柔道整復師になるためには独学でも大丈夫?受験資格・資格取得条件について詳しく解説!
柔道整復師は、手術や投薬以外の方法で打撲、捻挫、脱臼、骨折などのケガを回復させることができる国家資格です。「ほねつぎ」や「接骨院」、「整骨院」といった方が馴染みがあるかもしれません。
事故で負ったケガやそれに伴う後遺症に対するリハビリテーションはもちろん、さまざまな要因で動きにくくなってしまった身体をスムーズに動かすサポートなど、健康な身体を維持するために必要なことを幅広く手掛ける仕事です。
では、柔道整復師になるためにはどうすれば良いのでしょうか? この記事では受験資格やその条件、独学で取得できるのかも含めて、詳しくご説明していきます。
柔道整復師とは?
柔道整復師とは、接骨院や整骨院で実際に施術することを許可された国家資格保有者のことです。整体師と似ているように思いますが、実は全く違います。
整体師は国家資格ではなく、治療ができないのに対して、柔道整復師は国家資格であり、治療はもちろん運動療法や適切な指導を通して回復へと導くことができます。
そのため健康保険だけではなく、各種保険(自賠責保険、労災保険など)が適用できることも特徴です。
そんな柔道整復師ですが、実際に資格を取得して開業できるようになるまでには受験資格や条件が多く設定されているため、独学で取得することができません。では、柔道整復師になるためにどのような条件をクリアする必要があるのか、詳しくご紹介していきます。
柔道整復師になるためには独学では資格取得ができない
柔道整復師として仕事をするには、下記の条件をクリアする必要があります。
1,柔道整復師国家試験に合格する
2,柔道整復師として登録する
これだけ見れば可能性を感じるかもしれませんが、一番肝心な「柔道整復師国家試験の受験資格」が簡単ではありません。
それは、下記全ての条件をクリアする必要があるためです。
1,高校を卒業している
2,文部科学大臣が指定した学校、もしくは都道府県知事が指定した養成施設に入学する
3,必要な知識や技能を身につける
4,3年以上通学した上で卒業する(または卒業見込みである)
そのため、部屋の中で参考書にかじりついて独学で勉強し、仮に満点を取れたとしても、そもそもの受験資格がクリアできていなければスタートラインに立つことができません。
柔道整復師になるために必要な受験資格・資格取得条件とは?
実際に施術できるようになるまでに高いハードルが設定されている柔道整復師は、それでも目指したい憧れの資格です。
独学での取得ができず、受験資格を得るまでに時間がかかるというだけで、無理なわけではありません。今からでも十分目指せるのが、柔道整復師の魅力です。この項目では、受験資格や取得条件について詳しく解説していきます。
柔道整復師の受験資格|養成施設でカリキュラムを修了し卒業する
養成学校に3年以上通うことで、柔道整復師の受験資格を得られます。養成学校は大学、短大、専門学校の3種類があり、夜間部なども活用しながら現在の生活に無理のない範囲で選ぶことが大切です。
この条件を必須にしているだけあって学ぶ内容は多岐に渡るため、「卒業すればいい」といった軽い気持ちで足を踏み入れると卒業できないこともあります。
事前に学校のスケジュールや進め方などを可能な限りしっかりと調べ、自分の生活や目標などと照らし合わせましょう。
大学・短大で柔道整復師の勉強をする
4年制大学のメリットは、卒業そのものがステータスになり、総合大学であれば在学中にさまざまな学科で幅広い知識が得られることです。
デメリットとしては学費が高額になってしまうことと、柔道整復師に特化した学習をするわけではないので、集中という点においてはどうしても劣ってしまう点が挙げられます。
それに対して短大のメリットは、3年制のため柔道整復師について集中的に学習できることに加えて、4年制の総合大学に比べて1年早く条件をクリアするため、早々に受験資格を得られることです。
デメリットは、学歴という点で専門学校と一括りにされてしまい、4年制大学に比べてどうしても軽く見られてしまうことです。
専門学校で柔道整復師の勉強をする
専門学校も柔道整復師の受験資格を得るために有効な選択です。メリットは、なんといっても柔道整復師について集中して学習できることや必要最低限の3年間で卒業できること。
そして、学校そのものが全国に多く存在していることです。中には寮や病院まで併設しているところまであり、自分の生活や予算に合った学校を探すことができます。
デメリットとしては、学校によって学習の質に差があることと、学歴が専門学校卒になることです。大学に比べて入学のハードルが低いこともあり、育てることより収益を上げることを優先している学校があることも事実。
そのため、しっかりと情報を集め、自分の目で見て選ぶようにしましょう。いずれにしても、目的意識を持っていれば技術や知識の習得はできるため、目標に向かって進むことを見失わないようにすることが大切です。
夜間学校で柔道整復師の勉強をする
大学も短大も専門学校も、夜間部を開設しているところがあります。「指定された学校を3年以上通って卒業すること」という条件をクリアすれば受験資格を得られるため、夜間学校でも問題ありません。
メリットは、すでに社会人として働いている場合でも今の生活を維持しながら通学できることと、学費が安いという点です。対してデメリットは、1日のコマ数が少ないため時間がかかってしまうことでしょう。
しかし、社会に出てから柔道整復師の魅力に気づいたとしても現在の収入を維持しながら目指すことができるという点において、おすすめの選択肢といえます。
ご自身の体調やスケジュールの管理が大変にはなりますが、社会人向けのサポートが充実していることも多いため、転職やセカンドキャリアの幅を広げる意味でも有効です。
柔道整復師の資格取得条件|国家試験の合格
柔道整復師に向けた必要条件をクリアして受験資格を無事獲得したら、いよいよ国家試験に挑戦です。
この試験に合格して初めて柔道整復師への一歩を踏み出せます。試験内容は一般問題200問と必修問題30問の筆記試験で、合格条件は一般問題6割、必修問題8割をそれぞれ超えることです。
試験科目も下記の通り、多岐に渡ります。
・解剖学
・生理学
・運動学
・病理学概論
・衛生学、公衆衛生学
・一般臨床医学
・外科学概論
・整形外科学
・リハビリテーション医学
・柔道整復理論及び関係法規
これらの内容は大学や短大、専門学校でしっかりと学んでいるものの、実際の試験となると焦ってしまうものです。そのため在学中から本番を想定し、過去問題集などを活用しながら繰り返し自己学習しておきましょう。
柔道整復師の国家試験は合格率60%前後
さまざまな条件をクリアして受験資格を得ても、実際に柔道整復師の国家試験に合格できるのは全体の60%前後となっています。
合格率が90%以上だったこともありましたが年々試験の難易度が高くなっており、2018年には60%を下回ったこともありました。これは他の医療系国家資格と比べても、合格率がやや低い値となっています。
2022年度の合格率を見てみると、柔道整復師と似ているところで「あん摩マッサージ指圧師」で84.7%。「理学療法士」で79%、「鍼灸師」で75%ほどです。とはいえ、全体的に年々合格率が低下している傾向にありますので、これまでの努力を無駄にしないためにも最後まで気を抜かず、しっかりとした国家試験対策が必要となってきます。
柔道整復師になりたい人向け国家試験対策について
国家試験に合格するために筆記試験を突破する必要があるのは、前述の通り。学校と違って試験当日は一人で挑むしかなく、これまで学習してきた自分だけが頼みの綱となります。
これまで幾多の壁を乗り越えてきた先にある最後の砦であり、これが柔道整復師になるための最後の条件です。
ここでは、柔道整復師になるための国家試験対策について掘り下げます。
柔道整復師国家試験対策①過去問の活用
柔道整復師に限らず、どのような国家試験でも市販の過去問を繰り返し解くことで学習の成果を試し、記憶に定着させながら得意不得意を炙り出して1点でも高い点数を取ることに注力することでしょう。
なぜ過去問を軸に学習するのかという理由として、国家試験は過去問に関連した問いが出る傾向が高いとされているからです。
重要な内容であればあるほど、表現こそ違えど問い自体の本質は変化せずに毎年繰り返し出題されているため、過去問を繰り返し学習して知識の土台を築いていれば、全体の70%ほどの範囲で点数を取ることができるといわれています。
柔道整復師国家試験対策②アプリの活用
柔道整復師の国家試験にも専用の対策アプリがリリースされていることをご存知でしょうか?重い問題集を常に持ち歩いていたとしても、気軽に開いて見ることは難しいと思います。
そんなとき、このアプリがあれば待ち合わせで相手が来るまでの時間や、飲食店で注文した品が届くまでの時間。電車での移動時間といった少しの隙間時間でも、スマートフォンさえあればサクッと過去問を解くことができるのです。
第18回から12年分にも及ぶ膨大な量の過去問が手のひらの中にあるわけですから、これは活用しない手はありません。
集中してしっかり学習するには机に向かって過去問を開く必要がありますが、こうしたアプリを利用することで生活の中にクイズ感覚で自然と国家試験対策を組み込むことができるため、結果は大きく変わってくるでしょう。
効果的な学びをして柔道整復師になろう
国が指定した学校で3年以上学習するという条件をクリアしてようやく受験資格を得たかと思えば、その他の医療系資格と比較しても、筆記の国家試験合格率が低い柔道整復師。しかしながら裏を返せば、施術にはそれだけ正確な知識と技術が必要であるということを意味しています。
受験資格や資格取得条件を正しく理解し、さまざまな悩みを持った患者さんに寄り添って的確な治療により健康へと導く、頼れる柔道整復師を目指しましょう。
▼引用元サイト
厚生労働省:柔道整復師国家試験の施行
柔道整復師には通信教育でなれるの?|柔道整復師・鍼灸師の日本医学柔整鍼灸専門学校(東京)
柔道整復師の合格率や難易度|柔道整復師・鍼灸師の日本医学柔整鍼灸専門学校(東京)