生活支援員の仕事とは? 目指すには資格が必要?|お給料はどれくらいもらえるの?
人の役に立てる仕事に就きたい人であれば、「生活支援員」も将来やってみたい仕事の候補にあげている人も多いのではないでしょうか。どのような仕事でも向き不向きがあり、がんばってもなかなか続けられないこともありますから、事前にどのような仕事内容なのかしっかりと知っておくことが大切です。
この記事では生活支援員に興味がある方のために、生活支援員の仕事内容、具体的な就職先、年収、必要な資格などについて解説していきます。
生活支援員とは? どんな仕事をするの?
生活支援員という言葉から、人をサポートすることは想像できても、具体的なサポートの仕方は知らないという方もいるのではないでしょうか。
生活支援員は、基本的に障害者や介護が必要な高齢者の日常生活をサポートし、自立した生活が送れるように手助けをおこなう仕事です。ここでは、生活支援員の具体的な仕事内容と就職先をご紹介します。
障害者の日常生活や身体機能向上のための支援・創作や生産活動などにかかわる
生活支援員は、障害者の日常生活や身体機能向上のための支援をおこなったり、創作や生産活動などにかかわるサポートをおこなったりするのが仕事です。つづいては、これらの仕事がどのようなものなのかを具体的に解説していきます。
日常生活の支援|衣類の着脱や入浴など
身体に障害者のある方は指先が思うように動かせなかったり、腕を上げたり、腰を曲げたりすることができないので、ひとりでは衣類の着脱ができない方も多いです。入浴になると、さらに浴槽をまたぐ動作と体を洗う動作が加わるため、ひとりでおこなうのはむずかしいでしょう。
入浴の介護をする際は、おもに衣類の着脱と入浴のサポートをおこないますが、入浴後に髪を乾かし着ていた衣類とタオルの洗濯をすることもあります。
創作・生産活動|農耕や園芸・陶芸など
リクリエーションは楽しい時間が過ごせるだけでなく、身体機能の向上に役立ちます。なかでも土に触れる農耕や園芸、陶芸などは精神を安定させ、ストレス解消にも効果的です。
障害者や高齢者が利用する施設のなかには積極的に取り入れ、できた作物や作品を販売しているところもあります。このような活動のサポートするのも、生活支援員の仕事です。
就労継続支援|ハローワークに同行など
障害を持った方のなかには、一般企業をして自立した生活を送りたいと考えている方も多いでしょう。生活支援員は支援計画を個別に作り、就職する際に必要となる知識やスキルを習得するサポートをします。就職活動がはじまったら、就職の準備をしてハローワークに同行するのも生活支援員の大切な仕事です。
また、新しい職場に就職するときは不安を感じる人も多いですから、悩みごとを聞いて相談に乗るなど、心のケアもおこないます。
生活支援員はどんなところで働くの?|障害者支援施設・地域活動支援センターなど
生活支援員は、障害者や介護が必要な高齢者が利用する施設に就職します。就職先を選ぶ前に、それぞれの施設の違いを知っておきましょう。
・グループホーム
障害者が共同生活をする施設です。グループホームには「介護サービス包括型」「サテライト型住居」などがあります。
・就労継続支援事業所
就労継続支援障事務所は総合支援法に定められた施設で、就労を希望する障害者の支援をおこなっています。具体的には、労働の機会や生産活動をする場を提供、就職に必要な訓練のサポートなど。就労継続支援事業所には、雇用契約を結ぶA型と雇用契約結ばないB型があります。
・就労移行支援事業所
障害者の就労をサポートしている点では就労継続支援と同じですが、就労移行支援事業所は障害者に合った職場を探し、就職後の支援も引き続きおこないます。
・地域活動支援センター
障害者に創作および生産活動ができる機会と社会との交流が場を提供し、日常生活と社会的営みができるように支援する施設です。
上記の施設に加えて、高齢者の支援をおこなう場合は、「特別養護老人ホーム」「老人ホーム」「ショートステイ」「デイサービス」「在宅介護支援センター」などの施設があります。
生活支援員を目指すにはどうすればいいの? 資格取得や経験は必要?
どのような仕事にも専門知識が必要になりますから、生活支援員を目指している方はある程度は事前に勉強はしていたほうがよいでしょう。ここでは、生活支援員になるために必要な経験や資格をご紹介します。
生活支援員には資格や経験は必要なし! 未経験でも働ける
介護福祉士になるには国家資格が必要ですが、生活支援員として働くためには資格や経験は必要ありません。しかし、仕事をするには専門知識とスキルが必要です。
現実的には資格要件があることが多く、新卒で入職している人のほとんどは社会福祉系の大学や短期大学、専門学校を卒業しています。また、公共の施設で生活支援員として働く場合には、公務員試験に合格しなければなりません。
持っていると役立つ! 生活支援員におすすめの資格とは?
生活支援員の資格というものはとくにありませんが、生活支援員として働く際に役立つ資格は多いです。ここでは、生活支援員におすすめの資格をいくつかご紹介します。
社会福祉士
ソーシャルワーカーともいわれる社会福祉士は、福祉サービスを利用する人たちの相談に乗ることがおもな仕事です。行政機関や関係機関、および弁護士など専門家との連絡、行政手続きなどもおこないます。
試験は年1回おこなわれ、19科目の筆記試験を受けなければなりません。ただし、この資格は誰でも受けられるものではなく、まずは試験を受けるための受験資格を取得する必要があるのです。
社会福祉士ついてはこちら:社会福祉士とは? 仕事内容や将来性を解説|社会福祉士になるにはどうすればいいの?
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神障害のある人の社会復帰を支援する仕事です。精神科病院や医療施設などで、就職に必要な訓練の援助、就職に関する相談やアドバイスなどをおこないます。
この資格を受験するには、精神保健福祉士を養成する大学などの施設で、精神保健福祉援助実習を受けなければなりません。実習を受けることのできる施設は、受講する年によって変更することがあるので、事前に確認するようにしましょう。
精神保健福祉士についてはこちら:精神保健福祉士とは
介護福祉士
介護福祉士は国家資格で、介護を必要とする高齢者や障害者が自立した生活を送れるように、排泄、歩行、入浴、食事の援助をおこないます。介護の現場ではリーダーとしての仕事も多く、同じ職場のスタッフたちの指導にあたることも多いです。
社会福祉士同様、試験は年1回おこなわれ、13科目の筆記試験を受けます。この資格も、受けるには、まずは受験資格を取得する必要があるのです。
介護福祉士についてはこちら:介護福祉士とは
社会福祉主事
社会福祉主事は資格ではなく職名の一種で、社会福祉主事になるためには社会福祉主事任用資格が必要です。社会福祉主事任用資格は、厚生労働大臣が指定する科目の3つ以上を大学また短大で履修し、卒業すれば取得できます。
ただし、ほかの資格とは異なり、任用資格だけでは社会福祉主事にはなれません。公務員試験に合格したあと、福祉事務所に就職して晴れて社会福祉主事になることができます。
社会福祉主事についてはこちら:介護職種ガイドBOOK 社会福祉主事編
生活支援員の月給・平均年収はどれくらい?
生活支援員の給料は、どれくらいの金額がもらえるのでしょうか。ここでは、生活支援員の月給と平均年収についてご紹介します。
生活支援員の給与相場はどれくらい?
生活支援員の給与相場は、2019年度では月給が約21万円で年収は397万9,000円です。「令和2年度 賃金構造基本統計調査」によれば2020年度の大学卒の初任給の平均は22万6,000円なので、平均年齢が43.8歳の生活支援員の給与相場は高いとはいえません。
しかし、これはあくまでも給与相場ですから、キャリアアップをすれば収入を増やすことはじゅうぶんに可能です。
パート・アルバイトの時給相場はどれくらい?
生活支援員はフルタイムや正社員ではなくても、パートやアルバイトでも働くことができます。パートやアルバイトの時給相場は、1,000~1,500円です。時給は地域によって異なり、都心部のほうが時給は高く、都内であれば1,500円以上のところも多くなっています。反対に、地方では1,000円以下のところも少なくありません。
パートやアルバイトの給与は時給のほかに日給や月給制のところもあり、勤務時間もさまざまです。夜勤のパートやアルバイトは17:00~10:00(休憩120分)と長時間およびますが、施設によっては日給が2万5,000円程度になります。パートやアルバイトでも福利厚生が充実している職場も多いですから、時給だけでなく待遇や手当も考慮して職場を選ぶとよいでしょう。
生活支援員は障害者の日常生活や就労を支援する仕事!
高齢者や障害のある方の日常生活のサポートや社会復帰の手助けをする生活支援員は、たいへんやりがいのある仕事です。資格が必要ないので学校を卒業したばかりの方だけでなく、専業主婦で子育てが一段落した方も生活支援員になることができます。
資格はあったほうがよいですが、まずはパートやアルバイトからはじめて、仕事しながら知識を増やし、のちに資格を取得して正社員として就職することも可能です。人の役に立つ仕事に就きたい方や障害福祉に興味のある方は、生活支援員を目指してみてはいかがでしょうか。
引用元:
厚生労働省 職業情報提供サイト 障害者福祉施設指導専門員(生活支援員、就労支援員等)
厚生労働省 社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省 精神保健福祉士について
厚生労働省 介護福祉士の概要について
厚生労働省 社会福祉主事について