社会福祉士資格で免除される保育士試験の科目とは|保育士の資格を取得する3つのメリット
保育士の仕事は、子どもを預かって世話をし、食事や着がえなどの基本的な生活習慣や社会性などを身につけるためのサポートをする、とても大切な役割を担います。
保育士になるためには、保育士試験に合格する必要がありますが、実は社会福祉士の資格を持っていると、一部の科目は試験が免除されるのです。ここでは、社会福祉士資格で免除される保育士試験の科目や、保育士の資格を取得するメリットなどについてご紹介します。
社会福祉士などの資格で免除される保育士試験の科目とは
社会福祉士の資格を取得していると、保育士試験の受験の際に免除される科目があります。社会福祉士以外にも、精神保健福祉士や介護福祉士の資格を取得している場合も同様です。ここでは、保育士試験で免除される科目について詳しく解説します。
社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士で試験科目が免除されることに
なぜ社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の資格を取得していると、保育士試験の試験科目が免除されるのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。
・教育内容が共通している
3つの資格を取得するにあたっては、それぞれの養成課程で定められた教育を受けることになっています。その教育内容には、保育士の養成課程と共通するものがあるため免除されるのです。
・「福祉系の職業の基盤となる知識」が共通
社会保障制度に関する基本的な知識や、相談援助の基礎などといった教育内容は、福祉系の職業の基盤となる知識といってよいものです。
特に、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士ならびに保育士では、それらについて共通の教育を受けることになっています。したがって、保育士の資格試験での同様の科目が、免除されるのです。
・保育の受け皿拡大のため
女性の社会進出が進んでいる現在、保育サービスの需要が非常に高まっています。そのような現状に対応するため、保育の受け皿を拡大することが急務となっています。
新たな保育人材の確保のためのサポートのひとつとして、ほかの福祉系国家資格所有者が、保育士資格を取得しやすい制度を整えたのです。
免除される受験科目とは|筆記試験の「社会的養護」「児童家庭福祉」「社会福祉」
社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の資格取得者が、保育士の筆記試験を受けるときに免除される科目は、「社会的養護」「児童家庭福祉」「社会福祉」の3つです。その3つの科目についてご紹介します。
・社会的養護
社会的養護とは、保護者のいない子どもや保護者が養育できない子どもに対して、保護者以外の大人が保護・養育する取り組みのことです。
大まかには、児童養護施設などの「施設」と、里親などの「家庭」の2種類に分類され、それぞれ施設養護、家庭養護と呼ばれます。この科目では、社会的養護の仕組みなどについての出題があります。
・児童家庭福祉
従来は障害のある子どもや保護者のいない子どもなど「困っている子ども」を支援するための「児童福祉」という科目でした。児童虐待の増加などの環境変化により、子どもだけでなく、子どもを育てる家庭ごと支援しなければならないことから科目名が変更されました。
児童家庭福祉の科目では、子育て支援のための法律の「福祉六法」に関することを中心に出題されます。
・社会福祉
子どもに限定しない、社会全体に関する福祉制度のことです。主に介護保険や生活保護などの社会保障制度、人口統計、社会福祉施設の種類やそこで働くスタッフなどについて、出題されます。
ほかの筆記試験科目も免除される?|指定保育士養成施設での教科目の修得が必要
指定保育士養成施設を卒業した方は、履修した科目によっては上記3つの科目以外にも、筆記試験や実技試験の科目の一部、あるいは全部が免除されることがあります。
試験科目の免除を受けるには、指定保育士養成施設で発行される「社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士保育士試験免除科目専修証明書」を提出する必要があります。履修した科目が、どの試験科目に対応するかは、卒業した指定保育士養成施設に確認しましょう。
社会福祉士が保育士の資格を取得するメリットとは?
社会福祉士は保育士の資格試験にて一部の科目が免除されますが、社会福祉士が保育士資格を取得した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
1. 仕事に活かせる|子ども達への生活支援がよりスムーズに
社会福祉士が保育士の資格を取得した場合、保育士の資格だけ持っている場合に比べると、子どもたちへの生活支援がよりスムーズにおこなえます。その理由について解説します。
・子どもの生活支援に役立てる
社会福祉士は、身体・精神・経済といった理由から日常生活に支障のある方の相談を受け、支援する仕事をします。主に高齢者・障害者・児童・生活困窮者などが支援の対象者です。必要に応じて医療機関や行政機関などとも連携し、その人に最適なサポートをおこないます。
保育士資格を取得することで、子どもの保健・食・栄養といった知識や保育のスキルが身につくため、より適切な子どもの支援業務がおこなえるようになります。
・保護者の支援に役立てる
保育士の仕事は、従来、預かった子どもの世話や生活支援などをすることでしたが、近年は保護者への支援も必要となってきています。理由としては、核家族化が進んで、主に育児にあたるのが、夫婦のどちらか一方だけの「ワンオペ育児」となってしまうことが挙げられます。
このように、育児方法や環境に悩む保護者が増えてきていることから、子どもだけでなく保護者にとっても最適な支援をおこなわなくてはなりません。保育士資格を習得することで、ひとり親世帯への支援や地域での子育て支援など、子ども家庭福祉に関する支援施策を知ることができます。
2. お給料UPに繋がることも
これまで社会福祉士として働いていた方が保育士の資格を取得することで、キャリアアップや給料アップにつながることもあります。それぞれについて詳しくみてみましょう。
・転職や開業などのキャリアアップにつながる
社会福祉士の仕事は、年齢や性別に関わらずさまざまな事情によって日常生活に支障のある方の支援をすることです。専門的な知識が必要とされるのですが、範囲が広いだけに特定の分野に注力するのは難しくなりがちです。
児童の支援を中心におこないたい場合は、保育士の資格を取得することで子どもに関する知識を身につけることができます。児童福祉司や児童指導員、母子相談員などの職種に転職する際に、役立てることができるでしょう。また、独立や開業する際にも、児童支援に強いことをアピールできます。
・給料アップにつながる
職場によっては資格手当があることもあり、給料アップにつながりやすくなります。社会福祉士と保育士の資格の両方を取得していることで、両方の資格手当がつくのです。施設にもよりますが、保育士の資格手当では、1万円ほどの給料アップが期待できます。
3. 転職にも役立つ|保育士としても就職できる!
社会福祉士の方が保育士の資格を取得した場合、もちろん保育士として就職することができます。これまでのように社会福祉士としての就職も可能なので、転職する際に両方の求人を探せるのはメリットです。
社会福祉士など3つの資格で筆記試験の一部が免除!
保育サービスのニーズが高まっている現在、保育人材の確保が急務となっています。このため、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の3つの資格を取得している方は、保育士試験を受験する際、「社会的養護」「児童家庭福祉」「社会福祉」の3つの科目が免除されます。
社会福祉士や、精神保健福祉士、介護福祉士の資格を取得している方で、子どもへの支援を中心に行いたい方や、資格を仕事に活かしてよりスムーズに支援したい方などは、保育士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
出典元:
一般社団法人 全国保育士養成協議会
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格所有者を対象とした科目免除について
厚生労働省
「保育士試験の実施について」の一部改正について
「保育士養成課程等検討会」ワーキンググループにおける議論の整理
社会福祉法人めぐみ会 募集要項