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特集・コラム 2020-09-20

サービス提供責任者になるには介護福祉士の資格が必要なの?

ケアマネジャーやホームヘルパーなどのように、介護業界で重要な仕事のひとつであるサービス提供責任者ですが、その仕事に就くためには、資格要件を満たす必要があります。必要な資格は提供するサービスによって異なるため、要件をよく確認して自分に必要な資格を把握することが大切です。

ここではどのような資格がいるのか、事業所に何人の責任者を配置しなくてはならないのかについてご紹介します。

サービス提供責任者になるには介護福祉士の資格が必要なのか

サービス提供責任者になるにはどんな資格が必要なのでしょうか。介護福祉士の資格は必要なのかについて解説します。

介護福祉士は資格要件のひとつ

介護福祉士は資格要件のひとつであり、必ず介護福祉士の資格が必要なわけではありません。サービス提供責任者の資格要件はいくつかの資格で構成されています。

ほかにはどんな資格要件があるのか

介護福祉士以外にも資格要件を満たす資格があります。どのようなものがあるかについて見ていきましょう。

介護福祉士実務研修修了者

資格要件のひとつに介護福祉士実務研修修了者があります。実務研修は介護福祉士の資格を取得するために必要なもので、研修を受講して修了すると福祉士の受験資格がえられるのです。研修では450時間かけて20科目を学び、専門的な知識の習得を目指します。具体的には次のような科目です。

・介護の基本
・認知症の理解
・障害の理解
・介護過程

受講は通信または通学の講座で学びます。通信の場合は約4~6カ月、通学の場合は1カ月ほどが目安です。

行動援護従業者養成研修課程修了者

知的障害児者または精神障害者の福祉に関する直接支援に3年以上従事していれば、行動援護従業者養成研修課程修了者も資格要件となります。研修は10時間の講義と14時間の演習で構成されていて、障害者の対応に必要な知識や技能を身につけることが目的です。講義で学ぶ科目をいくつか下記に示します。

・強度行動障害があるものの基本的理解に関する講義
・強度行動障害に関する制度および支援技術の基礎的な知識

演習には行動障害があるものの固有のコミュニケーションの理解や環境調整による強度行動障害の支援などがあります。履修期間は2カ月以内です。

同行援護従業者養成研修修了者

介護福祉士・実務者研修修了・介護職員基礎研修修了・訪問介護員(ホームヘルパー)1級課程修了のいずれかを満たしていると、同行援護従業者養成研修修了者も資格要件となります。

研修は12時間の講義と8時間の実習で構成されている一般課程と、2時間の講義と10時間の実習で構成されている応用課程です。障害者の外出時に必要な援助をおこなうための知識や技能を習得することが研修の目的で、講義科目には次のようなものが挙げられます。

・障害・疾病の理解
・障害者(児)の心理

実習では基本技能や応用技能を学びます。視覚障害者移動介護従業者養成研修修了者・ヘルパー研修修了者(3級以上)・介護職員基礎研修修了者・介護福祉士・全身性・知的障害者移動介護従業者養成研修修了者は一般課程の一部が免除されるのが特徴です。

視覚障害者移動介護従業者養成研修修了者の場合は実習を受けなくてよくなり、講義は4時間分が免除され、履修期間は2カ月以内と定められています。

初任者研修+実務経験では資格要件を満たせない

実務研修と似たものに初任者研修がありますが、初任者研修と実務経験では資格要件を満たせません。2つの研修は受講する科目や学習時間が異なり、実務研修のほうが介護に関してより専門的な知識を身につけることができます。

以前は初任者研修と実務経験を組み合わせればサービス提供責任者の資格要件を満たせましたが、2018年度から要件が変更となりました。

サービス提供責任者は事業所に何人必要なのか

資格要件を満たせばサービス提供責任者になることは可能です。ここでは、事業所に何人いなければならないのか、配置の基準について解説します。

配置基準に関する3つのキーワード|利用者数・サービス提供時間・従業者数

配置基準は基本的に利用者数・サービス提供時間・従事者数の3つにわけて考えます。前3カ月の平均値により算出されるもので、サービスの内容によって定められている配置の基準が異なるのが特徴です。平均値は月ごとの利用者数を足し、3で除してえた数となります。

サービス別|基本的な配置基準を紹介

サービスごとに配置基準を紹介します。ここでは名古屋市を例にあげますが、自治体により規定が違うこともあるため必ず各自治体へ確認するようにしましょう。

居宅介護の場合|40人ごとに1人

居宅介護の場合は40人ごとに1人配置する必要があります。サービス提供時間の場合は450時間ごとに1人、従事者数の場合は10人ごとに1人です。

訪問介護・介護予防訪問介護の場合|40人ごとに1人

訪問介護と介護予防訪問介護の場合は40人ごとに1人の配置が必要で、通院など乗降介助のみを利用したものは0.1人として計算します。サービス提供時間や従事者数では計算しません。

重度訪問介護の場合|10人ごとに1人

重度訪問介護の場合は10人ごとに1人の配置です。サービス提供時間にすると1,000時間ごとに1人、従事者数では20人ごとに1人を配置します。

同行援護・行動援護の場合|40人ごとに1人

同行援護と行動援護の場合の配置基準は40人ごとに1人となります。サービス提供時間では450時間に1人、従事者数では10人ごとに1人です。

移動支援の場合|30人ごとに1人

移動支援の場合は30人ごとに1人の配置が必要です。移動支援の配置基準については名古屋市の移動支援事業に適用されるもので、事業の規模に応じて算出される員数にかかわらず30人ごとに1人配置しなければなりません。各自治体により異なる可能性があるため、よく確認してください。

50人ごとに1人配置でも良い場合|常勤3人以上など

一定の要件を満たせば50人ごとに1人の配置でもよい場合があります。一定の要件とは次の3つです。

・常勤のサービス提供責任者を3人以上配置
・サービス提供責任者の業務をおもにおこなう人を1人以上配置
・サービス提供責任者がおこなう業務が効率的におこなわれている

上記の要件を満たせば居宅介護・同行援護・行動援護・訪問介護などでは50人に1人ごとの配置にできます。ただし、サービス提供責任者の業務をおもにおこなう人は、当該事業所の訪問介護員としておこなったサービス提供時間を1カ月あたり30時間以内におさめる必要があるのです。
また、待機時間や移動時間は除きます。業務を効率的におこなうことは、利用者の情報を職員の間で円滑に共有することを目的としてソフトウェアやネットワークシステムを活用し、省力化や効率化を図っている場合が当てはまるのです

管理者やヘルパー業務と兼務可能

管理者やヘルパー業務と兼務が可能ですが、実際に兼務をしている人は少ないのが現状です。注意点としては管理者・ヘルパー業務と3つ合わせて兼務することはできないこと、管理者業務をおこなう時間を明確にしておくことなどがあげられます。自治体によって兼務できる業務は違う場合があるため、必ずチェックしてください。

サービス提供責任者は介護福祉士のキャリアアップにもおすすめ

サービス提供責任者になるために必ずしも介護福祉士の資格が必要なわけではありませんが、資格要件のひとつであることは確かです。介護福祉士を取得するための試験では実務者研修の受講と修了が必要です。まずは実務者研修を受講しましょう。介護業界で働いていくうえでキャリアアップにもなるので、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

出典元:
厚生労働省 厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者
千葉県 サービス提供責任者の資格要件について
横浜市 人員及び設備の基準、申請書類一覧、申請書類作成の留意事項と申請書類チェックリスト
東京都福祉保健局 サービス提供責任者の配置基準について
東京都福祉保健局 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例
八王子市 訪問介護と訪問型サービスAの兼務可否

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