コメディカルとパラメディカルの違いとは?コメディカルが重要視される理由や職種について紹介
医療の求人や現場などでコメディカルとパラメディカルという言葉を見かけたことはありますか。医療現場になじみがなく、どんな意味なのか詳しくわからない人もいるでしょう。
本記事では、コメディカルとパラメディカルの違いについてや、コメディカルが重要視される理由・職種などについて紹介します。
コメディカルとは
コメディカルとは、医師・歯科医師以外の医療従事者で、医師と協同で医療業務を担う人達のことを指しています。
和製英語で「Co-」は「ともに」という意味の接頭辞で、「medical」は「医療の」という意味を持っており、医師とともに医療に関わる人たちを指します。
医師を中心に、コメディカルに相当するスタッフ達が連携することで、よりよい医療を提供できるという考えのもと、このような総称が使われています。
パラメディカルとはどう違う?
コメディカルに似たものとして、パラメディカルという言葉があります。コメディカルは和製英語、パラメディカルは英語で、日本では主にコメディカルが使われています。
詳しくは後述しますがコメディカル・パラメディカルともに、チーム医療を推進させるために導入され使われている一方で、医師、歯科医師とその他という上下関係を表す言葉にも捉えられたり、定義の曖昧さがあったりするため、問題視されている側面もあります。
コメディカルが重要視される理由
コメディカルが医療の現場で重要視されるのはどのような理由があるのでしょうか。医療の質を高めていくためにも重要な役割を果たすコメディカル。その内容について紹介します。
チームの立場を均等化する
コメディカルは、医療チームでのそれぞれの立場を均等化する役割があります。従来は、医師を中心としたチームで医師の立場が強く、その他の医療従事者が主体性を発揮しづらいというデメリットがありました。
コメディカルは、チーム医療で立場を均等化させ、それぞれが主体性を持って取り組み、役割を果たすことでチームの質を向上させるという目的があるのです。
専門性を発揮する
現在の医療は、高度で複雑になっており、それぞれの専門家の力を合わせて医療に取り組む必要性が生じています。チームの中でそれぞれが持っている知識や専門性を発揮し、力を合わせて解決することが求められているのです。
コメディカルスタッフは資格を持っているだけでなく、自ら学び続ける姿勢を持ち、専門性を高めていくことが大切です。
患者の変化に対応した医療を提供する
コメディカルは、患者と実際に接することが多いという特徴があります。直接触れたり話したりしてコミュニケーションをとる機会も多いため、医師よりも患者の変化に気づきやすくいち早く対応できるというメリットがあります。
最善の医療を提供するためにも患者の変化にすぐに気づけるということは重要なポイントです。
コメディカルからメディカルスタッフへ変わろうとしている
コメディカルという言葉には、「意味する職種の範囲が不明確」「医師とその他というような上下関係を暗示させ、すべての医療人の立場を対等にしそれぞれの専門性を発揮することが原則のチーム医療の精神に反する」などの意見がありました。
そのことからコメディカルの言葉を使用自粛する動きが出てきており、「メディカルスタッフ」という呼び方が徐々に使われるようになっています。
均等な立場でチームを組むということが、医療の現場で重要視されてきていることがわかります。
主なコメディカルの仕事内容
コメディカルという言葉だけではどういう職種の人を指すのか、明確にイメージができないかもしれません。専門性を持ってチーム医療に関わる人達がどのような職種で、どのような業務をするのかを具体的に紹介します。
治療にかかわるコメディカルの職種
治療に携わるコメディカルの職種としては、リハビリに関わる理学療法士・作業療法士・視能訓練士などがあります。
理学療法士は医師の指示のもと、患者の早期回復のために身体の動作をスムーズにするためのリハビリをおこない、作業療法士は、日常生活で必要な入浴・着替えなどができるようなリハビリをします。
視能訓練士は、医師の指示のもと目の検査をおこなったり、機能を回復させるための矯正や訓練をすることもあります。薬剤師・栄養士も治療に関わるコメディカルとして、薬の調合・栄養管理などの業務でチーム医療に携わっています。
また、あん摩マッサージ師・はり師・きゅう師・柔道整復師なども病院での勤務は少数ですが、リハビリに関わるコメディカルとして含まれます。
検査にかかわるコメディカルの職種
検査に携わるコメディカルの職種は、臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技師などがあります。
臨床検査技師は、医師の指示のもと検査をおこない、必要なデータを出すのが主な仕事です。
診療放射線技師は、放射線を用いた検査を医師の指示のもと実施します。医師や歯科医師以外で唯一、放射線を用いた検査ができるのが放射線技師です。
臨床工学技師は、医療機器の管理・操作・メンテナンスなどの業務を主にする仕事です。それぞれ国家資格を取得しており、専門性の高い知識や技術を用いてこれらの業務を担っています。
ケアにかかわるコメディカルの職種
患者のケアに携わるコメディカルの職種は、看護師・介護福祉士・ケアマネジャー・臨床心理士・精神保健福祉士・社会福祉士・助産師・保健師などがあります。
看護師は、医師の診察の際にフォローしたり、医師の指示のもとで医療行為などもおこないます。また、看護師は、患者の介助など幅広く活躍しています。
介護福祉士は、介護サービスの直接的な提供や家族への対応にあたります。ケアマネジャーは、介護を必要とする方や家族からの相談を受けて、介護に関する公的サービスにつなげるための支援などをしています。
社会福祉士は、自立した日常生活を過ごすのが難しい障がい者や高齢者などに対して、必要な支援や公的サービスの紹介などをする仕事です。
臨床心理士は、心理学の知識をもとに、精神的な不調を抱えている人にさまざまなサポートをします。精神保健福祉士は、精神障がい者を対象とした保健・福祉に関わる専門家として活躍しています。
助産師は妊娠している人へのサポートや出産後の体調管理、母乳の指導などをおこない、分娩の立ち合いをします。保健師は乳幼児の健診や健康診断などで相談にのったり指導をするなど、地域の人々の健康をサポートする仕事です。
その他のコメディカルの職種
その他のコメディカルの職種には、診療情報管理士・医療事務・義肢装具士などがあります。
診療情報管理士は、診療の際に記録された情報を分類して管理するのが仕事です。
医療事務は、病院での受付業務や、電子カルテを医師の代行で入力したり、医療費の計算をしたりします。仕事内容は多岐に渡り、病院の運営面で重要な役割を果たしています。
義肢装具士は、人間工学に基づいて義肢を制作するスペシャリストです。医師の診断のもと、事故や病気で足を失った人それぞれにピッタリの義肢や装具をつくり、メンテナンスなどもしています。
コメディカルはより良い医療を支える医師以外の医療従事者
今回は、コメディカルとパラメディカルの違いについてや、コメディカルが重要視される理由・職種などについて紹介しました。
コメディカルは、チーム医療をする上で、それぞれの立場を均等化する大切な役割があり、より質の高い医療を提供するために重要視されています。
近年では、メディカルスタッフと呼ばれることがあり、より立場を均等にしてチームで治療にあたるという傾向が強くなってきているようです。それぞれの専門性を発揮できる環境づくりが今後ますます重要になってくるでしょう。
引用元
厚生労働省:3.コメディカル職員の病棟への配置状況
厚生労働省:これまでの主な議論について