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特集・コラム 2023-06-01

ホームヘルパー(訪問介護員)になるために必要な資格とは?仕事内容や給料も紹介

訪問介護員を目指したいけれど、働くためになにが必要か知りたい方もいるのではないでしょうか。訪問介護員で働くためには、介護職員初任者研修以上の資格を保有していなればいけません。

今回の記事では、訪問介護員になるために必要な資格のほか、仕事内容や給料も紹介します。

ホームヘルパー(訪問介護員)になるために必要な資格


訪問介護員として働くためには、認定の資格が必要です。ここではホームヘルパーとして働くための資格についてまとめました。

必要な資格①介護職員初任者研修の修了

訪問介護員として働くには、介護職員初任者研修の修了が最低条件です。介護職員初任者研修は、介護の基礎的な知識や技術が主な内容で、介護業界の登竜門ともいえます。誰でも受講が可能なため、自宅介護のために受講する方もいるほどです。130時間の講習を受けたのち、筆記試験に合格できれば取得できます。

介護職員初任者研修は各都道府県が指定する研修機関で実施されているため、研修を受講する際は、各都道府県の県庁のホームページページを確認しましょう。ここでは、神奈川県を例に介護職員初任者研修の詳細を紹介します。以下、カリキュラムと研修時間を神奈川県のホームページから引用します。

研修科目 時間数
職務の理解 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
介護の基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化の理解 6時間
認知症の理解 6時間
障害の理解 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
振り返り 4時間

介護職員初任者研修は9科目と振り返りを行います。また、修了までにかかる期間は、週に何度研修を受講でするかで異なるため、1ヶ月~4ヶ月ほど幅があります。受講スケジュールは、無理のないように計画しましょう。

引用:神奈川県:介護員養成研修のページ

必要な資格②介護職員実務者研修の修了

訪問介護員として長く働いていくなら、介護職員実務者研修を受講するのもおすすめです。誰でも受講可能ですが、介護職員初任者研修よりも内容の範囲が広く高度なため、修了までは少々大変かもしれません。しかし医療的なケアなど質の高い介護の分野に携われるようになります。

介護職員初任者研修を修了している方なら320時間、無資格の方は450時間のカリキュラムの受講が必要になります。

介護職員実務者研修は、各都道府県が指定している研修機関で実施されており、年間の開講数や修了までにかかる期間は異なっているため、詳細を知りたい場合は、各都道府県のホームページを確認しましょう。

介護職員実務者研修のカリキュラムを東京都福祉保健局のホームページから引用します。

実務者研修の教育内容                                             時間数          介護職員初任者研修を修了している場合は免除
人間の尊厳と自立 5
社会の理解Ⅰ 5
社会の理解Ⅱ 30
介護の基本Ⅰ 10
介護の基本Ⅱ 20
コミュニケーション技術 20
生活支援技術Ⅰ 20
生活支援技術Ⅱ 30
介護過程Ⅰ 20
介護過程Ⅱ 25
介護過程Ⅲ(スクーリング) 45
発達と老化の理解Ⅰ 10
発達と老化の理解Ⅱ 20
認知症の理解Ⅰ 10
認知症の理解Ⅱ 20
障害の理解Ⅰ 10
障害の理解Ⅱ 20
こころとからだのしくみⅠ 20
こころとからだのしくみⅡ 60
医療的ケア 50
合計 450 320

介護職員実務者研修は、通信制6ヶ月の講座が多いですが、6ヶ月未満で修了できるコースもあります。介護職員実務者研修を受講する際は、自身のスケジュールを考えた決めるといいでしょう。

引用:東京都福祉保健局:実務者研修

必要な資格③介護福祉士

介護の国家資格である介護福祉士の資格で、訪問介護員としての仕事を担うことができます。介護職員実務者研修の修了に加えて、介護の実務経験が3年あることが受験資格のため、目指すのに少しハードルが上がります。

介護福祉士は国家資格のため、社会的な信頼も高く給与やボーナスアップにも期待ができます。

介護福祉士の試験は、筆記試験と実技試験ともに年に1回の開催となっており、第36回試験は、筆記試験1月(令和6年)・実技試験3月上句(令和6年)に予定されています。介護福祉士は受験資格がさまざまなため、自分が受験資格を満たしているかどうか、試験を受ける前に確認しましょう。

受験資格の詳細を公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのページから引用して紹介します。

(1)介護福祉士養成施設(2年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方(注意1)
(2)介護福祉士養成施設(1年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方(注意1)
(3)3年以上(従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(注意2)で、実務者研修を修了した方(注意3)
(4)3年以上(従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(注意2)で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)を修了した方(注意3)
(5)平成21年度以降に、福祉系高校に入学して、必要な科目を履修して卒業した方(注意1)
(6)特例高校(高校:平成21~25、28~30年度・専攻科:平成21~25、28~31年度)に入学して、卒業した翌日以降に9ヶ月以上(従業期間9ヶ月以上(273日以上)、従事日数135日以上)介護等の業務に従事した方(注意2)
(7)平成20年度以前に、福祉系高校に入学して、必要な科目を履修して卒業した方
(8)経済連携協定(EPA)であって、3年以上(従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(注意4)

(注意1) 令和5年3月31日までに卒業する見込みの方を含みます。
(注意2) 令和5年3月31日までに従事する見込みの方を含みます。
(注意3) 令和5年3月31日までに修了する見込みの方を含みます。
(注意4) 介護等の業務については、令和5年3月31日までに従事する見込みの方を含みます。

これらのなかから、いずれかひとつの条件を満たしていなければいけません。また、介護福祉士試験を受けるためには、18,380円の受験手数料がかかります。

ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容と1日のスケジュール


訪問介護員という職業は、正式には「訪問介護員」といいます。訪問介護員は、障がいを持つ方や高齢者などが日常生活を送りやすいよう、サポートをするプロフェッショナルのことです。

利用者の自宅へ直接訪問し、ベッドから起き上げる瞬間から仕事が始まるケースも。洗濯や買い物、掃除など「生活支援」と呼ばれる身の回りの家事サポートまで行います。

主な仕事内容①身体介護

食事や排泄、入浴などの介助のことを「身体介護」といいます。身体介護はその名の通り、利用者の身体に触れて行う介護のことです。できない身の回りのことを代わりに行うというよりは、利用者本人ができる限り自分の力で行えるようにサポートする役目になります。

主な仕事内容②生活支援

掃除や洗濯、流動食の調理、生活必需品の買い物などの補助は「生活支援」です。家事代行と認識する方も多いかもしれませんが、ここでは要介護者の日常生活をサポートするという基準で支援が行われます。そのため、同居家族の食事調理や洗濯、大掃除などは行いません。

ホームヘルパーの1日のスケジュール

以下は、訪問介護員の1日の流れの一例です。

【8:00~9:00】
事務所に出勤し、準備を整えたら利用者宅へ訪問。利用者やご家族へ1日のサービス内容について説明。

【9:00~12:00】
排泄の介助や着替えの介助を行います。洗顔や歯磨きなど身の回りを整えたら食事の介助へ。誤嚥(ごえん)に気を配りながら、ゆっくり食べられるように食事をサポートしていきます。

【12:00~16:00】
食事の介助が終了したら、服用している薬の内容を一緒に確認し、投薬のサポートを行います。少し時間を空けたら、最後に入浴の介助へ移ります。洗髪や清拭の行き届かないところを中心に援助します。

【16:00~17:30】
訪問先での業務を終え、事務所に戻ります。事務所で介護記録に1日のサービス内容について記録し、退勤。

ホームヘルパー(訪問介護員)の給料


訪問介護員として働くうえで、給料面は気になる要素のひとつでしょう。そこで、訪問介護員の平均給与・月給や日給・年齢別の給与を厚生労働省が公表しているデータを用いて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

訪問介護事業所で働いた場合の平均給与

厚生労働省が公表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、訪問介護事業所の平均給与額は、以下の通りです。

令和3年(2021年) 令和2年(2020年)
常勤の者 314,590円 307,850円
非常勤の者 201,120円 199,920円

厚生労働省のデータでは、10個の介護施設や事業所の平均給与額が公開されており、そのなかで、介護老人福祉施設の常勤者の平均給与額34万5,590円(令和3年)が最も高く、訪問介護事業所は常勤者のなかで4番目に位置しています。

常勤・非常勤の給与額

訪問介護員の日給や時給も気になるかもしれません。そこで、先ほどと同じ厚生労働省のデータを用いて紹介します。

日給 時給
常勤の者 12,048円 1,394円
非常勤の者 11,182円 1,663円

このデータは、令和3年の訪問介護事業所に務める常勤と非常勤のデータです。日給や時給に限らず、給与のデータは介護施設や事業によって業務内容が異なるうえに、働き方によっても給与が異なることを覚えておきましょう。

年齢別の給与

訪問介護員の場合、年齢と性別でどれほど給与に差があるのでしょうか。これらについても厚生労働省のデータを基に、訪問介護事業所に勤めている場合の平均給与を年代別で男女に分けて紹介します。

男性 女性
29歳以下 299,080円 296,890円
30歳~39歳 349,940円 292,570円
40歳~49歳 346,180円 301,660円
50歳~59歳 324,910円 323,200円
60歳以上 306,280円 293,310円

これらのデータから、男性は30歳~40歳、女性は40歳~50歳がピークになっていることがわかります。訪問介護員の給与は、介護施設や事業所によって異なるため、少しでも高い給与を得るためには、求人で手当や給与目安を確認するといいでしょう。

ホームヘルパー(訪問介護員)の魅力


訪問介護員は、ひとりで日常生活を送ることが困難な方の自宅を訪問し、サポートすることが仕事です。そんな訪問介護員の仕事には、どのような魅力があるのでしょうか。訪問介護員の魅力を3つ紹介します。

1.働き方の自由度が高く自分のライフスタイルに合わせることができる

訪問介護員は、正社員だけでなく、登録ヘルパーという働き方もできます。登録ヘルパーとは、訪問介護事業所に登録をして、勤務時間や曜日を指定する働き方のひとつです。フルタイムで働く正社員よりも働き方の自由度が高いため、自分のライフスタイルに合わせて働ける点が魅力です。

2.利用者に寄り添ったケアを行うことができる

介護施設や事業所では、介護職員ひとりに対して複数の利用者を担当する場合が多いです。対して、訪問介護員は、ひとりの利用者を担当することが一般的です。そのため、利用者に寄り添ったケアを行うことができ、親交を深めることもできるでしょう。

複数の利用者を担当することに負担を感じる方もいるかもしれません。そのような方にとって、訪問介護員は、魅力的に感じるはずです。

3.キャリアアップを目指すことができる

訪問介護員に限らず、介護職はキャリアアップを目指せることが魅力です。キャリアアップを目指すためには、経験年数を積むほかに資格を取得する方法があります。介護職は、今回紹介した3つの資格以外にもさまざまな資格があり、それぞれ特徴が異なります。

たとえば、ケアマネージャー(介護支援専門員)は、要介護者や要支援者の心身状況に応じて、ケアプランを作成することが主な仕事です。この資格を取得するには、受験資格を満たさなければいけませんが、資格を得ることで給料アップなどのキャリアップが見込めるため、訪問介護員からキャリアップを目指す際は、挑戦してみてください。

ホームヘルパーになるために必要資格を取得しよう


訪問介護以外の介護施設や事業所の場合、ひとりで複数の利用者を担当しますが、訪問介護員は、基本的にひとりで利用者の自宅を訪れて、日常生活のサポートをします。そのため、ひとりの利用者に集中してケアを行うことができるでしょう。

また、訪問介護員は、自分のライフスタイルに合わせた働き方もできることが魅力です。しかし、訪問介護員として働くためには、介護職員初任者研修以上の資格の保有していなければいけません。

これから、訪問介護員を目指す方は、資格の詳細をよく確認したうえ受けるようにしましょう。

引用
神奈川県:介護員養成研修のページ
東京都福祉保健局:実務者研修
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験
厚生労働省:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

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