社会福祉主事任用資格を活かし、福祉業界のキャリアアップを目指す|履歴書に記載する際の注意点・仕事内容などについて
昨今の高齢化社会に比例して、福祉業界は常に新しい人材が求められています。そんな福祉事業において汎用性が高い資格といわれるのが、「社会福祉主事任用資格」です。
本記事では、社会福祉主事任用資格を活かし、福祉業界のキャリアアップを目指す方法と、履歴書に記載する際の注意点・仕事内容について解説します。
社会福祉主事任用資格とは?資格取得のメリット・仕事内容について
社会福祉主事任用資格とは、具体的にどのような職業に活かされる資格なのでしょうか。ここでは、資格取得のメリットと仕事内容についてご紹介します。
社会福祉主事任用資格の資格とは?
社会福祉主事任用資格は、「社会福祉主事」の仕事に就くために必要な資格です。
社会福祉主事とは、各自治体(都道府県・市町村)が経営する公立の福祉施設および福祉事務所で、主に相談業務を担う職員です。
相談者の自宅訪問を行い現状を把握する他、生活改善の指導も同時に行います。
社会福祉主事任用資格を取得するメリット
社会福祉主事任用資格を取得するメリットはさまざまです。まずは、社会福祉士に比べて資格が取得しやすい点があげられます。
社会福祉士は国家資格で、幅広い知識が求められる上に合格率は30%前後といわれていて難易度が高く、資格取得までにはかなりの努力が必要です。
一方で、社会福祉任用資格は短期間で資格を取得できます。社会福祉士よりは総合的な難易度も低い傾向にあるため、挑戦へのハードルは高くないといえるでしょう。
また、就職先の選択肢が広がる点もメリットです。公立の機関だけではなく、民間の福祉施設に就職する際にも、社会福祉主事任用資格を活かすことができます。
有資格者の特権である資格手当てがつく場合もあるので年収アップにもつながるのが、社会福祉主事任用資格を取得するメリットの1つです。
社会福祉主事の仕事内容とは
社会福祉主事の仕事内容は、大きく分けて3つあります。以下に、詳しく解説していきます。
ケースワーカー(現業員)
ケースワーカー(現業員)とは、福祉事務所に相談に訪れた人への対応をはじめ、相談内容から必要な支援内容を把握して生活の立て直しをサポートする職員です。
たとえば、生活保護申請者の生活状況の調査や必要な援助の提供などがあります。社会福祉制度の活用を希望する人へヒアリングを実施し、支援体制を確立させていくのが主な業務となります。
スーパーバイザー(査察指導員)
スーパーバイザー(査察指導員)とは、福祉事務所で働くケースワーカーを監督・指導する職員です。スーパーバイザーはケースワーカーよりも責任の重い役職にあたります。
福祉事業法では、ケースワーカー7名につき、スーパーバイザー1人の配置義務が定められています。経験の浅いケースワーカーが判断に迷った場合など、スーパーバイザーが豊富な経験をもとに適切なアドバイスを行い、方向性を示します。
生活相談員
生活相談員とは、デイサービスや特別養護老人ホーム・老人保健施設などにおいて利用者とその家族への相談業務を主に担う職員です。
相談内容は多岐にわたり、施設入所(退所)などの各種手続きをはじめ、様々な福祉制度に関する調整業務も行います。
デイサービスにおける個別援助計画の作成・ケアプランの作成の支援も請け負うほか、利用者やその家族から寄せられるクレームへの対応も求められます。
生活相談員として働くためには、「精神保健福祉士」「社会福祉士」「社会福祉主事」のいずれかの資格を保有している必要があります。
社会福祉主事の資格を就職に活かす履歴書のポイント
いかなる職業においても、就職活動には履歴書が必要となる場合がほとんどです。
ここでは、社会福祉主事の資格を就職に有利に活かすために必要なことと、履歴書に記載する際の注意点についてご説明します。
社会福祉主事になるには公務員試験に合格する必要がある
社会福祉主事になるためには、社会福祉主事任用資格を取得した上で、公務員試験にも合格する必要があります。
公務員試験に合格した後に各地域の福祉事務所に配属されることによって、社会福祉主事として仕事をすることができます。
ただし、仮に公務員試験に不合格になってしまった場合でも、民間の福祉施設などでソーシャルワーカーとして働くことも可能です。ソーシャルワーカーとしての実務経験を重ねていけば、サービス管理責任者を目指すこともできます。
社会福祉主事の資格を履歴書に記載するポイント
社会福祉主事の資格は、履歴書に記載することができます。しかし、社会福祉主事の資格には資格証明書がありません。
そのため、履歴書に記載する際には、資格要件を満たした日を「資格取得日」として記載するのが一般的です。
履歴書に書ける資格があると就職に有利
履歴書に書ける資格を持っていることで、就職に有利に働く場合があります。また、資格を持っているだけではなく、その資格を取得した理由、資格取得までの過程、資格の活かし方も同時に履歴書で伝えられると効果的です。
社会福祉主事任用資格を得てどのようなキャリアを築いていきたいのか、履歴書に向き合う前に、まずはご自身の展望を再確認することが大切なポイントです。
社会福祉主事任用資格を取得するための方法
社会福祉主事の資格は、試験を受けずとも取得できます。試験を受けずに資格を得るためには「養成機関や大学などで授業を受ける」または「所定の講習を受ける」ことが必要条件になります。
また、すでに社会人として働いている人が資格を取る方法もあるのでここでは、社会福祉主事の資格を得るための方法を5つご紹介します。
大学もしくは短期大学で、厚生労働大臣が指定する科目を3つ以上履修して卒業する
社会福祉主事任用資格を取得するにあたり、大学もしくは短期大学で厚生労働大臣が指定する科目を3つ以上履修して卒業する方法があります。
指定科目は受験年度によって変わることが多いため、履修科目が卒業年度において指定科目になっているかを事前に確認する必要があります。
また、社会福祉主事任用資格には、認定証が存在しないので任用資格の要件を満たしているかどうかは、成績証明書または卒業証明書によって判断されます。
通信課程で学ぶ
社会福祉主事任用資格を取得するには、通信課程で学ぶ方法もあります。すでに何らかの仕事に就いている人が大学に通うのは、時間的にも金銭的にも大きな負担となってしまうことでしょう。そのような場合には、所定の学校の通信課程で学ぶ方法をおすすめします。
全社協中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程・日本社会事業大学通信教育科などの通信課程で1年間学習することで、社会福祉主事任用資格を得ることができます。
通信課程でも福祉についてや社会人として共通する基礎知識を幅広く学べるので、すでに何かしらの仕事をしながら社会福祉主事任用資格を目指している人には通信課程がおすすめです。
社会福祉関連の専門学校で学ぶ
社会福祉主事任用資格を取得するにあたり、社会福祉関連の専門学校で学ぶ方法があります。
社会福祉関連の学科がある専門学校は、「指定養成機関」とも呼ばれます。ここで介護やソーシャルワークについての専門知識を学ぶことで、社会福祉主事任用資格を得ることができます。
専門学校の場合、計22科目を1,500時間以上かけて学ぶ必要があり、必然的に2〜4年課程がほとんどとなります。
都道府県などが行う社会福祉主事認定講習を受講する
社会福祉主事任用資格を取得するにあたり、都道府県などが行う社会福祉主事認定講習を受講する方法があります。
都道府県、もしくは市区町村で社会福祉事業を担っている職員の場合、都道府県が行う社会福祉主事認定講習を受講することで資格を得ることができます。
こちらの資格取得方法は、公務員が民間の社会福祉施設に出向しているケースでも対象となります。
特定の場合は講座受講などは不要で社会福祉主事任用資格を取得できる
社会福祉士もしくは精神保健福祉士の国家資格を取得している場合、講座受講などは不要で、社会福祉主事任用資格を取得することが可能です。
これらの資格は社会福祉主事任用資格の上位資格にあたります。そのため取得条件を満たしている場合は、社会福祉主事任用資格よりも優先的に取得しておくといいでしょう。
社会福祉主事任用資格を活かし、自身の望むキャリアを目指そう
社会福祉主事任用資格を取得する方法はさまざまなルートがあります。そのため自分自身の生活スタイルに合わせて、自身のペースで資格取得を目指すことが可能です。
社会福祉主事任用資格を活かせば、困難な状況に立ちすくんでいる人たちに適切な支援を届けることができます。大きなやりがいと共に、福祉業界のキャリアアップを目指し、資格取得の先にある未来のために、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
引用元URL
社会福祉主事資格認定通信課程(民間社会福祉事業職員課程/秋期コース)|中央福祉学院