ご利用者様に楽しんでもらうためのサービスを常に追求 Vol.17【デイホーム施設長 石毛英祐さん&介護職員 内田ちはるさん】#1
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。
今回は、男性向けのデイサービスを展開する「デイサービス夢楽井荻」の施設長・石毛英祐さんと、介護職員・内田ちはるさんにインタビュー。
前編では、夢楽井荻のサービスについて深堀させていただくとともに、介護職に就いたきっかけから、この仕事に上手に向き合っていくためのコツなどをメインでお届けします。
お話を伺ったのは…
夢楽井荻 施設長 石毛英祐さん(写真左)
2015年、10月に株式会社笑喜大笑入社。2018年に夢楽井荻の施設長に就任。現在は職員とともにご利用者様の介助に携わる側ら、施設の運営や職員の指導を行っている。また、社内において、月間稼働率、月間契約数、月間売上、職員離職率、職員定着率等、数々のタイトルを獲っている。
夢楽井荻 介護師 内田ちはるさん(写真右)
前職のアパレル販売を経て、2020年2月〜株式会社笑喜大笑に入社。持ち前の明るい性格を活かし、「夢楽井荻」にてご利用者様の介助を行っている。
男性のデイサービス利用率を高めるため、男性が魅力に感じるサービスを展開
―「夢楽」は男性向けのサービスが充実しているデイサービスとお見受けしました。
石毛英祐さん(以下敬称略):「夢楽」は、男性のご利用者様向けの娯楽コンテンツを豊富に取り入れている「夢」のように「楽」しいデイサービスです。具体的には囲碁、将棋、カラオケなどのコンテンツのほか、我々職員によるスマホ・パソコン・タブレットなどのレクチャーも行っています。
また、施設内のデザインは『介護施設らしくない介護施設』をテーマとし、某有名デザイナーにプロデュースを依頼しました。施設の内装は特に「オシャレ×高齢者」を意識した内装にしています。入浴場では、まるで洞窟に向かうような冒険心をくすぐる設計と、浴場内には大浴槽を完備するなど、ご利用者様が快適に過ごせる空間づくりにも力を入れています。
加えて、今は新型コロナウイルスの影響で一時中止していますが、通常は囲碁の先生を招いたイベントや、浴槽にバラ100本を浮かべたバラ風呂体験を実施するなど、ユニークなイベントも多数取り揃えているデイサービスです。
―男性向けのサービスに着目された経緯を教えてください。
石毛:世間一般のデイサービスでは、圧倒的に女性ご利用者様が多いことが知られています。男性も全く利用しないわけではないのですが、男性と女性が一緒になって楽しく活動しているかといったら、なかなか難しいのが現実。実際にデイサービスに通われていた男性にお話を聞くと「女性が多くて嫌だ」「女性のグループに嫌われた」といった理由で、デイサービスに行くのを辞めてしまい、自宅にこもってしまうケースも多いです。
男性は社会の中では強いイメージですが「介護」という社会に切り替わると弱い立場に立たされることも多い。ならば「男性のサービスに特化したデイサービスがあれば来てもらえるのではないか?」と思い立ち「夢楽」を立ち上げたのがきっかけです。
―実際に夢楽をスタートしての反響はいかがでしたか?
石毛:ご利用者様をご紹介いただくケアマネジャーさんに営業をかけさせていただいたところ「こんなデイサービスは見たことない!」と、驚きと感謝のお声を頂戴しました。この言葉通り、オープン前月の見学では70名程の方が来てくださり、毎日がお祭り騒ぎで大変でした(苦笑)。
もちろん男性に留まらず、女性のご利用も大歓迎です。実際に「麻雀や囲碁が趣味だから」と言って利用してくださっている女性のご利用者様も多いです。
未経験から介護職に従事。
アットホームな環境の中で日々勉強中
―内田さんは、今年から介護職の道をスタートされたと伺いました。
内田ちはるさん(以下敬省略):そうです。夢楽井荻に入る前は、アパレル販売の仕事をしていました。介護の仕事の経験はなかったのですが、販売業で培ったコミュニケーション能力を活かしながら自分のライフスタイルに合った働き方ができる職場を探していたところ、現在の「夢楽」に辿り着きました。
―実際に介護のお仕事を経験されてみていかがでしたか?
内田:実家に住んでいたとき、母が在宅で祖母の介護をしていたのですが、当時の私は何のサポートもしてあげられませんでした。でも、実際に介護の仕事に就いてみて「あのとき、もっとできたことがあったのではないか」と当時の自分を見つめ直すようになりました。
加えて、想像以上に楽しい毎日を過ごさせてもらっています。ご利用者様や先輩方のお話を伺う中で勉強させていただくことも多く、本当に入って良かったと思っています。
ーお話しされている様子からも日々楽しくお仕事されているのが伝わってきます。
石毛:僕たちの仕事はご利用者様を楽しませることが何よりも大切になりますが、それを叶えるためには、職員自体が仕事を楽しまないと始まらないんです。夢楽井荻では、内田をはじめ、そのほかの職員も楽しみながら働いてくださっている方が多いので、施設長としても非常に嬉しいですね。
現場の声を大切にし、お互い思いやりの精神で働くことが大切
―職員のみなさんが楽しく働けるよう、石毛さんが心がけていることはありますか?
石毛:ご利用者様・職員ともに「日本一のデイサービス」と思ってもらえることを目指して運営しています。ご利用者様には施設の満足度において日本一と思ってもらえること、職員には「日本一働きやすいデイサービス」で勤務しているというマインドで、何事にも誇りをもって働いてもらいたいと思っています。
そのような「日本一のデイサービス」を作るため、余計に手間がかかる業務は排除し、自由な時間を通じて互いにコミュニケーションを深め、互いを知る機会を増やすようにしています。十人十色である価値観を合わせるのは難しいと思いますが、すれ違い・勘違いであれば改善の余地はあります。ご利用者様の目線と従業員の目線の違いを同様と捉えず、より包括的な運営をしています。
仕事をしていて楽しいと感じる介護施設はここにしかありません。僕は「夢楽」を唯一無二のデイサービスであると誇りを持って日々仕事に励んでいます。
―では、職場内の人間関係の向上のためにどのように働きかけていますか?
石毛:職場の人間関係は仕事の楽しさを左右すると考えているので、社内の人間関係によるトラブルは全て撲滅しています。そのためにまず「愚痴・悪口を言うことは禁止」と伝えています。
加えて、職員間で悩みや不安、不満を話しても解決には至らないと思うので、何か思うことがあるときは施設長である僕に直接相談してほしいとお願いしています。仮にすぐには解決策を導いてあげることができなかったとしても、どうしたらいいのかを必ず一緒に考えるようにはしています。
あとは日頃からスタッフの表情をよく観察し、いつもと様子が違うなと思ったときは積極的に声をかけるようにしています。
内田:私は子どもが3人いるので、働き始める前は「朝、子どもがぐずって遅れちゃったらどうしよう」「職場のみなさんに嫌な顔されないかな」と正直不安でしたが、実際に入社すると「そんなの全然大丈夫だよ!」と、石毛さんをはじめ職員みなさんが優しく気遣ってくださいました。この職場で本当に良かったと救われた想いです。
石毛:男性は、仕事が終わったらご飯を食べてお風呂入って寝るって人も多いと思いますけど(笑)、働きながらお子さんを育てている女性は、退勤後もお子さんを迎えに行って、家事と育児をこなしてと、仕事の延長線上にやらなければならないことがたくさんありますよね。なので、そこは少しでも仕事とプライベートの両立を図り、どちらも上手くいく形を作れたらと思っています。
夢楽井荻の利用者数は59名(2021年7月時点)と多いため、事故を起こさないよう、毎日必ずスタッフへの申し送りや注意点を確認しています。その後はご利用者様をお出迎えして、朝の会まで「脳トレ問題」を出題しています。問題はあえて難易度の高いものを出題し、同席者の方々と一緒に考えながら解いてもらうことで脳の活性化とご利用者様同士の交流を図っています。その後、利用者のみなさん参加型の「朝の会」を実施し、機能訓練体操と並行して入浴を行っています。昼食後は再び機能訓練体操を行った後、個別のレクリエーション(麻雀、囲碁、将棋、カラオケなど)を16時30分ごろまで行っています。
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「自分がおじいちゃんになったときに来たいと思えるデイサービスを作っています」とお話しされていた石毛さん。充実したサービスはもちろん、職員のみなさんが相手を思いやる心を大事にされているのが伝わってくる、とても素敵なデイサービスでした。次回は、そんな魅力あふれる「夢楽井荻」で働く石毛さん・内田さんに、お仕事のやりがいや、これからの目標などをお聞きします。
▽後編はこちら▽
利用者さんの笑顔や楽しそうな姿が何よりのやりがい Vol.17【デイホーム施設長 石毛英祐さん&介護職員 内田ちはるさん】#2>>
取材・文/小沼奈央(レキャトル)
撮影/柴田大地(fort)