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ヘルスケア 2021-02-01

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.21】United Performance 荒井進之介さんがスポーツトレーナーの技術をレクチャー

ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。

これまで、スポーツトレーナーとして活躍されているUnited Performanceの荒井進之介さんに、この道を目指したきっかけや、スポーツトレーナーの魅力について聞いてきました。今回は、荒井さんがトレーナーの仕事をするときに大切にしていること、パフォーマンスが上がるジムトレーニングを教えていただきます。

目標に向けたトレーニングメニューの作成と指導が主な仕事

―実際のお仕事では、どんなことをしているのか教えてください。

僕は主にスポーツチームと契約して、フィジカル系のトレーニング指導をしています。依頼として多いのは、目標とする試合や大会に向けた身体作りです。

例えば、今関わっているバスケチームだと、「9月の大会までに走れるチームにしたい」と依頼されました。それに対して、チームの状況や選手の年齢、性別、怪我の有無、目標とする競技レベルなどから、最適なトレーニングメニューを組んで、指導していきます。

チームでのトレーニングで言うと、メニューは大きく分けて2つ。ウエイトルームでの筋力トレーニングと、競技のグラウンドで行うトレーニングです。

ウエイトルームでの筋トレでは、僕は基礎をしっかりしたい派なので、ベンチプレス、スクワット、デッドリフトの3つの種目を主軸に考えています。これらを組み合わせたり、応用種目を追加して、パフォーマンスを高めるために必要な筋肉が作れるように指導します。

グラウンドでのトレーニングは、競技と同じ環境で、より競技に近い動きを取り入れていきます。その競技での動作を研究して、その必要な動作を自重でトレーニングできるようにメニューを考えます。持久力を高めるための走るメニューもグラウンドで行います。

―トレーニングメニューを考えるときに大切にしていることは?

客観的なデータを元にすることと、年間でトレーニングスケジュールを考えることですね。

例えば、試合に勝ったときに「相手よりすごい走れてたな」と思っても、本当に走れていたかはデータを見ないとわからない。意外と走ってなかったり、前回の試合の方が走れてたりするんですよね。だから、主観ではなくきちんとデータを見てから、メニューを作ったり、その後の方針を決めるようにしています。これは選手の体調管理の面でも大切なことです。

また、トレーニングスケジュールを組むときは、最終目標とする大会や試合に向けて、どうプロセスを踏んでいくのかを長期的に計算する必要があります。チームの状況や施設の環境を考えながら、「ここは合宿があるから疲労がたまらないように」とか、できることを見つけながら戦略を立てていきます。もちろん、あくまでスケジュールなので、状況をみながら調整します。でも、ベースがあると目標がぶれませんし、やみくもにトレーニングするのとでは結果が変わってくるんです。

あとは、選手が飽きないようなメニュー作りも大切だと思います。例えば、毎日やみくもに体育館10週するんじゃなくて、今日はショートダッシュ、明日はもう少し長めの距離を走ろうとか。同じ走るメニューでも、その日によってメニューの種類を変えることで、メリハリが出るので、トレーニングが作業にならず効果が高まると思います。

荒井さんが伝授! パフォーマンスが上がるジムトレーニング

パフォーマンスを高めるには、ベースとなる身体作りが大切です。それには、ジムで行う筋トレが有効。今回は、荒井さんがスポーツチームでのトレーニングでよく取り入れているという、「スクワット」と「ヒップリフトマーチ」の方法をご紹介します。

スクワット

筋トレの基本となるスクワットは、主に下半身を鍛えるトレーニングメニューです。太ももやお尻などの大きな筋肉を鍛えるのに効果が高いので、効率よく筋力アップが狙えます。下半身に筋肉がついて安定すると、競技のパフォーマンスも上がり、怪我の予防などにもつながります。最初はバーのみから始め、徐々に重りを足していきましょう。
1. バーの中央を担ぐように持ち、足は肩幅に開いてつま先は少し外に向けて立ちます。胸を張って姿勢を正して。
2. 重心を下げながら真下にしゃがみます。胸を張って、目線は正面に向け、真後ろにある椅子にしゃがみ込むイメージで。(1)~(2)を10回×3セットをベースに行いましょう。

NG

ひざがつま先より前に出て、前のめりにならないように注意して。また、背中が丸まるのもNG。適切な場所に負荷がかからず、怪我のリスクが。

ヒップリフトマーチ

体幹とおしりを鍛えるトレーニング。片足を上げることで、上体がねじれないように腹筋を使います。また、支えているほうのおしりの筋肉にも負荷がかかります。競技中でもブレにくい身体作りに効果的です。
1. 仰向けで、ひざ、骨盤、肩が一直線になるように腰を上げます。ひざと足首は90度になるように意識して、つま先を上げて。
2. 片足のひざを胸に近づけるイメージで、股関節が90度になるくらいまで引き上げます。ひざは90度をキープして。左右交互に5回ずつ行いましょう。

NG

上半身がねじれないように、腹筋を使ってキープして。持ち上げたひざは、外に開かないように、90度に曲げた状態をキープしたまま、まっすぐ持ち上げましょう。

教えていただいたトレーニングメニューは、基礎体力アップという面でも効果的。スクワットはバー無しでもできるので、自宅でも続けられそうですね。
コロナ禍では、部活ができない高校生のために、専門家として家トレメニューを考案したという荒井さん。さまざまな依頼に沿ったメニュー考案も、スポーツトレーナーの仕事の醍醐味と言えそうです。

▽#1はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.21】United Performance 荒井進之介さんがスポーツトレーナーになったきっかけ>>

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

教えてくれたのは…

スポーツトレーナー 荒井進之介さん

早稲田大学・同大学院にてスポーツ科学を学び、在学中にアメフト部やテニス部などのトレーナーとして活躍。大学院卒業後は東京リゾート&スポーツ専門学校にて教員を2年務める。2014年、スポーツ現場に戻るため独立し、理想のスポーツ村建設を目指して「United Performance」を設立。有名海外フットボールアカデミーのコーチ兼トレーナー、大学バスケットボール部トレーナー、出張パーソナルトレーナーなど多くの現場で活躍中。

Infomation

United Performance
※ご依頼、お問い合わせはホームページよりお願いします。

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