【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事vol.7】『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』新船敬洋さんが鍼灸師を目指したきっかけ
柔道整復師、鍼灸師、整体師など、近年、健康意識が高まるにつれてさらに注目を集めている「ヘルスケア業界のお仕事」にフォーカスした本企画。今回は「鍼灸師」のお仕事について詳しくご紹介します。
ご自身で開業された『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』で治療を行うほか、東京・千葉の病院でも鍼灸外来を受け持っていらっしゃる新船敬洋さん。さまざまな現場で活躍することで鍼灸師というお仕事を世に広く知れ渡らせている新船さんに、この道を目指されたきっかけをお聞きしました。
教えてくれたのは…
ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院 院長 新船 敬洋さん
鍼灸師。恵比寿で院長として2年間働いたのちに独立し、目黒に『しんふね鍼灸治療院』を開業。2018年、院を原宿に移設し『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』に。現在は東京・千葉の病院で鍼灸外来も担当している。
自らの怪我を治すために鍼灸師を志すように
―はじめに、新船さんが鍼灸師を志されたきっかけを教えてください。
実は中学3年のときに同級生のいざこざに巻き込まれて腰骨を折り、歩けなくなるくらいの大怪我を負ってしまったんです。入院中にありとあらゆる治療を試みたのですが、残念ながら一向によくならず、怪我をしてしばらくはこの先の人生に絶望するくらい落ち込みました。ですが次第に「自分で治してしまおう!」という発想に変わり、神経の治療に関するさまざまな本を読み漁りました。その過程で、東洋医学に基づいたツボ治療で神経痛を治療する「鍼灸師」の存在を知り、この仕事に一気にロマンを抱くようになりましたね。
―そこからどのようにして鍼灸師になられたのですか?
僕が学生だったころは鍼灸師の資格を取得できる大学が全国に1校しかなかったので、中学卒業時の進路を決めるときには、おのずとその大学を志望し、無事入学を果たしました。そして大学で今の自分につながるきっかけをくれた、ある先生と出会いました。
僕が通っていた大学には付属の病院があったので、自分の怪我の治療と並行して学ぶことができたのですが、整形外科に鍼灸で神経の再生を行う研究をしている先生がいたんです。僕はもしかしたらその手技で怪我の治療をしながら学業に励むことができるかもしれないと思い、大学病院の先生に僕の過去を話しました。すると驚くことに、先生の施術を受けさせてもらえることになったんです。当時の僕は「どんな最新技術や道具を使って施術をするんだろう?」と内心ドキドキしていたのですが、実際に施術を受けてみると、自分の想像していたものとは全く異なった解剖学と生理学のエビデンスに基づいた施術でとても驚きました。さらに治療を続けるうちに神経が改善されていき、今ではほとんど問題なく動けています。
先生の施術の素晴らしさに感動し、大学卒業後は大学院に進んで先生の下で知識と技術をしっかり学びました。そして大学院卒業後はこの施術をさらに世に広めるために鍼灸師として東京で働き始めました。
―卒業後に『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』を開業されたのですか?
『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』をはじめる前に、友人とともに医療系のベンチャーを起業し、恵比寿で院長として働いていました。その後会社を畳むことになり、一度は地元に帰ろうかとも考えたのですが、やはり来てくださっていた患者さんに申し訳なくて目黒で鍼灸院を再スタートしました。そして2018年に原宿に移転し、今の『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』となりました。
「すべては患者様のために」をベースにして行動しています
―新船さんが鍼灸師として日頃から心がけていることを教えてください。
僕は「すべては患者様のために」という心持ちで仕事をしています。なので起床時間、食事をはじめとした僕の行動すべても施術につながっていると思っているので、仕事の前日にお酒を飲むのは控えています。
また、日頃から他のドクターとディスカッションをしたり、海外論文、学会の論文などから知識を得て、今まで習得してきたことをつねにアップデートするようにしています。
―そこまで…! とても熱心にお仕事をされていらっしゃるのですね。
人の健康や命に携わる仕事をしているので、僕はそれぐらいの覚悟が必要だと思っています。鍼灸は人を殺めてしまう可能性もゼロとは言えないので、僕が講師として学生たちに授業をするときは「鍼一本の怖さを忘れないでほしい」とよく伝えています。
―では、新船さんが施術時以外でも取り組まれていることはございますか?
LINEを介して患者さんからきた体のお悩みや相談にのっています。例えば「急にお腹が痛くなりました」と患者さんからメッセージが来たら、どう痛むのか、どのくらい続いているのかなどを細かくヒアリングし、鍼灸師としてお答えできる範囲のことはアドバイスしています。また、僕が料理好きということもあって、食事管理のアドバイスをすることも多いです。手軽に手に入りやすい食材で作れる体に嬉しい健康メニューを提案しています。
―LINEを活用されていらっしゃるんですね!
貴院ではSNSも積極的に活用しているのでしょうか?
現状ではInstagram、face book、HPを活用して院のPRをしています。ですが時代の流れに柔軟に対応していくためにも、今後はYouTubeやtiktokなどのコンテンツも積極的に取り入れていきたいと思っています。
―新船さんの1日のスケジュールを教えてください。
患者さんの数は平均で1日あたり4~5人ほどですが、多いときは1日で10人ほど施術するときも。一方、病院勤務のときは1日で26人の患者さんを診ているので、現場によって1日のスケジュールはかなり変動します。鍼灸師は体力勝負なので、日々ランニングをして体力づくりをすることも欠かせません。
つねに患者さんを第一に考えて行動されていらっしゃるという新船さん。手厚いケアとストイックな姿勢こそが多くの方から信頼を得られている秘訣なのではないかと取材を通じて感じました。次回はお仕事の魅力やこれから鍼灸師を目指す人へのアドバイスをお届けします!
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取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)
撮影/岩田 慶(fort)
Store Data
ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-34原宿コーポ別館205
TEL:03-6450-4079
URL:https://medishin-acp.com/