社員が誇りを持って働く会社。貢献度が高い、「訪問鍼灸マッサージ」の可能性 「フレアス」貝沼洋之さん
日本の健康を支える治療業界の魅力を紹介する本企画。今回登場いただくのは2000年に山梨で創業し、訪問鍼灸マッサージのサービスを提供する株式会社フレアスです。現在は国内に直営店とフランチャイズをあわせて407拠点(2024年7月時点)を構え、2019年にはマッサージ業界で日本初となる東証グロース(旧:東証マザーズ)上場も果たしました。
前編では入社15年目となり、人材開発部 部長の貝沼洋之さんに、そんな「フレアス」の企業の成り立ちや理念、訪問鍼灸マッサージの仕事とその意義を伺いました。社員を対象としたアンケートでは、ほぼ100%の社員が「この仕事に関わっていることを誇りに思う」と回答するほど、訪問鍼灸マッサージはご利用者様の生活の変化が見えやすく、貢献度を感じやすい仕事だといいます。
お話を伺ったのは・・・
株式会社フレアス
執行役員/直営統括部部長 兼 人材開発部部長
貝沼洋之さん
接骨院勤務などを経て、「フレアス」に入社、現在は入社15年目。人材開発部 部長として、直営店の人事責任者を務める。
「もっと早く出合いたかった」。ご利用者様の声をきっかけに全国展開を開始
――まず、訪問鍼灸マッサージの内容について教えてください。
訪問鍼灸マッサージとは、ご利用者様のご自宅や施設にはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の資格を持ったスタッフが伺い、施術を行う事業です。基本的に訪問鍼灸マッサージは介護保険ではなく、医療保険制度を使ったサービスで、対象となるのは、病気などが原因で筋萎縮、関節拘縮などを併発している方、つまり寝たきりや体を動かしづらい方で、かつ自力での通院が困難な方となります。
そういった方に鍼灸マッサージを行うことで、筋力の維持や向上、関節可動域の維持や拡大などのプラスの効果をもたらすことが期待できます。
――「フレアス」の成り立ちについて教えていただけますか。
2000年に代表の澤登の実家がある山梨県南巨摩郡増穂町で訪問鍼灸マッサージ事業を開始したのが、弊社のスタートです。澤登が所有していた鍼灸マッサージ師の資格を活かして事業を始めると、ご利用者様の笑顔が増えた、生きることに前向きになった、ご家族の介護の負担が減ったと、想像をはるかに超えた反応があったそうです。
――介護の負担も減るのですね。
はい、そういったケースもあります。たとえば寝返りをできなかったご利用者様が自力で寝返りができるようになると、ご家族が定期的に体の位置を変える体位変換を行う必要がなくなります。ご家族の介護の負担がなくなると、家庭のなかに笑顔が増えていき、ご利用者様やご家族から本当に感謝されたそうです。
現在は国内に直営店とフランチャイズをあわせて407拠点(2024年7月時点)を構えていますが、全国展開が始まった理由は、ご利用者様やご家族から、もっと早く訪問鍼灸マッサージを知りたかった、うちの地域にももっと以前からあったらよかったのにという声を多くいただくことでした。まずは地方からということで、福岡、沖縄と徐々に展開を続け、2011年に東京に事務所ができました。
2011年は創業当時からの社名である「ふれあい在宅マッサージ」を「株式会社フレアス」に変更した年でもありました。「フレアス」はふれあいで明日を拓くという意味を込めた造語です。
――会社の理念を教えてください。
「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」が理念です。「フレアス」では「利他の心」を大切にしています。自分の利益だけを求めない行動は、他者だけでなく自分たちも幸せにすることができると考えているからです。
「フレアス」では毎年利益の1%程度を何らかの形で寄付をする取り組みをずっと続けており、過去には被災地への寄付、海外に学校を建設したこともありました。地域のみなさんに支えられて成り立っている事業ですので、社会貢献の視点は忘れないようにしています。
――素晴らしいですね。ホームページを拝見したところ、「看取り難民ゼロを目指す」という会社の使命として掲げていらっしゃいますが、こちらは?
在宅マッサージ事業を進めていくなかで、ここ数年の弊社が大切にしている使命になります。この使命を掲げるきっかけになったのは、いわゆる2025年問題です。2025年には国民の4人に1人が75歳以上の後期高齢者になり、医療や介護など社会保障費の増大が懸念されている問題で、医療や介護のニーズが爆発的に増え、最期の場所が定まらない「看取り難民」が40万人にもなることが予想されています。
2025年問題に対して、弊社ができることとはなんだろうと考えたときに「看取り難民ゼロ」を使命とすることにしました。訪問鍼灸マッサージ事業に加え、2022年には看護小規模多機能型居宅介護事業、2023年にはホスピス事業も展開するようになっています。こういった事業展開を通して、死を辛く悲しい、怖いものと捉えるのではなくて、そこをどう穏やかに自分らしく迎えるか、死の概念を変える取り組みにも挑戦しているところです。
ご利用者様のよりよい生活のために提案し、変化を感じられることがやりがい
――現在、国内に407拠点(2024年7月時点)を展開しているとのことですが、なぜこのように順調に拠点数を増やすことができたのでしょうか。
直営店展開をコツコツ続けてきたのですが、先ほどもお話しした2025年問題が近付くなかで全国津々浦々に展開していくためには、スピード感が追いついていないところがありました。そこで同一業種のM&Aやフランチャイズ展開を始めたことが、拠点数拡大の大きな転機となりました。
――採用の責任者としてさまざまな転職者の方を見てきたと思いますが、「フレアス」に入社してくる方は、どんな点を魅力に感じている方が多いのでしょうか?
個人差はあると思いますが、全国展開の規模感、日本のマッサージ業界で初となる上場企業である安定性は大きいと思います。この業界は未だに師弟制度が残っていたり、国民保険を自分でかけていたりと、福利厚生が整っていないところが多いので、その充実度は大きいのではないかと。また未経験の方に関しては、研修制度の充実を入社の理由に挙げてくれる方も多いです。
――仕事の内容としては、どんなところが魅力なのでしょうか?
ご利用者様の生活の変化を見ることができ、貢献度を感じられる点だと考えています。私は「フレアス」に入社する前は接骨院に勤めていましたが、訪問鍼灸マッサージの仕事に携わるようになって、その差を感じることが多々あったんです。
まず感じたのは治療院に来てもらうのと、こちらからご自宅に行くのではとても大きい差があるということです。ご利用者様のご自宅に伺うと、どういう環境で、どういう背景を持って生活をされているかがひと目で分かりますし、その生活を維持したり、いい変化を起こしたりするためにはどういう機能が必要かということを、生活環境を見ながら検討、提案していけます。
――具体的に、過去にこんな提案をしたという事例はありますか?
壁に飾ってあったお孫さんの写真を一緒に見ていて「孫が今度、結婚するから結婚式に行きたい」と言われたときに、「じゃあそのためには筋力をつけることが必要ですね、一緒にがんばりましょう」と提案したことがあります。こういった提案でご利用者様が前向きになり、体に変化が起きることも珍しくありません。
この仕事は、ご利用者様の手足が伸びるようになったなど姿形に変化があっても何の意味もなくて、施術によってその方の生活がどう変わるかというのがすごく重要な指標になります。その変化を目の当たりにできるのは、施術者にとって大きなやりがいです。また定期的に訪問が可能なので、長く密接に関わることができるのも魅力だと思います。
貢献度を感じられ、どっぷり浸かってしまう人が多い業界
――最後に「フレアス」に応募したいと考えている方にメッセージをお願いします。
スポーツや美容などに携わる仕事と比べると、訪問鍼灸マッサージは地味な業界だとは思うのですが、ご利用者様だけでなく社会への貢献度もとても高く、しかもそれを実感できる仕事だと思っています。実際、社員満足度アンケートというのを毎年とっているのですが、「この仕事に携わっていることを誇りに思うか」という質問に対して、ほぼ100%の社員が「そう思う」と回答しています。
社員の多くが貢献度を一度は味わっており、この業界にどっぷり浸かってしまうケースが多いんです。人の役に立ちたいという気持ちが強い方には、ぜひ入社を検討していただきたいです。
「フレアス」では、社内業務に対する改善案を自由に書いて提出できる「フレアス良くなれ箱」を設置したりと、社員の方たちが働きやすくなる工夫を随所でしていることが見られました。
仕事の社会貢献度が高いだけでなく、こういった風通しのよい会社だからこそ、従業員の満足度も高いのではないでしょうか。
後編では現場スタッフである、神里子さんに登場していただき、仕事のやりがいについてお話しをお聞きします。