していけば、さらに力をつけられるでしょう。
過去問だけで合格できるの?
国家試験の勉強をするときに、過去問を活用する人は多いでしょう。しかし、過去問だけで合格することはできるのでしょうか。ここでは、過去問の活用方法についてご紹介します。
介護福祉士の過去問はどこで手に入るの?
介護福祉士国家試験の過去問題集は書店にも多く並んでおり、問題集によっては過去5年間分と解説が載っているものもあります。
しかし、過去問題集は書店で購入しなくても、無料で手に入れることが可能です。ここでは、介護福祉士の過去問はどこで手に入れられるのかをくわしくご紹介します。
社会福祉振興・試験センターホームページから無料でダウンロードできる
介護福祉士国家試験の問題集は、社会福祉振興・試験センターホームページから無料でダウンロードできます。
こちらでは、現在過去3年間の問題と回答を掲載中ですので、試験勉強の際に利用してみるのがおすすめです。
過去問だけで合格するには? 勉強のコツを紹介
純粋な過去の問題だけならば、上記のサイトでダウンロードして取り組めます。しかし、それでは間違えた問題を、なぜ間違えてしまったのかがわかりにくいです。
問題集として購入したほうが、解説文がついているので間違えた問題についての理解を深められるでしょう。
繰り返し解いて問題に慣れておく
過去問を手に入れたら、まずは繰り返し解いてみましょう。最低でも、過去3年間分の問題は解いておくべきです。
繰り返し問題を解いていくことで出題傾向がわかり、問題にも慣れていけます。さらに、どのくらいの時間配分で問題を解けばいいのかがわかるので、実践にも活かせるでしょう。
テキストとリンクさせることで効率よく
過去問を解いたら解きっぱなしではなく、テキストとリンクさせておきましょう。とくに解けなかった問題については、同じ部分の内容をテキストから見つけて、もう一度復習しておくのがおすすめ。
問題のダウンロードのみですと、この勉強方法ができないのでやはり別途のテキストは必要となるでしょう。テキストと問題をリンクすることで、効率よく勉強できます。
目指せ合格! おすすめの問題集&テキストを紹介
問題集やテキストは自分に合ったものでないと、途中で使用しなくなったり、理解につながらなかったりと十分に活用できなくなってしまうこともあるようです。
そのようなことを避けるためにも、ここではテキストの選び方のポイントに加え、おすすめの問題集とテキストをご紹介します。
過去問やテキストはどこで選ぶ?|解答や解説のわかりやすさなど
まずは解答解説がわかりやすいものを選びましょう。参考書に載っている問題への解答解説は、内容理解のために重要です。
また、要点を押さえた勉強を効率的におこなうために、試験に頻出するポイントがまとめられていることも大切ですので、これらを踏まえて参考書を選ぶといいでしょう。
すきま時間に勉強するなら|アプリもおすすめ
最近では、スマートフォンやタブレットでいつでも見られる勉強アプリでも選択肢が増えています。こちらは、家事や仕事が忙しく、すきま時間を活用して勉強したい人、いつでも勉強できるように持ち歩きたいという人におすすめです。
無料で使用できるアプリもあるため、メインの参考書と一緒に活用することで、経済的にも効果的に勉強を進められるでしょう。
おすすめ過去問題集&テキスト5選を紹介!
ここからは、試験対策におすすめの過去問題集と参考書をご紹介します。試験勉強をしようと思っているけれど、まだ参考書や問題集が決まっていないという方は参考にしてみてください。
『2023年版 ユーキャンの介護福祉士 過去問3年完全解説』
過去3年分の全問題を、1ページ1問という見やすい形態で載せている問題集です。確認しておくべき点をポイント整理としてまとめているので、知識を整理する際にも活用できます。
重要なところは図表でまとめられているので、わかりやすいのが特徴。勉強をする際に役立つ赤シートつきです。
『介護福祉士国家試験過去問解説集2023』
こちらは中央法規の過去問題集で、3年分375問の過去問題と介護福祉士養成課程に携わっている教員監修の解説が載っています。
解説部分には、根拠とそれに関連した情報も一緒に説明されているため、知識を広げるためにはとても役立つ内容です。また、前年度との変更点はわかりやすく表示されています。
『福祉教科書 介護福祉士 完全合格過去&模擬問題集 2023年版』
8年間以上の過去問を分析して頻出する問題を420問掲載されていることに加えて、過去4年間分の問題と模擬試験1回分が載っています。
また、要点のまとめや難易度の高い過去3年分の法制度改正のまとめが付属しており、隙間時間でも暗記勉強に活用できるのが特徴。こちらもAmazonで購入可能です。
『みんなが欲しかった! 介護福祉士の教科書 2023年度版』
2023年1月の国家試験対策に向けて法改正、統計情報を更新しているので、すべて最新の情報が手に入ります。
豊富な図表でポイントが一目でわかるようにしてあり、目で見て覚えたい方におすすめ。随所に過去問が例題として載っているので、問題と内容をリンクさせやすいのも魅力です。
『2023年版 図解でスッキリ! 介護福祉士テキスト』
オールカラーで見やすいテキスト、図解が豊富なのが魅力です。最大の魅力はひとりで勉強をしていてモチベーションが下がらないように、受験ガイダンスやテキストを用いた学習の進め方のアドバイスを細かく書いていること。
過去の出題傾向を徹底分析し、覚えるべき項目を厳選して載せています。イラスト入りで解説している箇所もあるので、理解もしやすいでしょう。
自分に合った問題集&テキストを選んで合格を目指そう!
資格試験勉強は継続的な学習が重要ですが、モチベーションを維持するためには自分の成長や進歩が見える勉強方法が必要です。
自分に合った問題集や参考書はこれらの要素を補う重要なポイントになるため、どの参考書や勉強方法があっているかを早めに知っておきましょう。自分に合った参考書で、効率的な勉強をおこない、合格をつかんでくださいね。
引用元サイト
2023年版 図解でスッキリ! 介護福祉士テキスト