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ヘルスケア 2020-05-05

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事vol.7】『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』新船敬洋さんの手技&技術

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」の企画。今回は「鍼灸師」の働き方をご紹介します。

『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』を経営しながら東京・千葉の病院でも鍼灸外来を担当されている鍼灸師の新船敬洋さん。これまでは鍼灸師の道を目指したきっかけや、これからその道を目指す人たちへのアドバイスをお聞きしました。今回は『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』での施術の流れや新船さんの手技についてご紹介します。

さまざまなエビデンスに基づいた施術を行っています

―『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』ではどんな施術を行っているのでしょうか?

まず、鍼灸の治療には、体のツボに処置を施していく東洋医学に基づいた伝統型の鍼灸治療と、さまざまな分野のエビデンスに基づいて処置をする鍼灸治療の二つの方法があります。当院では後者の方法を用いて治療を行っていて、僕の施術の8~9割は大学院での先生の教えが基盤となっています。この治療方法は解剖学・生理学・薬学のエビデンスに基づいて治療をします。どちらかというと西洋医学に寄った治療方法で、ツボ治療をメインとする鍼灸の業界では珍しい手法です。ですが、さまざまなエビデンスを基に治療をしていくので、当院の治療方法は、ほかの医療機関への説明がしやすく、鍼灸を社会で信用させるための手段としても有効的な施術になります。

最終的には患者さんを治すことが目的なので、必要があれば伝統的な手技を使って施術を行うこともありますが、あくまでも「鍼」と「灸」の範囲内の施術しか行いません。患者さんを治すことに重点をおいていくと、おのずと他の職業に足を踏み入れてしまうことがあるので、そうならないように当院ではきちんと線引きをしています。

―『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』で得意とする施術があったら教えてください。

坐骨神経痛、ヘルニアなどによる神経系の痛みやしびれなどを鍼とお灸を使って緩和していくことができるのが当院の大きな強みです。さらに、僕が学生のときに産婦人科も並行して研究していたこともあり、不妊症の治療にも力を入れています。現在は病院との提携もさせていただいているので、整形外科と神経内科の施術も概ね行える体制づくりを整えています。

―鍼灸治療がとくに効果的な症状などはありますか?

まず、薬が効かなかった不調に関しては、鍼以外に治療方法がないのではないでしょうか。症状でいうと神経痛や不定愁訴は鍼が一番だといっても過言ではないと思います。とくに神経痛は、ピンポイントでアプローチできる治療方法が鍼しかないので、当院にも藁をもすがる思いで来る人も多いです。

患者さんの不安を払拭してから施術を開始

―鍼灸は「痛い」「怖い」などのイメージを持たれがちですが、新船さんが患者さんのために行っていることはありますか?

鍼というと従来の注射針のイメージが患者さんのなかで先行し、怖いイメージをもたれてしまうことがほとんどなので、初診の方には鍼を実際に触ってもらいながら「今日あなたに使う鍼はこんな鍼ですよ」と説明を必ずするようにしています。実際に使われる鍼はとても細くて柔らかく、1本ずつパッケージングされているので衛生的な問題もありません。ただし、「刺す施術にはなるのでまれに出血を起こすことはあります」と、施術上の注意もお伝えした上でご納得いただいてから施術をするようにしています。

患者さんの不調の原因に合わせてメニューを提案

『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』の施術メニューを教えてください。

当院では「全身」「部分」「美容鍼」「顔と体」の4つのメニューを用意しています。診察で患者さんの生活習慣など、いろいろなことをヒアリングしていくなかで、さまざまな可能性のなかから原因や治療方法を探っていき、適切な処置をご提案しています。

例えば「体は健康だけど最近むくみが気になる」「肩こりがひどい」といった人は部分的に処置を行う「部分」施術に。持病をお持ちで来院された人は「全身」の施術を行う場合もあります。当院では近年注目を集めている「美容鍼」の施術も行っており、美容鍼も体の調整も希望する人には「顔と体」両方の施術も行っています。

―貴院での施術の流れを教えてください。

はじめに診察を行って患者さんの症状などを細かく伺い、症状の原因を患者さんに伝えます。そして患者さんが求める最終的なゴールの確認をするのですが、長いときは40分ほどかけてじっくり行うこともあります。例えば仕事ができるようになりたいのか、結婚ができるようになりたいのか、患者さんが求めるゴールに合わせてプランを設計し、今後の施術の頻度について明確に説明していきます。

診察のあとは施術着に着替えていただき、施術へと移ります。お灸に使う「もぐさ」を皮膚の上に置き、熱を用いてツボを刺激し、体を温めながらツボを刺激します。そのままの状態で症状に効果的な箇所に鍼をゆっくりと刺していきます。目的の深さまで鍼を刺したら直ぐに抜きとり、これを何回も繰り返していきます。ここでいかに患者さんへの刺激量を少なく施術するのかが鍼灸師の腕の見せ所になります。

丁寧なカウンセリングで、ひとりひとりに合った治療方法を導き出している新船さん。今回私も初めて鍼灸を体験させてもらいましたが、痛みを感じることなく、むしろ終始リラックスすることができて驚きました!

▽#1はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事vol.7】『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』新船敬洋さんが鍼灸師を目指したきっかけ>>

取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)
撮影/岩田 慶(fort)

教えてくれたのは…

ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院 院長 新船 敬洋さん

鍼灸師。恵比寿で院長として2年間働いたのちに独立し、目黒に『しんふね鍼灸治療院』を開業。2018年、院を原宿に移設し『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』に。現在は東京・千葉の病院で鍼灸外来も担当している。

Store Data

ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院

住所:東京都渋谷区神宮前1-10-34原宿コーポ別館205
TEL:03-6450-4079
URL:https://medishin-acp.com/

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