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特集・コラム 2023-11-13

介護職は資格なしでも就職できる!業務内容や給与水準、目指すべき3つの理由を紹介

高齢化社会が進むなかで、ひときわ注目を集める介護職。介護職は資格なしでも働ける職種で、熱意や意欲があれば誰でも就くことができます。

そこで今回は、介護職の業務内容と給与水準、目指すべき3つの理由について解説します。これからの未来に役立つ介護職をもっと深く知りたい方は、ぜひ最後までチェックしてください。

資格がなくても介護の仕事に就くことはできる?

介護の仕事は、資格がなくても就くことができます。しかし、資格なしで働くには条件があり、なんでも有資格者と同じようにできるわけではありません。資格の有無によって、仕事内容にどのようなちがいがあるのか紹介します。

施設内での業務は無資格でもできる

資格がない場合は、施設内の業務を行うのが一般的です。具体的には、以下のような業務があります。

・生活援助
・身体介助
・事務作業
・送迎業務

生活援助や身体介助といった介護中心の業務にくわえ、事務作業や送迎業務などの作業も可能です。ここからは、業務内容についてより詳しく解説します。

施設での介護業務

施設での介護業務には、生活援助と身体介助の2つあります。介護施設内では、介護福祉士など有資格者による指導のもと、介護業務に従事できることになっています。

身体介護では、体に直接触れるのが主な業務で、利用者の衣類の着替え・入浴・薬の服薬・体位変換など、周辺のサポートが中心です。一方、生活援助では、食事・洗濯・買い物・掃除などをおこなうのが主な業務です。

訪問入浴

介護職のなかでも、訪問入浴に資格は必要ありません。ここに記載したものは、あくまでも法令上の決まりです。社内規定で別に制度が設定されているケース、会社ごとの方針・指定があるので注意しましょう。

送迎業務

デイサービスなどで利用者の送迎をする仕事も、介護系の資格がなくてもおこなえます。しかし、普通自動車免許は必要なので注意しましょう。
お客様を乗せて運転する場合、本来は二種免許が必要ですが、介護施設の送迎業務として判断されるため、普通自動車免許を取得していれば問題ありません。

事務系の業務

介護施設での事務に関する業務も、無資格でおこなうことができます。仕事内容としては、電話応対や接客などです。郵送物の受け取りや発送・介護報酬の請求・来客の対応・備品の在庫管理など、基本的な事務業務を担うことができるでしょう。

このような業務内容なので、PCのスキルやコミュニケーション能力は必要ですが、基本的には無資格でもおこなえる仕事です。

訪問介護・医療的介護には資格が必須

無資格でできない仕事は、どのようなものがあるのでしょうか。具体的には訪問介護と医療行為をともなう業務の2つがあり、利用者の身体に触れる仕事や、サービス提供責任者などが挙げられます。ここでは訪問介護と医療介護の仕事内容について詳しく解説します。

訪問介護

訪問介護の主な仕事内容には利用者の体に触れる身体介護が挙げられ、無資格ではしてはいけない決まりになっています。訪問介護で身体介護をおこなうためには、「介護職員初任者研修(元:ホームヘルパー2級)」を受講する必要があります。

訪問介護のコーディネーターといった役割の「サービス提供責任者」になるためには、介護職員初任者研修修了であるほか、以下の要件が定められています。

・介護福祉士の資格保有者であること
・介護職員実務者研修修了者であること
・旧介護職員基礎研修課程修了者であること
・旧訪問介護員養成研修1級課程修了者であること

なお、2025年は戦後のベビーブーム世代、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上の高齢者になることから、後期高齢者数の増加が予測されています。厚生労働省ではこの予測に対し、介護業界の人材確保に向けた施策を実施。有資格者が行う業務を細分化したことで、無資格者でも介護業界で働けるように改善され、人材不足の解消が期待されています。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、人員基準を満たすことができないと想定されたことから、介護施設の運営基準などについて柔軟な取り扱いを可能とする特例も出しています。

引用元
日本ホームヘルパー協会:訪問介護員になるには
厚生労働省:戦後世代の高齢者の増加と高齢者像の変化
厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」のまとめ

医療介護

医療行為とみなされる医療介護も、資格がなければできません。たとえば、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養をする場合には、「喀痰吸引等研修」を受ける必要があります。たとえ有資格者から指示を受けた場合でも、おこなってはいけません。

なお、厚生労働省では令和2年4月より、新型コロナウイルス感染症が日本に広まったことを受けて、喀痰吸引等研修の一部にインターネットを活用した通信・遠隔研修の実施といった特例を設けています。

引用元
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症発生に伴う喀痰吸引等研修の実施における対応について

無資格から介護職を目指すべき3つの理由

ここからは、無資格でも介護職を目指すべき理由を紹介します。

1.慢性的に人材不足なので就職のチャンスが大きい

一つめは、慢性的に人材不足であることから、就職のチャンスが大きいことです。人材不足の要因には2025年問題や2040年問題があり、高齢者の人口比率が高まるにつれて介護人材が不足し、深刻化する現状が挙げられます。

厚生労働省のデータを見ると、都道府県が推計した介護職員の必要数では、2023年は約233万人であったのに対し、2025年では約243万人、2040年には約280万人と増加傾向にあることがわかります。

高齢者が増加し、その一方で高齢者を介護する介護人材が足りていない現状から、近年では無資格者の求人数も増加しています。リジョブケアでも、無資格可・未経験歓迎の求人は約3,300件も掲載されているため、無資格でも就職のチャンスが大きい職種だからこそ目指すべきと言えるでしょう。

引用元
厚生労働省:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
リジョブケア:介護職|未経験歓迎|無資格可

2.働きながら自分に合った専門分野を見つけられる

二つめは、働きながら自分に合った専門分野を見つけられることです。介護職はさまざまな資格が活かせる一方で、取得までに時間やお金がかかります。資格取得後に実際に働いてみて、「介護職に向いていない」と気付いた場合、それまでにかかったお金や時間が無駄になってしまうでしょう。

そういった意味でも、まずは無資格で働き、自分の適性やキャリアプランにマッチしているかを判断したうえで資格取得することで将来設計がしやすいため、目指すべき理由と考えられます。

3.日々の仕事が資格勉強に役立つ

三つめは、日々の仕事が資格勉強に役立つことです。介護職の実務経験で得た知識や技術は、資格取得にそのまま活かせます。

介護職のなかで重要な資格の一つである介護福祉士は、3年以上の実務経験が条件となっています。そういった意味でも、介護職の仕事は決して無駄になることはなく、今の時代だからこそ目指すべきと考えられるでしょう。

資格のない介護職の給料は?資格保有者との比較

無資格の介護職員と、有資格者では給料にどれくらいの差があるのでしょうか。厚生労働省のデータをまとめると、下表のようになります。

令和4年12月時点の平均給与額
介護福祉士 約33万円
社会福祉士 約35万円
介護支援専門員 約37万円
実務者研修 約30万円
介護職員初任者研修 約30万円
無資格者 約27万円

※介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・実務者研修・介護職員初任者研修は複数回答ありのデータです。

このように、無資格者と有資格者を比較すると、最大で約10万円の差があることがわかります。介護職は無資格でもなることが可能です。しかし、資格を取得しておけば、高収入という大きなメリットを得ることができます。介護職を目指すのであれば、資格取得を視野に入れながら働くことが望ましいと言えるでしょう。

引用元
厚生労働省:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課

介護職で働きながらとれるおすすめの介護系資格3選

ここからは、無資格者が働きながら取得を目指せるおすすめの資格を3つ紹介します。介護職は無資格でも仕事をおこなうことができるので、先に就職し、あとから資格を取得するパターンがあります。時間をうまく使って、仕事を休職せずに資格をとることを目指してみましょう。

1.認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は、厚生労働省が策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に基づき、認知症介護に必要な基礎知識や技術を習得できる研修です。令和3年度からeラーニングに対応しており、「認知症の人を取り巻く現状」や「具体的なケアを提供する時の判断基準となる考え方」など、全4つのカリキュラムを受講します。

なお、各主催団体によって受講形態や費用が異なるので、最寄りの市区町村ホームページで確認することをおすすめします。

引用元
大阪府:認知症介護基礎研修
eラーニング:認知症介護基礎研修

2.介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識や技術を学べる資格です。全部で130時間のカリキュラムを受講後、修了試験に受かることで取得できます。

介護の経験が全くない人でもわかりやすいような内容になっており、経験が浅く、基礎から丁寧に学びたいときにおすすめの資格です。資格を取得すると訪問介護の業務も担うことができます。

3.介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修より上位資格で、介護福祉士の国家試験を受験する際にも必要な資格です。より専門的な知識を身に着けて、質の高い介護を提供できるようになるようなカリキュラムを学べるようになっています。

資格の取得方法はスクールによって異なりますが、例として、自宅学習と通学講習を組み合わせておこなうものがあります。通学日は7日程度で自分自身の都合に合わせて受講できます。

まずは介護職の仕事に就いて、自分の専門分野でキャリアアップを目指そう!

介護職は無資格でも就職できる仕事です。しかし、有資格者でなければできない業務があるほか、給料にも大きな違いがあることも理解できたのではないでしょうか。

ただし、介護職の仕事は決して無駄になることはありません。たとえば、介護福祉士を目指すときは、実務経験を3年以上クリアするといった条件があり、日々の実務が資格取得に大いに役立ちます。

介護職に就職を検討する人は、まずは無資格からスタートし、資格取得を目指して徐々にステップアップしてみてはいかがでしょうか。

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