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介護・看護・リハビリ 2020-06-03

介護職だからこそある職業病の腰痛とその対策

高齢者や体に不自由がある人の自宅に伺い、食事の介助や入浴の介助、移動の介助などの手助けを行うホームヘルパー。ホームヘルパーは、他の介護職と違い、自宅に伺うことが仕事であるため、主婦などの人がパートとして従事することの多い職種です。ホームヘルパーには、特有の職業病があります。今回はその職業病についてまとめてみました。

ホームヘルパーの仕事とは

ホームヘルパーは、高齢者や身体に障害のある人の自宅に直接出向いて、彼らが日常生活を送る上で困難なことに対して援助を行う仕事です。その主な業務内容は、身体介助や生活援助、相談・助言となります。

身体介助では、トイレ介助や食事介助、着替え介助、入浴介助といった日常生活を送るうえで避けて通ることのできない行動を補助するものです。トイレの介助では、トイレまでの誘導から、下半身の洗浄、他にもおむつ交換時の排泄物の処理などがあります。また、トイレ掃除も同時に行います。食事補助では、利用者の体に合った食事を提供するとともに、食事を自身で摂ることが困難な場合には、その補助を行います。

そして、生活援助では、住居の掃除や利用者のための食事の用意、洗濯、買い物の代行などをします。住居の掃除では、利用者の承諾を得たうえで、トイレやお風呂場の掃除、寝室の掃除などを行います。他にもごみ出しを代わりに行ったりすることもあります。また、利用者から生活や介護についての相談があった時にはアドバイスをすることもあります。

ホームヘルパーの職業病とは

ホームヘルパーに限った話ではありませんが、介護に携わる人の職業病として最初に挙げられるのが腰痛です。利用者をベッドから車椅子まで動かす時や、ベッドでのおむつ交換や体位交換の時、利用者がホームヘルパーの支え無しで立つことが難しい場合には、ホームヘルパーが利用者に接近して、利用者の動作援助を行う必要があります。

この時に、もともと腰痛持ちのヘルパーであれば尚更ですが、腰ベルトやコルセットを腰に巻いて、腰痛予防をして事前に対策をしておくと良いでしょう。自分よりも体の小さな利用者であれば、自分ひとりの力で持ち上げることができると思って、ついつい簡単に抱っこしてしまいがちですが、この行為は良い行為とは言えません。ホームヘルパーや利用者の双方にとって安全ではないからです。

もし抱きかかえたまま転倒してしまった場合は、双方に危険がおよびます。利用者にとって安全なホームヘルパーとは、利用者に残された機能を最大限使って自立援助ができるように助けることです。

国が進める介護職の腰痛予防対策とは

新人のホームヘルパーにありがちですが、まだまだ介護技術が十分ではない人が、上手にボディメカニクスを利用した介護方法が分からず体を無理して使ってしまい、腰痛を起こしてしまうことがよくあります。特に、腰痛経験が無い人の場合は、無理をして腰を酷使してしまい、腰痛になるケースが多いです。

介護の仕事に従事してきた人が、辞職をするケースとして腰痛が原因になることもあります。この状況を打破するために、国としても介護職の腰痛対策に乗り出ています。2013年には、「職場における腰痛予防対策指針」が発表されました。

職場で介護をする時には、リフトなどの福祉用具を積極的に活用するように取り組もうとしている内容です。日本ではまだ取り組まれてはいませんが、イギリスでは要介護者を持ち上げる時は、リフトや福祉用具を使用することが法律で定められているほど、腰痛に対して国が本気で対策をしています。腰痛は介護の職業と言われている程なので、この深刻な問題への対策が早急に必要でしょう。

ホームヘルパーは、自宅での介護が主で、その介護内容が原因で腰痛を患うことがよくあります。他の介護職でも言えることですが、介護職員にとって腰痛は致命傷であり、腰痛が原因となり退職していく人も少なくありません。腰痛対策のために、国が指針を発表していますが、国によっては自力での利用者の持ち上げを法律で禁止している国もあるほどです。今後は無理のない介護を徹底的に心がけていきたいですね。

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