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特集・コラム 2020-03-08

鍼灸師は病院勤務でどんな仕事をするの? 病院からの求人はどれくらいある? パートやアルバイトでも働ける?

鍼灸師が整骨院などだけでなく、病院でも働いていることをご存知でしょうか。求人の数は決して多くはないものの、病院勤務の正社員の鍼灸師はいます。パートやアルバイトまで広げれば、病院だけでなく多くのクリニックでも鍼灸師の募集があるのです。病院に勤務する鍼灸師はどんな役割があり、どんな仕事をするのでしょうか。病院やクリニックからの求人はどの程度あるか、正社員以外のパートやアルバイトで働く選択肢、そして給与の状況などをご紹介します。

鍼灸師は病院勤務でどんな仕事をするの? 業務内容をチェック!

鍼灸院や鍼灸整骨院・接骨院だけでなく、病院でも鍼灸師は働いています。鍼灸師が病院に勤務する場合、どのような役割を求められ、どんな内容の仕事をおこなうのでしょうか。

リハビリ科での施術や機能回復訓練

病院勤務の鍼灸師は、整形外科やリハビリテーション科での施術業務と機能回復訓練業務をおこないます。医師の指示によりそれぞれの症状にあった身体のポイントを刺激し、血液の流れをよくしたり、筋肉をやわらげ神経を鎮めたりする鍼灸治療をおこなうのが業務内容です。

鍼灸のように薬を使わずに痛みを軽減させる緩和ケアは、現代の医療の分野や介護分野で最も注目されている施術のひとつであり、痛みをコントロールすることでケガの治りも早くなります。また、、リハビリもスムーズにおこなえるのが特徴です。つまり病院のなかでの鍼灸師の存在意義は「痛みのスペシャリスト」であることだともいえます。

身体のツボに対して鍼と灸を使った施術をおこなう鍼灸は体内の流れを促し、調子を整えることが可能です。そのため、自律神経の働きの悪さ、ホルモンバランスや加齢からくる不具合、さまざまな検査をしても原因不明の調子の悪さなどに対応できます。鍼灸の施術で、西洋医学を補う役割を果たすこともできるのです。

また、介護保険法によって定められている職種である機能訓練指導員は、医療系の国家資格などを持つ専門職が利用者の生活環境の確認や身体機能を評価して、機能訓練計画表を作成し3カ月ごとに見直す仕事です。鍼灸師の資格と所定の実務経験があれば、老人病棟や老人保健施設などで機能訓練指導員として働くこともできます。ここでいう実務経験とは、鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設にて半年以上勤務することです。

鍼灸師は実際に体に触れて施術をおこなうため、人の体の構造を熟知しています。ほかの資格で機能訓練指導員をしている人とは一味違う、鍼灸師ならではの視点でリハビリをおこなっていくこともできるのです。つまり鍼灸師が病院で働く際には、痛みや漠然とした不調のスペシャリストとして鍼灸の施術をおこなう役割と、鍼灸で培った経験を生かしながら機能回復訓練に関わる業務があります。

医療機関からの募集はどれくらいある? パート・アルバイト勤務もOK?

鍼灸師は、鍼灸院・鍼灸接骨院・整骨院などで働くほかに、整形外科専門の病院や総合病院などの大きな医療機関や、クリニックなどの小規模な医療機関で働く場合があります。このような医療機関からの求人にはどのようなものがあり、給与はどのくらいなのでしょうか。

正社員の需要は? 月給はどれくらい?

整形外科専門の病院だけでなく、和漢など東洋医学の診療もおこなっている総合病院でも、鍼灸師の正社員の求人が多少はあります。病院やクリニックなどの医療機関では、西洋医学と東洋医学の連携の中で治療を組み合わせていくため、幅広く学び考えることのできる環境だといえるでしょう。

正職員の月給は20~35万円程度で、関連するあん摩マッサージ指圧師や柔道整復師の資格など複数の資格を持っているほど、月給が上がる傾向があります。鍼灸院・鍼灸接骨院・整骨院に比べると、病院の求人は少ないのが現状です。

パート・アルバイト勤務でも働ける? 給与はどれくらい?

クリニックの鍼灸師の求人はパートやアルバイトが多く、時給1,100~1,800円程度です。正職員でないことのメリットもあり、午前9時~午後3時の4時間の勤務で週2日から働けるクリニックなどでは、子育てとの両立はしやすい環境だといえるでしょう。

また、今後ご自分の鍼灸院を開業したいと考えている方にとっては、パートやアルバイトといった働き方ならば、空いた時間を有効的に使うことができます。空き時間を関連のあるあん摩マッサージ指圧師や柔道整復師の資格を取る勉強の時間や開業準備、鍼灸治療の研究に費やせる環境を得ることも可能なのです。このようにライフスタイルに合わせて、また今後のキャリアを見通して、積極的にクリニックでパート、アルバイトで働きながら、鍼灸師としての経験を積んでいる人もいます。

病院と連携している整骨院や接骨院もある

医師をはじめとした病院の医療スタッフと連携して施術をおこなうことは、鍼灸院・鍼灸整骨院・接骨院などに勤務していても可能です。病院と提携して施術をおこなう試みをしている鍼灸院・鍼灸整骨院・接骨院などを選んで応募するか、応募した際にそのような連携があるか確認してみるとよいでしょう。病院での治療に加え、さらに鍼灸の施術でお客様を楽にしてあげられることは、とてもやりがいがある仕事です。

また、病院と連携することで鍼灸師自身の経験や知識の幅が広がり、スキルアップにもつながります。今後、独立して鍼灸院を開業しようと思っている方にとっても、病院と連携している治療院で働いたり、病院やクリニックで働いたりした経験が役立つでしょう。鍼灸院では、自律神経の働きが悪いとき、ホルモンバランスや加齢からくる不具合、さまざまな検査をしても原因不明の調子が続くなどの症状を訴える人への施術をおこなうこともあるからです。

その際に病院勤務の経験があることで、病院がどのような治療の場であり、各科でどのように分担してお客様の症状を診ているのかを把握できます。また、コメディカルスタッフがどのように協力しているのかを実体験としてわかり、施術時の対応がより状況に即したものになるでしょう。

また、鍼灸院だけに通っているという人はそれほど多くはなく、同時に病院やクリニックにかかっているものです。大切なお客様の身体、生活の全体像をとらえるためには、鍼灸院以外の医療がおこなわれているかはもちろん、連携の在り方を知っている必要があります。さらに医療の現状を知っていることで、自分の鍼灸治療がそこに何をプラスできるかという視点で考えられるようになるでしょう。そうすると、自分のやっている鍼灸の病院やクリニックの治療にない価値が何であるのか、どのような施術をおこなえば効果がみられるのかがわかります。

その結果、自信を持って説明したり施術をおこなったりできるようになるのです。このように経験と知識が整理されることで、鍼灸についてより深く研究することもできるでしょう。鍼灸師としての視野を広げることでやりがいが高まり、一生の仕事として極めていくことが可能です。

病院勤務の鍼灸師はリハビリ分野に深く関われる! まずは応募してみよう

鍼灸師が病院やクリニックで働く際には、痛みや漠然とした不調のスペシャリストとして鍼灸の施術をおこなう役割と、鍼灸で培った経験を生かしながら機能回復訓練に関わる役割があります。正社員としての採用は多くはないのが現実です。しかし、クリニックなどでのパート・アルバイトを含めればいろいろな求人があります。病院勤務の鍼灸師は、リハビリ分野に深く関わることもできる仕事です。医療機関で鍼灸師を募集している求人を見つけたら、まずは応募してみましょう。

参考元:
医療法人泰一会 飯能整形外科病院 | その他求人・採用情報 | 埼玉県飯能市 | 直接応募ならコメディカルドットコム
景星会 大塚北口診療所(鍼灸・あん摩マッサージ指圧師) | その他求人・採用情報 | 東京都豊島区 | 直接応募ならコメディカルドットコム
鍼灸師が病院で働く条件とは?(1)鳥海春樹氏(慶應義塾大学医学部神経内科非常勤講師・鍼灸師)インタビュー|トピックス|鍼灸・雑誌 医道の日本社

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