【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.25】株式会社SPES 槌谷伸輔さん流 柔道整復師の手技&技術
ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
これまで、株式会社SPESで柔道整復師として活躍する槌谷伸輔さんに、柔道整復師を目指したきっかけや、お仕事の魅力について伺ってきました。今回は、槌谷さんが行っている施術について、その流れや手技をご紹介します。
ミスマッチのない施術提案が大切です
―施術の際の問診で気をつけていることはありますか?
一番大切なのは、患者さんからの同意です。どんな施術をして欲しいのか。ただ揉んで欲しいだけなのか、根本的に痛みをとりたいのか。そこのミスマッチがないように、というのは気をつけています。
あと、金額面での不安は、大半の方にあると思います。「この治療は保険が使えるけど、矯正などは保険がきかないので、今日はいくらかかります」っていうところまで、きちんと説明することは、とても大切なことですね。
―メニュー提案で大切にしていることは?
「根本的に痛みをとりたい」という方が大半なので、しっかり話を聞いたうえで、痛みの原因をきちんと説明し、改善するための提案を心がけています。そして、その場の痛みだけでなく、その後のことも考えた提案ですね。
じゃあ、どうしたら痛みがとれるのか。痛みの原因は何なのか。それを知るには、仕事や趣味、既往歴など、その人の生活背景を知らなければいけません。なので、カウンセリングの時は、本当に細かく話を聞きます。問診だけで20~30分くらいはかかります。
姿勢、足、筋力の3つをベースに、根本的な改善を目指しています
―槌谷さんが行っている施術の特徴を教えてください。
「骨盤インナープログラム」と呼んでいるのですが、「姿勢矯正」と「靴のフィッティング」に加え、「楽トレ」という高周波EMSでの筋力強化というのを、症状を見ながらトータルで施術しています。
怪我をしたのでなければ、全身、手指の先も含めて、痛みの原因は「歪み」によるものです。使い過ぎだったり、使い方が悪かったりすれば、必ず骨格に歪みが出てきます。そうなると、骨格の周りの筋肉もねじれたりして歪むんですね。すると、筋肉が硬くなって、痛みが生まれます。そうなってしまうと、筋肉だけほぐしても改善しないので、一度姿勢を分析して、骨格を矯正することで、筋肉を正しい位置に戻してあげなきゃいけません。それが「姿勢矯正」です。
また、足は体全体を支えているので、ここが崩れてしまうと、いくら姿勢を矯正しても、また歪みが出てしまいます。足に歪みが出ないようにするには、正しい靴や、それに合ったインソールを入れてあげる必要があります。
そして、骨格と足が整ったら、それを支える筋力が必要です。とくに年齢を重ねると、筋力が衰えて、体が曲がってきたりします。だから、骨格を支えるインナーマッスルを鍛えることも、必要になってきます。うちで取り入れている「楽トレ」では、高周波EMSでインナーマッスルに刺激を与えて、筋力アップを目指します。
これらすべてを並行して取り入れていくことで、長期にわたり健康的な身体を作ることができるという考えで、施術を行っています。
槌谷さん流の施術メソッド
1.姿勢矯正
施術は、骨盤矯正用のベッドで行います。姿勢矯正で重点をおいているのは、首と骨盤です。矯正では、効果が出るコンタクトポイントをしっかり触っていくことが大切です。
指を滑らせてポイントを探り、人さし指のつけ根でポイントを押さえます。反対の手で頬当たりを押さえたら、ポイントを置いた手を絞りながら、ベッドを落として骨格を動かします。
とくに、骨盤は、歪みの根源になりやすいところ。ここが整うと、身体全体の重心が整います。姿勢が崩れると、骨盤に歪みが生まれ、足の長さが変わってきます。そこを検査で見つけ、歪みに合わせて、徒手で矯正していきます。
2.靴のフィッティング
シューフィッターの資格を持っているので、患者さんに合った靴のアドバイス、提供、インソールの作成を行います。歩行を改善することで、骨格の歪みを軽減していくことができます。
足指の曲げ伸ばし、指が開けるか、土踏まずにつぶれがないか、タコや魚の目の有無、皮膚のよじれ、爪の状態などを確認。その後、フットプリントで足形をとって、足のどこに重心があるか、負荷がかかっているか、足の指が浮いていないかなどをチェックします。
足の長さや幅を計り、よく履く靴が足に合っているかを確認します。合っていない場合は、指定したサイズの靴を買ってきていただくか、院でも購入いただけます。
合っている靴をお持ちいただいたら、つぶれた足のアーチを矯正するために、インソールを作成します。これを普段から靴に入れて歩行していただくことで、足の矯正を行っていきます。
3.楽トレ
インナーマッスルの筋力低下により、骨格を支えられていないこともあるので、筋肉を鍛えることも重要です。しかし、とくに年齢を重ねていると、筋トレをするのは大変です。
高周波EMSは、アウターマッスル、インナーマッスルを同時に刺激できるので、必要な筋肉を効率的に鍛えることができます。痛みを取る効果、マッサージ効果もあるので、症状に合わせて、いろいろな使い方ができます。
骨格、筋肉の両面から、正しい姿勢をキープできる身体を作っていくという槌谷さんの施術。根本的な改善により、その後の人生まで豊かになるように、患者さんのことを考えられているんだなと感じました。患者さんのこれからを考えた「骨盤インナープログラム」、ぜひ体感してみてください。
▽#1はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.25】株式会社SPES 槌谷伸輔さんが柔道整復師を目指したきっかけとは>>
取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代
教えてくれたのは…
柔道整復師 槌谷伸輔さん
株式会社SPES 取締役・総院長。FHAシューフィッター。サラリーマンから柔道整復師へ転身。30歳で資格取得して1年後に株式会社こくしゅ塾に入社、その後「株式会社SPES」の立ち上げに参画する。整骨院振興協同組合が主催する「医療オリンピックC-1」2019年大会 診断王の部で優勝するなど、高い実績を持つ。