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特集・コラム 2023-02-20

介護職員の給料はどのくらい?給与が低いと言われる理由や給与上げの政策|収入アップ方法もご紹介

介護職員として働くでうえ、給料をどのくらい受け取れるかは大切な要素です。受け取る給料の金額によって、モチベーションが変わるという方もいるかもしれません。実際、介護職員の給料はどのくらいなのでしょうか。

今回の記事では、介護職員の給料や給与が低いと言われる理由、国が取り組んでいる給与上げの政策についてご紹介します。

介護職員のお給料・平均年収はどれくらいなの?


この章では、介護職の平均的な給料の現状について、実際のデータを元に紹介。具体的には、以下の5点について解説します。

・介護職の平均的な給料
・介護職の初任給の平均
・施設ごとの平均給与の違い
・保有資格ごとの平均給与の違い
・性別による平均給与の違い

介護職の平均的な給与体系について知って、介護職員として働くとどれくらいの給料がもらえるのかを考えておきましょう。

介護職員のお給料はどれくらい?|厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

介護職員の給料や平均年収がどのくらいなのかを、2021年に厚生労働省が公表した介護従事者処遇状況等調査結果に基づいて解説します。月収だけでなく、時給の平均なども確認しておきましょう。

平均月給|常勤31万6,610円

介護職員の平均月収は、常勤だと31万6,610円とされています。この金額から税金や保険料が引かれるので、手取りは約26万円です。また、非常勤の平均月収は19万8,520円です。非常勤の場合は、手当はほぼつきません。

ただし、介護職といってもさまざまな資格があるので、保有資格によってはこの金額よりも高くなったり低くなったりすることがあります。

平均日給|常勤11,348円
介護職員の平均日給は、常勤で1万1,348円、非常勤で1万1,617円です。平均日給に関しては、非常勤のほうが高くなっているため、常勤で勤めている方が割に合わないと思われるかもしれません。

ただし、非常勤の場合、出勤している日数が少ないですし、賞与や手当がつくことはほとんどありません。そのため、月収や年収レベルで見れば、常勤の方が高くなります。

平均時給|常勤1,395円

介護職員の平均時給は常勤で1,395円、非常勤で1,398円です。この金額はあくまでも平均となるので、地域や施設の規模によって金額は大きく変わることもあるでしょう。また、所有資格の有無でも時給は変動するため、あくまで平均値として参考にしてください。

平均年収|令和3年賃金構造基本統計調査

2021年公表の賃金構造基本統計調査にもとづいた介護職員の平均年収は、316万6,300円となっています。これは施設規模によっても異なり、今回の年収は10~99人の職員がいる規模の施設にて算出したものです。

実際のところ、施設規模が大きくなればなるほど年収も高くなる傾向にあるため、さきほどご紹介した上記の月給を計算した金額とは異なります。

介護職員の初任給は?

介護職員の初任給は27万7,350円です。この金額は額面給料といい、給料の総支給額となります。この金額から源泉徴収で差し引かれる税金や社会保険料などの控除金額が取られるため、実際に入る手取り金額はこの金額の70〜80%程度となることが多いです。

具体的には、約23万円の手取り金額となります。

長く勤務するとどれくらい上がるのでしょうか?

介護職員が気になるのは、勤務し続けることで給料が上がっていくのかどうかでしょう。勤続1年目から5年目の間では、3万2,000円程度給料が上がります。

このように、勤続年数の長さによって、徐々に給料が上がっていくのが特徴です。そのため、勤続20年目になると1年目と比較して約10万円給料が上がることも。このようなことから、介護職員はコツコツ働き続けることで給料が上がる職種といえます。

他の職種と比べて高い?

介護職員の給料は、他の職種と比較すると、どのあたりに位置しているのでしょうか。介護職員を含む8つの職種の、月の平均給与額を比較してみましょう。

これらは常勤の平均給与額です。職種別の平均給与を比較すると、介護職員は、高すぎることも低すぎることもないことが分かります。

施設で給与に違いはある?|介護老人保健施設・通所介護事業所など

介護職は介護を必要とする高齢者がいるさまざまな形態の施設で働けますが、施設によっても給料に違いが出てきます。施設によって給料にどのくらいの差が出るのか、常勤と非常勤それぞれの月給で比較していきましょう。
常勤の月給を比較
それぞれの介護施設ごとに、常勤の月給を比較してみました。

比較的施設規模が大きいところでは、給与額が高くなる傾向にあります。

非常勤の月給を比較
次に、非常勤の介護施設ごとの月給を比較してみました。

5つのうち、常勤と非常勤で最も給与額に差がある施設は介護老人福祉施設で、約14万円の金額差があります。しかし、常勤と非常勤では労働日数が異なるため、どうちらがよいかは金額だけでは判断しにくいです。

保有資格による給与の違いとは?|介護職員初任者研修・実務者研修など

介護職の給料は施設形態だけでなく、保有資格によっても大きく異なります。保有資格別の給料額は以下のとおりです。

上記の給料額は、常勤の場合の平均給与(月額)です。上記で紹介したほかにも、介護支援専門員の資格を取得すれば36万2,290円、社会福祉士の資格を取れば36万3,480円まで給料が上がります。そのため、介護職員は保有資格があれば、高い給料を見込める仕事です。

介護職員が取得している手当の種類は?

介護職員は、基本給に加えて手当が大切です。手当が多く付くほど高い給料が見込めます。介護職員が取得している手当の種類は以下の通りです。

・時間外手当(早朝・深夜・休日手当等)
・家族(扶養)手当
・通勤手当、交通費
・職務手当(役職手当等)
・資格手当
・処遇改善手当
・特定処遇改善手当
・夜勤手当
・研修手当
・移動手当

これらのほかにも、感染症対応に関わる手当もあります。手当のうち、通勤手当・処遇改善手当・時間外手当を取得している割合が高いです。ただし、これらの手当は、介護職員になったからといって、必ず取得できるとは限りません。勤務先によっては、出していない手当もあるため、誤解がないようにしましょう。

性別による給与・賞与の違いとは?


性別によっても給料には差が出ているようです。男性の場合は平均給与が33万5,460円となります。一方、女性の場合だと所定内給与額は30万6,590円というデータが出ています。勤続年数で見ても、男性の方が短いのに、女性よりも高い給料をもらっているという現状がわかるでしょう。

また、平均年齢で比較すると女性の方が平均年齢が高く、男性の方が平均年齢が低い点も特徴です。

年齢による違いを紹介

年齢での違いでは、一般的に介護職の資格を取って働きはじめる29歳以下では、男女間で約1万円の平均給与の差となります。

その後の30歳〜39歳になると所定内給与額の男女差は約4万円となり、女性の平均給与の相対的な少なさが浮き彫りになるのが特徴です。

介護職員の給与は低い?3つの理由とは


介護職の給与が低いとされているのには、以下のような原因があります。

・介護報酬の上限が決められている
・専門性があまり認められていない
・非正規職員は昇給がほとんどない

これらの原因について深堀りして、給料が低い理由について再認識しましょう。

1. 介護報酬の上限が決められている

介護職の給与は、利用者と国からの介護費負担から支払われる「介護報酬」が元手になります。しかし、介護報酬の設定には細かい条件がついており、報酬額には上限が金額が設定されています。

そのため、介護職がいくら介護サービスを提供しても、給与が大幅にアップすることは少ないというのが現状なのです。

ただし、後述する「介護職員処遇改善加算」や「介護職員等特定処遇改善加算」などの改善加算も行われはじめているので、平均給与のアップも期待されています。

2. 専門性があまり認められていない

介護職スタッフとして勤務するためには、必ずしも資格を保有している必要がありません。また、正社員雇用だけでなく、非正規雇用の介護職も増えているので、専門性が高くないスタッフが働ける反面、専門性が認められにくく、給与が上がりづらいという面も否定できないのです。

3. 非正規職員は昇給がほとんどない

資格なしの未経験から介護職で働く場合は、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用として働き始める方も多いでしょう。

非正規雇用は昇給や昇格制度が取り入れられておらず、待遇の向上を期待できない状態で働くしかないケースもあるのが特徴です。

厚生労働省が公表している「介護労働の現状」によれば、非正規雇用の介護職は約41%にも及んでいます。このように、非正規雇用が多い実態があるので、介護職は昇給がほとんどない低収入の業種だと考える方もいるのです。

介護職員の給与が上がる?今後の展望とは


介護職員の給与が低い背景について知ったところで、介護職の将来的な給与水準の展望はどうなっているのでしょうか?

この章では、介護職の給与水準が全体として上がっている状況と、給与水準が上がっている制度的な背景について紹介します。

全体として給与水準が上がっている

介護職全体でみた時の平均給与は、年々増加傾向にあります。介護職員の平均給与のデータを比較すると、令和2年度が30万9,230円、令和3年度が31万6,610円となっており、介護職員の平均給与は増加傾向にあることがわかるでしょう。

ちなみに、非正規雇用の給与も徐々に上がっていて、令和2年度で19万5,370円、令和3年度で19万8,520円となっています。

介護職員処遇改善加算の手当てについて

働く介護職員の賃金を改善させることを目的とした施策を、介護職員処遇改善加算といいます。介護職員の仕事に見合った給料がもらえないという不満を改善し、労働環境もよくしていくとともに、結果として介護分野における人手不足解消へとつなげていくのが目的です。

この施策の「加算Ⅰ」を取得すれば施設側は介護職員1人当たり月額3万7,000円相当の加算が受け取れるので、そのぶん介護職員の給料にも還元してもらえます。

実際に介護職員処遇改善加算がはじまったことで、介護職員の給料にどのくらいの変化があったのかを2018年のデータと比較してみました。

・2018年:平均給与:21万3,590円
・2020年:平均給与:30万9,230円
・2021年:平均給与:31万6,610円

2018年から2020年の間では、介護職員の給料は月給で9万5,640円値上がりしています。さらに、2020年から2021年にかけても、平均給与が7,380円アップしています。

しかし、事業所のすべてが処遇改善加算を取得しているわけではありません。また、事業所が処遇改善加算を取得していたとしても、事業所側が勤続年数やスキルによって、誰に配分するかを決めていることがあるため、手当を受け取ることができない場合もあります。

介護職員処遇改善支援補助金の制度もある

介護職員処遇改善支援補助金では、医療・福祉人材の育成・確保の支援のために介護職員を対象に収入の引き上げを行いました。補助金額は、介護職員ひとりあたり、月額平均9,000円の賃上げに相当する額を支給します。

しかし、この介護職員処遇改善支援補助金の制度は2022年4月から9月を対象にしていたため、現在は申請することができません。厚生労働省によると、2023年度の補助金は、今後改正される予定です。

収入アップを目指せる6つの方法を紹介


介護職が収入アップを目指す方法には、以下の6点が挙げられます。

・夜勤収入を手に入れる
・相談業務にも従事する
・役職や管理職を目指す
・資格取得してキャリアップする
・現在の職場で長く勤務する
・よりよい条件のよい職場へ転職する

これらの方法を参考にして、介護職が収入をアップする工夫を考えてみましょう。

1. 夜勤の回数を増やす|夜勤手当で収入UP

労働基準法では午後10時から午前5時まで間の夜間の労働に対して、雇用主は通常の25%増し以上の賃金を支払わなければならないと決められているのが特徴です。

福祉施設で働く介護職員も同様で、夜勤をすると夜勤手当がつきます。夜勤手当は1回4,000~8,000円くらいですので、効率的に収入アップを目指せる方法でしょう。

しかし、子どもがいたり、夜間の仕事が苦手だったりという理由で、手当がついても夜勤は避けたいという人は少なくありません。最近では、夜勤専門の求人を募集しているところもあるほどです。

2.相談業務にも従事する

ソーシャルワーカーとして相談業務に従事したり、サービス提供責任者として関係する事業者や関係者との間にたって連絡役になったりすることも、収入アップの一つの方法です。

ただし、サービス提供事業者として幅広い相談・窓口業務に対応するためには、介護福祉士や介護福祉士実務者研修など、所定の介護系資格を取得する必要があります。

介護支援専門員(ケアマネージャー)の取得方法

相談業務に従事するためには、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得することがおすすめです。介護支援専門員は、介護が必要な方に介護サービスを提供・ケアプランの作成をします。しかし、勤務先によって仕事内容が少し変わります。

介護支援専門試験を受けるためには、特定の国家資格を保有していること、もしくは相談援助業務などに従事していて実務経験5年以上・900日以上従事をしていなければいけません。

3. 現在の職場で役職や管理職を目指す

リーダーや主任になると時給にして100円程度、月給にして数千円の役職手当がつく場合があります。さらにサービス提供責任者や管理者、施設長などの管理職になると月額数万円も収入アップできるでしょう。

介護業界は年齢よりもスキルや経験、資格が優先される職場です。そのため、その気になれば役職や管理職になることができる可能性も高いでしょう。

厚生労働省が公表した、令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果では、サービス種類別の管理職(常勤の者)の平均給与額が、公開されているため、ご紹介します。

ここでいう管理職とは、主任・リーダー・サブリーダーなど職場におけるまとめ役の職位や、訪問介護におけるサービス提供責任者のことをいいます。管理職は、介護施設などで重要な役割を担っているため、介護職員よりも給与は高いです。

4. 資格を取得してキャリアアップをする

介護の仕事では所持している資格によって、提供できるサービスや業務が変わります。同じ仕事をしていても資格を取得すると資格手当がつく場合が多く、キャリアアップにもつながりますので資格の取得はおすすめです。

つづいては、収入アップやキャリアアップに役立つおすすめの資格である介護職員初任者研修と介護福祉士について解説します。

介護職員初任者研修|訪問介護が可能に!

介護の資格の入門編ともいわれる介護職員初任者研修は、受講するための条件のない人でもチャレンジできる資格です。130時間のカリキュラムを修了したあとに、筆記試験を受けることで取得できます。

介護職員初任者研修を取得することで、施設のなかだけでなく訪問して支援をする訪問介護の仕事もできるようになるので仕事の幅がひろがる可能性も。この資格を取得すれば、次のステップである実務者研修で450時間中130時間のカリキュラムの受講が免除されます。

無資格からでも取得できる介護職員初任者研修とは|資格の内容やメリットについて解説

介護福祉士|介護系の国家資格

介護福祉士は、介護資格のなかで唯一の国家資格です。介護福祉士は、主に特別養護老人ホーム・障害者支援施設などの社会福祉施設で、利用者の身体介護や生活支援を行います。そのほかにも、介護サービスの相談やリーダーとしてチームをまとめるなど、介護のスペシャリストとして働くことができるため、介護現場で活躍したい方は取得するといいでしょう。

介護福祉士を取得するには、養成施設ルート・実務経験ルート・福祉高校ルート・経済連携協定(EPA)ルートのなかから、自分が受験資格を得やすいものを選択します。受験資格を得てから試験に合格することで、介護福祉士の資格を取得することができます。

介護福祉士の資格とは?|資格の内容や仕事内容について徹底解説

5. 現在の職場で長く勤務する

ひとつの職場に長く勤務していると、多くの場合基本給はアップしていくものです。さらに、介護の職場には勤続年数が長い人の給与分を加算する「介護職員処遇改善加算」があるため、長く勤務するほど収入アップを目指すことができる仕組みになりつつあります。

介護職で長く働き続けるためには、モチベーションを維持するための目標を立てるようにしましょう。その際、達成が難しい目標はなるべく避け、達成しやすい目標を設定します。目標を達成することで、やりがいを感じてモチベーションアップに繋がります。そのほかにも、仕事とプライベートにメリハリをつけるなどに取り組むといいでしょう。

6. より条件のよい職場へ転職する

介護のお仕事は、転職しても資格やスキル、経験を活かすことができます。経験を積むことで転職しやすくなりますので、今よりも条件のよい職場を見つけたら転職してしまうという方法もあるでしょう。

厚生労働省が公表した、令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護老人福祉施設・通所介護事業所・小規模多機能型居宅介護事業所は、規模が大きいほど平均給与が高いです。

事業所によって基本給はかなり異なりますし、市や県をまたいで求人を探してみるという方法もあります。より条件のよい職場を探すためにも、随時求人募集チェックしてみるのがおすすめです。

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介護職員の給料は勤務先や年齢などで変わる


今回の記事では、介護職員の給料や給与が低いと言われる理由、給与上げの政策についてご紹介しました。介護職員の給料は、勤務先・年齢・勤続年数・資格・手当などで異なります。

給料アップを目指している方は、今回ご紹介した6つをもとに取り組んでみてください。しかし、勤続年数を増やすことや管理職を目指す方法は時間がかかるため、比較的時間がかからない資格取得から目指すといいでしょう。

資格を取得することで知識や技術を習得できるほか、給料アップに繋がるため、前向きに取り組んでいきましょう。

引用元
厚生労働省:令和3年度 介護従事者処遇状況等調査結果
厚生労働省:平成30年度 介護従事者処遇状況等調査結果
厚生労働省:介護労働の現状について
厚生労働省:介護職員処遇改善支援補助金
厚生労働省:コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験

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