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特集・コラム 2020-09-05

サービス提供責任者の配置基準とは? 複数のサービスをおこなう事業所の場合はどうなるの?

訪問介護などをおこなう際の責任者である、「サービス提供責任者」の配置基準がサービスによって異なることをご存知でしょうか。実は、訪問ヘルパー事業所は介護保険サービスだけでなく、各種障害福祉の訪問型の支援にも対応していることが多いです。この2つの制度にまたがったサービス提供責任者の配置基準の基本的な考え方と、どのような算定方法があるのかを解説します。

サービス提供責任者の配置基準とは?

サービス提供責任者は、いわゆるヘルパーステーションなどの運営に欠かせない存在です。大きなヘルパー事業所では複数のサービス提供責任者ごとのチームを作りサービスを提供している場合もあります。サービス提供責任者の配置はどのような制度の下でどんな基準が設けられているのでしょうか。

どれを基準にすればいいのか|利用者数・サービス提供時間・従業者数

厚生省令第三十七号第五条で「指定訪問介護の事業を行う者ごとに置くべき訪問介護員等の員数は、常勤換算方法で2.5以上とする。」とされています。

さらにこの4項では「サービス提供責任者は介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事するものをもって充てなければならない。ただし、利用者に対する指定訪問介護の提供に支障がない場合は、同一敷地内にある指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所又は指定夜間対応型訪問介護事業所に従事することができる」とされています。

訪問介護事業所においては、常勤専従の管理者が1人と、介護福祉士の資格を持つ常勤専従のサービス提供責任者 が1人、訪問介護員が常勤換算で2.5人以上必要です。しかし、その詳細は各自治体によって異なります。

横浜市の場合では、サービス提供責任者の人数は、利用者40人あたり1人であり、利用者数は前3カ月の平均値を使用します。たとえば2~4月の平均利用者数50人の場合、50÷40=1.25で、1.25人のサービス提供責任者が必要です。この場合切り上げて、2人サービス提供責任者置くこととなり、この0.25人分のサービス提供責任者は、管理者をかねたり、同じ事業所で異なる事業のヘルパーを兼任したりして、算定することが認められています。

ただし、「訪問介護員」と「サービス提供責任者」、「管理者」の3つの役を兼務することは禁止されているので注意が必要です。このような兼務に関する要件については複雑な部分もありますので、各自治体に確認してみましょう。

サービス別に基本的な配置基準を紹介

介護保険サービスの訪問介護をおこなう訪問介護事業所と障害福祉サービスの居宅介護をおこなう居宅介護事業所と同一敷地内にあることが多いため、配置基準は複雑です。ここでは名古屋市を例にあげて解説しますが、自治体によって規定が違うこともあるので必ず確認してください。

居宅介護の場合

居宅介護は障害福祉サービスにおける訪問介護サービスにあたるものです。居宅介護事業所では利用者40人ごとに1人、サービス提供時間 450時間ごとに1人、ヘルパー常勤換算10人ごとに1人のいずれかで算定します。

訪問介護・介護予防訪問介護の場合

訪問介護や介護予防訪問介護においても、居宅介護と同様の取り扱いとなります。しかし、必要なサービス提供責任者を算定する方法がやや厳密で、利用者の数が40人を超えてしまうとさらにもう1人サービス提供責任者が必要となるのです。つまり、50÷40=1.25で、1.25人のサービス提供責任者が必要とされ、切り上げて2人のサービス提供責任者をおかなければなりません。

重度訪問介護の場合

重度心身障害のある方が24時間の連続介護も受けられる障害福祉サービスの重度訪問介護では、利用者10人ごとに1人、サービス提供時間1,000時間ごとに1人、ヘルパー常勤換算20人ごとに1人のいずれかで算定します。

同行援護・行動援護の場合

同行援護は視覚障害者のガイドヘルパー、行動援護は精神障害者や知的障害者で危険回避ができない方の安全を確保しながら付き添うヘルパーのことをさします。いずれも特別な研修を受けてから提供される障害福祉サービスです。

居宅介護同様に、利用者40人ごとに1人、サービス提供時間450時間ごとに1人、ヘルパー常勤換算10人ごとに1人のいずれかで算定したサービス提供責任者が必要となります。

移動支援の場合

移動支援は介護保険サービスでも障害福祉サービスにもある、受診などの移動に付き添うヘルパーです。移動支援ではサービス提供時間やヘルパー数にかかわらず、利用者30人ごとに1人のサービス提供責任者が必要となります。

50人ごとに1人配置でもOKな条件とは|常勤3人以上など

厚生労働省が2015年にサービス提供責任者の基準緩和をしました。

・常勤のサービス提供責任者を3名以上配置している
・サービス提供責任者の業務に主として従事するものを1人以上配置している
・サービス提供責任者がおこなう業務が効率的におこなわれている場合

このような場合において、50人ごとに1人の配置にすることも認められるようになりました。

複数のサービスをおこなう事業所の場合は何人ごとに必要なの?

多くの訪問ヘルパーの事業所では介護保険サービスの訪問介護だけでなく、障害福祉サービスの居宅介護や同行援護、行動援護、移動支援、重度訪問介護などのサービスも提供しています。複数の制度やサービスの提供をおこなう場合には、何人のサービス提供責任者をおけばいいのでしょうか。

自治体によって規定が違うこともあるので確認が必要ですが、ここでは名古屋市の例で解説します。実際には事業所がある自治体の規定をチェックしてみてください。

1. 障害福祉サービスと訪問介護などを合わせて算出する場合

障害福祉サービスの居宅介護等と介護保険サービスの訪問介護などとを合わせて算出する場合には、重度訪問介護の利用者人数がポイントとなります。重度訪問介護の利用者が10人以下の場合には、重度訪問介護の利用者を含めた全利用者40人ごとに1人のサービス管理責任者が必要です。

重度訪問介護利用者が10人を超えている場合には、重度訪問介護の利用者10人ごとに1人に加え、それ以外のヘルパー利用者40人ごとに1人のサービス管理責任者をおくことになります。

2. 障害福祉サービス|複数のサービスをあわせておこなう場合

介護保険サービスの訪問看護を別枠とし、障害福祉サービスの複数サービスをまとめて、必要なサービス提供責任者を算出する方法について解説します。利用者の人数によって異なる違いを確認しておきましょう。

重度訪問介護とそれ以外をまとめて算出する方法|利用者が10人以下

重度訪問介護の利用者が10人以下の場合、重度訪問介護の利用者を含めた全利用者40人ごとに1人、サービス提供時間450時間ごとに1人、ヘルパー10人ごとに 1 人、いずれかの方法で必要なサービス提供責任者を算出します。

重度訪問介護とそれ以外をまとめて算出する方法|利用者が10人以上

この場合には、重度訪問介護利用者10人ごとに1人のサービス管理責任者を算定します。さらにそれ以外の利用者40人ごとに1人を合算するか、サービス提供時間450時間ごとに1人、ヘルパー10人ごとに1人のいずれかで算定しなければなりません。

重度訪問介護とそれ以外をそれぞれ算出・合計する方法

利用者10人ごとに1人、サービス提供時間1,000時間ごとに1人、重度訪問介護専従のヘルパー20人ごとに1人に他のサービスと兼務しているヘルパー10人ごとに1人を合算する、いずれかの方法で算定します。

厚生労働省や各自治体からの通知を見逃さずチェックしよう

訪問ヘルパーの事業所では、介護保険サービスの訪問介護だけでなく、障害福祉サービスの居宅介護などのサービスも提供しています。介護保険と障害福祉では各自治体の担当課が分かれている場合も多いですので、厚生労働省や各自治体の規定をチェックすることや変更通知を見逃さないように注意しましょう。また、自治体に確認する場合には直接のサービスの担当課に確認することを忘れないでくださいね。

出典元:
横浜市 人員及び設備の基準、申請書類一覧、申請書類作成の留意事項と申請書類チェックリスト
名古屋市 サービス提供責任者の配置基準(概要)
東京都福祉保健局 サービス提供責任者の配置基準について

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