現役看護師の知識を活かし、地域の健康を支えるヨガインストラクターに【Private salon Rin 村田弥穂さん】#1
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、事業運営のための取り組みについてインタビューする本企画。今回は佐賀県佐賀市を拠点に活動しているヨガインストラクターで看護師の村田弥穂さんにお話をお聞きしました。
前編では、村田さんが佐賀市で看護師とヨガインストラクター、セラピストとして活動するようになったきっかけと、自宅サロンでの活動についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
Private salon Rin 村田弥穂さん
大手エステサロンに18年勤務後、看護師に転職。その後、ヨガインストラクターの資格を取得。看護師の仕事と並行しながら、自宅サロン「Private salon Rin」にてマッサージやヨガ、デトックスを提供。地域のフィットネスジムやヘルスケア施設での出張教室も。
看護師、ヨガインストラクター、セラピスト。多方面から健康にアプローチ
――村田さんは看護師、ヨガインストラクター、セラピストを兼業されています。その経緯は?
もともと18年ほど、大手のエステサロンでエステティシャンとして働いていました。その後、看護師に転職したんです。
看護師として働いているなかで、体調を崩したりイライラしてしまったりという不調を感じるようになりました。夫からも「もっと自分のことを大切にしたらどう?」と言われ、一度看護師を辞めて。そのタイミングで自分のしたいことは何なのかを考えました。
そして、それまで10年ほどジムで経験していたヨガを、より深く勉強したいなと思ったんです。その時点ではインストラクターになろうとは考えていませんでしたが、ヨガを深く学ぶため、全米ヨガアライアンスの資格を取りに行きました。
――お仕事にしようと思ったきっかけは?
資格取得のために行った講座が、大人数で海外での合宿というスタイルだったんですが、「資格を取ったら何がしたいか」をみんなの前で宣言をしないといけなかったんです。(笑)
そこで改めて考えたときに、病棟で勤務していたときに見ていた年配の女性たちのことを思い出しました。例えば、骨粗しょう症で骨折してしまって、そのまま動けなくなって…。そんな女性としての将来的な図を見てきたので、そうならないためにできることを、ヨガインストラクターと看護師の知識を通して、みなさんに伝えられたらいいなと思ったんです。
「そんなヨガインストラクターになります!」と宣言したことが、インストラクター活動をするきっかけになりました。
1人1人の健康に向き合うため、自宅サロンをスタート
――現在は看護師にも復職されていますよね。
そうですね。ヨガインストラクターの資格を取って、すぐに復職しました。ただ当時は1人1人に向き合えるかたちで仕事がしたかったので、病棟ではなく訪問看護での復職でしたね。でも結局、今は病棟に勤務しています。
訪問看護で2年ほどお仕事をしましたが、私は40代で正看護師の資格を取ったこともあり、少し自信が持てなかったところがありました。それで、働きやすさやお給料などの面からも、病棟勤務に戻ることにしたんです。
でも、やっぱり1人1人に向き合いたいなという気持ちはあって…。そういった場を作れたらと、自宅サロンを始めました。
――佐賀市内のご自宅でされているサロンですね。1人1人に向き合いたいというのは?
看護師として患者さんに接するとき、健康の大切さを常々感じていました。またヨガを提供しているなかでも、マッサージや整骨院に通っているというお客様がとても多くて。それなら、気軽にヨガもマッサージもできるような、健康についてのアレコレを一カ所で提供できる場所があったらいいんじゃないかと思ったんです。
エステティシャン、看護師、ヨガインストラクターを経験してきて、最終的にはやっぱり「健康でいる」ことがすごく大事だなというところに行き着いたんですよね。だからサロンでは、看護師としての健康に関する知識も取り入れながら、お1人お1人に合わせたヨガやマッサージ、アドバイスなどを提供しています。
病棟での看護師やジムでのインストラクターだと、自分1人に対して大勢の方を見ないといけません。でも自宅サロンなら1人1人にきちんと関われるし、その方の求める健康作りのお手伝いができますから。
――お客様は地域の方が多いですか?
そうですね。家の近くの方と、あとは佐賀市内ではない場所でも教室をしているので、その近くの方も来ていただいています。
だから近所の方に「ヨガやってるんですよ」と言ったら、「あ、じゃあ行っていい?」という軽い感じで来てくださったりすることも多いです。
――自宅サロンですと、ご家族のご理解が不可欠ですよね。
自宅サロンでは、ヨガをするときはリビングで、マッサージは以前息子が使っていた部屋で行っています。自宅サロンもですが、ヨガの資格をとるにあたっても、主人の理解があったことが大きいですね。当時まだ息子は中学生で、それでも1カ月も海外に行けたのは、主人の協力があったからです。
ストレスや疲れにアプローチするヨガやマッサージを提供
――村田さんのヨガやマッサージの特徴を教えてください。
私の場合はヨガでストレッチポールを使ったり、マッサージでは五感に基づいて体を緩ませていくというテーマを掲げたりしています。
今の時代、ストレスを抱えている方がほとんど。その緊張をほどいていただきたいので、五感からのアプローチを取り入れながら施術を行っています。例えば、アロマで嗅覚、チャイムバーで聴覚からリラックスしていただく。そんな工夫をしています。
――では現在は、どんなかたちで活動されていますか?
週に3日は看護師として病棟に勤務しています。それ以外は、ジムや教室でヨガインストラクターとして活動したり、自宅サロンで施術を行ったりしています。ジムは夜が多いので、看護師業務が終わってから行くことも多いですね。
教室は佐賀市外の市村清記念メディカルコミュニティセンターというヘルスケア施設をメインに行っています。そこも少人数制で、目が届く範囲で活動するようにしています。
――地方でヘルスケアの仕事に関わるうえで、大切なこと3か条は?
1.地域やコミュニティに合った方法で取り組む
2.年代に合わせて、わかりやすく伝える
3.喜んでもらえることを提供する
次回後編では、上記の3か条について詳しくお聞きします。
取材・文/山本二季