介護職のストレスチェックとは?流れや介護職のストレスの原因、高ストレスな職場の見分け方を紹介
介護職に該当する職種にはさまざまなものがありますが、その多くでは「ストレスがたまりやすい」と感じている方も少なくありません。長期的に介護業界で働き続けるにはこのことをよく理解し、ストレスチェックなどを上手に活用することが大切です。
ここでは、そんな介護業界におけるストレスチェックの詳細やストレスの原因、高ストレスな職場の見分け方などを確認しておきましょう。
ストレスチェックって何?介護職員のメンタルヘルスを守る
ストレスチェックとは、介護職員のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐためのものです。労働安全衛生法では、職員数が50人以上の職場におけるストレスチェックの実施を義務化しました。
また、同法では職員数が50人未満の事業所でもストレスチェックの実施を努力義務としているため、介護職の事業所においてもこのチェックが広くおこなわれています。
ストレスチェックとは
ストレスチェックは介護職に限らず、すべての産業が対象となっています。実際のチェックは57の項目で構成されたアンケートに答える形でおこなわれ、その回答内容からストレスの有無を判断することが可能です。
アンケートの内容は仕事や職場の人間関係に関するものがメインとなり、回答は4つの選択肢からもっとも近いものを選ぶ形となっています。
どうしてストレスチェックをするの?対象となるのは?
ストレスチェックの大きな目的は、仕事におけるストレスを数値化することです。その回答内容次第では必要な業務上の措置を取るなどの対応を事業所がおこなうことあり、職員がメンタルを壊す前に適切な対処をするためのものといえるでしょう。
ストレスチェックの対象となるのは同施設で一年以上の雇用契約を結んでおり、なおかつ一週間の労働時間が同施設職員の4分の3以上である従業員です。
ストレスチェックの大まかな流れ
ストレスチェックは6つの段階で実施され、その詳細な流れは以下のようになっています。
1.対象者への質問票の配布と記入
2.記入内容にもとづいたストレスの負荷など評価と面接指導の要・不要の判断
3.本人への結果の通知
4.該当者への面接指導の実施
5.面接の結果をふまえ、医師からアプローチ方法などに関する意見を聴取
6.医師の意見にもとづいた就業上措置の実施
介護職のストレスの原因|ストレスが溜まりやすい職場の特徴
介護職に従事するうえでは、この職種ならではの代表的なストレスの要因を知っておくとことが大切です。
また、ストレスがたまりやすい職場の特徴に関しては、就職・転職活動をする際にもじゅうぶんに把握しておく必要があります。
パワハラやいじめなど人間関係が悪い
介護職に限らず職員がストレスを感じやすい職場の特徴としては、パワハラやいじめなどが横行していることが挙げられます。また、このことは職員同士の仲が悪い、セクハラが多いといった職場に関しても同様です。
このほか、介護職では利用者によるパワハラ・セクハラがストレスの原因となるケースも少なくありません。これらの人間関係に関わる問題が対処されずに放置されている職場は、総じてストレスが溜まりやすいのが特徴です。
労働基準法違反など法令違反が横行している
労働基準法に反する行為がおこなわれている職場に関しても、ストレスは溜まりやすいでしょう。具体的には、サービス残業の常態化や有休がとれないことなどが該当します。
とくに職員数が足りていない事業所などでは、このような法令違反をおこなわないとサービスを提供できなくなってしまっていることもあり、就職・転職時には事業所内の実情よく確認することが大切です。
利用者への暴力や虐待がスルーされている
ストレスの原因は事業所側の働きかけによって解消することが可能ですが、事業所に問題を改善する意思がなければ劣悪な職場環境が常態化してしまいます。
このことから、利用者への暴力や虐待、あるいは介護放棄などの問題が放置されており、上司に訴えても改善されないような職場でもストレスは溜まりやすくなるでしょう。
人手不足で一人にかかる負担が大きく改善されない
介護業界では人手不足が慢性化しており、そのことが就業者にストレスを感じさせる原因となっているケースも少なくありません。
人手が足りていない事業所のなかには行政への職員数の届け出を水増しするなどし、適切な人員配置をおこたっているところもあるようです。そのような職場では、一人の職員にかかる負担が極めて重くなってしまいます。
採用される前に知りたい。ストレスが溜まりやすい職場の見分け方3選
実際に介護業界で働こうと考えているのであれば、可能な限りストレスが溜まりにくい職場を選ぶことが大切です。
そのためには入社する前には以下の3つのポイントに注意しながら、ストレスが溜まりにくい職場かどうかを確認するとよいでしょう。
1. つねに職員を募集している
就職・転職にともなう職場選びで注意が必要な事業所の特徴としては、つねに職員を募集していることが挙げられます。
常時職員を募集している事業所では、人がすぐ辞めてしまうことにより人手不足が慢性化していることが考えられるため、職場内の環境などに問題があるのかもしれません。
2. 面接などの対応が高圧的
受付や面接時の職員による対応には、事業所の雰囲気が表れやすいです。たとえば、対応した職員が高圧的な事業所の場合、内部ではパワハラなどが横行している可能性も。
また、職員の対応から従業員に対するリスペクトが感じられない場合も、その職場は候補から外したほうがよいでしょう。
3. スタッフに笑顔がない
実際の現場で働くスタッフの表情には、ストレスの有無が表れやすいです。働いているスタッフに笑顔がない、あるいは殺伐とした雰囲気が漂っているような職場は注意しましょう。
慢性的にスタッフに不満が溜まっている可能性が高く、ストレスによる負荷も高くなっていると考えられるからです。
ストレスを感じたら・・対処法を試してみよう
すでに介護職に従事している人が日々の業務でストレスを感じるようになってしまったら、適切な対処をすることで少しでもその負荷を軽減することが大切です。ここでは、その際に効果的な具体的な対処法を見ていきましょう。
上司や同僚に相談してみる
職場内で理解のある上司や同僚がいる場合、ストレスの原因となっている悩みについて相談をしてみるとよいでしょう。
相談をするだけでは問題の根本的な解決にはならないかもしれませんが、同じ職場で働くほかの人に自身の考えていることや感じていることを知ってもらうだけでも気持ちが楽になるかもしれません。
キャリアアップのためだと割り切る
業務上で生じるストレスをどうやっても回避できないという場合には、キャリアアップのためだと割り切り、一時的なストレスとして耐えるという選択肢もあります。
介護業界では豊富な経験や資格が転職時の強みとなることが多いため、現在感じているストレスはそれらを得るうえで避けられないものと考えるのもよいでしょう。
仕事から切り離した趣味を持つ
介護業界に限らず、仕事で感じているストレスを仕事以外のことで解消しているという人は少なくありません。
没頭することで仕事のことを忘れられる趣味を持てば休日だけでもリフレッシュできるため、日々の業務で発生するストレスも一時的なものとして受け流せるはずです。
長期休暇をとってリフレッシュ
仕事そのものによる負担が重く、法律に則った日数の休日があっても心までリフレッシュできないという場合には、思い切って長期休暇をとってみるのも効果的です。
長期休暇を取ることで一度職場から離れてみると気持ちのリフレッシュだけでなく、今後の働き方についても落ち着いて考えられるでしょう。
思い切って環境を変えるために転職
現在の仕事で感じているストレスに耐えられない場合には、現在の仕事での経験を活かして潔く転職をしてしまうのがおすすめです。
思い切って転職をしてしまえば職場環境も変えられるため、現在の職場環境が原因となっていたストレスのすべてを解消できます。
やってみよう!セルフでできるストレスチェック
仕事で感じているストレスに関しては本人がその深刻度を理解し、それに応じた最適な行動を取ることが重要です。そのためには、自身が感じているストレスの度合いを把握するのがよいでしょう。
厚生労働省ではこのようなストレスの度合いを把握するためのセルフストレスチェックツールをWeb上で公開しています。現在の仕事でストレスを感じることが多い方は、利用してみるとよいでしょう。
介護職はストレスが多い?!環境によるので自分に合った職場を見つけよう
一般的に介護職はストレスが多いと思われがちですが、ストレスを感じるのはどの仕事でもあることです。また、生じるストレスの程度は事業所によってばらつきもあり、介護業界全体でストレスが生じやすい状況にあるとは言い切れません。
ストレスに関して重要なのはその深刻度をつねに把握し、耐え切れなくなる前に転職などの行動をとり、自分に合った職場を見つけることです。そのためにも、ストレスチェックなどを上手に活用するとよいでしょう。
※引用元サイト
厚生労働省 改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について