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ヘルスケア 2022-06-28

「おっぱい番長」の経験を浸透させたカリキュラムで世の中の人をもっと健康にしたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.63 株式会社キレイカンパニー 朝井麗華さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

今回は、整体師・セラピストでありながら「おっぱい番長」としての異名を持ち、第一線で活躍してこられた朝井麗華さんにインタビュー。

前編で、整体師・アロマセラピストの道を選んだきっかけから独立までの経緯や「バストケア」に特化した理由、経験しておくといいことについてお話いただきました。後編では、独立後つまづいた経験や求めている人材、経営者としての心がけについてお聞きします。

お話を伺ったのは、

朝井麗華さん

旦那さまの闘病生活を経て、アロマセラピスト・整体師に。31歳で独立したのち、バストケアが話題となり、「おっぱい番長」として一躍有名に。今は、株式会社キレイカンパニー代表としてサロンを経営。メディアに多数出演しながら、講演会や他企業へのアドバイザー等の講師業、そして現在もサロンで整体師として多くの顧客を抱えている。

「こんなはずでは…」思惑が外れた経験も、今は大切な学びに

上手くいかなかったことも経験として、強みに変換する朝井さんの姿勢に感銘を受けます

――独立されてみて、上手くいかなかった経験はありますか?

ありますね。コロナ禍に、長年取り組みたかった新コンセプトがあり、意気込んで挑戦したのですが、ちょっとつまづいてしまいました。この業界って、相当な体力を使うのに割に合わない給与だったり、時間の融通が利かなかったりするんです。そういうマイナスな側面を払拭するために、自由な女性の雇用形態スタイルを確立した、「女性の働き方改革」の間口を広げる取り組みを実践したかったのです。

――つまづいてしまったとは言え、支持されるべき取り組みとお見受けしました。上手くいかなかった理由はなんでしょうか?

働き方を刷新するという意味で育成も視野に入れ、「未経験者もOK!誰でもチャンスがあるよ!」と、敷居を設けずに誰でも挑戦ができるような環境をウリにしたメッセージのもと、応募を募ってみたんです。

ところが、それが逆効果な結果になってしまったようです。コロナ禍ということもあってタイミングが悪かったのか、集まった人たちの多くが「この不安なご時世で、とにかくなんでもいいから手っ取り早く手に職をつけたい」といった、不安や恐れが動機で動く方々が多く集まってしまって…。

――自由な働き方を作るために考慮して募った条件が、裏目に出てしまったのですね。

「動機が不純」とまでは言いませんが、「明確な動機」を持った人が少なかったのが今回の問題点となりました。

ただ、今後経営を続けていくうえでは、重要な学びになったと感じています。どんなにいい条件や新しい視点から条件を取り入れても、それがリスクになり得るということが分かって、勉強になりましたね。その経験があるからこそ、人選については見極める目を養うことができたと感じます。

「おっぱい番長」としての経験から生み出された独自のカリキュラムで、永く愛される施術師に

人々の健康のみならず、「女性の雇用問題の改善にも前向きに取り組みたい」と朝井さん

――その経験を受けて、どんな人を求めていますか?

「人格がいい人」その一言に尽きますね。知識やスキルがあるに越したことはないですが、そういったものは後からでも身につけられます。しかし、人格というものは生まれてからこれまでの生き方、生まれ持った性質によるものなので、こちらが教えられるものではないですよね。整体師もセラピストも体に触れるデリケートな仕事ですので、人柄が良くないと施術してもらいたいとは思われません。反対に、少々下手でぎこちなくとも、人柄がよければ愛されますし、何より周りとの人付き合いも良好に進むはずです。

――確かに人格は大事だと感じます。採用した後の教育面で、朝井さんが特に力を入れていることを会社の独自のカリキュラムと併せて教えてください。

まず手順ですが、手技などの技術面は動画を観て学んでいただきます。そのあと実技へ移り、問題点や改善点を教えて、合格できれば実際にお客様へ接客に移り、SNSや知人などから募った15人のモニターさんにご協力いただいて実践します。そこで、リピート率が50%以上獲得できていれば、デビューが決まります。

指導面では、セラピストは整体をベースとしている人が多く、当サロンで特化しているバストケアの施術は未経験なため、モニター施術期間中の顧客の反応や施術結果などを細かく分析して、バストセラピストとして自立ができるように徹底的に指導を行なっています。また、その間にも、「ホスピタリティ」を念頭に置き、「どうしたらお客様を感動させられるか」という着眼点を養いながら、施術をするよう呼びかけていますね

当サロンで最も学べる特徴としては、モニター施術中に徹底して「バストセラピスト」として不安な点、自信不足を払拭できるように、実例を元に私直々の指導が入るので、デビュー前から知識、実技・接客スキルまでもしっかり身につけられるところがどのサロンよりも手厚く、またレベルの高いセラピストを目指していただけます

一流を知ることで、より良いサービスに繋がる

この記事をきっかけに、「会社に興味を持ってもらえたら嬉しいです」

――今後、独立する方へ向けて、事前に準備しておいたほうがいいことを教えてください。

多種多様なサービス業にたくさん触れることですね。同業界を見る際は、安価でカジュアルなところからラグジュアリーなところまで幅広く体験しに行くと良いですよ。例えば、「整骨院をやっているから整骨院だけを見る」のではなく、エステやリラクゼーションサロン、ホテルスパをはじめ、一流レストランからB級グルメ店、ビジネスホテルから五つ星ホテルなど多種多様なサービスを受けに足を運んでみてください。そうすることで、自分にハマる、しっくりくるサービススタイルが次第にわかってくるはずですから。

――独立する際のヒントになりそうですね。

独立するとなったとき、必ず役に立つと思います。一流を知らない人は二流三流に惑わされます。先行投資する気持ちで、「高くても潰れずに人気なのはなぜなのか?」「高額な料金のサービスと、手軽な料金のサービスとでは何が違うのか?」など、追求することができれば、必ず独立したときの糧となると思います。

――たくさん見て、自分のコンセプトを確立していく、というイメージですね。

そうですね。私自身、駆け出しの頃は、24時間365日フル稼働して案件を受けさせていただいていました。「私を必要としてくださるなら、いつでも!」というような勢いで、元旦から施術していた時期もありましたね。笑

でも、そのがむしゃらに働いた経験が今にとっても活きていると実感できていますし、駆け出しの頃でしかそういったことってできないと思うので、全てのお客様に対して全力投球する気持ちで取り組んでほしいですね。

――朝井さんが経営者として大切にしていることはなんでしょうか?

常に原点に立ち返ることを意識しています。今でも、1日に何度となく「使命を遂行できていたか?」「志から逸れた選択をしていないか?」と、原点と照らし合わせて確認しています。

今後、独立される方も「なぜ独立しようと思ったのか?」「なぜこの仕事をしているのか?」定期的に振り返ってみるといいです。何度も自分のテーマを振り返り立ち返ることで、軸がブレず、間違った選択も減ります。

――自分の中で、一貫したテーマを忘れずにいることはとても重要なんですね。

あとは、嘘をつかず誠実でいることが大事です。加えて、自然体でいることも大事ですね。昔は私も、施術時にかなり力んでいたことが多くありました。しかし、そういった力みは相手にも伝わってしまうので、こちらが緊張しながら施術をすると、お客様の体もそれに反応して硬くなります。しかし、こちらが脱力してみると、お客様も自然と力が抜けるんです。自然体でいるときこそ、最高のパフォーマンスができるものなので、普段からフラットな状態で何事にも望むように心がけています。

――では、普段から緊張などはされないのでしょうか?

そうですね、緊張はしないです。というのも「以上でも以下でもない」というのが、私の座右の銘です。今日、ここにいる自分は今日以上にも今日以下にもなり得ないですよね。どれだけ取り繕っても今の自分は今日までに築き上げた自分以上にはなれないし、逆を言うと今日までの自分以下にもなれないので、そのままの私でお役に立たせていただく、という気持ちをいつも意識しています


これから独立を目指す人へのアドバイスポイント3つ

1.自分の原点について間違いやずれがないか、逐一振り返る

2.どんな事案でも、自然体で対応すること

3.どんな仕事もありのままの自分でその日の精一杯で挑む

朝井さんのお話を伺って、「信念を持って行動する」ことが大事だと感じました。自分に素直に、誠実であることが夢の実現への一歩なんだと気づかされました。

取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/喜多 二三雄

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