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特集・コラム 2022-10-06

ホームヘルパー1級の正式名称って?介護職員実務者研修との違いと制度変更の背景について詳しく解説

ホームヘルパーは、生活上で介護が必要な方のために、普段の暮らしをサポートする仕事。介護を必要としている方の多くは、外部に接する機会が少なくなるため、ホームヘルパーは心理的ケアにも携わる介護のプロフェッショナルといえます。そんなホームヘルパーになるための資格の種類は複数あります。

この記事では、ホームヘルパーとして働きたい方へどのようなキャリアを積んでいけばよいのかまとめました。「ホームヘルパー1級を持っていれば介護福祉士の国家試験は受けられる?」「内容にどんな違いがあるのか?」といった疑問をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。

ホームヘルパー1級の正式名称は「訪問介護員1級養成課程」

「ホームヘルパー1級」は、資格の正式名称としては現在使われていません。介護資格としてのホームヘルパー1級の正式名称は「訪問介護員1級養成課程」です。

かつては、ホームヘルパー2級から1級、といったようにホームヘルパーの資格として呼ばれていました。しかし2013年に大きく内容が変わり、それに伴って正式名称も変更となりました。

ホームヘルパー1級と介護職員実務者研修は違う

ホームヘルパーの1級・2級と介護職員実務者研修は、名称だけでなく内容にも違いがあります。それぞれの資格は、どのように違いがあるのかチェックしていきましょう。

必要な知識・技術の違い

かつてのホームヘルパー1級資格内容は、訪問介護員としてメインに働くための内容となっていました。しかし、介護の多様性が求められている中で、より高度な介護技術が必要とされています。ホームヘルパー1級では、経管栄養やたん吸引といった医療的ケアも携われるようになります。

ただし、別途研修を受ける必要があることに留意しましょう。

ホームヘルパー1級は介護福祉士の受験条件を満たせない

ホームヘルパーとして働いてる中で、キャリアアップを考える方も多いのではないでしょうか。介護業界でステップアップする場合、介護福祉士を目指す方が多い傾向にあります。

しかし、実はホームヘルパー1級を持っているだけでは、介護福祉士国家試験を受ける際の条件を満たせません。受験するためにはカリキュラムを追加で受講する必要があります。

ホームヘルパー1級受講者は追加受講で実務者研修を取得できる

ホームヘルパー1級をすでにお持ちの方は、追加で研修を受講すれば実務者研修を取得できます。実務者研修を修了すれば、次のステップである介護福祉士の国家試験を受験できる条件を満たせます。

ホームヘルパー1級から介護職員実務者研修に制度変更された理由

なぜ、すでにあるホームヘルパー1級という資格試験制度が、介護職員実務者研修の受講に変わったのでしょうか。その理由について解説していきます。

理由①介護の質の向上

制度変更された理由の1つ目に、介護の質を向上するという狙いがあります。介護現場は常に人材不足に陥っており、新しい人材を育成している状況です。しかし新しい人材を育成する中で介護福祉士を目指すには、ホームヘルパー1級を持っていなくても、さまざまなルートから受けることが可能でした。

福祉業界以外のあらゆる方面から取得可能であったため、「国家資格」という名目欲しさに実務経験の全くない介護福祉士が多く存在していました。

そのような現状からより質の高い介護士を育成していくため、実務経験がないと取得できないホームヘルパー1級の内容に研修を付け加え、介護士のプロ資格である「介護職員実務者研修」としました。現在では、介護の実務経験がある質の高い人材が、わかりやすいルートを選択しながら介護福祉士を目指せるようになっています。

理由②キャリアパスの一本化

制度が変更された理由の2つ目としてキャリアパスの一本化があります。制度が変更される以前は、介護福祉士を目指すのに何の資格から取得すればよいのかわかりにくい状態でした。

内容は、介護職員実務者研修と重複するところがあるにもかかわらず、さまざまな資格が存在していました。その後以下の通り、介護福祉士を目指すためのキャリアパスが統一されます。

ホームヘルパー2級→介護職員初任者研修
ホームヘルパー1級→介護職員実務者研修
介護福祉士

キャリアパスの統一により、優秀な介護士を育成するための道筋がシンプルになり、誰でも目指しやすくなったといえます。

ホームヘルパー1級から介護福祉士へキャリアアップするためには

ホームヘルパー1級保有者の中には、介護福祉士へキャリアアップしたいという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、ホームヘルパー1級をすでに保有し、介護福祉士を目指しているものの何から始めたらよいのかわからない方へ向けて、キャリアアップの方法を解説します。

ステップ①介護職員実務者研修の修了

介護福祉士へキャリアアップする上で、介護職員実務者研修の修了は必須です。ホームヘルパー1級試験は、介護職員実務者研修の修了とほぼ同レベルの介護資格とされているため、内容が重複している部分もあります。

介護職員実務者研修は、全部で20科目あります。時間にするとおよそ450時間です。ホームヘルパー1級をすでに取得済の方は、450時間受講する必要があるところを、355時間相当の研修受講が免除になります。ホームヘルパー1級取得者が、新たに受講する必要のある研修内容は「医療的ケア」「研修過程Ⅲ」です。

その2つを受講することによって、たん吸引といった医療的ケアにまで携われます。介護士としてもレベルアップできる上、給与アップに繋がるケースもあります。

ステップ②3年以上の実務経験と実務者研修の修了の受験条件を満たす

介護福祉士の資格試験を受験するには、介護職員実務者研修修了のほかに、実務経験を3年以上積む必要があります。この2つの条件を満たさなければ、介護福祉士の試験を受けることはできません。

介護職員実務者研修は、誰でも受験が可能で需要のある研修制度のため、気軽に取ろうとしている方も多く見受けられます。しかし、その先の介護福祉士へキャリアアップするには、介護現場での実務経験が3年以上必須とされるため注意が必要です。

ステップ③介護福祉士の国家試験を受験する

介護福祉士は国家資格です。3年以上の実務経験と実務者研修修了の受験条件を満たしているなら、国家試験を受験する準備をしていきましょう。毎年1月に筆記試験が行われます。実務者研修修了後に受験する方が多いため、ほとんどの方は実技試験が免除になります。

筆記試験に合格したいなら、ひたすら過去問や参考書の問題を解くのがおすすめです。

介護福祉士の国家試験合格基準

問題の難易度はその年によって変わりますが、介護福祉士の国家試験合格基準は70%前後です。また、出題される11項目のすべてに得点があることが合格の条件です。

合格できない場合、再受験できるのは1年後となるため、自信のある方でもしっかり対策することをおすすめします。

ホームヘルパー1級から介護福祉士取得を目指し将来の可能性を高めよう

現場では、介護職員実務研修の受講と、ホームヘルパー1級の資格内容は、ほぼ同レベルの資格とされています。しかし、介護職員実務研修を修了すれば、介護士としてのキャリアアップを目指せるようになります。介護福祉士になれば、介護士としての技術や知識、実務に関することにも精通しているというアピールにも繋がります。

ホームヘルパー1級をお持ちの方は、ぜひ積極的に介護福祉士取得を目指し、将来の可能性を広げていきましょう。

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