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ヘルスケア 2024-01-09

『声ヨガ』をきっかけに、介護予防や健康経営まで活躍の幅を広げ続ける!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.124 一般社団法人日本声ヨガ協会 八田幸子さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回はヨガ講師として活動しながらアナウンサーというキャリアを築き、その経験から「声ヨガ」を考案した八田幸子さんにインタビュー。

後編では、八田さんの現在の活動内容、ヘルスケアのお仕事に関わるうえで大切にしていることを教えていただきます。

お話を伺ったのは…
一般社団法人日本声ヨガ協会 代表理事 八田幸子さん

大学在学中、ヨガの発祥地インドにて講師資格取得(RYT200)。指導実績1万人以上。大学卒業後、IT営業を経てアナウンサーに転身。声と心身の関係を探求し、「声で心を整える」をコンセプトに『声ヨガ』を独自開発。また(株)Relook 執行役員 CCO(最高コンテンツ責任者)に招かれ、マインドフルネス瞑想アプリの立ち上げに尽力し、2年で40万DL達成。2022年に一般社団法人日本声ヨガ協会の代表理事に就任。ウェルビーイングな組織づくりのための企業研修やワークショップ開発、健康コンテンツの企画監修や制作など幅広く活動する。

Instagram:@voice_yoga

YouTubeチャンネル:八田幸子

より多くの人にヘルスケアを届けるため
講演活動、講師育成にシフト


――現在の活動内容について教えてください。

一般の方向けの活動としては、『声ヨガ倶楽部』というオンラインスタジオを開催しています。朝6時または9時からの15分、週4回テーマを変えて、気軽に取り組んでいただける内容です。こちらは公認講師やインストラクターの仲間が担当してくれています。不定期で1時間ほどのクラスを開くこともあります。またまた毎年5/8(声の日)に声ヨガフェスタ、12/12(世界嚥下デー)に喉活フェスタを開催しています。

講師を目指す方には、『声ヨガ講師養成講座』も行っています。ヨガ未経験でも、声の仕事をしていなくても、3ヶ月で自分自身と向き合いながら伝えるスキルを身につけることができる内容です。

個人の活動としては、いちヨガインストラクターとしての活動よりも、講演、講師育成やプロデュースに力を入れているところです。

――講演活動では、どんなことを発信されているんですか?

『声ヨガ』に限らず、マインドフルネス瞑想やヨガの視点を活かした睡眠導入法、ストレス対処法、コミュニケーション術などをお話することが多いです。

また企業向けマインドフルネス研修として8週間のプログラムも行っています。マインドフルネスというと即時的な効果を取り上げられることも多いのですが、8週間続けることで脳の海馬という記憶を司る部分のタンパク質密度が高まるという可塑性が確認されているんです。とくに企業では長期的な感情のコントロール力をつけることが目的なので、8週間続けてマインドフルネスを行うことが重要なんですよね。

企業向け研修は7期ほど続けてきて、健康経営推進のため各期の効果測定を公開しているのですが、note読者の方から、一般向けにも実施して欲しいという声をたくさんいただいたため、2024年から誰でも参加できる一般向けプログラムもスタートします

――講演や育成にシフトしていった経緯は?

自分がヨガ講師として活動しているときに、「こんな変化や笑顔をもっと増やしていきたい」と考えるようになりました。1人では時間の限界があるけれど、そんな空間を共有できる人を育成することで何倍にもしていける。そう考えるようになったのが、瞑想アプリ開発とその広がり方です。

ヨガ・マインドフルネス瞑想をリアルで行う良さは格別ですが、時間と場所を選ぶためどうしても限界があります。けれど、アプリを通じて2年で40万ダウンロードという結果が出て、「かたちを変えれば、こんなにも多くの人に届けることができるんだ」と感動しました。そこで「自分×何回」ではなく、もう1つ上の段階でヘルスケアが広がっていく場、時間を作ることができるんじゃないかと思ったんです。

そうしていった結果、一緒に『声ヨガ』を広めてくれる仲間も増えましたし、ヘルスケアを伝える場も広がったと感じます。

ヘルスケアの仕事に欠かせないのは
「安心・安全」のための裏付け


――八田さんがヘルスケアに関わる活動をするうえで大切にしていることは?

大切にしているのは「意図」と「安心安全」です。

1つめの「意図」とは、クライアントが貴重な時間を使って一緒に過ごしてくださる背景に何があるのか、どういう意図を持って参加しているのか、ということです。だから、そのクラスのテーマは言葉の節々で伝えるようにしています。

2つめの「安心・安全」は、適切なガイドもそうですが、なるべく裏付けを持ってお話すること、そして参加者の方が安心して発言できる場づくりです。健康に関する情報は日々アップデートされていて、10年前の当たり前が実は間違っていたということも多々あります。そういった情報をキャッチアップしていくことは、とても大切です。

またヨガはどうしてもスピリチュアルに捉えてしまう方もいらっしゃるので、なるべく海外の論文や研究などにも目を通し、事実としてどんな効果が証明されているかという部分もお伝えできるようにしています。

介護予防のための『声ヨガ』普及、
健康経営にも尽力し、幅広いヘルスケアを届ける

――現在力を入れている活動、今後取り組みたいことを教えてください。

現在力を入れていることの1つは、介護予防のための声ヨガです。自分の口で食べたり飲んだりすること、そして友人と楽しくおしゃべりすることは、生きがいや人生の充足感に大きく関わってくることです。嚥下に関わる筋肉と発声のための筋肉は直結しているので、声ヨガを通して楽しく続けられる誤嚥予防、嚥下機能向上のための「喉トレ」を広めていきたいと思っています。

そのための活動の1つが、「喉トレ健康かるた」です。シニアが見やすい大判印刷を実現するために、クラウドファンディングを実施中で、2024年1月からは一般発売予定です。地域や施設などでのコミュニティ交流が深まったり、札にあるお題(呼吸、運動、歌、会話、挑戦)をきっかけに、健康づくりを楽しみながら喉トレをして健康長寿に役立てられればと思っています。

また、もう1つ力を入れているのが、健康経営のためのヘルスケアです。企業内におけるwell-beingプログラムの企画立案や提供、講演を通じて、健康経営に貢献できたらと考えています。

そのために、単にヨガやマインドフルネスのプログラムを提供するのではなく、企業が何を求めているのかを知る必要があると思い、健康経営を学びアドバイザー認定を受けました。

「安心・安全」を大切にしながら
さまざまな分野と関わり活動の幅を広げて


――これからヘルスケアのお仕事を目指す方にアドバイスをお願いします。

ヘルスケアのお仕事って、すごく幅広いですよね。 でも共通して大切なことを3つあげるなら、第一はやっぱり「安心・安全」だと私は思います。医療も介護も美容も、安心感を持てることはコミュニケーションに不可欠な下地です。そのためにも入念な準備や日々の情報収集は欠かせませんし、学び続けること、同業者とのつながりは大切だと思います。

2つめは「楽しさ」です。それがないと自分も相手もなかなか続きません。予定調和になりすぎず事務的にならず、自他共に好奇心が踊れる時間を少しでも持つことを意識しています。わくわくしている人、楽しんでる人のところには自然と人が集まると感じています。

3つめは「洞察力」。どんなヘルスケア分野でも、目の前の相手のちょっとした変化に気づける洞察力があるとモテるなと思います。(笑)言葉や情報というコンテンツだけでなく、相手のbeingにも目を向けることで「この人はちゃんと見てくれている」という感覚が持てます。ヘルスケアは人生でずっと付き合っていくものなので、長期的な信頼関係のために相手が本質的に発しているものを汲み取る力や努力は大きなスキルだと思います。

誰かにアドバイスするような立場ではなく、私もまだまだです。自分が大切にしていることを挙げてみました。ヘルスケア領域でお仕事を目指されている方のご参考になれば幸いです。


取材・文/山本二季

 

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