ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2020-02-22

「受療率10%」を追い風にして『Hariest』倉内夕さんが『三面美容』で実現する本当の健やかさと美しさ(前編)

住所非公開ながら、口コミが広がる美容専門の鍼灸サロン『Hariest』。外面・内面・精神面の「三面美容」を整えることをモットーにしている体調や体質に合わせるパーソナル美容鍼灸で、鍼灸師やエステティシャンなどの同業者からの支持が多いのも特徴です。

メディアへの登場回数も多く、セミナー講師としても活躍する倉内院長。その背景には、自分の武器を見極め、ぶれずに貫く強さがありました。


今回お話を伺ったのは……

Hariest院長 倉内夕さん

兵庫県神戸市出身。20代前半で自律神経失調症・パニック障害を経験したことから東洋医学の魅力を知る。現在は、はり師免許、きゅう師免許、あん摩マッサージ指圧師免許、オリエンタルリンパドレナージュセラピスト資格、スキンケアアドバイザー資格などの資格を保有。テレビや雑誌などメディアへの出演も多く、芸能人の施術やセミナー講師の経験も持つ。

鍼灸師を目指したのは、症状が出ないように体を調える東洋医学の考え方に共感できたからです

—少しずつ増えてきているとはいえ、まだまだ女性の鍼灸師は多くないと思います。鍼灸師になろうと思ったきっかけを教えてください。

出身地の大学に通っていたんですが、ストレスや生活習慣の乱れなどから自律神経が狂ってしまったのが、そもそものきっかけです。毎日微熱が続いて体重が一気に5〜6キロ落ちたのに、病院に行ったら器質的な異常はないと言われて薬ももらえない。そういう状況の中でいろいろ調べているうちに、東洋医学に出会ったんです。

症状を押さえ込む対処療法ではなくて、「悪い症状が出ない体にしましょう」という東洋医学の考え方がしっくりきたんですね。ちょうど就職活動が始まっていた頃でなかなか自分の将来が見えづらかったのですが、鍼灸師には国家資格があることを知って、より憧れが強くなりました。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の3つの資格を取れる学校は少ないのですが、たまたま東京にある別宅の近くにあったので、大学を卒業後に上京し、学校に通うようになりました。

—今の雰囲気・姿からは想像できませんが、パニック障害を経験したときのことについて、聞かせてください。

もともと明るい性格だったのですが、自律神経を崩したときにふさぎ込んでしまったんです。「広場恐怖症」といわれる症状ですが、身動きが取れないような状況のときに不安になって呼吸が荒くなったり、気分が悪くなったりという発作を起こしていました。

全身の肌も荒れていたので、それもストレスで悪循環でしたね。ニキビも多くできましたし、アトピー性皮膚炎にもなって、毎日ステロイド軟こうを塗らないといられませんでした。「想像できない」とおっしゃってくれましたが、多分それを克服した自信みたいなものが、今の私にはあるのだと思います。

「美容鍼灸の道もある」という言葉で希望を見つけ、女性にターゲットを絞ったことは戦略の一つでした

—いつ頃から美容鍼灸に興味が持ち始めたのでしょうか?

自分が体調を崩していたこともあって、当時は体質改善とか、体のバランスを取るというような、ごく一般的な治療技術と知識を求めて学校に通い始めました。あるとき、学校の先生が「これからは美容の鍼灸という道もあるよ」と教えてくれて、すごく興味を持ったんですね。もともと美容に興味があったことに加え、当時は肌が荒れていたので「鍼灸で改善できるかも」と新しい希望を見つけた気分でした。

ご存じだと思いますが、実は鍼灸の受療率は日本国民の10%程度。つまり、あまり多くの方に利用されていないんです。でも、反対に考えれば、まだまだ伸びしろがあるということだと思います。それに、女性の口コミ力や拡散力って男性よりも大きいですよね。だから、「女性に受け入れられたら広まるのは早いのかな」という想いで、美容鍼灸に舵を切りました。

—『Hariest』の特徴は「三面美容」だと思いますが、ここに行き着いた経緯を教えてください。

実は、まだ行き着いたわけではないんです。というのも、美容には完成形というものはないと思っています。だから、今は「構築中」という感じですね。ただ、根本にある「内面」、「外面」、「精神面」の3つのバランスが取れてこそ、本当に健やかで美しい人間になれるんです。これは私自身の経験も踏まえているので、その軸はぶれません。

方法としては、化粧品や鍼灸などで外側から良くすることはもちろんですが、髪の毛や皮膚などは食べたものの栄養分でできていますよね。ですから、食べ物の大切さについてもお伝えしますし、実際にサロンでは体の中を綺麗にするサプリメントも出しています。その他にも、胃腸の調子を整えるツボや自律神経を整えるツボを押すなど、体の中から綺麗にする施術も行っています。

それに加えて、お客さんの思考をちょっと変えて、違う結果に導いていきます。例えば、「どうせ美容鍼灸に通っても……」とか「化粧品を使っても……」というような、マイナス思考の方もいらっしゃいますよね。そういう方は心に余裕がない場合が多いので、「やれば変わるんだよ」と前向きになれるようなことを、私の経験も交えてお話しするようにしています。

住所非公開・完全予約制にしたのは、お客さまの満足度を上げ、喜んでもらいたいからです

—住所非公開のプライベートサロンということも大きな特徴ではないでしょうか?

開業前に理想として描いていたのは、リピートのお客さまが多いことと、紹介でお客さまが来てくれることでした。なぜかというと、新規の集客には、それなりにコストがかかってしまいます。安いクーポンを積極的に出しても、当店のコンセプトに合った方が来ないとか、リピートにつながらない、ということもあると思ったんです。

以前、働いていたサロンでの経験から、サロンや私のことを分かっている状態でお越しいただくと、満足度が上がりやすいという実感もありました。私一人ですべてのお客さまを施術したかったので、一人のお客さまにしっかり時間を使って、満足度を上げて喜んでいただく。そう考えると、必然とプライベート空間にすることになって、さらに満足してもらうためにも住所非公開で完全予約制にしたんです。芸能人の方に来ていただくこともありますし、今はそれでよかったと思っていますね。

『Hariest』倉内夕さんが示してくれた美容鍼灸を確立するための3つのポイント

1.前提として、美容には完成形はない、と捉える

2.女性が持つ口コミ力・拡散力のパワーを信じる

3.お客さまとしっかりと向き合える空間をつくる

理想のサロンを追求して、「三面美容」「住所非公開」「プライベートサロン」といった独自の路線を貫く倉内院長。後編では、情報社会の中でSNSを活用した戦略や、女性鍼灸師としてのアドバイスなどについて語っていただきます。

Salon Data

Hariest

住所:非公開(自由が丘駅から、徒歩7分)
TEL:非公開
URL:https://hariest.tokyo/

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事