趣味のピラティスが仕事に!ピラティス×ヤムナを組み合わせた「NOBIメソッド」を展開【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.128 NORIKOさん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、スペインのバルセロナでピラティストレーナーをしているNORIKOさんにインタビュー。
NORIKOさんは、過去に通訳の仕事やミュージシャンをしていたのだとか。ピラティスに目覚めた経緯とオリジナルの「NOBIメソッド」考案の元になった「ヤムナ」との出会いについてお聞きします。
お話を伺ったのは…
ピラティストレーナー NORIKOさん
30代の頃、ピラティスと出会う。ピラティスの理論にハマり、以後、スペインを拠点に、日本と海外を行き来しながらピラティストレーナーとして活躍。現在は、オンラインサロンをメインに「NOBIメソッド」を広めるための情報を発信中。
さまざまな職種を経験後、ピラティスの理論に興味が湧いて業界へ
――ピラティスに出会うまではどんなことをしていたのですか?
大学生の頃に海外留学をしたことをきっかけに、ほとんどの期間を海外で過ごしてきました。仕事は住む先々に合わせて変えていたので、ピラティスとは全く違う畑のものばかりだったんです。
20代の頃はドイツにいて、航空会社の地上勤務をしていました。それから、ベーシストとしてミュージシャンに転身。インディーズバンドでしたが、ライヴはかなり積極的に行っていました。音楽活動のほかにも、語学を活かした仕事をしてみたいと思い、通訳の仕事も始めました。私がしていたのは舞台通訳。大きな舞台やミュージカルの団体が来日公演をする際の現地スタッフとの架け橋になるような立ち位置で、毎日刺激的でとても楽しかったことを覚えています。
表舞台に立つ仕事と裏方の仕事とどちらの仕事も楽しく活動していたし、今思えばこのときの経験がとても活きていると感じます。
プライベートでの結婚と出産を機に仕事を辞め、香港に移り住んだタイミングで、ピラティスと出会いました。
――どんなきっかけだったのでしょう?
最初は趣味でヨガを習っていたんです。もともと運動に対して苦手意識があったけれど、ヨガの動きは気持ちよくてとても好きでした。出産後も、あまり体の変化を感じられないままヨガを続けていたら、腰を痛めてしまったんです。
どうしようかと調べていたところ、ピラティスを見つけました。始めてみたらびっくり! 相性が良かったのか、あっという間に腰の痛みが消えてみるみる体が変わっていったのです。それから、体が変化した理由が気になって気になって。どの動きがどのように作用し、結果が出たのか、その理論を知りたいと思い、インストラクター育成講座を受けてみることにしたんです。
このとき、トレーナーになることは考えていませんでした。
――では、どうして考えが変わったのでしょうか?
自分が求めていた理論が分かり、それを活かして体を動かしていくことがとてもおもしろく感じるようになりました。気づいたら、いくつかの資格を取得していて(笑)。知識が増えたことで、人に伝えたい気持ちが強くなっていったんですね。
さらに私自身、運動に対して前向きではなかったので、同じく運動に苦手意識がある方でも続けられるピラティスを伝えたいなと。その想いから、当時は香港にあるリハビリ系インストラクターも一緒に働くスタジオでトレーナーデビューしたんです。
――どんなスタジオだったのでしょう?
香港ではとても人気があるスタジオでした。世界中から集まった素晴らしい仲間たちと共に刺激のある場所で学び、働けたことは自分にとって良い経験になりました。
――その後の活動は?
香港のリハビリ系のピラティススタジオで働いたあと、バルセロナに引っ越したタイミングで独立。その後は、バルセロナの旧市街ゴシック地区にピラティススタジオを開き、現在は、スペインから発信するオンラインサロンにて、トレーニングの指導を行っています。
ピラティス×ヤムナを組み合わせた「NOBIメソッド」を考案!
――独立してから、どんなトレーニングを打ち出しているのですか?
今までの経験から私自身が最高のコンビネーションだと思い考案した、ヤムナメソットとピラティスを合わせた「NOBIメソッド」を展開しています。
――「NOBIメソッド」について教えてください。
ピラティス×ヤムナを組み合わせたものが「NOBIメソッド」です。
このメソッドは、日常生活を送る中でズレてしまった骨を「ヤムナ」によって本来の位置に戻しながら、「ピラティス」で筋肉を鍛え直して健康な体を目指します。
――「ヤムナ」とは?
「ヤムナ」は、骨を調整するボディワークのこと。ワークをする際は専用のボールを使用し、骨の質を上げ、骨の間の関節のスペースを開き、筋肉を一つ一つほぐしていきます。骨、筋肉、筋膜、腱、神経、全てに働きかけることができ、本来あるべき姿勢に戻していくことで可動域が広がり、さまざまな不調にアプローチすることができるんです。
――「ヤムナ」を取り入れた理由は?
香港のスタジオで働いていたとき、体が固くてピラティスのフォームができない方が一定数いたことから、体をほぐすことの大切さを感じました。
ほぐす系のストレッチを求めていろいろなワークショップに通っていましたが、なかなか見つけられず。そんなときに生徒さんから「ヤムナを指導している先生を知らないか?」と言われて調べてみたら、「私が求めていたメソッドだ!」としっくりきたのです。
見つけた当時、香港にはヤムナトレーナーがいなかったのですが、しばらく経ってからヤムナの創始者が香港でレッスンをすると聞きつけたんです。受けてみたら、やっぱりこれだと。それからヤムナの資格をいくつか取得し、自分のオリジナルトレーニングに取り入れることにしたんです。
――「ヤムナ」と出会い、トレーニングの幅が広がったのですね。
そうですね。私の中ではヤムナはほぐしながら骨や筋肉の質を上げるだけではなく、精神の安定剤のような存在なんです。
精神的に少し落ち込んでしまったり、元気が出なかったりするときにボールを使ってストレッチをすると、体も心もほぐれていくのが分かります。体に刺激を与えてリラックスすると、自律神経も整えられますからね。
――改めて「NOBIメソッド」を受けると、どんな変化が見られますか?
ヤムナもピラティスもそれぞれ違う場所へアプローチするトレーニングだけど、すごく相性の良い組み合わせだと思っています。
体の縮まっている部位をヤムナボールでほぐしながら伸ばし、余白をつくる。そこへ、骨格を整え、筋肉を強化するピラティスを組み込むことで、体に負担のかかりにくい姿勢と筋力を手に入れることができるんです。体と心の不調を抱えている人にぜひ、おすすめしたいですね。
ピラティストレーナーになる前にさまざまな仕事を経験してきたNORIKOさん。自身の体に変化をもたらしてくれたピラティスの世界に没頭し、現在ではトレーナーとして活動しています。後編では、オンラインでのレクチャーで気をつけていること、今後の展望などについてお話いただきます。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)