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特集・コラム 2025-01-10

ホームヘルパー(訪問介護員)に必要な資格は?最新の平均給与と働く魅力もご紹介

訪問介護員として働くために、どんな資格が必要か知りたい方もいるのではないでしょうか。訪問介護員として働くためには、介護職員初任者研修や介護職員実務者研修、介護福祉士などの資格を保有していなければいけません。

介護職員初任者研修からスタートして、ステップアップしていくのがモデルケースです。

今回の記事では、訪問介護員になるために必要な資格のほか、キャリアアップに役立つ3つの資格や訪問介護員の最新の給料、働く魅力についても紹介します。

ホームヘルパー(訪問介護員)になるために必要な資格

訪問介護員として働くためには、介護職員初任者研修や実務者研修など、認定の資格が必要です。ここでは訪問介護員として働くための資格についてまとめました。

各資格のカリキュラムや試験の概要など、どれも訪問介護員になるための必須知識ばかりです。また、ホームヘルパーの資格についても触れているので合わせてチェックしましょう。

必要な資格①介護職員初任者研修の修了

訪問介護員として働くには、介護職員初任者研修の修了が最低条件です。

介護職員初任者研修は、介護の基礎的な知識や技術が主な内容で、介護業界の登竜門ともいえます。誰でも受講が可能なため、自宅介護のために受講する方もいるほどです。130時間の講習を受けたのち、筆記試験に合格できれば取得できます。

介護職員初任者研修は各都道府県が指定する研修機関で実施されているため、研修を受講する際は、各都道府県の県庁のホームページページを確認しましょう。

ここでは、神奈川県を例に介護職員初任者研修の詳細を紹介します。以下、カリキュラムと研修時間を神奈川県のホームページから引用します。

研修科目 時間数
職務の理解 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
介護の基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化の理解 6時間
認知症の理解 6時間
障害の理解 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
振り返り 4時間
合計 120時間

 

介護職員初任者研修は9科目と振り返りを行います。研修の修了までにかかる期間は、週に何度研修を受講でするかで異なるため、1~4カ月ほどと幅があります。

受講スケジュールは、無理のないように計画しましょう。

引用元
神奈川県:介護員養成研修のページ

必要な資格②介護職員実務者研修の修了

訪問介護員として長く働くつもりなら、介護職員実務者研修を受講するのもおすすめです。

誰でも受講可能ですが、介護職員初任者研修よりも研修期間が長いうえに試験の範囲が広く高度なため、修了までは少々大変かもしれません。しかし医療的なケアなど質の高い介護の分野に携われるようになります。

無資格の方は450時間のカリキュラムの受講が必要ですが、介護職員初任者研修を修了している方は320時間、介護職員基礎研修を修了している方は50時間にまで研修期間が短縮されます。

ただし、介護職員実務者研修は各都道府県が指定している研修機関で実施されており、年間の開講数や修了までにかかる期間は異なっています。各自治体の介護職員初任者研修の詳細を知りたい場合は、各都道府県のホームページを確認しましょう。

介護職員実務者研修のカリキュラムを厚生労働省の発表から引用します。

実務者研修の教育内容  時間数 介護職員初任者研修を修了している場合は免除
人間の尊厳と自立 5
社会の理解Ⅰ 5
社会の理解Ⅱ 30
介護の基本Ⅰ 10
介護の基本Ⅱ 20
コミュニケーション技術 20
生活支援技術Ⅰ 20
生活支援技術Ⅱ 30
介護過程Ⅰ 20
介護過程Ⅱ 25
介護過程Ⅲ

(スクーリング)

45
発達と老化の理解Ⅰ 10
発達と老化の理解Ⅱ 20
認知症の理解Ⅰ 10
認知症の理解Ⅱ 20
障害の理解Ⅰ 10
障害の理解Ⅱ 20
こころとからだのしくみⅠ 20
こころとからだのしくみⅡ 60
医療的ケア 50
合計 450 320

 

介護職員実務者研修は、通信制6カ月の講座が多いですが、6カ月未満で修了できるコースもあります。介護職員実務者研修を受講する際は、自身のスケジュールを考えたうえで決めるといいでしょう。

引用元
厚生労働省:介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について
厚生労働省:実務者研修の受講のための負担軽減策

必要な資格③介護福祉士

介護の国家資格である介護福祉士の資格で、訪問介護員としての仕事を担うことができます。介護職員実務者研修、もしくは介護職員基礎研修と喀痰吸引研修等の修了に加えて、介護の実務経験が3年あることが受験資格のため、目指すのに少しハードルが上がります。

介護福祉士は国家資格のため、社会的な信頼も高く給与やボーナスアップにも期待ができます。

介護福祉士の試験は、筆記試験と実技試験ともに年に1回の開催となっており、第37回試験は、筆記試験が1月26日(令和7年)に予定されています。以下に紹介するように、介護福祉士は受験資格がさまざまあるため、自分が受験資格を満たしているかどうか、試験を受ける前に確認しましょう。

1.介護福祉士養成施設で2年以上、もしくは福祉系大学などを卒業後に介護福祉士養成施設に1年以上通って卒業した者
2.介護職員実務者研修、または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了し、なおかつ3年以上の実務経験をもつ者
3.福祉系高校の卒業者(平成20年度以前、平成21年度以降)、もしくは特例高校を卒業し9カ月以上の実務経験をもつ者
4.EPA介護福祉士候補者で、なおかつ3年以上の実務経験をもつ者

これらのなかから、いずれかひとつの条件を満たしていなければいけません。また、介護福祉士試験を受けるためには、1万8,380円の受験手数料がかかります。

引用元
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験:試験概要
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:受験資格(資格取得ルート)

ホームヘルパー1級・2級は廃止撤廃された

ホームヘルパー1級や2級などの資格は、平成19年度の法改正によって廃止されました。旧ホームヘルパー2級は介護職員初任者研修、ホームヘルパー1級は介護職員実務者研修に統合される形です。介護職員実務者研修において、ホームヘルパー2級修了者に必要な受講時間は320時間、ホームヘルパー1級修了者は95時間と優遇措置が受けられるのが特徴です。

キャリアパスを簡素化し、不足する介護人材を確保するための制度設計だといえます。

引用元
厚生労働省:介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について

訪問介護員のキャリアアップに役立つ3つの資格

訪問介護員としてのキャリアアップを目指すためには、専門性の高いプラスアルファの資格を取得するのがおすすめです。中でも人気があるのは認定介護福祉士や喀痰吸引等研修など、訪問介護員としての業務の幅を広げ、自分の専門性を高められるような資格です。

訪問介護員としてのキャリアアップを目指すなら要チェックですよ。

1.認定介護福祉士|介護福祉士を取得後にさらにスキルアップ

認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格にあたる民間資格です。

介護福祉士の資格を保有していることが前提で、介護福祉士としての実務経験が5年以上あるうえに、介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴があり、研修実施団体が課すレポート・試験で一定以上の成績をおさめている方が受講できます。

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類(13科目)、認定介護福祉士養成研修Ⅱ類(9科目)の計22科目を修了したら、機構による審査を受けたあとに認定証が公布されるという流れです。

訪問介護員のキャリアアップとして介護福祉士を取得したあとに、より高度な専門資格を取得したいと考えている方は、認定介護福祉士の資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

引用元
認定介護福祉士認証・認定機構:認定介護福祉士になるには

2.喀痰吸引等研修|介護職員プラスアルファの業務に活かせる

喀痰吸引等研修は、喀痰吸引や経管栄養の業務に従事するために必要となる資格です。喀痰吸引等研修には1〜3号まであり、以下のような違いが挙げられます。

資格の種類 できること 講義・研修の内容
1号 喀痰吸引及び経管栄養について、対象となるすべての行為 ・講義(50時間)

・演習

・実地研修

2号 喀痰吸引(口腔内及び鼻腔内のみ)及び経管栄養(胃ろう及び腸ろうのみ) ・講義(50時間)

・演習

・実地研修

(気管カニューレ内吸引、及び経鼻経管栄養を除く)

3号 特定の方のみに喀痰吸引や経管栄養をおこなう ・講義及び演習(9時間)

・実地研修

 

このように、喀痰吸引等研修は類型によって対象者とできることが異なります。訪問介護員として携われる業務の幅を広げるために、喀痰吸引等研修の受講を検討してみましょう。

引用元
厚生労働省:喀痰吸引等研修~研修課程(1)

3.認知症ケア専門士|認知症ケアの専門知識をつける

認知症ケア専門士は、一般社団法人 日本認知症ケア学会が認定する更新制の資格で、認知症介護従事者の知識・スキルの向上を目的に創設された民間資格です。過去10年間に3年以上の認知症ケアの実務経験を有している方が受験できます。

試験は各分野50問、4分野合計200問のマーク式の五者択一の1次試験と、論述試験の2次試験があります。合格後は倫理研修で研修動画を視聴し、登録申請後に資格取得が可能です。

さらにステップアップしたい方は、認知症ケア上級専門士の資格にも挑戦できます。

認知症ケアに携わっていて、専門性を高めたいと考えている方におすすめです。

引用元
認知症ケア専門士 公式サイト:認知症ケア専門士
認知症ケア専門士認定試験:制度の流れ

訪問介護員の給料

訪問介護員として働くうえで、給料面は気になる要素のひとつでしょう。そこで、訪問介護員の平均給与・月給や日給・勤続年数別の給与を厚生労働省が公表している最新データを用いて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

訪問介護員の給与をチェックして、どのような働き方を目指すのかを考えてみましょう。

訪問介護事業所で働いた場合の平均給与額

厚生労働省が公表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職として働く常勤スタッフの平均給与額は23万9,800円でした。

その一方で、訪問介護事業所で働くスタッフの平均給与額は以下のとおりです。

令和4(2022年) 令和3年(2021年)
常勤の者 25万3,740円 24万4,090円
非常勤の者 18万4,950円 17万4,720円

 

厚生労働省のデータでは、10個の介護施設や事業所の平均給与額が公開されており、そのなかで、訪問介護事業所の常勤者の平均給与額25万3,740円(令和3年)が最も高くなっています。

引用元
厚生労働省:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果

常勤・非常勤の平均給与額

訪問介護事業所で働くスタッフの日給や時給も気になるかもしれません。そこで、先ほどと同じ厚生労働省のデータを用いて紹介します。

日給()は令和3年のデータ
時給()は令和3年のデータ
常勤の者
-(7,950円)
1,120円(1,090円)
非常勤の者
9,430円(9,130円)
1,290円(1,280円)

※常勤の日給は集計対象数が10未満のため、データなし

このように、令和3年から令和4年にかけて給与水準は上昇傾向にあり、日給や時給に換算すると常勤よりも非常勤の方が給与が高い傾向にあります。

ただしこのデータは、令和4年の訪問介護事業所に務める常勤と非常勤のデータです。日給や時給に限らず、給与のデータは介護施設や事業によって業務内容が異なるうえに、働き方によっても給与が異なることを覚えておきましょう。

勤続年数別の平均給与額

訪問介護事業所で働くスタッフの勤続年数別の平均給与は以下のとおりです。

勤続年数 平均給与額
1年 22万3,720円
2年 23万4,910円
3年 24万5,260円
4年 24万9,520円
5年 24万7,770円
6年 24万2,840円
7年 25万9,220円
8年 25万7,780円
9年 26万6,560円
10年 26万9,590円

 

勤続年数が増えるごとに平均月収もアップしている傾向が見てとれます。

訪問介護員の3つの魅力

訪問介護員は、ひとりで日常生活を送ることが困難な方の自宅を訪問し、サポートすることが仕事です。そんな訪問介護員の仕事には、どのような魅力があるのでしょうか。

訪問介護員の魅力を3つ紹介します。

1.働き方の自由度が高く自分のライフスタイルに合わせることができる

訪問介護員は、正社員だけでなく、登録ヘルパーという働き方もできます。登録ヘルパーとは、訪問介護事業所に登録をして、勤務時間や曜日を指定する働き方のひとつです。

フルタイムで働く正社員よりも働き方の自由度が高いため、自分のライフスタイルに合わせて働ける点が魅力です。

2.利用者に寄り添ったケアを行うことができる

介護施設や事業所では、介護職員ひとりに対して複数の利用者を担当する場合が多いです。対して、訪問介護員は、ひとりの利用者を担当することが一般的です。そのため、利用者に寄り添ったケアを行うことができ、親交を深めることもできるでしょう。

複数の利用者を担当することに負担を感じる方もいるかもしれません。そのような方にとって、訪問介護員は、魅力的に感じるはずです。

3.キャリアアップを目指すことができる

訪問介護員に限らず、介護職はキャリアアップを目指せることが魅力です。キャリアアップを目指すためには、経験年数を積むほかに資格を取得する方法があります。介護職は、今回紹介した3つの資格以外にもさまざまな資格があり、それぞれ特徴が異なります。

たとえば、ケアマネージャー(介護支援専門員)は、要介護者や要支援者の心身状況に応じて、ケアプランを作成することが主な仕事です。この資格を取得するには、受験資格を満たさなければいけませんが、資格を得ることで給料アップなどのキャリアップが見込めるため、訪問介護員からキャリアップを目指す際は、挑戦してみてください。

訪問介護員になるために必要資格を取得しよう

訪問介護以外の介護施設や事業所の場合、ひとりで複数の利用者を担当しますが、訪問介護員は、基本的にひとりで利用者の自宅を訪れて、日常生活のサポートをします。そのため、ひとりの利用者に集中してケアを行うことができるでしょう。

また、訪問介護員は、自分のライフスタイルに合わせた働き方もできることが魅力です。しかし、訪問介護員として働くためには、介護職員初任者研修以上の資格を保有していなければいけません。キャリアアップを目指す方は介護職員実務者研修や介護福祉士、そのほかの関連資格についても調べて、自分自身のスキルアップにつながる資格に挑戦しましょう。

訪問介護員に必要な資格や、スタッフの平均給与、、訪問介護員として働く魅力についてチェックして、訪問介護員のキャリアをスタートさせてみてはいかがでしょうか?

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