ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
介護・看護・リハビリ 2025-03-08

相談員は、十人十色の人生に出会える素晴らしい仕事【介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 寿優和会 社会福祉士、相談員 宮原順子さん】#2

業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。

今回は社会福祉法人 寿優和会の宮原順子さんにお話しを伺います。宮原さんは社会福祉士の資格を所有しており、東京都日野市にあるくらしの自立相談窓口で相談員の仕事をしています。

前編では、宮原さんが相談員の仕事を目指したきっかけや、どのように社会福祉士の資格を取得したのかを伺いました。

後編では資格取得後、どのように仕事をスタートさせたか、今の仕事のやりがいなどについて伺います。宮原さんはこの仕事を、十人十色の人生に出会える魅力的な仕事だと考えているそうです。

さまざまな機関と連携し、チームで支えることができる

就職先に社会福祉法人を選んだ理由について、説明してくれた宮原さん

――資格取得後はすぐに相談員として働きだしたのですか?

相談員に転職すると土曜や祝日が仕事になることもあり少し悩んでしまって、結局相談員として働きだしたのは資格取得から1年ほど経った49歳のときでした。

ただ最終的には家族が背中を押してくれて、就職を決めました。まずは寿優和会の地域包括支援センター(地域に住む高齢者の生活をサポートするための相談、支援窓口)に入り、その後今のくらしの自立相談窓口に移ったんです。

――社会福祉士の資格を活かし、相談員として働く場所は、病院などさまざまあると思いますが、就職先に地域包括支援センターを選んだ理由は?

私の頭のなかにあったのは、まだどこにも相談にかかっていない人と出会える、いわゆる初期相談窓口であること、そしてさまざまな機関と連携し、チームが一丸となっていい支援を模索できる体制があるという2点でした。それが実現できる場所として行き着いたのが地域包括支援センターだったんです。

また最終的には高齢者や障害、子ども、貧困など相談員としての専門分野を持つかもしれないと考えたときに、年齢的にもこれからさまざまな専門施設を数年間ずつ経験していくのは難しいと思ったんです。初期相談の窓口であれば、障害、高齢、子どもなどさまざまな人に出会って、幅広く知識を得られると思いました。

当初、所属していた地域包括支援センターは高齢分野の窓口ではありますが、障害のある方もいますし、貧困状態の方、お子さんがいて引きこもっているなどさまざまな課題を抱えている方がいました。また今のくらしの自立相談窓口はまさに赤ちゃんから高齢の方まで幅広い層が訪れる施設なので、自分のやりたいことに合っていると思ったんです。

相談者からも支えてもらえる。温かい言葉であふれた仕事

仕事のやりがいについて聞くと、次々とエピソードを話してくれた宮原さん

――今の仕事のなかでやりがいを感じることは?

まだここでの仕事は始まったばかりですが、相談窓口と居場所と併設されている施設だからこそのやりがいを感じる部分は多々あります。

まずはその方の人生に寄り添って見守り続ける伴走型の支援をできることです。なんとなく居場所として利用をしている方を、必要に応じて支援につなげることができるんです。

――居場所事業としても、やりがいが大きそうですね。

はい。まず誰でも通える居場所があることを、地域の人たちがとても喜んでくれていることがうれしいですね。どんな人でも来られる居場所なので、3世代くらい年齢の差がある人たちが一緒にテーブルを囲んでおしゃべりしたり、遊んだりしています。

現代というのは、つながりがどんどん失われていて、隣近所に誰が住んでいるかも知らないという社会なのに、ここで顔をあわせると「元気?」と気軽に声を掛け合ったり、地域の人たちがどんどんつながっていきます。私がやりたかったことのひとつに地域のつながり作りもあったので、そういう瞬間を目にするととてもうれしく感じます。

――相談員として心掛けていることはありますか?

相談者の方と信頼関係ができていないと心の内を話すことは難しいと思うので、その人の考えを否定しないことだと思います。共感して受容することはとくに意識していますね

とはいえ私はまだまだひよっこなので、うまく対応できなくて悩むこともよくあります。そういうときは、市役所や、市内にある別のくらしの自立相談窓口の相談員さんをすぐ頼るようにしているんです。ほかにももっといい情報や社会資源があるかもしれないですし、聞けば自分の勉強にもなるので、支えてくださっている方にはいつも感謝しながら頼らせてもらっています。

年齢を重ねているからこそ、仕事に前向きになれる

大変だと思うことがあっても、前向きに仕事に臨めているという宮原さん

――大変だと思うことはありますか?

もちろんあります。体力を使うし、気を遣うような場面も多いですが、でもそういったことを含めてとても楽しいです。十人十色の人生に出会える魅力的な仕事だと思います。0歳から90歳くらいまでの人たちが訪れる場所なので、その幅広い知識にまだまだ追いついていないのですが、だからこそ面白いと感じることは多いです。

――大変だからこそ面白いと感じるのですね。

私が本当にやりたいことができる仕事だから、多少大変なことがあっても、気にならないのかもしれません。私はこの場所や人が、どうしたらもっとよくなるのかを考えたり、サポートに徹するのが好きなんだと思います。

あとは年齢を重ねているからこそ、逆に前向きになれている部分もあるかもしれません。あと10年、15年くらいしかないと思うと、やりたいことに前向きに、貪欲になれるのではないかと思います

――今後、社会福祉士を目指す人へアドバイスをお願いします。

社会福祉士の資格を取得するのは、なかなか勇気がいると思いますが、本当にいいお仕事なので興味がある方はぜひ挑戦してもらいたいと思います。最初にお話ししましたが、私は資格を取得するかどうか3年ほど悩みました。でもその先の人生を想像してみたときに、「あのときやっておけばよかった」と後悔したくないと思い、飛び込むことができたんです。

そのときに意識していたことは、「できなくてもいいから、やってみる」ということでした。もしうまくいかなければ、そのときにまた考えればいいと思うんです。学んだ知識や時間はきっと今後の人生に活かせると考えています。

「自分の人生をどうしたいか」を考えると、後悔のない人生につながっていくのかもしれません。


お話しの節々から、宮原さんが相談員の仕事にやりがいを感じていて、毎日充実した日々を過ごしていることが伝わってきました。年齢を重ねてから一歩を踏み出すのは怖いものですが、実はその方が自分のやりたいことが明確になっており、自分にあった仕事を見つけやすいのかもしれません。

自分が本当にやってみたいことに飛び込むのに、遅すぎることはないのだと改めて感じました。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの社会福祉士求人をリジョブケアで探す

株式会社リジョブでは、介護・看護・リハビリ業界に特化した「リジョブケア」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄