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特集・コラム 2022-07-02

ケアマネジャーの平均年収・給与はどれくらい? 収入アップを目指す方法とは

正式には、「介護支援専門員」という名称のケアマネジャー。おもな仕事は、要介護者や要支援者に該当する人たちが適切な介護サービスを受けられるように計画し、調整をおこなうことです。

今回はそんなケアマネジャーの仕事内容や平均年収・給与などを紹介するとともに、収入アップを目指す方法をくわしく解説します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均月給・年収はどれくらい?

介護保険制度にもとづき、ケアプランの作成およびマネジメントをおこなうのがケアマネジャーのおもな仕事です。

この仕事に就くことで、一体どれくらいの給料を得られるようになるのでしょうか。まずは、ケアマネジャーの平均月給と平均年収などについてくわしく解説します。

ケアマネジャーとは? どんなお仕事をするの?

ケアプランの作成およびマネジメントを担当するケアマネジャー。しかし、具体的な仕事内容までをきちんと把握している人は少ないでしょう。

ケアマネジャーが担当することになる仕事には、次のようなものがあります。それぞれどんな仕事をするのかを、くわしく確認しておきましょう。

ケアマネジャー(介護支援専門員)ってどういう仕事?仕事内容や資格取得の流れを解説 

1. ケアプランの作成

ケアプランとは介護の目標や課題に合わせた介護の種類や内容をまとめた計画書のことで、要介護者が介護サービスを受ける際に必要になるものです。

ケアマネジャーは、利用者さんの状況を把握し、最適なケアプランを作成しなければなりません。ただ作成するだけではなく、その後も作成したケアプランが利用者さんの心身と生活に適しているかを定期的にチェックします。そして、必要に応じて修正をおこなうのが特徴です。

2. 利用者との面談

ケアプランが適しているか確認するため面談をおこなうのも、ケアマネジャーの大事な役割です。利用者さんとの面談は「モニタリング」ともいわれ、月に1度は実施することが法令で定められています。

このモニタリングは利用者さんの自宅で実施するのが一般的で、利用者さんとだけでなく、その家族とおこなうことも多いです。ここで面談をしてケアプランを調整し、利用者さんとその家族、サービス事業所へ再度ケアプランを交付します。

3. 要介護認定のサポート

基本的に要介護認定の判定結果によって、受けられるサービスが異なるのが特徴です。そのため、適切なサービスを受けるには、要介護認定されることが必須となります。

この申請手続きは市町村役場の窓口でおこない、その後自宅にて聞き取り調査が実施されるという流れです。申請および更新に必要な手続きのサポートをしたり、要介護認定の聞き取り調査に携わったりするのも、ケアマネジャーの仕事となります。

4. 介護事業者と利用者の橋渡し|連絡業務

ケアマネジャーは、介護サービスの利用や施設への入居がスムーズにいくように、手続きのサポートや代行も任されます。具体的には、介護事業者の情報収集、利用する介護事業者の選定、介護サービスの申し込み手続き、入所に必要な手続きのサポートなどです。

サービスを開始したあとに利用者からのクレームや要望があったら、利用者さんに代わって介護事業所に伝えます。そのため、業務連絡を担うケアマネジャーは、介護事業者と利用者さんの橋渡しといえるでしょう。

5. 介護保険の給付管理|介護保険サービスのお金の流れをチェック

サービスを提供した介護事業者が国民健康保険団体連合会に介護給付費を請求しますが、請求には「給付管理票」が必要です。その給付管理票の作成のほか、書類提出や申請手続きの代行もケアマネジャーがおこないます。

介護事業者の明細と「給付管理票」と照らし合わせながら審査がなされ、介護給付費が支給されるので、たいへん重要な役割です。業務の一環として、介護保険サービスのお金が正しく流れているかもチェックします。

平均月給は35万7,850円|厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果

厚生労働省が発表した2020年度の調査結果によると、ケアマネジャーの平均給与額は35万7,850円、手当や一時金などを除いた場合は21万6,780円となっていました。

介護職員の平均給与額31万5,850円、平均基本支給額が18万2,260円となっていることから、介護職のなかでは高額といえるでしょう。

ただし、居宅ケアマネと施設ケアマネでは収入に違いがあり、施設ケアマネジャーのほうが高収入なのが一般的です。

ケアマネの給与はどこから支払われているの?|介護保険の居宅介護支援費

基本的にケアマネジャーの給与は、介護保険の居宅介護支援費から支払われているのが特徴です。

このほかにも地域包括支援センターから仕事を委託されたり、要介護認定の認定調査の依頼をされたりした場合に受け取る「委託料」というものがあるのが特徴です。この委託料を支払うのは、仕事を依頼した自治体となります。

平均年収は約386万円|厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査

前項でケアマネジャーの1カ月あたりの平均給与をご紹介しましたが、ケアマネジャーの平均年収は平均給与額の12倍というわけではなく、その金額に賞与や手当などがプラスされます。

厚生労働省がおこなった2021年賃金構造基本統計調査の結果によると、ケアマネジャーの平均年収は385万7,900円です。その内訳は、月給27万2,600円×12カ月と、年間賞与・そのほか特別給与額が58万6,700円となります。

施設による給与の違いとは?

これはケアマネジャー以外の職業でもいえることですが、同じ職業でも働く場所によって、業務内容と労働条件が違ってくるため、給与にも差が出ます。地域によっても給与に差があり、地方で働くよりも、都市圏で就職したほうが収入は多いです。

ケアマネジャーの場合は、介護施設が勤務先の「施設ケアマネジャー」と居宅介護支援事業所が勤務先の「居宅ケアマネジャー」でも、給与額の違いが生じます。つづいては、その理由を確認しておきましょう。

施設ケアマネと居宅ケアマネはどちらが高い?

「居宅ケアマネジャー」は居宅介護支援事業所に所属し、利用者さんの自宅に訪問してケアプランを作成するのがおもな仕事となります。

一方、「施設ケアマネジャー」は介護施設で勤務するため、ケアマネジャーの仕事だけでなく、介護やほかの業務も任されることが多いです。そのため、施設ケアマネジャーの給与は居宅ケアマネジャーよりも高めとなっています。

居宅ケアマネジャー1人当たりが担当する利用者数は約35人に対し、施設ケアマネジャー1人当たりの利用者数は約100人ということも、給与に差が出る理由のひとつです。

年齢・男女別での給与の違いとは?

ケアマネジャーの給与は年齢(勤務年数と経験)と、男女別でも異なります。2021年賃金構造基本統計調査結果における、それぞれのデータは次のとおりです。

20~24歳:平均給与額21万5,800円
40~44歳:平均給与額29万6,800円
45~49歳:平均給与額30万0,500円

男性:平均給与額30万100円
女性:平均給与額26万3,400円

ケアマネジャーの収入は年齢では45歳から49歳がもっとも多く、女性より男性のほうが多い傾向があります。

保有資格による給与の違いとは?

ケアマネジャーの資格があると、資格手当がつくことがあります。厚生労働省の2020年度介護従事者処遇状況等調査結果における、ケアマネジャーの平均給与額は36万8,030円に対し、保有資格なしの職員の平均給与額は27万5,920円です。

ちなみに、介護福祉士の平均給与額は32万9,250円で、社会福祉士の平均給与額は35万3,020円となっています。この金額からも、ケアマネジャーの平均給与は介護業界のなかでも高いことがわかるでしょう。

ケアマネジャーの年収はこれから上がるの? 処遇改善は見込める?

居宅介護支援の分野は、残念ながら赤字続きです。ケアマネジャーは処遇改善も対象外のため、今後ケアマネジャーの収入がアップすることはあまり期待できません。

それでも2025年になると、団塊世代が75歳以上になり、介護を必要とする人が増えますし、2018年にケアマネジャーの受験資格が厳しくなったこともあり、ケアマネジャーの需要は高まります。このことから、ケアマネジャーの活躍の場は今よりも確実に増えるでしょう。

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ケアマネジャーがお給料を上げるにはどうすればいいの?

ケアマネジャーの給与は、常勤・非常勤ともにほかの介護職より高い傾向にあることがわかりました。では、ケアマネジャーの給料を上げていくにはどうすればいいのかを解説していきます。

1. 長く勤める|勤続年数で給与額もUP

給料を上げる方法として考えられるのが、同じ事業所や施設にできるだけ長く勤めて勤続年数を伸ばしていくことです。勤続年数が長くなるとその年数にかかわらず平均基本給は上がることが厚生労働省の調査結果でもわかっています。

「介護従事者処遇状況等調査結果」では、平均勤続年数7.6年の常勤介護職員の場合、2019年の平均給与は前年よりも約1万円増加しています。前年に比べて平均給与が上がっている傾向は、勤続年数にかかわらず生じているといえるでしょう。

2. ほかの資格を取得する・保有資格を増やす

ケアマネジャー資格のほかにも資格を取得すると、職場によってはさらに資格手当てが支給されることがあります。そのため、資格手当で給料を増やせる可能性があります。ケアマネジャー以外に取得する資格としておすすめなものをご紹介します。

・介護福祉士
・介護職員初任者研修
・社会福祉士
・精神保健福祉士

これらの資格は、いずれもケアマネジャーとしての勤務経験やキャリアアップにも多いに役立つでしょう。ケアマネジャー以外にも介護福祉系の資格があると、実務にも活かせるようになります。そうなると、職場にも必要な人材となるため能力手当てなどのアップも期待できます。

しかし、どの程度資格手当てがもらえるのかは、所属する事業所や施設の経営状況などで異なるので確認しておきましょう。

3. 管理職へキャリアアップする

ケアマネジャーの給料を上げるためには、夜勤ありのケアマネジャーとして勤務するのもひとつの方法です。ケアマネジャーには夜勤はないと考える人も多いようですが、実はケアマネジャーにも夜勤があるのです。

ケアマネジャーは、在宅介護支援をおこなう「居宅ケアマネジャー」や、介護福祉施設で働く「施設ケアマネジャー」に大きくわけられます。施設ケアマネジャーの場合は介護職員を兼務することがあるため、夜勤を担当するケースも少なくありません。夜勤をすると夜勤手当が加算されるため、居宅ケアマネジャーよりも給料が高くなる傾向があります。

4. 施設ケアマネとして働く

施設ケアマネジャーとして介護施設に勤務すれば、介護職員としても働けるので居宅ケアマネジャーより給与が高くなります。

介護職員には夜勤もあり、夜勤手当は日勤の1.25~1.5倍の割増金額になるからです。そのため、できるだけ早く昇給したいのであれば、夜勤のある施設に転職するのも選択のひとつとなるでしょう。

5. 主任介護支援専門員になる

2006年に誕生した新しい資格で、ケアマネジャーの上位資格となるのが主任介護支援専門員です。ケアマネジャーを統括したり、新人の指導や育成などをおこなったりします。

この仕事に就くには資格が必要ですが、そのためにはまず受験資格を満たし、約12日間70時間以上のカリキュラムを修了しなくてはいけません。申し込み受付期間や研修がおこなわれる場所は、地域によって違うので各都道府県のホームページで確認するようにしましょう。

6. 独立する|独立型ケアマネジャーとは

ケアマネジャーとして起業した方のことを「独立型ケアマネジャー」といいます。独立起業するためには、法人格を取得したり、指定申請をしたりするなど準備が大変です。

しかし、起業したら自分の方針で仕事を進められるようになります。仕事で得たお金はすべて自分の給与になるので、施設で働くより収入が増えるのも魅力です。

ただし、集客ができないと収入がゼロになるので、安定した収入が得られないのはデメリットとなるでしょう。

できることから始めて給与UPを目指そう!

ケアマネジャーは、介護保険制度で要介護や要支援の認定を受けた人が適切な介護サービスが受けられるようにサポートをするのが仕事です。ケアプランの作成、市町村やほかのサービス事業所などとの連絡調整などをおこない、介護施設には欠かせない存在です。

ケアマネジャーとして働き続けるには、その業務量や貢献度に見合った給料をもらえる職場環境であることも大変重要です。今回ご紹介した給料アップの方法などを参考に、まずは自分ができることから始めて給料アップを目指してみてはいかがでしょうか。

引用元サイト
厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果

内閣府 主任介護支援専門員の概要

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