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特集・コラム 2023-01-05

相談支援専門員とは?仕事の内容やなるために必要な実務経験や研修について紹介

障害福祉サービスと障害を持つ人とを繋ぐ役割りを果たしている相談支援専門員について、具体的にどのような福祉サービスを提供しているかや、仕事内容などはご存知でしょうか。
本記事では、相談支援専門員の概要についてや、仕事の内容・なるために必要な実務経験や研修などについて紹介します。相談支援専門員に興味のある人は参考にしてみてください。

相談支援専門員とは?


相談支援専門員は、障害を持つ人やその家族に対して、福祉サービスに繋げたり、悩みをサポートしたりする職種のことです。相談支援専門員の役割は、障がい者が自立して生活ができるようにするためのサポートを充実させるために年々重要視されています。

障害福祉サービスに繋げることだけでなく、住居を確保する際や入居の支援、地域生活で困らないよう相談を受けたり、各事業所と連携して支援を受けられるようにサポートするのも大切な業務の1つです。

相談支援専門員の仕事内容


相談支援専門員の仕事内容は、4つに分類されているのが特徴です。支援の対象と業務内容について具体的に紹介します。

基本相談支援|もっとも基本となる相談を受ける

1つ目は、基本相談支援の業務です。障がい者やその家族の困っていることや悩みなどをヒアリングします。はじめて利用する人もまずは基本相談支援の窓口へ行くとよいでしょう。

相談支援専門員は、障がい者やその家族の相談内容に沿って計画相談支援・地域相談支援・障害児相談支援に繋げます。基本相談支援は、相談支援全体のベースとなっており、幅広い相談内容に対処しなければなりません。

計画相談支援

2つ目は、計画相談支援の業務です。障がい者が福祉サービスを利用するために調整するのが仕事内容となります。

計画相談支援は「サービス利用支援」と「継続サービス利用支援」の2つに分けられるのでそれぞれの概要を確認しましょう。

サービス利用支援

サービス利用支援は、障がい者が「障害者総合支援法」に基づくサービスを受けるために、利用計画案を立てます。市町村の指定による指定特定相談支援事業者が、障がい者ひとりひとりに必要なサービスの利用計画案を立て、その後各サービス事業者との調整をします。

継続サービス利用支援

上記支援が決定しサービスが始まったあとに、トラブルが起きていないかなどを定期的に確認しなければなりません。これを「継続サービス利用支援」と呼びます。

地域相談支援

3つ目は、地域相談支援の業務です。障がい者の福祉サービスの申請や、各機関への連絡・調整などをします。細かく分類すると「地域移行支援」と「地域定着支援」があるのでそれぞれの概要を確認しましょう。

地域移行支援

地域移行支援は、入院や施設に入所している18歳以上の障がい者を対象に退院したあとや施設退所後の支援をするものです。業務の内容は、住む家の確保や入居の際のサポート、福祉サービスの体験・利用の支援などをおこないます。

地域定着支援

地域定着支援は、自立している障がい者に対するサポートをします。障がい者が地域で生活するために必要な支援をするのが仕事です。具体的な業務内容は、緊急時の対応確保・24時間体制での連絡確保などです。

障害児相談支援

4つ目は、障害児相談支援の業務です。障がい者とその家族が児童発達支援センター・放課後等デイサービスなどの利用を希望したときに、障害児支援利用計画書を作成します。

こちらもさらにわけると、「障害児支援利用援助」と「継続障害児支援利用援助」の業務があるので、それぞれの概要を説明します。

障害児支援利用援助

障害児支援利用援助は、障がい児やその家族が通所支援サービスの利用を希望し申請をしたときに、通所給付が決定する前に「障害児支援利用計画案」を作成します。

その後、通所給付が決まったら関連事業所との連携や調整を行い、利用開始までをサポートする支援です。

継続障害児支援利用援助

通所給付が決まって利用を開始したあとは、「継続障害児支援利用援助」をします。サービスを利用する中で、問題がないかなどを定期的にモニタリングし、それぞれのサービスに関連する事業者と連携や調整をする業務です。

相談支援専門員になるには


相談支援専門員に国家資格はなく、専門員になるためには実務経験と研修の修了が必要です。必要な実務経験や、資格の概要について詳しく紹介します。どのような研修が必要なのかもチェックしていきましょう。

必要な実務経験

関わっている業務や持っている資格によって、実務経験の必要年数が変わります。相談支援や介護業務にすでに関わっている場合のそれぞれのパターンを紹介します。

相談支援に関わっている場合

相談支援にかかわる職種の例を以下に挙げます。以下の業務で実務経験が5年以上ある人が対象です。

・医療機関で相談支援業務に従事していて下記に当てはまる人

1.医師・看護師・准看護師・保健師・薬剤師・社会福祉士・理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、歯科医師、助産師、義肢装具士、
歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む。)、精神保健福祉士などの国家資格等を持っている
2.訪問介護員2級以上に値する研修を修了済みである
3.社会福祉主事任用資格を取得している
4.1年以上、施設などで相談支援業務の仕事をした経験がある

・就労支援に関連する相談支援業務をしている
・特別支援教育で進路相談や教育相談をしている
・都道府県知事が上記の業務に準ずると認めた業務をしている

平成18年10月1日から成18年9月30日の期間に、障害児相談支援・身体障害者相談支援・知的障害者相談支援・精神障害者地域生活支援センターに勤務していた人は、通算3年以上で対象となります。

介護業務に関わっている場合

介護(直接支援)にかかわる職種では、医療機関または、施設などで介護業務をしている人・都道府県知事が介護の業務に値すると認めた仕事をしている人が当てはまります。

この条件に当てはまる人の中から、実務経験年数が10年以上の人が、相談支援事業者初任者研修を受講して修了することで、相談支援専門員として従事できます。

資格がある場合

資格がある場合も、持っている資格によって条件は異なりますが、相談支援専門員として従事できます。実務経験が5年以上必要な資格と3年以上必要な資格をそれぞれ以下で紹介します。

実務経験が5年以上必要な資格は、
・訪問介護員2級以上に相当する研修修了者
・社会福祉主事任用資格者
・保育士
・児童指導員任用資格者
などです。

実務経験が3年以上必要な資格は、相談支援・介護等の仕事をしていて、医師や看護師など国家資格が必要な業務期間が5年以上ある人となっています。

必要な研修

相談支援専門員になるために必要な研修は、相談支援従事者初任者研修・相談支援従事者現任研修などがあります。その概要について紹介します。

相談支援従事者初任者研修

相談支援従事者初任者研修は、ケアマネジメントの基本的な姿勢や、地域の障がい者が自立した地域生活を送れるように、必要な福祉・就労・保健・医療・教育等の利用支援や援助技術などを学ぶことを目的とした研修です。

カリキュラムを充実させるために研修制度が見直され、令和2年度から。合計42.5時間の研修など、充実したカリキュラムが実施されています。都道府県別で実施されているので、実施日や流れなどはそれぞれの自治体の情報を確認しましょう。

相談支援従事者現任研修

相談支援専門員の資格は5年ごとに「相談支援従事者現任研修」を受けて更新する必要があります。

相談支援従事者現任研修は、過去5年間に2年以上の相談支援の実務経験があることや、2回目以降の現任研修では、過去5年間に2年以上の相談支援の実務経験があることもしくは現に相談支援業務に従事していることを研修の受講要件としています。

相談支援専門員の主な就職先


相談支援専門員はどのような場所で働いているのでしょうか。主な就職先について紹介します。

相談支援事業所

相談支援専門員の就職先の1つとして「相談支援事業所」があります。相談支援事業所は、一般相談支援事業所・障害児相談支援事業所・特定相談支援事業所の3つに分類されます。

一般相談支援事業所は、基本相談支援・地域相談支援(地域定着支援・地域移行支援)などの業務をします。

障害児相談支援事業所では、継続障害児支援利用援助や障害児支援利用援助などがメインの業務です。

特定相談支援事業所では、基本相談支援・計画相談支援(サービス利用支援・継続サービス利用支援)などの業務にあたります。

基幹相談支援センター

地域の相談支援業務で拠点としての役割を担い、障がい者支援の総合的な業務をしているのが基幹相談支援センターです。障害の程度に関わらず相談できるので、どこに相談したらいいかわからないという人もここに相談するといいでしょう。

相談業務だけが基幹相談支援センターの業務内容ではありません。支援者の人材教育・障がい者の権利を守る・虐待を予防する・地域の相談支援体制を強化する取り組み・地域定着のサポートなども担っています。

要件を確認して相談支援専門員をめざそう


今回は、相談支援専門員についての概要や、仕事の内容・なるために必要な実務経験や研修について紹介しました。

相談支援専門員は、令和2年にカリキュラムが変わり、障がい者への細やかな対応や利用計画の質の向上がより強く求められています。実務経験年数などを確認した上で、相談支援専門員を目指していきましょう。

引用元
厚生労働省:障害者相談支援事業の実施状況等の調査結果について
厚生労働省:計画相談支援のしくみ
厚生労働省:「〇指定計画相談支援の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの」
厚生労働省:相談支援専門員研修制度の見直しに関する今後の取り扱い
厚生労働省:相談支援従事者研修事業の実施について
大阪府:相談支援従事者研修について
厚生労働省:「相談支援従事者研修事業の実施について」の改正について
厚生労働省:相談支援の現状と課題
厚生労働省:障害福祉サービスの利用について
厚生労働省:基幹相談支援センターの役割のイメージ 

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