ニーズが拡大する介護分野 将来介護ロボットは普及する?
現在、厚生労働省 や経済産業省が力を入れて推進しているのが介護ロボットの実用化です。国がこのように力を入れる背景には、日本で高齢化が進み介護を支える人手不足が心配されているからです。今回は、この介護ロボットに焦点を当て、介護現場の現状と、介護ロボットへの期待感、そして介護現場の反応についてご紹介します。
介護分野における人手不足の現状
超高齢化を迎えている日本。社会における介護のニーズはますます高まり介護や医療を支える人の不足が心配されています。日本の人口比率は今や若者より高齢者が多くなり、どうやってこれから介護を支えていくかが社会問題視されているのです。
そのため、厚生労働省 は福祉用具・介護ロボット実用化支援事業を立ち上げ、介護ニーズに合った介護ロボットの開発と実用化を促進する取り組みを始めています。さらに経済産業省と厚生労働省 は、介護利用による重点分野として排泄の支援や移乗介助など8つの重点項目を具体的に挙げてロボット開発を促進させているのです。
ロボットの開発として目指しているのは、単なる人型ロボットだけでなく、認知症の高齢者を見守る機能や要介護者の自立を促す機能など幅広い分野に及んでいます。日本は物作り分野において世界に誇れる技術を持っています。このハイレベルな技術を介護ロボットの分野に応用することで、介護に関わる人たちの負担を減らし、高齢者が自立できるような環境を作り上げることが求められているのです。
介護ロボットに将来期待すること
介護分野に介護ロボットが進出すると、どんなことが期待できるのでしょうか? 介護ロボットに期待できることは、介護分野の人手不足だけに留まりません。
例えば、介護に関わっている人の負担の軽減が挙げられます。介護の現場では7割もの職員が腰痛に悩んでいると言われているからです。これは介護が肉体労働であるため、介護をする際に腰を痛める原因となっています。介護者である大人の体重は重く、女性よりも男性はさらに重たい傾向にあります。こういった重たい大人を担いだり移動させたりする作業は、どうしても腰の負担を増やしてしまうのです。そのため介護ロボットが進出することで、介護に関わる人の肉体的負担を減らし、労働環境の改善が期待されます。
また介護を受ける高齢者側にもメリットが期待できます。それはロボットから介護を受けることで介護者の心理的な負担を軽減できる可能性があるからです。実際毎日新聞において介護ロボットに関するアンケートを実施したところ、ロボットなら気を使わなくても済むのがメリットと応えた人も多かったのです。
介護ロボットに対する現場の反応は?
さまざまな期待が寄せられている介護ロボットですが、介護の現場で実際に利用されているロボットはまだ少数です。介護ロボットがなかなか普及していかない背景には、介護は人の手で行うのが一番良いという考えが根付いているだけでなく、介護ロボットはほとんど介護保険の適用外であるため、介護施設に高額の費用負担がかかることが上げられます。
介護分野はサービス産業のため、介護をする方へのホスピタリティが求められる仕事です。介護ロボットからイメージする冷たさに疑問の声があがるのも当然と言えるでしょう。そんな一面があるとはいえ、介護現場の人手不足の解消に介護ロボットへの必要性はますます高まっています。今後介護ロボットの技術の向上によって、こうした声は次第に解消されていくでしょう。
介護ロボットの技術が向上し、介護ロボットが量産されるようになれば一般家庭でも介護ロボットを購入して介護ロボットが活躍する時代がやってくるかもしれません。
現在は一般家庭に普及している自動車や携帯電話は、かつては高額で一般の人では入手できないものでした。介護ロボットも、まだまだ普及していませんが、将来の技術の向上によって当たり前のように介護ロボットが活躍する日がやってくるかもしれません。そうなれば、介護福祉士の仕事もまた、介護ロボットの発展とともに変化してゆくことでしょう。