猫背矯正という強みを武器に、地域から世界まで事業を展開!【ボディスプラウト 小林篤史さん】#2
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。前回に続き、神奈川県の宮前平を拠点に活動している株式会社ボディスプラウトの代表、小林篤史さんにお話をお聞きします。
前編では宮前平で開業した理由と開業当時の経営について、そして地方開業を成功させるために大切なことをお聞きしました。後編となる今回は、地域にとどまらない小林さんの多角的な活動についてインタビュー。その活動が地域経営に与える影響をお聞きします。
お話をうかがったのは…
株式会社ボディスプラウト 代表 小林篤史さん
宮前まちの整骨院代表、猫背矯正マイスター。柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。2006年、宮前まちの整骨院を神奈川県川崎市宮前区にて開院。2015年、「治る環境づくり」のビジョンを掲げ、株式会社ボディスプラウトを設立。商品企画開発、治療家の育成、情報発信などを行っている。
Instagram:@atsushi_kobayashi.nekoze
辛い時に励ましてくれた同じ業界の人たちに恩返しを
――小林さんは書籍出版や商品開発など、地域にとどまらない活動をされています。そういった活動を始めたきっかけは?
一番のきっかけは、業界に貢献したいと思ったことでした。僕はあまり業界の人とのかかわりが少なかったんですが、会社を乗っ取られそうになったとき、手を差し伸べてくれたり励ましてくれたのは同じ業界の人たちだったんです。
そのおかげでまた頑張ろうと思えたので、同業界の人たちに貢献するにはどうしたらいいだろうと考え、自分の強みだった猫背矯正を伝えるコンテンツを作り後世に伝えようと思いました。そこで2012年に一般社団法人 日本施術マイスター養成協会を立ち上げたんです。
そうして技術を伝えたりコンサルタント的なサポートの体制は整えたんですが、これだけじゃダメだなという気持ちも芽生えました。最終的には世の中の健康への意識を変えて、この業界の人たちにお客さんを集めなきゃいけないと気づいたんです。
――業界内だけでなく、一般にも目を向けられたんですね。
一般層に高い健康意識の土壌を広げるため、まずは書籍を出版することにしました。本を出して僕の技術を世間に広めることで、その技術を学んだ治療家さんたちのところにもお客様が集まるだろうと。
またストレッチ法を伝える試みも行いましたが、もっと手軽なものでないと一般の方には難しいと考え、「はくだけ」「着るだけ」という商品開発にも着手しました。当時、いわゆる骨盤矯正ショーツなどは、美容面は考えられているけれど、姿勢を考えたものは出ていませんでしたから。
そういった書籍やセミナー、開発した商品を通して一般の方が「なおし方」を知れば、「なおる環境」というものができていく。その意識の変革が、結果として業界全体の底上げにつながる。僕たちはそこに注力していこうと決めました。
地域での集客は、どれだけ本当に「地域密着」できているか
――そういった活動が店舗経営に与える影響はありましたか?
メディアに出ることでお問い合わせをいただくことはもちろんありますが、実はそこまで多くないんですよ。店舗の集客面は、やはり別ものだと思います。
地域での集客というのは、地場にのっとったやり方というものがあるんです。「地域密着」を謳うだけでなく、本当に密着化しているかが重要。僕の整骨院も、スタッフはよく地域の行事などに参加しています。
また小学校や中学校、市民館などでの講演も毎年行っています。それもゆくゆくは集客につながりますし、来院してくださるお客さんの教育にもつながるんですね。「ちゃんとなおそう」という意識を持ってもらうことが、継続した来院につながりますから。
――地域のお客さんの意識を変えることが、売り上げアップにもつながるんですね。
そうですね。地域の整骨院や整体院では、継続した来院がとても大切なんですが、その部分をお客さんの心に頼ってしまうケースは多い。でも人の心は変わります。だから心に頼らず、「なおる仕組み」をしっかり伝えて理解してもらうことが重要なんです。
たとえば糖尿病や高血圧の人は、きちんと継続してクリニックに通いますよね。それは、その必要性を理解しているからです。猫背や腰痛も、それと同じ。
でも整骨院や整体院の場合は、深刻にとらえる人が少ない分、明確なゴール設定も必要になります。このぐらいのペースで、こういう施術を受けると、何カ月でこうなります。そこまできちんと伝えること。ゴールと過程、そして金額まで明確にみえると、あとはお客さんがお金を出せるか出せないかという判断になります。回数券を売るんじゃなくて、コースを売るイメージが大切だと思います。
地域貢献を主軸に、さまざまな社会貢献のステージに取り組む
――書籍出版などの全国に向けた活動と、地域の整骨院経営は、何か区分けをされているんですか?
そうですね。「整骨院は分院展開をしたとしても宮前区内だけ」ということは事業計画でも明確にしています。社会貢献のステージや場所はいくつかあります。その中で、例えば通販などは全世界に対しての社会貢献、日本施術マイスター養成協会はヘルスケア業界に対しての社会貢献と、それぞれ貢献するステージを決めて活動しているんです。
――貢献するステージを事業ごとに分けるのは何故ですか?
広げてしまうと分散してしまうと思うんですよね。とくに整骨院は各院の距離があいてしまうと運営上難しい部分も出てきますし、まずは本社のある宮前区に貢献したいという気持ちもあります。中途半端にならないように、シンプルに地域に貢献できる事業として、これからも続けていこうと思っています。
――最後に、これから地方で開業しようという方にアドバイスをお願いします。
なんだかんだ言っても、一番大切なのは「志」以外ないと思います。「何としてもこれを成し遂げる」というものを見つけること。
僕も会社がつぶされそうになったり、従業員が一気に辞めたり、けっこう大変なことがたくさんありました(笑)。でもやってこられたのは、志があったからだと思います。
その志はキレイなものじゃなくてもいい。例えばお金をたくさん稼ぎたいというものでも僕はいいと思います。その志を明確に言葉にする。それが理念や使命になります。そこに向かって、一歩一歩前に進んでいるか、近づこうとしているのかが重要。それを続けていければ、気づいたら上手くいっていたりするものですよ。
小林さんは多角的な活動を通して、さまざまなステージで社会貢献をしてきました。その土台となっているのが地域に密着した整骨院です。強みとなる技術を武器に、地域から世界まで広い視野を持つ小林さんの活動。地方で整骨院の展開を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
取材・文/山本二季