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ヘルスケア 2022-10-24

山梨移住&開業して9年、地域に根付いたヨガスタジオに【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.75 ヨガスタジオリブラ 大久保千聖さん】#1

地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。今回は、山梨県大月市に移住してヨガスタジオをオープンした、大久保千聖さんにお話をお聞きしました。

前編では、大久保さんが山梨県で開業した経緯、地方での開業当初の苦労などについて教えていただきます。

お話しをうかがったのは…
「ヨガスタジオ リブラ」主宰 大久保千聖さん


神奈川県横浜市出身。大学卒業後、大手ヨガスタジオに入社。2013年12月、山梨県大月市に移住し、「ヨガスタジオリブラ」をオープン。メノポウヨガ®、腰楽スッキリヨガ®を考案し、2022年11月15日に東京都八王子市にて「シーメノヨガスクール」をオープンする。ヨガインストラクターの養成にも尽力している。

Instagram:@li.bra1016

ヨガの普及とビジネス的目線から山梨県に移住&開業

20代で移住&開業し、「ヨガスタジオリブラ」を設立した大久保さん

――まずは開業の経緯と、その際に大月市を選ばれた理由から教えてください。

新卒で大手ヨガスタジオに入社し、3年勤務しました。その間インストラクター業務だけでなく店長も経験しましたが、店舗運営の業務に追われてしまって…。本来、健康であるためのヨガから離れてしまっているように感じたんです。

そこで退職し、フリーランスとして都内や横浜にあるスポーツジムやヨガ教室などで、様々なクラスを担当するようになりました。でもキャリアが豊富で魅力的なインストラクターの方々が多いこと、毎回移動を伴い、施設ごとのコンセプトに見合ったレッスン提供をしていく働き方が、私には合っていないと思いました。

でも生計も立てなきゃいけないし…と切羽詰まったところで、「もうヨガスタジオを開業するしかない!」と考え始めたんです。

――なぜ住み慣れた横浜や都内ではなく、大月市を選ばれたんですか?

10年近く前ですが、横浜や東京はインストラクターもスタジオも飽和状態でした。キャリアも仲間もいない私がヨガスタジオをやっていくにはどうしたらいいか考えた結果、地方でのヨガスタジオ開業を思いついたんです。

地方を選んだ理由は、まずは生計を立てるため。ヨガスタジオが飽和状態な場所で生徒様を取り合うのではなく、新規開拓ができる可能性の高い地方のほうが収益につながると考えました。そして新規開拓ができる場所なら、まだヨガを経験していない方々に、ヨガのよさを普及していけるのではという気持ちもありました。

そこで開業場所選びの条件を2つ決めました。まず、ヨガスタジオが圧倒的に少なく、新規開拓ができそうな場所であること。そして2つめが、都心へ1時間程度で行ける距離であること。キャリアが少ない分、休日に都内へ学びに行ける環境が必要でした。

その条件に合う場所はないかと、埼玉県や栃木県などいろんな地方を探した中で、山梨県大月市に出会いました。当時の山梨県は圧倒的にヨガスタジオが少なく、大月駅は東京の八王子駅まで電車で1時間程度。考えていた開業場所の条件にぴったりだったんです。

単身移住した地方では、地域になじむことが最優先

今ではたくさんの生徒様が集まりますが、
開業当初は地域になじむのに苦労したそう

――大月市を選んでよかったことはありますか?

住み始めて感じたのは、自然豊かで山々に囲まれた環境が、ヨガにぴったりだということです。また地域に溶け込んでいく中で、お野菜や果物などを毎日のようにいただけるようになって。横のつながりの濃い温かい土地だなというのを、身を持って感じました。

――地域になじむまでは大変だったのでは?

移住当初は、やはり心細さを感じましたね。ヨガを広めたいという気持ちで、若さだけの勢いで移住してしまったので(笑)。大雪のときに誰を頼ったらいいのかなとか、地域の情報が回ってこないとか、そういう大変さはありました。

ヨガをお伝えする以前に、地元の方々が築かれた地域の文化や大月市のことを、もっと知りたい、好きになりたいと思いました。だから、地域に溶け込ませていただく姿勢を開業当初からずっと持ち続けています

単身移住して頼れる人がいない中、次第に生徒様や地域の方々が私を気にかけてくださるようになりました。ヨガを広めたくて大月市に来ましたが、結果、地域に溶け込ませていただけるようになりました。

――そういった地域、しかもヨガが浸透していない場所での集客は難しそうです。

当初は、何をどうやったら知ってもらえるのか悩みましたね。9年前はまだSNSも地域にそれほど浸透していませんでしたし、何の媒体を使っていいのかわからない状態で。

試行錯誤した結果、オープン前に新聞の折り込みチラシを大月市内と近隣市内に配布してもらい、オープン後は地域の新聞広告にも掲載しました。そのチラシを見て、オープンの日におひとり来ていただいて。その方は9年経った今でも楽しく通ってくださっていて、感謝しかありません。チラシをまいて本当によかったです。

地方で最大の集客ツールは“人のつながり”

地域のイベントでレッスンを行う様子

――WEBよりも紙の媒体のほうが強いですか?

当時はネット検索からいらっしゃる方というのは少なかったように感じます。他所から来た知らない人がホームページにいいことだけ書いていても、地域の方たちにとっては一歩引いてしまうかもしれないと思いました。だからホームページをきちんと作ったのも、軌道に乗ってからでしたね。

今はみなさん基本的にWEBで検索されていますし、InstagramやLINE登録なども浸透していますよ。でもやはり人のつながりの強さは、ずっと変わらず一番の集客ツールだと思います。

――口コミや人のつながりでの集客が大きいんですね。

そうですね。やっぱりご家族みなさんでいらっしゃるとか、お友だち同士、同級生、ご近所の方々などは多いですね。

また集客面では、大月市という場所がすごく恵まれていたと思います。当時は大月市内だけでなく、近隣市内にスポーツできる場所がほとんどなかったんですね。高速道路で30分かけて来てくださる方もいます。そういった方々は、ホームページを見て来ていただけています。

地方でヨガスタジオを開業するために大切なこと3か条

地方移住してヨガスタジオを開業し、もうすぐ10年目になる大久保さんに、地方開業のために大切なことを教えていただきました。

1.通いやすさ

2.コミュニケーション

3.飽きさせない施策

次回後編では、この3か条について詳しくお聞きしていきます。

取材・文/山本二季

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Information

yoga studio Libra(ヨガスタジオリブラ)
住所:山梨県大月市大月1-11-18 チドリヤ2F

 

C∞MENO yoga school(シーメノヨガスクール)
住所:東京都八王子市明神町4-1-2 ストーク八王子206号室

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