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特集・コラム 2020-09-10

サービス提供責任者は厚生労働省ではどう定めてあるの?

介護保険サービスの訪問介護は、訪問して介護をおこない、利用者の在宅での生活を支えることのできるサービスです。しかし、この訪問介護事業所における「サービス提供責任者」ですが、実は資格要件が2019年度から変わっていたことをご存知でしょうか。また、サービス提供責任者になるには、どのような資格が必要となったのでしょうか。今回はサービス提供責任者の業務内容とあわせて解説します。

サービス提供責任者は厚生労働省ではどう定めてあるの?

介護保険サービスの「訪問介護」は、ヘルパーが利用者の自宅に訪問して自宅で入浴や排せつなどの介助をおこなう制度のことです。施設内で提供される介護にくらべて、訪問介護では、使う道具や家の間取り、家族の状況などがそれぞれ異なります。

そのため、スムーズにサービスを提供するためには事前に確認したり、シフトに入るヘルパーに配慮するべきことを情報共有したりする対応が必要となるのです。このような調整や管理をするのが「サービス提供責任者」の役割となっています。厚生労働省では「サービス提供責任者」の資格要件について、どのように定めているのかを確認しておきましょう。

厚生労働省告示第百十八号|厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者

厚生労働省告示第百十八号を確認してみましょう。「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第五条第四項では、以下のような記述があります。

「指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」

第三条第四項の規定にもとづき、厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者について告示されています。

どんなことについて定めてあるの?|資格要件など

厚生労働省告示第百十八号で厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者として挙げられている資格要件を確認しておきましょう。

・社会福祉士や介護福祉士の養成施設1カ月以上、介護福祉士として必要な知識および技能を習得したもの
・介護職員基礎研修課程又は一級課程を修了したもの
・障害福祉の共生型訪問介護のサービス提供責任者

この元になっている基準はどのようなものなのでしょうか。

初心者研修+実務経験では資格要件にならなくなったので要注意|実務者研修を受けよう

「この告示による改正前の厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者第三号に該当するものについては、平成三十一年三月三十一日までの間は、引き続き当該サービス提供責任者の業務に従事することができる。」と記述があります。

2018年4月の告示から1年間は猶予期間を設け、その間に、介護職員初任者研修修了者と実務経験により、すでにサービス提供責任者になっている人にも介護福祉士などの資格を取得するようにすすめてきていました。

しかし、猶予期間が終わった2019年4月からは、実務経験があるからといってサービス提供責任者になることはできなくなっているのです。3年以上の実務経験さえあれば、介護福祉士実務者研修を受けることで「介護福祉士の資格」を取得することができます。そのため、まずは実務者研修を受けてから、サービス提供責任者を目指してみるようにしましょう。

厚生労働省が定めるサービス提供責任者の仕事内容とは

2019年4月から介護福祉士の資格が必須となった「サービス管理責任者」という仕事は、介護保険サービスなどの「訪問介護」を提供する事業所の業務を取りまとめる役割を持っています。厚生労働省は「サービス提供責任者」の具体的な仕事の内容についてどのように定めているのでしょうか。その仕事内容を詳しく解説します。

1. 訪問介護計画の作成

ケアマネジャーが作成した介護サービスの提供の大本となる「介護サービス計画書」、いわゆるケアプランをもとに、より細やかに利用者の状況に合わせた「訪問介護サービスの計画書」を作成します。

2. 利用者|利用申込みの調整

サービスに関する相談や利用するために必要な手続きなどの調整をおこないます。また、時間変更や日程変更などの細かな調整もサービス提供責任者の業務なのです。

3. 利用者の状態変化、サービスへの意向の定期的な把握

訪問介護サービスの利用にあたっては、利用者の自宅を訪問したうえで利用者本人とそのご家族と面談をします。利用者の希望や日常生活の課題、利用者が過ごしている部屋やトイレ、風呂などといった家屋の状況、そして家族の要望などをしっかりと聞き取ることで、訪問介護サービス計画書を更新していくのです。

4. 居宅介護支援事業者との連携(サービス担当者会議出席等)

利用者や家族とケアマネ、そして、利用している介護保険事業所の担当者などが参集し、提供する介護サービスについて情報共有をおこないます。ケアプランを含め、検討する「サービス担当者会議」に、訪問介護サービスの担当として出席することになるのです。そして、ケアマネジャーの作成したケアプランを確認し、日々のサービス提供の評価や調査をおこない、必要なサービスの提案、検討をします。

5. 訪問介護員に対しての具体的援助方法の指示及び情報伝達

同様に「訪問介護サービス計画書」変更があった場合はもちろん、ケアマネから連絡があった際やサービス担当者会議に参加した際にも、情報の伝達をおこなわなければなりません。各訪問介護員(ヘルパー)に状況の変化や具体的援助方法の変更点などの情報伝達をおこないます。

6. 訪問介護員の業務の実施状況の把握

サービス提供責任者は訪問介護員から報告を受けるだけでなく、定期的に利用者のご自宅を訪問し、訪問介護業務の実施状況を把握する必要があります。あわせて、利用者さんや家族、家屋の状況に変化がないか確認し、サービスの提供状況や計画の進行などのチェックや評価などもおこなうのです。そして、必要に応じて訪問介護計画書やサービス提供手順書を作り直して、より効果的な支援を目指す必要があります。

7. 訪問介護員の業務管理

介護サービスの計画を立てるだけでなく、訪問介護員のシフトを組んだり、訪問に同行したりすることもサービス提供責任者の仕事です。急に欠勤が出た場合の対応はもちろん、問題発生時の対応など、訪問介護事業所の業務管理全般をおこないます。

8. 訪問介護員に対する研修、技術指導等

サービス提供責任者は訪問介護員の技術指導や研修計画の作成などもおこないます。そして、よりよい訪問介護を提供できるように努めなければならないのです。

サービス提供責任者は利用者のサービス利用支援やヘルパーの業務管理をおこなう

利用者のサービス利用支援やヘルパーの業務管理をおこなうサービス提供責任者の資格要件について、厚生労働省では2019年4月から介護福祉士資格を必須としています。とはいえ、ほかになにか特別な試験があるわけではありません。つまり、すでに介護福祉士資格を持っているのであれば、「介護福祉士実務者研修」を受けて、資格要件を満たせばサービス提供責任者という役職になることは可能なのです。もし、介護福祉士資格の資格を持っているのであれば、この機会にキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。

出典元:
厚生労働省 厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
2017年11月1日 第149回社会保障審議会介護給付費分科会議事録
訪問介護におけるサービス提供責任者について

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